リレー小説【一人一行は窮屈だ!】 (77レス)
上下前次1-新
1(2): 2018/04/19(木)10:52 ID:bFSTaaAC(1/2) AAS
リレー小説です。
一人一行は短すぎる。五行以内も同じ。スネ夫には飽き飽きだ。
そんな方ご参加ください。
【ルール】
●一人の投稿の上限は1レスまで(目安2000字未満)
●一人の投稿の下限は五行以上
●出来る限り話はつなげましょう
●他は自由にどうぞ
48: 2018/06/04(月)09:36 ID:AviLlCrN(1) AAS
かりんとう
49: 2018/06/04(月)10:25 ID:OCf6HVg9(2/2) AAS
うめぼし
50: 2018/06/05(火)02:00 ID:YDM4YQjS(1) AAS
ししかばぶー
51: 2018/06/08(金)10:29 ID:zy1p0AMu(1) AAS
ぶんちん
52: 2018/06/09(土)00:01 ID:ygpGmdz8(1) AAS
んーいわゆる一つのですねー
53: 2018/07/03(火)18:19 ID:f1dClnnX(1) AAS
73K
54: 2018/10/17(水)20:10 ID:ZU7x6aHX(1) AAS
中学生でもできるネットで稼げる情報とか
暇な人は見てみるといいかもしれません
いいことありますよーに『金持ちになる方法 羽山のサユレイザ』とはなんですかね
VST
55: 2020/01/21(火)08:06 ID:bV83DgLB(1/2) AAS
猿もください
56: 2020/01/21(火)08:06 ID:bV83DgLB(2/2) AAS
猿もください
57: 2020/01/23(木)11:20 ID:dAqWGXNY(1) AAS
猿「わいは猿や!プロゴルファー猿や!」
58: 2020/01/23(木)15:28 ID:7b3KN9Pi(1) AAS
てめえは ゴルフなんてやめちまえ!!
59: 2020/03/12(木)13:42 ID:KAYY9fgG(1) AAS
去る者は追わず来る者は拒まず
60: 2020/03/20(金)17:18 ID:VmzvSLoP(1) AAS
長引くと払うし
61: 2020/03/21(土)02:54 ID:Avx5Y4kW(1) AAS
こうして、世界に平和が訪れた……
62: 2020/05/06(水)10:46 ID:jTxzyzd7(1) AAS
コロナ消えた?
63: 2020/09/25(金)20:00 ID:ZfuP0Sep(1) AAS
残ったのは綺麗なコ口ナだけだった
64: 2021/04/01(木)12:08 ID:zjcR0Jxo(1) AAS
問題
§jliこれらを使って虫の集合AAにしてください
65: ◆j/2YIEGZ8Wzn 2021/05/16(日)12:05 ID:LVwvxpOt(1) AAS
卜リ力ブ卜は悪用出来ないと諦めた
66: 2022/05/19(木)10:17 ID:7VLUlcRY(1) AAS
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67: 2023/08/30(水)20:48 ID:suFLK9Rh(1) AAS
おいしいもん食べて、ええ気分やなぁ。
68: 警備員[Lv.2][新芽] 2024/05/08(水)03:46 ID:zais3DI1(1) AAS
なるまふと
69: 警備員[Lv.4][新芽] 2024/06/02(日)19:08 ID:tvCoOTlQ(1) AAS
はるまふと
70: 2024/06/27(木)21:17 ID:HKFCv368(1) AAS
ポテトフライ
71: 10/28(火)07:31 ID:RAO9U0QE(1/7) AAS
「こんにちは。死ね」
顔を上げると刃堂鋼子が立っている。
私の変わり者のクラスメートだった。
そしてそれは随分と見覚えのある、奇妙な朝の一コマの始まりに他ならない。 【完】
私は反射的にスマホを握りしめたまま、その場に固まった。脳裏を駆け巡るのは、昨日見た映画のワンシーンか、それとも夢の残滓か。
「……は?」
我ながら間の抜けた声が出た。
目の前の刃堂鋼子は、相変わらず無表情で、その黒々とした瞳が私を射抜いている。制服の着こなしはいつも通りだ。シャツのボタンはきっちり上まで閉められ、スカートの丈も模範的。それなのに、発せられる言葉だけが、まるでホラー映画のセリフのように現実感を伴わない。
この光景、どこかで……いや、そんなはずはない。
私は足立遙。ただの女子高校生で、SF作家の高千穂遙とは何の関係もない。最近は専らスマホの調子が悪いことに悩んでいるくらいだ。
「あの、刃堂さん? いきなり何を言い出すの? 朝から物騒なこと言わないでよ。心臓に悪い」
努めて明るい声を出してみるが、喉の奥がひどく乾いている。
刃堂は何も答えず、ただじっと私を見つめている。その視線が、まるで獲物を定めた肉食動物のようだ。
まさか、本当に襲いかかってくるわけじゃないよね?
