[過去ログ] マミ「私は……守りし者にはなれない……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第三章 (805レス)
前次1-
抽出解除 必死チェッカー(簡易版) レス栞 あぼーん

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
121: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/03/08(金)03:00 ID:Jp/GoSdMo(1/4) AAS
 零が、あまりにも平然と言ってのけたから面食らってしまった。
一瞬、ちゃんと理解しているのか不安になったほど。
 マミの場合、単に親元から離れての一人暮らしではない。
家族とは死別して、どうやっても会えないのだ。
 
 どうしよう。
 マミは内心うろたえてしまった。たぶん顔にも出てしまっているだろう。
 零が気まずくなって黙るのを期待していただけに、何を話していいのかわからない。

 だというのに、零は返事を待つ間も甘味を堪能している。
 とても真面目な話をする姿勢とは思えない。幸せそうな表情が憎らしかった。
 だが、だからこそマミは心の内を見つめる余裕ができた。

――そもそも、こんな話を続けて私はどうしたいの?
何を訊きたいっていうの?
さっきまでのように黙っていればいいのに。
私は、何を知りたいんだろう――

 拒んだ手前、問い詰めるのも気が引けたし、自分の事情を話す気にもなれなかった。
 何よりも、零の身の上を聞いて、それが自分よりも悲惨な境遇だったら。
 比べるのが、比べられるのが怖かった。

 だから訊くなら、たった一言。
 ただ、核心を。

「あなたは……独りぼっちでも寂しくないんですか?」
122: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/03/08(金)03:02 ID:Jp/GoSdMo(2/4) AAS
「そうだな……」

 零は食べる手を止め、考える。
 答えが返るまで、時間はかからなかった。

「耐えられなくはない、かな。
独りで辛くて、寂しくても、慣れれば我慢できないほどじゃない」

 彼は笑みを絶やさなかったが、その笑顔は少し変わっていた。
 気のせいかもしれない。注視しなければ気付かない、微細な変化。
さっきまでの軽さはなく、心なしか哀しそうでも、懐かしむようでもあった。

 マミは止めていた息をゆっくり吐く。全身の緊張が僅かに和らいだ。
 もし、平気だとか、痛くも痒くもない、なんて言われていたら。
 きっと、その時点でマミは彼を理解することも、理解を求めるのも諦めていた。

 そんな鋼のような精神を持った人間の考えなんて、きっと聞いても共感も理解もできない。
だからこそ鋼牙が高みの存在に思え、複雑な感情を抱いてしまう。
123: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/03/08(金)03:04 ID:Jp/GoSdMo(3/4) AAS
「家族も何もかも全部なくなったように思えても、
独りぼっちで生きてくのも、意外になんとかなるもんさ。
何か、ひとつでも残っていればね」

 そう、零はどこか遠い目をして語った。

 彼は平気だとは言わなかった。
 それを聞いて、少し安心した。自分だけじゃなかった。
 誰だって孤独が辛くないはずがない。怖くないはずがない。

 それでも、彼は耐えられると言った。
 鋼牙ほど歳は離れていないだろうに、背負った過去を窺わせる。
 擦り減って鈍くなったのか。鍛えられて強くなったのか。

 どちらであろうと、確かな事実がひとつ。
 自分が子供であり、彼が大人であるということ。

 あれは誰かの本で読んだのだったか。
 大人になるとは、鈍くなること。
 痛みや苦しみ、悲しさや寂しさ。喜びや快楽も含め、あらゆる刺激に慣れることだと。

 魔戒騎士じゃなくても同じ。
 世の大人たちは誰もが彼のように、大なり小なり折り合いをつけて生きているのかもしれない。
 だからキュゥべえは十代の少女を選んだのか。

「でも、私はあなたみたいに強くなれそうにない……」
124: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/03/08(金)03:07 ID:Jp/GoSdMo(4/4) AAS
ここまで
明日で区切りまで行けるかどうか
賛否あるでしょうが、3話は自分なりの零のイメージが強く出てる感じです
前次1-
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル

ぬこの手 ぬこTOP 0.464s*