[過去ログ] マミ「私は……守りし者にはなれない……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第三章 (805レス)
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516: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2014/03/07(金)23:45 ID:sq6YS7+5o(2/6) AAS
 そんな戦い方は心身共に消耗を早めてはいたが、どの道、生きて帰れるなんて思っていない。
 誰かを守る必要もない。誰も傍にいないだけでなく、今のマミは誰かを守りたいという考え自体が頭にない。
自身を含め、守るべきものが存在しない。気負いというものが消えていた。

 結界に入る前の弛みように反し、いざ敵とまみえた時、身体は戦いを覚えていた。
とても戦える精神状態とは思えなくとも。
 むしろ、こと戦闘に限ればいつになく冴えている。絶好調と言っていいかもしれない。

 今、あらゆる軛から解き放たれたマミは自由だった。
 しかしマミ自身、不思議でならなかった。

――せめて形だけでも魔法少女として……でも、本当にそれだけなの?

 何もかもを失くして、恐れていた孤独に行き着いて。
 それでも絶望はしていない。限界まで追い詰められているが、
宙に張られた、か細いロープの上に立つように、不安定でも最後の一線を保っている。
 だが、いったい何がその歩を進めているのか。何が引き金を引いているのかは曖昧だった。

 迷いながらでも、身体は慣れ親しんだ動きをなぞる。
 眼に映るすべては敵。無差別に殺戮を撒き散らしながら、マミは結界を行く。
 心と身体の乖離は、次第に現実感を奪い去っていく。奥へ奥へと進むうちに、ますます自分がわからなくなる。

 思考は飛び、記憶は巻き戻る。
 脳裏をかすめるのは楽しかった思い出ばかり。
 最後の記憶は一昨日の夜。零との食事だった。

 あの日もテーブルには色取り取りのスイーツが並び、落ち込んでいた心が弾んだ。
 灰色だった世界が鮮やかに色付いた。
 何故だろう、ここはまるで違うのに。もしかすると、甘い臭いに中てられたのだろうか。
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