思わず一歩後ずさった、その時だった。
「あら、刃堂さん、まだ足立さんにまとわりついていたの? しつこいにも程があるわ」
柔らかな、しかしどこか冷たい声が響いた。
聞き覚えのある声に、私は安堵のため息をついた。振り向くと、そこに立っていたのは奈良谷美優だ。朝日にきらめく長い黒髪、すらりと伸びた手足。完璧な制服の着こなしと、まるで絵画のような美貌。そして、その手に握られた薙刀。
……え?
薙刀?
私の安堵は、一瞬にして凍りついた。
なぜ、奈良谷が朝の通学路で、そんなものを手にしているんだ?
いや、それよりも、この状況。この既視感。
まるで、過去に経験した出来事を、そのままなぞっているような……。
私の目の前で、刃堂鋼子と奈良谷美優が向き合う。
まるで時が止まったかのように、二人の間に緊張が走る。
私は、自分が置かれている状況が、全く理解できなかった。
これは、夢? それとも、誰かの悪質なイタズラ?
いや、違う。
このゾッとするような感覚は、紛れもなく現実だ。
私の日常は、確かに、あの言葉から崩れ始めた。
「こんにちは。死ね」
私はこのフレーズを、何度も、何度も、聞いている気がする。
まるで、壊れたレコードのように。
足立遙は、深く、深く息を吸い込んだ。
何かが始まる。
いや、何かが、再び始まったのだ。
私には、まだこの世界の謎を解き明かす準備ができていない。
だが、もしかしたら、今回は――。
私は無意識のうちに、ポケットの中のスマホを強く握りしめた。
壊れていないか、確認するように。
72: 10/28(火)07:37 ID:RAO9U0QE(2/7) AAS
私は無意識のうちに、ポケットの中のスマホを強く握りしめた。
壊れていないか、確認するように。
刃堂と奈良谷の間に漂う殺伐とした気配に、私の心臓は嫌な音を立てていた。奈良谷の持っているのは、間違いなく薙刀である。彼女は朝の光を反射させる鋭い切っ先を、刃堂の喉元に向けていた。
「刃堂さん。足立さんに近づかないでって、何度も言っているでしょう。私の親友に害をなす《ねずみ》は、その場で駆除するのが私の流儀よ」
「クソ虫め。美優どの」
刃堂の目がわずかに細められた。その口から飛び出した言葉に、私は思わず身構えた。まるで、前の人生で聞いたような、悪態。
「美優……?」
思わず口から出たその呼び方に、奈良谷は軽く目を見開いた。
「足立さん、何を言っているの? いつから私のことをそんな風に? 気持ち悪いわ」
奈良谷は心底嫌そうな顔をした。
そうだ。この人生、このループでは、まだ私は彼女を名前で呼ぶほど親密ではない。
前回の人生の記憶が、私の口を滑らせたのだ。
私は慌てて取り繕った。
「ご、ごめん。ただの気の迷い……」
「いいわ。そんなことより、今は目の前のクズをどうにかしないと」
奈良谷は薙刀を構え直す。その動きは流れるように洗練されており、武術の訓練を受けていることは明らかだった。だが、今の私は、薙刀を持っていること自体が、異常な状況だと認識できている。
前の私、足立みちるは、薙刀が異常だとは思わなかった。
今回の私、足立遙は、その異常を肌で感じ取っている。
「刃堂さん、奈良谷さん、二人とも落ち着いて! ここは通学路だよ! 危ないよ!」
私は二人の間に入ろうとした。
「足立さん、下がって!」
「遙どの! 危のうございます!」
二人の声がハモった。
遙……?
