[過去ログ] マミ「私は……守りし者にはなれない……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第三章 (805レス)
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232: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/04/22(月)02:36 ID:F/JdhsS8o(1/6) AAS
 そして授業中、さやかは上の空で教師の話を聞き流していた。
 まどかと仁美とは、教室に着くまで一言も口を利かず、今に至る。
キュゥべえはというと、教室の後ろで丸くなっていた。

「(あの……さやかちゃん、いいかな?)」

 突然のまどかの声。しかもキュゥべえの仲介する念話だ。
 さやかは驚いて、ついていた頬杖から滑り落ちる。
まどかを見ると、申し訳なさそうに目配せしていた。

「(どうしたのよ、いきなり)」

「(昨日は、マミさん何の話だったの?)」

「(そんなの別に今じゃなくてもいいでしょ。ていうか授業中だし)」

「(ちょっと、気になっちゃって。ダメ……かな)」

 まどかにしては、やけに食い下がる。だが、それも当然だろう。
 一晩で見違えるほど憔悴したマミが、それでも話したいと望んでいた。
彼女がああなった原因も、おそらく関係している。魔法少女に関わる大事な話とやら。
 
 まどかにとっても他人事とは言えない。
 授業なんてまともに聞く気分じゃないし、応じてもよかったのだが。

「(いいよ。じゃ、昼休みにでも……)」

 少し考えて、さやかは答えた。
 今この場で話すのは気が進まなかった。
233: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/04/22(月)02:38 ID:F/JdhsS8o(2/6) AAS
「(でも……それじゃダメだよ。また仁美ちゃんと一緒にお昼できなくなっちゃうもん)」

 言われて、はたと気付く。
 仁美を交えて昨日の話はできない。かと言って二人だけになれば、また仁美を除け者にしてしまう。
 故に、彼女のことを出されると断りにくかった。

「(……そうだね。でもさ、これってキュゥべえが中継してるんでしょ?)」

『そうなるね。僕にも聞かれたらまずいことかい?』

「(そうじゃないけど。他の魔法少女に聞かれてるんじゃないの?)」

「(どういう意味?)」

『暁美ほむらのことなら心配ないよ。僕から彼女に繋がない限り――』

「(それあるけど、そうじゃなくって、その……マミさんとか)」

 言葉を濁しながらも、さやかは本心を口にした。
 現在進行形で聞き耳を立てられているのかもしれないが、この先はマミに聞かれたくなかった。
 客観的に語ろうとしても、主観が混じるのは避けられない。マミが気分を害すると思った。

『それも問題ない。マミは今、校内にいないからね。どうやら欠席してるみたいだ』

 それだけに、キュゥべえから知らされた時は驚いた。

「(欠席……!? どうして……?)」

 まどかが代わりに驚きを口にしてもなお、さやかは何も言わなかった。
234: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/04/22(月)02:40 ID:F/JdhsS8o(3/6) AAS
 
 言えなかった。聞かされた瞬間、頭が疑問で埋め尽くされたから。
 ほぼ間違いなく、昨夜のことが関係している。
 あれから命は現れなかったのだろうか、それとも。

 様々な可能性が浮かんでは消える。
 ただ、

――言い切れるほど、マミさんはあの人を知ってるの?

 あたしのせいかもしれない。

――もう絶対あの人と一緒は嫌だから。

 心ない言葉が、マミを傷つけたかもしれない。
 そう思ったら気が気でなかった。

 別れる時点で、既にマミは無理して余裕を取り繕っていた。
 店の窓ガラスが曇っていた為よくは見えなかったが、
去り際に外から見えたマミは――泣いてはいなかったか?

『さぁね。僕も、一昨日の夜からマミと会っていないから』

「(放課後、お見舞いに行ってみようか。ね、さやかちゃん)」

 そんなさやかの気持ちなど知らず、キュゥべえがつれなく言い放ち、
まどかに誘われてから、ようやくさやかは我に返った。
 
「(う、うん。そだね……)」

 何があったのか、マミ自身の口から聞けたなら、それが一番いい。
 しかし、またひとつ頭痛の種が増えたことに、さやかは嘆息を禁じ得なかった。
235: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/04/22(月)02:44 ID:F/JdhsS8o(4/6) AAS
『それで、さやか、これで君の問題はクリアされたけど、どうするんだい?』

「うん……ま、いいよ。あたしは別に話しても)」

 そうして、さやかはまどかに昨夜の一連の出来事を語った。
 夕木命との再会、彼女の豹変、赤い魔法少女と黒い男、マミとの衝突。
 特にマミが心を許していた命が消えたことと、その後のマミとの会話は、
彼女の欠席とも関係していそうで口が重くなった。

 ただし、命がホラーかもしれない、とは言わなかった。
マミに釘を刺されたように、思い過ごしという可能性もないではない。
 ここで命を悪し様に語るのは、ばつが悪かった。

「(そうなんだ……。じゃあ、マミさんの話が何だったのかは……)」

「(そ、わかんないまんま)」

「(その、新しい魔法少女の娘のこと、キュゥべえは知ってるの?)」

『彼女のことならマミが詳しい。僕もマミの知ってる以上のことは知らないよ』

 マミの知り合いでも、現在の関係は円満とはいかないようだ。
 この街はマミの縄張りらしいが、これで魔法少女は3人に増えたことになる。
まだ自分たちに直接の関係はないとはいえ、心配には違いない。
236: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/04/22(月)02:44 ID:F/JdhsS8o(5/6) AAS
 いずれにせよ、ここで気を揉んでも仕方がない。
 もっと重大な、自身の問題に直面しているのだから。
 さやかは深呼吸した後、

「(まどかは、さ……)」

「(え?)」

「(まどかは、あの後ちゃんと帰れたの?)」

 思い切って訊いてみる。
 ずっと気になっていたし、このことが仲直りのきっかけになれば、という期待もあった。

「(あぁ、うん……)」

 まどかは頷きかけて、

「(うぅん。やっぱり、さやかちゃんには話しておくべきなのかも……)」

 首を振り、そう続けた。
 その重々しい口調、神妙な顔つきから、何事かあったのだと、さやかも察した。

「(少し長くなるけど、付き合ってもらえる……?)」
237: ◆ySV3bQLdI. [sage saga] 2013/04/22(月)02:51 ID:F/JdhsS8o(6/6) AAS
ここまで
2週も休んでしまいましたが、
調子も戻ってきたのでもっと早く、最低でも週一は保持したいと思います

流牙は子供っぽさ、未熟さがありますが、2話以降、好感が持てるようになりました
雰囲気は変わりましたが、クオリティは落ちていないようでモチベーションも上がります
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