「葬送のフリーレン」で二次創作 (260レス)
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241: 04/03(木)15:41 ID:DW941+w/(1/3) AAS
──勝負が始まったはずだった。

だが、気がつくとフリーレンたちは奇妙な空間に立っていた。

土俵は歪み、四方を取り囲むはずの柱はねじくれ、漆黒の闇へと溶け込んでいる。

地面には無数の白骨が散らばり、それらは皆、相撲の四股を踏んだような姿勢で静かに横たわっていた。

シュタルク「な、なんだここは……!? 俺たちはさっきまで、山奥の土俵にいたはず……」

フェルン「おかしい……魔法で転移させられた形跡はないのに……!」

フリーレンは目を細め、静かに観察していた。

フリーレン「……違うわ。私たちは、土俵の”中”にいるのよ」

シュタルク & フェルン「中……?」

ハッケヨイ「でゴワス……ここは”相撲冥界”。この世のすべての力士の魂が集う禁断の土俵でごわしょう……」

彼の声は先ほどと異なり、低く、不吉な響きを持っていた。

その瞬間、足元の白骨が一斉に動き出す。

ガタガタガタ……

骸骨力士たちが立ち上がり、空洞の眼窩から赤い光を放った。

彼らはゆっくりと、しかし確実にフリーレンたちへとにじり寄る。

フェルン「これは……死者が蘇ってる!?」

シュタルク「ま、待てよ! こんなの聞いてねぇぞ!」
242: 04/03(木)15:41 ID:DW941+w/(2/3) AAS
ハッケヨイは静かに目を閉じた。

ハッケヨイ「“大相撲”に敗れた者は、この冥界土俵の一部となる……これが、“相撲魔法”の真の姿でごわす」

シュタルクは思わず息を呑んだ。

シュタルク「てことは……お前に負けた力士たちは、みんな……!」

ハッケヨイ「でゴワス。わしに敗れた者は、土俵と一体化し、永遠に相撲を続ける運命にあるでごわしょう……」

冥界の力士たちは、ボロボロになったまわしを締め、どす黒い肉体を震わせながら、一斉に四股を踏んだ。

ドシン……ドシン……ドシン……!

その振動は空間全体を揺るがし、まるで生きているかのようなうねりが、地面を波打たせた。

そして、冥界の大観衆の見えない歓声が響き渡る。

──ハッケヨイ、ノコッタ……

──ハッケヨイ、ノコッタ……

フリーレンは無表情のまま、その異様な光景を眺めていた。

フリーレン「なるほど。つまり、あなたに負けたら私も”土俵の一部”になるわけね」

ハッケヨイはうなずいた。

ハッケヨイ「でゴワス……だが心配いらぬ。力士としての誇りを捨てなければ、“この世”に未練を残したまま相撲を取り続けることができるでごわす」

その言葉を聞いたシュタルクは震え上がった。

シュタルク「未練を残したまま……!? そ、それってつまり……!」

フェルン「“死んでも土俵の上で戦い続ける”……ってこと!?」

ハッケヨイは優しく、しかしどこか恐ろしい笑みを浮かべた。

ハッケヨイ「でゴワス……」

その時、骸骨力士たちが一斉にフリーレンたちへと飛びかかった──!!
243: 04/03(木)15:42 ID:DW941+w/(3/3) AAS
──ドシン……ドシン……ドシン……

闇に溶け込むような土俵の上で、骸骨力士たちがゆっくりと四股を踏んでいた。

その一つ一つの動作が、地面の奥深くまで響き渡るような異様な音を立てる。

四股を踏むたびに、闇の中から無数の腕がにゅるりと伸び、土俵の下へ引きずり込まれた何者かの呻き声が微かに聞こえた。

フリーレン「……これは”魔族の仕業”ではないわね」

彼女は冷静に観察していた。

フェルンとシュタルクは、異様な光景に言葉を失っていた。

シュタルク「……やべぇ……なんか、すげぇ……やべぇぞ……!」

フェルンは震えながら、魔法の杖を強く握りしめた。

フェルン「魔法……効くのかしら……?」

──ハッケヨイ、ノコッタ……

突然、骸骨力士たちが一斉に口を開いた。

バキィィッ!

何かが弾けるような音とともに、彼らの口から黒い煙が噴き出した。

それはゆらゆらと形を変えながら、やがてうごめく何かへと姿を変えた。

無数の手足が絡み合い、無数の顔が歪む。

まるで、相撲の試合で敗れた者たちの未練が実体化したかのようだった。

シュタルク「な、なんだあれは……!?」

ハッケヨイ「……でゴワスか」

ハッケヨイは、ゆっくりと目を閉じる。

そして、ゆっくりと語り出した。
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