私は思わず奈良谷のほうを向いた。彼女は私の下の名前を呼んだ。さっきは、気持ち悪いと言ったくせに。
混乱が私の思考を麻痺させる。
いや、それよりも、あの声。
刃堂鋼子から発せられた言葉の響き。
「遙どの」? まるで、時代劇の役者のような。
目の前の刃堂は、やはり普通の女子高校生ではない。薙刀を持つ奈良谷もそうだ。
二人は今にも斬り合わんとする緊迫感を纏っている。
もしこのまま戦闘が始まったら、前の人生と同じ惨劇が繰り返される。
私は、あの核爆発のような光を、二度と見たくなかった。
「やめて! 二人とも、やめて!」
私は決死の覚悟で二人の間に飛び込んだ。
だが、その瞬間、私の背後に、ぬるりとした重みが感じられた。
振り返る暇もなく、私は背中を突き飛ばされ、コンクリートに叩きつけられた。
「ぐぅ……」
肺の空気が抜け、息ができない。
目の前には、三人目の「刃堂鋼子」が立っていた。
朝、私を最初に襲った、あの恐るべき生体ロボット。
その顔は冷酷な笑みを浮かべ、手に持ったメスのようなナイフを振り上げていた。
「おはよう、足立みちる。今回はここでお別れだ」
なぜ、私を「みちる」と呼ぶ?
私は足立遙なのに。
思考が停止した。
73: 10/28(火)07:45 ID:RAO9U0QE(3/7) AAS
思考が停止した。
なぜ、私を「みちる」と呼ぶ?
私は足立遙なのに。
私は全身を覆う激痛に耐えながら、生体ロボットの顔を見上げた。その冷酷な笑みは、まさしく前の人生で私を襲った「カゲ」のそれだ。
「待て、おまえ、私を誰だと思っている?」
絞り出した私の声は、ひどく弱々しかった。
「足立みちる。何度も何度も、おまえを殺す人生をやり直してきた。私は、刃堂鋼子の、おまえへの歪んだ愛の結晶。ここで、このループを終わらせる」
ナイフが振り下ろされる。
その瞬間、ガキンッ、という金属音が響き渡った。
奈良谷美優の薙刀が、ロボットのナイフを受け止めていた。薙刀の切っ先が火花を散らす。
「貴様! 私の親友(みちる)を、いや、足立さん(遙)を、二度と殺させはしない!」
奈良谷は激しい形相で叫んだ。
みちる? 遙?
彼女の口から、二つの名前が同時に出たことに、私はさらなる混乱を覚えた。
そして、その声は、前の人生の彼女、私を庇って目を潰された奈良谷美優の声によく似ていた。いや、同じだ。
生体ロボットは舌打ちをした。
「美優……! 貴様が邪魔をするか。だが、今回は遅い」
ロボットはナイフを薙刀から外し、左手を伸ばした。その指先が、私の首筋に触れる。
ゾッとする冷たさだった。
「これで、おまえの繰り返しの能力は停止だ」
私は抵抗する間もなく、首筋に鋭い痛みが走るのを感じた。
視界がホワイトアウトし始める。
「くそ、今回はここまでか……」
私は、誰にともなくそう呟いた。
意識が薄れる直前、薙刀を握る奈良谷美優の顔が、わずかに笑みを浮かべたように見えた。
「――ようこそ、足立さん」
再び意識を取り戻したとき、私は柔らかなベッドの上にいた。
天井を見上げる。そこには白く滑らかな壁が広がっており、前回の人生で見た穴だらけの天井板ではない。
そして、傍らに立っていたのは、白い甲冑を脱いだ、幼馴染みの足立パラディンだった。
「パラディン……くん」
私の声は掠れていた。
「目が覚めたかい、みちる。いや、遙、いや、どちらでもいい。君はまた失敗したんだ。あのナイフは、君の『時間軸干渉能力』を一時的に停止させるものだった」
パラディンは、私が混乱していることを察したのか、優しく頭を撫でた。
「ここは、『分岐点観測所』。君が人生をやり直すたびに、私が保護している場所だ」
「奈良谷と刃堂は……?」
「心配しなくても大丈夫。戦闘は直前で止められた。君が倒れたことで、システムが自動的に時間を巻き戻したんだ。彼らもすぐに、次の『朝』を迎える」
私は、自分の人生が、まるでゲームのセーブ&ロード機能のようだという事実に、目眩を覚えた。
「どうすれば、このループから抜け出せるの?」
