刑法の勉強法■60 (622レス)
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592: 元ヴェテ参上 06/07(土)05:41 ID:Xx0t2gKG(1/3) AAS
去年入手したまま諸般の事情で読んでなかった山口各論第3版をやっと読んだ。
以下は雑感です。

追加収録判例は31件。「14年ぶりの大改訂!」(帯)で31件とはちと寂しい。
学説では、平野、団藤を除くのほか、井田、西田、そして(意外にも)大谷説の引用が多い。
最高裁判事在任中に自身が関わった事件について言及が見られないのは残念。とくに、詐欺罪の実行の着手に関わる平成30年3月22日の山口補足意見。これ以外は補足意見・反対意見は書かなかったのかな?

P12 202条の処罰根拠について、パターナリズム論を展開するだけで、他説の紹介がない(大谷、西田を見よ)

P15 偽装心中で法益関係的錯誤説をとることは理解できるが、その理由づけが第2版同様難解である(西田、山中、佐伯・総論が理解しやすい)

P17以下 他の教科書でも同様であるが「わが国では、堕胎罪の規定はほとんど空文化している」としながら、堕胎罪に14頁も割く必要があるのか?
もっとも、堕胎罪の諸類型は共犯(身分犯)の理解に役立つ。ただ、山口や西田の「共犯と身分」の考え方は、判例・通説と異なるので注意が必要。

P33 錯綜した遺棄概念の学説の整理は見事である。井田、山中も参照(山中は詳説かつ図表入り)
593: 元ヴェテ参上 06/07(土)05:48 ID:Xx0t2gKG(2/3) AAS
山口各論雑感(2)

P51 同時傷害の特例の近時の重要判例である?平成28年3月24日と?令和2年9月30日の扱いがやや物足りない。
試験対策としては、百選や橋爪・悩みどころで補う必要があるかも。

P57 凶器準備集合罪は重要な論点ではないが、「法益・罪質」の捉え方によって「解釈論的帰結」が大きく異なる
という顕著な例である。

P104以下 「性的自由に対する罪」は平成29年改正と令和5年改正の解説が主で明治40年以来の判例の積み重ね
はほとんど触れられていない。もっとも条文ががらっと変わったのだから当然か。因みに、判例六法の176条・177条の判例には
「令和5年法66による改正前の事案」という注記がある。

P123 住居侵入罪について、山口説は一般に(新)住居権説に分類されているが(中森、西田、井田など)、
山口自身は「許諾権説」だと主張する。どう違うのか明らかでないが、この点については、山中180頁に解説がある。

P132 山口は、平野に倣って、秘密漏示罪と名誉毀損罪を併せて「人格的法益に対する罪」と呼んでいる。これに対して、
川端は、広く生命・身体・自由・名誉を「人格的法益」と呼ぶ。

P153 侮辱罪の保護法益をやや詳しく検討している(昭和58年11月1日の団藤意見に対するリスペクトか)

P157 信用毀損罪の「信用」には「商品の品質に対する社会的信頼」も含むとする判例変更(平成15年3月11日)は、
西田説の影響によることを明らかにしている。西田自身はあまり自慢げには語っていない(西田137頁)
594: 元ヴェテ参上 06/07(土)05:54 ID:Xx0t2gKG(3/3) AAS
山口各論雑感(3・完)

P161 業務妨害罪の「業務」の意義について、判例・通説に反して、継続性の要件はこれを不要としている。賛成できる。

P188 死者の占有については「フィクション以外の何ものでもない」としてこれを否定し、遺失物等横領罪の成立を肯定
するにとどめるのが近時の多数説であるとする。

P198 本権説は「自力救済放任論」であるとして批判するが、かといって占有説を支持するわけではない。井田は山口説を
中間説たる「修正占有説」に分類している。

P205・P208 不法領得の意思については、結果無価値論の帰結として、権利者排除意思のみが主観的違法要素であり、
利用処分意思は責任要素にすぎないとする。

P242 強盗致死傷罪の致死傷の原因行為については、判例の採る機会説では広すぎるとして「拡張された手段説」を主張
する。

P274 詐欺罪の重要判例である?暴力団員のゴルフ場利用事例(肯定=最決平成26年3月28日68・3・646)、?同・否定事例
(最判平成26年3月28日68・3・582)、?暴力団員の預金通帳事例(最決平成26年4月7日)についての記述が決定的に不足して
いる。試験対策としては、百選あるいは橋爪・悩みどころで補う必要あり。
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