[過去ログ] 【Wizardry】ウィザードリィのエロパロ15【総合】 (866レス)
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701: ◆pT3tKNJdzbPc [sage] 2017/09/03(日)17:03 ID:9vagmw9h(1/7)
今さら気づいたけど、美桜って挟めるくらい胸あったんだなーって。

では>>696の続きです。
702: 始まりのニンジャ〜第三話〜 ◆pT3tKNJdzbPc [sage] 2017/09/03(日)17:06 ID:9vagmw9h(2/7)
 
 それから行商人に紛れて西方に向かった美桜は、忍者たちが幾つもの小隊に分かれて
あちこちのダンジョンと呼ばれる迷宮に潜んでいることをつきとめた。
大人数での行動は目立ちやすく動きが鈍くなりがちである、だからこそ分散して
潜伏しているのだと美桜は読んだ。もっとも、烈道のいる本隊の動きは掴めなかったが。

恐らく本隊は他の小隊と互いに密に連絡を取り合い、何か異変があれば
それは本隊に伝わるはず、そう予想した美桜はとあるダンジョンにて忍者の小隊を襲撃した。
折しも、その忍者たちはある冒険者の一団を襲い、その中で唯一生き残った女メイジを皆で陵辱していた。
この好機を逃す手はなく、美桜の襲撃により忍者の小隊は全滅し、目撃者である女メイジは始末した。
が、そこで予想外の事態が起きた。

女メイジを殺した瞬間、死体だと思っていた男が突然魔法の道具を使いダンジョンから脱出したのだ。
すぐに追わなかったのは忍者の痕跡を消し、目撃者の死骸を処分する必要があったからだ。
その後、美桜は冒険者たちが拠点にしている町に向かい、自分が逃した男が
ケインという名の、声を無くした盗賊だと知った。
ケインは恐ろしく逃げ足の早い男で、美桜が探りを入れたころには既に町を出た後だった。

今までダンジョンにて冒険者に姿を見られたことはあったが、すぐに逃げたことで深入りを免れてきた。
しかし、ケインは美桜が何者かその目で見ていたに違いないのである。
美桜が動いていることは決して烈道らに知られてはならない。
こうして美桜は本来の任務に加え、ケインを探すという面倒まで負うことになってしまった。

忍者たちの動向を探りつつ、逃亡したケインを捜すのはさすがに困難を極めた。
しかしケインについて調べるうちに、美桜は次第にケインに興味を抱くようになっていった。
冒険者たちの間では、ダンジョンに死んだ仲間を放置して他人に救出を押し付けたケインへの評判は極めて悪かった。
それにこれは美桜だけが知っていることだが、ケインは仲間の女メイジを見殺しにして自分だけ脱出したのである。
これらを知れば、ケインに対して良い評価や感情を抱くどころか最低最悪のクズ野郎と誰もが思うはずである。

ところが……

(西方にもデキる男はいるみたいね……)
なんと美桜はケインを高く評価していたのだ。
703: 始まりのニンジャ〜第三話〜 ◆pT3tKNJdzbPc [sage] 2017/09/03(日)17:10 ID:9vagmw9h(3/7)
 
普通の倫理観ならケインのような男は冒険者どころか人間として決して許されない存在である。
だが、美桜から見たケインは実に有能かつ、優れた判断力を備えた一流の盗賊であった。
感情に流されず、合理的かつ最善の判断をし、行動力と生存本能に長けた優秀な冒険者、それが
くのいちの彼女がケインに下した評価だった。

もしヒノモトに生まれていれば、きっと優秀な忍者になれたであろうケインの才能を美桜は惜しんだ。
そして彼女はあることを思いつく。それはケインを烈道討伐に協力させるというものだった。

 烈道一味が西方に逃亡して一年以上が過ぎた。
その間、幕府が編成した烈道討伐隊のいくつかは忍者たちと交戦を始めていたが、戦況は決して芳しくなかった。

侍たちはヒノモト中から選抜されただけあって、まともに戦えば忍者たちより強い、そのはずだった。
しかし、ダンジョンにこもった忍者たちは様々な罠を張り巡らし、狡知をもって侍たちを翻弄したのだ。
結果、少なくない数の侍たちが命を落とし、同行していた僧侶や法術士(いわゆるメイジ)も巻き添えとなった。
上忍である烈道ならまだしも、下っ端の中忍や下忍相手にこのザマである。
このままでは討伐どころか、侍たちは返り討ちで全滅させられるかもしれない。