私は懇願するようにパラディンを見つめた。
彼は少し悲しそうな顔で、窓の外、白く光る景色を見つめた。
「君をこのループから救い出せるのは、君の『ソウルメイト』だけさ。君の能力を唯一上回る可能性のある存在」
「ソウルメイト……? それは、あなたなの?」
「残念ながら違う。私はただの観客だ」
パラディンは再び私の方を向いた。
「次のループで、君は二人の『刃堂』と、一人の『奈良谷』というヒロインたちに囲まれることになる。その中から、君の魂と共鳴するソウルメイトを見つけ出せ。それが、君が永遠の朝から脱出する唯一の鍵だ」
その言葉と共に、再び、強烈な光が私を包み込んだ。
犬はよく電柱に小便をかけるけれど、私はれっきとした人間である。いくら電柱の近くで立っているからと言って、片足を上げて放尿するわけにはいかない。
私は女の子だけど、それをすればさすがに逮捕されるだろう。
私の名は足立遙。
その朝、私はスマホの調子がよくないので、立ち止まって指で操作を繰り返していた。
朝の挨拶にしては恐ろしく相応しくない一言をかけられたのはそのときである。
「こんにちは。死ね」
顔を上げると刃堂鋼子が立っている。
私の変わり者のクラスメートだった。
そしてそれは、昨日よりもさらに見覚えのある、奇妙な朝の一コマの始まりに他ならない。
74: 10/28(火)07:49 ID:RAO9U0QE(4/7) AAS
私の名はメガネ……じゃなくて、足立遙。
その朝、私はスマホの調子がよくないので、立ち止まって指で操作を繰り返していた。
朝の挨拶にしては恐ろしく相応しくない一言をかけられたのはそのときである。
「こんにちは。死ね」顔を上げると刃堂鋼子が立っている。変わり者のクラスメートだった。
そしてそれは、昨日よりもさらに見覚えのある、奇妙な朝の一コマの始まりに他ならない。
私は反射的にスマホを握りしめ、地面に唾を吐いた。
「今度こそ、絶対にやらせない」
今、私の体には、過去の二回のループの記憶が鮮明に残っている。
この後の展開も全て頭に入っている。薙刀を持つ奈良谷美優が現れること。そして、三人目の「生体ロボット」刃堂鋼子が私を襲い、薙刀とナイフが交錯する悲劇。
私の「時間軸干渉能力」を止めるナイフを、もう二度と首筋に触れさせてはならない。
私は、まだ「ソウルメイト」を見つけられていない。
「刃堂さん。おはよう」私は努めて冷静に、そして親愛を込めた声で挨拶を返した。
刃堂は、その冷酷な笑みを崩さぬまま、私に一歩近づいてくる。
「おはよう、みちる。いや、遙。今回は、挨拶を返してくれるんだな」
「私は、足立遙だよ」
「知っているさ。だが、君の魂は『みちる』なんだ。私は、その魂を愛している」
ゾクリとした。その愛の重さが、このループの原因なのだ。
私は逃げ腰になるのをぐっと堪え、スマホを構えた。
「残念だけど、あなたに付き合っている暇はないの。私は、あなたの愛で死ぬのはまっぴらごめんよ」
その時、いつものように、完璧な制服姿の奈良谷美優が、道の角から現れた。
彼女の手には、朝日に照らされた薙刀。
「あら、刃堂さん、まだ足立さんにまとわりついていたの? しつこいにも程があるわ」
完璧なまでの既視感。デジャヴュ。
私は奈良谷の言葉を遮った。
「奈良谷さん! ちょっと待って。その薙刀、危ないから下ろして!」
奈良谷は驚いた顔で私を見た。
「足立さん? どうしたの。私が薙刀を構えるのは、あなたを守るためよ」
「知ってる! でも、それが引き金になるの!」
私は叫んだ。この一秒後に、第三の刃堂が背後から現れる。
私は反射的に、二人の間をすり抜け、奈良谷の背後、つまり自分の背後になるはずだった空間に、向き直った。
「そこよ! 出てきなさい!」
誰もいない。
私は目を丸くした。私の記憶では、このタイミングで、生体ロボットは壁を突き破るか、あるいは屋根から舞い降りる。
何かが違う。
私の行動が、僅かながら、この世界の時間軸を狂わせたのか?
