[過去ログ] マミ「私は……守りし者にはなれない……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第三章 (805レス)
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480: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/11/07(木)03:17 ID:17HWZDeAo(9/10) AAS
――これを……砕いてしまえば何もかも……。

 だが、できなかった。  
 ソウルジェムが硬かったのか、無意識に力が緩んでしまったのか。
 どうしても砕くことができなかった。
 マミは諦めて握り締めた手を開くと、再びソウルジェムを見つめる。

――馬鹿みたい。砕くなら、もっと手っ取り早い方法がいくらでもあるのに。
もう私の中は空っぽ……何も残っていない……。
自害を選ぶ誇りも、勇気も。魂すら、こうして外にあるのだから――

 そうして自嘲していると、不意にソウルジェムが輝きを増す。
 
「これは……」

 身体を回して方向を確かめると、すぐにそれは見つかった。
 病院の裏手の壁に突き刺さったグリーフシード。しかも穢れを吸い、今にも孵化する寸前。 
 こんな近付くまで気付かなかったなんて。注意力が致命的なまでに落ちている証拠だった。

 発見するのとほぼ同時、周囲の景色が歪む。
 逃げるなら、まだ辛うじて間に合う。しかしマミは一歩も退かず、そこに留まった。
 そして生まれた結界に、逆に足を踏み入れていく。魔女に魅かれるかのような、緩慢な足取りで。

 意味などなかった。グリーフシードの確保も、他人を守ることも、もうどうでもよかった。

 その行動に強いて理由があったとするなら――死に場所を求めて。
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