討伐隊に同行しているくのいち達(ただし正体を隠してである)からの報告を受けるうちに、美桜はある問題に気づいた。
討伐隊に欠けているのは盗賊の存在なのだと。優秀な盗賊の助力さえあったなら
犠牲はもっと少なくなっていたはずなのだと。

忍者は、くのいち達は正体を明かすことや大っぴらに活動することを許されていない。
それゆえに同行しているにもかかわらず、忍者としての能力や知識を活用できないという
問題を彼女達は抱えていた。
烈道配下の忍者たちに惨敗を重ねていたのも、ある意味それが原因とも言えた。

しかし、盗賊を雇えばなんとかなるというものでもなかった。
侍たちの多くは盗賊という職業を卑しい生業と蔑んでいたからだ。
戦いには何の役にも立たず、戦いが終わってから敵の死体や宝箱を漁るだけの
卑しく浅ましい下郎というのが、侍たちが盗賊に抱く印象であった。
当然これは無知と偏見が作り上げた差別的な見方なのだが。
704: 始まりのニンジャ〜第三話〜 ◆pT3tKNJdzbPc [sage] 2017/09/03(日)17:12 ID:9vagmw9h(4/7)
侍たちの中にも盗賊という職業に偏見をもたない者もいたが、如何せんそれはあくまでも少数派であり
逆賊烈道を討つ正義の戦いに盗賊の力を借りるなどありえないというのが、大方の侍たちの総意であった。

 そういうわけで、ケインを誰に協力させるかは容易に絞られた。
ケインを見つけたこの街で、ケインとダイジロウが酒を酌み交わすほどの間柄だと知ったことで、ケインを
ダイジロウの仲間にすることに決めたのだ。

美桜はダイジロウという男を知っていた。
ダイジロウは侍の中でも心が広く、生まれや立場で人を差別しない情の厚い男であった。
そして剣の腕においてはヒノモトでは一流と認められるほどの実力者であった。
まともに戦えば美桜ですら確実に勝てる見込みはない。
そして何より、忍者に、烈道に深い憎しみと怒りを抱いている。
烈道はダイジロウの妻と娘、そしてかつての“友”を殺めた憎むべき仇だからだ。
もっとも、ダイジロウの友に手を下したのは美桜なのだが……

(まあ大二郎“様”はどうにかできても問題はあの二人よね……)
湯船の中で白い肢体が艶めかしく揺れる。
 
討伐隊に編成された際、ダイジロウには5人の仲間がいた。
侍二人、僧侶一人、法術士一人、そして彼らの世話をするために遣わされた奥女中が一人。
そのうち法術士は忍者との交戦中に倒され、蘇生に失敗し命を落とした。
美桜が問題だとしたのは侍二人のほうで、彼らは盗賊を蔑み嫌悪する側の侍だった。
ケインがダイジロウに上手く取り入ったとしても、あの二人はケインの参加を絶対に認めないだろう。
おそらくダイジロウの説得ではあの二人を説き伏せるのは無理である。

しかし、美桜に手抜かりはなかった。くのいち仲間である奥女中を通じて僧侶に手助けを要請したのだ。
彼の口車もとい説得なら、頭の悪い馬鹿二人も折れるはずである。
あとはケインが冒険者としての本領を発揮できるかどうかにかかっている。

「あ……」
突然感じた下半身の疼きに身じろぐ美桜。

ケインとの交わりの余韻はいまだに美桜の中でくすぶっていた。
正直言うと、美桜はケインを殺したくて殺したくてたまらなかった。
なにせ忍者でもヒノモトの人間でもない盗賊風情にまんまと欺かれ逃げられたのである。
それはくのいちを極めた美桜にとって屈辱以外の何ものでもなかった。
705: 始まりのニンジャ〜第三話〜 ◆pT3tKNJdzbPc [sage] 2017/09/03(日)17:18 ID:9vagmw9h(5/7)
もし侍たちによる忍者討伐が順調だったなら、ケインは見つけたその日のうちに殺していた。
しかし、のっぴきならぬ事情とケインの才能が彼を生き長らえさせたのだ。