いや、それとも――。
私は、自分が立っている電柱の影に、小さな人影が隠れているのを見た。
やはりいた。
黒ずくめのコスチュームに身を包み、メスのようなナイフを握りしめた「生体ロボット」刃堂鋼子。
朝の光はまだ影の中には届かない。
私は、決死の覚悟で影の中に踏み込んだ。
「こんにちは。死ね、と言うのは、もう飽きたでしょ?」
ロボットは、その冷酷な笑みを崩した。
「なぜ、私を知っている」
私はナイフを握りしめた彼女の手に、自分の手を重ねた。
「私を殺すのは、あなたの仕事じゃない。お願いだから、休んで」
その瞬間、私の背後から、二人の「ヒロイン」の声が響いた。
「足立さん、危ない!」(奈良谷美優)
「遙どの、よせ!」(本物の刃堂鋼子)
私は覚悟を決めた。このロボットを、ただの物として扱ってはならない。
「あなたの『オリジナルの記憶』には、私を愛する気持ちが残っているはずだ。私は、あなたを信じる」
私の手に触れたナイフが、わずかに震えるのを感じた。
次の瞬間、電柱が、激しい爆音と共に吹き飛んだ。
やってきたのは、白馬に乗った騎士。白い甲冑の男。
「やあ、みちる。いや、遙。また会ったね」
彼は白い甲冑の面を外し、颯爽と私を見つめた。
足立パラディン。
「どうやら、君の観客(パラディン)として、今回も席に着かせてもらうことになりそうだ」
騎士は白馬から軽やかに飛び降りると、巨大な盾を構え、三人の間に割って入った。
パラディンが動いた。今までは、ただの「観客」だったはずなのに。
75: 10/28(火)07:58 ID:RAO9U0QE(5/7) AAS
パラディンが動いた。今までは、ただの「観客」だったはずなのに。
彼は白い甲冑の隙間から、私を鋭い目で見つめた。
「みちる、君は『観客』が舞台に上がるのが趣味だとでも思っているのか? これは緊急事態だ。君は、ループを抜け出す鍵、すなわちソウルメイトを特定しようと焦りすぎている」
「うるさいわね! あなたこそ、なぜ動くのよ!」
私の罵倒にも、彼は涼しい顔をしている。
「私には、君の『時間軸干渉能力』の濫用を防ぐ義務がある。そのロボットは君の能力を停止させるナイフを持っている。もし、君がこの朝に能力を奪われたら、その人生は確定してしまう」
確定。その言葉が、私の背筋を凍らせた。
つまり、この朝に能力を奪われたら、私は「足立みちる」として、あの惨劇の結末を迎えるしかないということだ。
パラディンは巨大な盾を叩きつけ、ロボット刃堂との間に火花を散らす。
「貴様! 観客が舞台に上がるな!」
生体ロボットは憎悪を込めた声で叫んだ。
その隙に、薙刀を持った奈良谷が駆け寄ってきた。
「足立さん! 大丈夫? そいつが朝襲ってきた犯人ね!」
薙刀がロボットの背後から迫る。
私は、奈良谷の腕を掴んだ。
「待って、奈良谷さん。その薙刀で刺したら、後ろの影の刃堂も死ぬ!」
奈良谷は目を見開いた。
「影の刃堂? 何を言っているの?」
「本物の刃堂鋼子は、まだあの電柱の影にいる! 前にいた『みちる』は、それで死んだ!」
私の叫びに、奈良谷は薙刀を振り上げるのをやめた。
その一瞬の隙を、ロボットは見逃さなかった。
ロボットは、盾と薙刀の間にできたわずかな空間をすり抜け、私に向かってメスのようなナイフを突き立てた。
「無駄だ。これは私の仕事だ」
「させない!」
私の横から、黒ずくめのコスチュームが飛び出した。電柱の影に隠れていた、本物の刃堂鋼子である。
彼女は半裸のまま、体当たりでロボットを突き飛ばした。
ナイフは私の胸を寸前で掠め、彼女の脇腹に深々と突き刺さった。
「ぐっ……」
刃堂鋼子は、その場に崩れ落ちた。
しかし、その目には、確かに、私に向けられた愛の光が宿っていた。
「これで、貴様は……この人生(ループ)では……みちるどのを殺せない」
ロボットの手に触れていた、本物の刃堂の指。
二人の「刃堂鋼子」の間に、奇妙な静電気が走るように、青白い光が瞬いた。
その光は、ロボットの顔から感情を消し去り、その動きをぴたりと止めた。
「……緊急停止。オリジナルによる上書き実行」
ロボットは、そう呟いたまま、石像のように立ち尽くした。
私は、脇腹から血を流す本物の刃堂を抱きかかえた。
「刃堂さん! なぜこんなことを!」
「わらわは……貴方を、愛している……」
その言葉は、まるで前の人生で聞いた、別れの言葉のようだった。
これは、ソウルメイトによる行動なのか?
