金融政策スレ (2182レス)
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(1): とはずがたり 2017/07/21(金)23:22 AAS
>>1244-1245
率直に言って、これは通常では受け入れ難いロジックだろう。筆者も含め、民間のエコノミストやストラテジストも見通しを外すことはよくあるが、「外し続けても自分の信用はなくならない」とは言えない。

一方で、日銀は、物価安定目標の実現に強くコミットし金融緩和を推進していくことで、中期的な予想物価上昇率は上昇傾向をたどると説明している。今回の日銀の見通しは当たると信じてくれる人がどの程度残っているかは疑問だ。

5)日銀政策委員9人中8人が見通しに自信なしなのか。

日銀は、今回の展望レポートの中で、2%の物価安定目標に向けたモメンタムは維持されているとして、黒田総裁も記者会見の中で、モメンタムが維持されている状況であり、追加緩和が必要だとは考えていないと指摘した。一方で、物価見通しについては、中長期的な予想物価上昇率の動向を中心に下振れリスクの方が大きいと指摘している。

さらに、「政策委員の経済・物価見通しとリスク評価」では、9人の委員のうち、8人が自身の2019年度のコア消費者物価指数の見通しに関して「下振れリスクが大きい」としている。前回4月の時は「下振れリスクが大きい」と指摘した委員は9人中6人だった。

日銀は今回の会合で2%の物価目標達成時期に関する予想を、これまでの「2018年度ごろ」から「2019年度ごろ」に先送りしたが、どうやら政策委員のほとんどが2019年度でも無理な可能性が高いとみているように受け止められる。これでは中長期的な予想物価上昇率に影響を与えることは難しいだろう。

6)日銀の上場投資信託(ETF)購入額は本当に「小さい」のか。

日銀が毎年6兆円のペースでETFの買い入れを行うことにコミットしている点に関して、黒田総裁は副作用もなければ、コーポレートガバナンスを阻害することもない、購入額も東証の時価総額と比べれば小さなものだと指摘した。しかし、本当にそうなのだろうか。

日銀は7月10日時点で15.6兆円の株式を保有している。東証の時価総額は約600兆円なので日銀はその約3%を保有していることになる。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が保有する国内株式は35兆円程度なので、日銀の保有額はそれよりは小さいが、市場参加者が問題にしているのは、日銀は今後も毎年6兆円のペースで買い入れを行うというコミットメントを簡単に止められないのではないかということだ。

仮に2019年度になっても物価が目標に到達せず、まだ同様に6兆円の購入を続けていれば、日銀の株式保有額はGPIFを超えることになるだろう。負債の性質を考えた時、国の年金基金よりも多くの株式を保有する中央銀行は本当に大丈夫なのだろうかと非常に心配になる。

7)市場機能を損ねることのコストを軽視し過ぎてはいないか。

また、もう1つ気になるのは、黒田総裁が記者会見でETF購入について、押し目買いの機会を失わせているとの批判もあるが、と質問された際、「債券でも株でも、値が大きく動かないと利益が出ないかもしれないが」と答えた点だ。

最近、日銀からこうした発言が聞かれることが多い気がする。つまり、「市場が動かなくなると市場参加者は利益が出せなくなるので、自分のことを考えて文句を言っているのだろう」というニュアンスの発言だ。

しかし、市場参加者が利益を出せない管理された市場は当然、活力を失う。多くの参加者はその市場から撤退し、市場として機能しなくなる。日銀が日本経済の活性化のために金融政策を行っているのであれば、経済の重要な構成要員である企業の資本調達の場の機能を奪って良いとは思えない。

国債市場に関しても、先進国で最も大きな対国内総生産(GDP)比での国家債務を抱えている日本の国債市場から、参加者を追い出すことが本当に正しいことなのか疑問に思う。日銀は市場機能を損ねることのコストを軽視し過ぎているのではないか。
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