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マミ「私は……守りし者にはなれない……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第三章 (805レス)
マミ「私は……守りし者にはなれない……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第三章 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360602311/
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277: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/05/13(月) 03:45:54.23 ID:WK12HDz4o 「……もういいよ」 「私のことを怒ってないの?」 「さやかちゃんを見捨てたのは……やっぱり納得できない。でも、ほむらちゃんを憎むことはできないよ。 だって、ほむらちゃんは私の命を助けようとしてくれたんだから。 ほむらちゃんのお陰で私が助かったのは間違いないから」 そして自分は間違ってないと言った彼女の表情。 彼女の冷静さは冷徹や冷酷とも取れる。しかし、この時は違った。 そこに見えたのは、微かな苦渋の色。それだけでも、彼女が心底から利己的な人間ではないと思えた。 「ほむらちゃんのせいにはできないもん。 さやかちゃんが辛くて一番いてほしい時に、傍にいられなかったのは事実だし」 命の恩人を悪く言いたくはないが、それとは別に、まどか自身にも負い目があった。 怒りとも悲しみともつかない感情。きっと、さやかの胸の内に渦巻いているのは、そんな思い。 度々こちらを不安そうに見る目には、ほむらと同じ迷いがあった。 一昨日、あの暗闇で伸ばした手を払った、さやかの目を思い出す。 激情から一転、子供のように怯えを露わにした瞳。 わからないのかもしれない。どうしたいのか、どうすればいいのか。 「理屈じゃないんだよ。さやかちゃんは考えるより感じるって言うか、 思ったら突っ走っちゃう娘だし」 「でも、あなたはそれでいいの? 真実を話さなければ、彼女は納得しない。 あなたへの怒りだって治まらないと思うけど」 「これまで私は、さやかちゃんに返し切れないくらい、たくさんのものをもらってるから。 やり切れない気持ちの捌け口にでもなれるなら、受け止めるのが友達……だと思うから」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360602311/277
278: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/05/13(月) 03:49:52.89 ID:WK12HDz4o まどかは困ったふうに、小さく笑った。 当然、さやかとすれ違ったままでいいとは思わない。 それでも、まどかはこうも思っていた。 自分とさやかの仲は、これしきで揺らぎはしない。これっきりで終わる訳がないと。 絆を、友情を信じる。しかし、それは信じたい、積み重ねた時間に縋りたいという願望。 不安の裏返し。 この二日、積極的にさやかとの関係を修復しようとしてこなかったのには、もうひとつ理由がある。 敢えて語らなかったのは、ほむらにも触れられたくなかったから。 黒い陰を儚い微笑の裏に隠して、自分に言い聞かせるようにまどかは言う。 「大丈夫。さやかちゃんとも時間が経てば、仲直りできると思う。 本当は、すごく優しい娘だから。できれば、ほむらちゃんとも――」 「そう……あなたがそう言うのなら、この件については、もう何も言わないわ」 言わんとするところを察したのか、ほむらが遮った。 事実上の拒絶を受けて、まどかは続く言葉を紡ぐ気になれなかった。 「でも、もうひとつ、これだけは覚えておいて。冴島鋼牙――彼は確かに人を守りし者。 絶対の信頼を寄せていい相手かもしれない。あなたが人である限りは」 唐突に話が変わり、戸惑うまどか。訳もわからず相槌を打つが、最後の一言が引っ掛かった。 その意味を問う間もなく、ほむらは続ける。 「でも、全能じゃない。事実、彼があの場に現れたのはまったくの偶然。 助けてくれたのも、単なる幸運。二度目、三度目があるとは限らない。 もし私があなたを連れて逃げなければ、彼が来なければ。少しでも歯車がズレていれば、あなたは確実に死んでいた。 巴マミは斃れ、あなたと美樹さやかは手を握り合ったまま切り裂かれ、他にも大勢の人間が喰われたでしょうね」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360602311/278
279: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/05/13(月) 03:51:08.87 ID:WK12HDz4o その口調は淡々としていながらも厳しく、疑問を差し挟むことを許さない。 「うん……わかってるよ。ほむらちゃんには感謝してる……」 「感謝も謝罪も必要ない。そんな言葉、何の意味もない。私は二度と危険に近付かないでほしいだけ」 有無を言わせぬ眼力に射抜かれる。 彼女の纏う雰囲気に、まどかは気圧されていた。 いや、何も言えなかったのは、それだけが理由ではない。 まったくの正論で、反論の余地がなかったからだ。ぐうの音も出ないほど。 「あなたがあの場に行かなければ、美樹さやかも行かなかった。 結果だけ見れば、あなたは彼女を危険に巻き込んだとも言える」 「うん……」 と、まどかは力なく答えるしかなかった。 最初に改装区画に立ち入ったのは結果論で済むかもしれない。 だが、ほむらは知らない。 さやかが走れなかったのは何故か。 誰を庇って両足に傷を負ったのか。 この一点だけは、言い逃れのしようがないほど、まどかに原因があるのだ。 ほむらにも責任転嫁できない。 理解していたはずなのに、改めて言葉にされると突き刺さった。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360602311/279
280: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/05/13(月) 03:52:50.53 ID:WK12HDz4o ――私のせいで、さやかちゃんが死ぬかもしれなかった。 命こそ助かったけど、心に消えない傷を負ったかもしれない。 だから……さやかちゃんに拒絶されても仕方ないんだ……。 それでも離れたくないと思う私は……ずるいのかなぁ―― ギュッと拳を握り、下唇を噛む。 そうでもしないと涙がこぼれそうだった。 まどかの様子を察したのかどうか、やや穏やかな声で、ほむらが言った。 「あなたを責めるつもりはないわ。 あなたの意志の強さや優しさは認める。それでも――」 「私、そんなに優しくも強くもないよ。ううん、むしろずるくて、弱虫で、何の役にも立てない」 慰められるのが耐えられなかった。 まどかは自罰的な衝動に任せ、恐ろしい想像を口にする。 「もし、ほむらちゃんも冴島さんもいなかったら私だって……」 もし、鋼牙が来なかったら。 ほむらに手を引かれていなかったら。 自分は死ぬまで一緒にいられただろうか。最後まで、さやかの手を離さずにいられただろうか。 何度となく胸に問いかけても、答えは出なかった。 一歩一歩、近付くホラー。 迫る死の恐怖。 繋いだ手を振り解いて駆け出すことで、助かる可能性が僅かでも上がるなら。 ――さやかちゃんを見捨てて逃げたかもしれないのに。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360602311/280
281: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/05/13(月) 03:55:58.34 ID:WK12HDz4o ここまで なんやかんやで2週も開いてしまいましたが、 明日からはまた本気を出して書こうと思います http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360602311/281
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