私は、混乱の中で、白馬に乗った騎士、パラディンを見た。
彼は満足そうな笑みを浮かべていた。
「いいぞ、みちる。その動揺こそが、君のソウルメイトを見つけ出す鍵だ」
観客は、静かに舞台の袖に消えていく。
そして、私の背後から、第三の声が響いた。
「刃堂は、私の薙刀で刺されるべきだった」
それは、冷たい、奈良谷美優の声だった。
76: 10/28(火)08:06 ID:RAO9U0QE(6/7) AAS
「刃堂は、私の薙刀で刺されるべきだった」
それは、冷たい、奈良谷美優の声だった。
私は血を流す刃堂を抱きかかえたまま、背後に立つ奈良谷を振り返った。
「奈良谷さん、何を言っているの? 刃堂さんは、私を助けてくれたのよ!」
私の叫びにも、奈良谷の表情は変わらない。彼女の瞳は、まるで感情を失ったガラス玉のようだった。
「足立さん。あなたは勘違いをしているわ」
彼女は薙刀の切っ先を、脇腹から出血している本物の刃堂に向けた。
「刃堂鋼子は、あなたを愛するがゆえに、この世界に『歪み』をもたらした張本人。そして、あなたを何度も死に追いやった原因よ」
「それは、生体ロボットの仕で……」
「いいえ。あのロボットは、『オリジナル』の願望と記憶を忠実に実行しただけ。彼女の心の中にある『足立さんへの執着と、私(奈良谷)への憎悪』が生んだ悲劇よ」
奈良谷の言葉は、冷たい真実として私の胸に突き刺さった。
前の人生で、刃堂は「恋愛が成就しないのなら相手を殺して全てを終わらせるつもりだったのか」と、私が推測した通り。
私は、抱きかかえた刃堂の体温を感じる。彼女の体は、黒ずくめの裂けたコスチューム越しにも、熱い。
「でも、今、彼女は私を助けた! その愛が、ロボットを止めたのよ!」
私は必死に反論した。この愛こそが、私のソウルメイトの可能性ではないかと。
奈良谷は鼻で笑った。
「その程度の自己犠牲は、彼女にとっての『償い』に過ぎないわ。本当のソウルメイトなら、あなたを救うため、このループそのものを止めてみせる。自分の命を懸けたところで、また『朝』は来る」
彼女の言う通りだ。この行為は、この人生(ループ)を終わらせることはできても、永遠の朝からは私を救えない。
その時、私の腕の中で、刃堂が再び目を開いた。
「遙どの……」
「喋らないで。傷が……」
「いいのじゃ。わらわは……奈良谷とは、違って……」
彼女は痛みに耐えながら、奈良谷を睨みつけた。
「わらわは、貴方の愛を『利用』したりはしない」
その言葉に、奈良谷の完璧な美貌が、初めて大きく歪んだ。
「何ですって? 何を言い出すの、この肉芋虫が!」
奈良谷の顔から、一瞬、冷酷な仮面が剥がれ落ちた。
私は、その動揺を見逃さなかった。
「利用? 奈良谷さん、どういうことなの?」
薙刀を持つ奈良谷の手が、わずかに震えている。
彼女はすぐに平静を取り戻し、冷たい笑みを浮かべた。
「大したことじゃないわ。ただ、私があなたを愛していることと、あなたが私のことをソウルメイトだと信じることが、この世界を安定させるのに必要だという、ほんの小さな『設定』よ」
設定。彼女は、まるでこの世界が誰かによって作られたゲームかのように言った。
奈良谷は一歩、また一歩と私に近づき、薙刀を本物の刃堂の頭上に振り上げた。
「さあ、足立さん。あなたにとっての『歪み』を排除するわ。私が、あなたの永遠のソウルメイトよ」
刃堂鋼子の命が、再び危険に晒された。
このままでは、またこのループは悲劇で終わり、新たな朝を迎えるだけだ。
私は、抱きかかえる刃堂の温もりを強く感じながら、ある一つの直感に賭けることにした。
「やめて、奈良谷さん。私はもう、気づいている」
