さかきう■こあだなだったんでむしばかりされた。 (8レス)
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5: 04/05(土)19:51 ID:TZKj4jJ5(1) AAS
吾朗は、花畑に満ちる香りに言い知れぬ不安を覚えた。
それは本来、花の香りであるはずなのに、どこか腐臭を含んでいた。血と糞、そして火薬のような、鼻を刺すような臭いだった。
そしてあの声——いや、あの「音」だ。
「チギュアアアッ!」
耳に残るその絶叫は、まるで誰かの魂が引き裂かれる瞬間のようであった。
吾朗は村へ戻り、長老の家を訪ねた。
村の古文書を預かるという長老は、吾朗の語った内容に顔を曇らせた。
「……それは、“マチの呪果”じゃ」
と、長老は言った。
かつて、村に“穢れ”をもたらす者が現れたとき、その魂は土に還るのではなく、“果実”として実るという。
それは地の憎しみを吸い、呪いとなって再び姿を現す。
喰えば狂う。近づけば蝕まれる。
その果実は、生きた呪いであった。
数日後、果実が裂けた。
裂け目から覗いたのは、赤黒い粘膜に包まれた“顔”のようなものだった。
それは明らかに、人の顔を模していた。
ただし、目の位置には鳥のそれが埋まり、口元は異常に広がり、黒い液体を垂らしていた。
そして、それを見た村の子供のひとりが、こう呟いた。
「……マチ、にいちゃん?」
その夜から、村では“あの音”が、深夜の山中から響き渡るようになった。
「ア゛ア゛ア゛アッギュアアア……ギュワアアッショォォン……」
メイルダ・マチは死してなお、忘れ去られることを拒んだ。
その存在は、花となり、果実となり、呪いとなって村に“生きて”いた。
——そして最初の犠牲者が、出た。
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