「本当に運のいい男ね……」
美桜はケインをしばらく観察し、使えると判断してダイジロウの仲間になるよう要請するために会いに行った。
やはりケインはあの日のことを引きずっていた。
寝言で女メイジの名前を呼んでいたのも、股間を勃たせていたのも本当である。

ダイジロウの仲間になると確約させるだけだったが、それだけでは色々とおさまらなかった美桜はケインを求めた。
意外ななりゆきに当然ケインは困惑し、彼女を拒絶した。が、彼も男である。
結局、美桜の誘惑に負けて彼女を抱いたのだが、ここでまたしても美桜はケインにしてやられた。
なんとケインには女を抱く才能もあったのだ。そのせいで美桜は何度も果て、とうとうただの雌となって
夜明け近くまでケインと交わり続けたのであった。

(まったく、忌々しい…!)
悔しさを覚えつつも、あの時のことを思い出すと美桜の中のオンナが切なく疼く。
今まで何度も男たちと交わってきたが、こんなことは美桜にとって初めてであった。

殺したい殺したい。ケインを求める欲求は殺意へと繋がっていく。
だが、任務を全うせよという忍者の掟がケインへの殺意を抑えている。

「まあせいぜい頑張って頂戴……烈道までたどり着いたなら貴方はそこで用済みだから……」
美桜は深く一息つくと、両腕を揃えて伸ばした。
水を滴らせながら水面から上がった両手はまるで何かを掲げているかのようだった。

「そうしたらまた貴方を愛してあげる……烈道が討たれたら私と一緒に逝きましょう……」
呟く美桜が両手に想い浮かべるのはケインの首。そしてその先にある自らの末路。
いくら功を成そうと、如何なる命令に従順であろうと、上の都合でくのいちなど簡単に消される。
それでも美桜はくのいちであることを辞めない。

あの日、人間としての美桜は信也とともに死んだのだから。
くのいちとしてしか生きられないのなら、くのいちとしての運命を受け入れるしかない。

そして静かな狂気の笑みを浮かべながら彼女は思う。
最期にこの素肌に纏うのは誰の血であろうか、と───

(第三話、終わり)
706: 始まりのニンジャ〜第四話〜 ◆pT3tKNJdzbPc [sage] 2017/09/03(日)17:22 ID:9vagmw9h(6/7)
 
   ***   ***

「うーむ…」

開いた手紙を読みながら坊主頭の男は難しい表情をした。

「山路(ヤマジ)様、その手紙に何か問題でも?」
「問題、か。拙僧もずいぶんアテにされたものだな。読んでみなさい」
山路と呼ばれた坊主頭の男は手紙を目の前の少女に渡した。
頭の後ろを小さく纏めた短髪の少女は、山路から受け取った手紙をさっそく読んだ。

「………」
「美桜殿は一体どういうつもりかな、縫火(ヌイ)?」
「どうもこうも手紙の通りだと縫火は思いますが」
縫火と呼ばれた少女は淡々と事務的に答えた。

「確かに烈道討伐もままならず、芳しくない状況なのは確かだ。我々も伊南殿を失ってしまった。だが……」
山路の渋い声が絞り出すように言葉を紡ぐ。それを縫火は黙って聞いている。

「西方の人間を、しかも口の訊けない盗賊を我らの仲間にしろとは美桜殿は一体何を考えているのか。
しかも今日だ。これから件の迷宮に向かう時に余計な揉め事を持ち込むとは、実に厄介なことよ」
「なら断りますか?」
無表情のまま山路に訊ねる縫火。

「いや。美桜殿は戯れでこのような難事を頼みはすまい。ここは拙僧が弁を振るうしかあるまい」
正座していた山路は膝をポンと叩くと、スッと立ち上がった。

「ケイン、か。美桜殿に推されるとは如何なる男かな」
腕を組みながらまだ見ぬ男に思いを巡らせる山路。

(ケインですか……)
縫火もまたケインという人間に興味を抱きつつあった。

回りだした運命は彼らを導き、宿命へと誘っていく。だがその行き先に何が待つかは、誰も知らないのだ。

(続く)
707: ◆pT3tKNJdzbPc [sage] 2017/09/03(日)17:33 ID:9vagmw9h(7/7)
これにて第三話は終わりです。ついでに第四話の触りも投下しました。
これでようやく一区切りついた感じです。拙作に感想をくれた皆様にはただただ感謝です。
長いような短いようなよくわからないけれど、お付き合いいただき本当にありがとうございました。

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