私は、奈良谷の目を真っ直ぐに見つめた。
「あなたは、私のソウルメイトじゃないわ」
私の言葉に、彼女の顔は驚愕で凍りついた。
「真のソウルメイトは、私自身(みちる/遙)の、もう一つの可能性よ」
77: 10/28(火)08:14 ID:RAO9U0QE(7/7) AAS
「あなたは、私のソウルメイトじゃないわ」
私は、奈良谷の目を真っ直ぐに見つめた。
「真のソウルメイトは、私自身(みちる/遙)の、もう一つの可能性よ」
私の言葉に、奈良谷美優の顔は驚愕で凍りついた。
完璧だった彼女の仮面が、初めて完全に剥がれ落ちた。
「な……何を馬鹿なことを!」
彼女は薙刀を振り下ろすのをやめ、代わりに切っ先を私に向けた。
「その妄言、誰に吹き込まれたの? 足立みちるの過去の記憶? それともあの観客(パラディン)?」
私は動揺を押し殺し、強く言い放った。
「もうすぐ、次の『私』が目覚める。あなたも、刃堂さんも、ロボットも、観客も、みんなの運命は、次の私に託される」
「ふざけないで! あなたこそが、このループの中心よ! あなたを殺せば――」
奈良谷は叫び、薙刀を突き出した。
その時、私の腕の中で、本物の刃堂鋼子が最後の力を振り絞った。
「行け、遙どの! わらわの愛は、貴方の逃走を、この一瞬だけ稼ぐ!」
刃堂は脇腹に刺さったナイフを引っこ抜き、血飛沫を上げながら、そのナイフを奈良谷の薙刀の柄に叩きつけた。
薙刀の軌道がわずかに逸れた。
私は、その間隙を縫って立ち上がった。抱きかかえていた刃堂は、そのまま地面に倒れ込む。
「刃堂さん!」
「走れ!」
私は迷わなかった。全速力で通学路を駆け抜けた。背後からは、薙刀を持った奈良谷の、激しい足音が追いかけてくる。
「逃がさないわ、みちる! あなたさえいれば、私の愛は永遠に続くのに!」
その執着に満ちた叫びは、もはやヒロインのものではなかった。
私は全力で走りながら、ポケットのスマホを取り出した。
画面はまだ映っている。
「もう一人の私。お願いだから、早く目覚めて!」
私は、自分が生きているこの時間軸に、別の時間軸の『私』を呼び込もうとした。
その瞬間、正面のビルの壁が、轟音と共に吹き飛んだ。
壁の向こう側から現れたのは、白馬に乗った騎士。足立パラディンだ。
「みちる! 君の能力は、まだ不安定だ! やめろ!」
観客が、再び舞台に乱入してきた。
パラディンは巨大な盾で私を覆い隠そうとするが、私の目的は彼ではない。
私は、吹き飛んだ壁の穴をくぐり抜け、ビルの内部に飛び込んだ。
その廃墟のような空間には、無数のパソコンと、カプセル型の医療装置が並んでいた。
そして、その中央には、透明なカプセルの中で眠る、もう一人の私がいた。
私と瓜二つの顔。しかし、その体には、無数のコードが繋がれている。
「あなたね。私のソウルメイト」
カプセルに触れた瞬間、激しい光が私を包み込み、頭の中に、誰かの記憶が流れ込んできた。
それは、薙刀を持った奈良谷と、生体ロボットの刃堂に囲まれた、もう一つの人生の記憶だった。
その記憶の中で、私は確かに、奈良谷の薙刀で刺し殺されていた。
しかし、その顔は満足そうに笑っていた。
「みちる、君の『もう一つの可能性』は、もう死んでいる」
背後から、奈良谷が追いついてきた。
彼女の薙刀が、カプセルを突き破る。
カプセルの中の私の体は、一瞬で光の粒子となり、消滅した。
私のソウルメイトは、存在しなかった。
絶望が、私を飲み込む。
「さあ、みちる。これで終わりよ。永遠に、私だけのものになって」
薙刀の切っ先が、私の喉元に突きつけられた。
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