[過去ログ] マミ「私は……守りし者にはなれない……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第三章 (805レス)
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234: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/04/22(月)02:40 ID:F/JdhsS8o(3/6) AAS
 
 言えなかった。聞かされた瞬間、頭が疑問で埋め尽くされたから。
 ほぼ間違いなく、昨夜のことが関係している。
 あれから命は現れなかったのだろうか、それとも。

 様々な可能性が浮かんでは消える。
 ただ、

――言い切れるほど、マミさんはあの人を知ってるの?

 あたしのせいかもしれない。

――もう絶対あの人と一緒は嫌だから。

 心ない言葉が、マミを傷つけたかもしれない。
 そう思ったら気が気でなかった。

 別れる時点で、既にマミは無理して余裕を取り繕っていた。
 店の窓ガラスが曇っていた為よくは見えなかったが、
去り際に外から見えたマミは――泣いてはいなかったか?

『さぁね。僕も、一昨日の夜からマミと会っていないから』

「(放課後、お見舞いに行ってみようか。ね、さやかちゃん)」

 そんなさやかの気持ちなど知らず、キュゥべえがつれなく言い放ち、
まどかに誘われてから、ようやくさやかは我に返った。
 
「(う、うん。そだね……)」

 何があったのか、マミ自身の口から聞けたなら、それが一番いい。
 しかし、またひとつ頭痛の種が増えたことに、さやかは嘆息を禁じ得なかった。
235: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/04/22(月)02:44 ID:F/JdhsS8o(4/6) AAS
『それで、さやか、これで君の問題はクリアされたけど、どうするんだい?』

「うん……ま、いいよ。あたしは別に話しても)」

 そうして、さやかはまどかに昨夜の一連の出来事を語った。
 夕木命との再会、彼女の豹変、赤い魔法少女と黒い男、マミとの衝突。
 特にマミが心を許していた命が消えたことと、その後のマミとの会話は、
彼女の欠席とも関係していそうで口が重くなった。

 ただし、命がホラーかもしれない、とは言わなかった。
マミに釘を刺されたように、思い過ごしという可能性もないではない。
 ここで命を悪し様に語るのは、ばつが悪かった。

「(そうなんだ……。じゃあ、マミさんの話が何だったのかは……)」

「(そ、わかんないまんま)」

「(その、新しい魔法少女の娘のこと、キュゥべえは知ってるの?)」

『彼女のことならマミが詳しい。僕もマミの知ってる以上のことは知らないよ』

 マミの知り合いでも、現在の関係は円満とはいかないようだ。
 この街はマミの縄張りらしいが、これで魔法少女は3人に増えたことになる。
まだ自分たちに直接の関係はないとはいえ、心配には違いない。
236: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/04/22(月)02:44 ID:F/JdhsS8o(5/6) AAS
 いずれにせよ、ここで気を揉んでも仕方がない。
 もっと重大な、自身の問題に直面しているのだから。
 さやかは深呼吸した後、

「(まどかは、さ……)」

「(え?)」

「(まどかは、あの後ちゃんと帰れたの?)」

 思い切って訊いてみる。
 ずっと気になっていたし、このことが仲直りのきっかけになれば、という期待もあった。

「(あぁ、うん……)」

 まどかは頷きかけて、

「(うぅん。やっぱり、さやかちゃんには話しておくべきなのかも……)」

 首を振り、そう続けた。
 その重々しい口調、神妙な顔つきから、何事かあったのだと、さやかも察した。

「(少し長くなるけど、付き合ってもらえる……?)」
237: ◆ySV3bQLdI. [sage saga] 2013/04/22(月)02:51 ID:F/JdhsS8o(6/6) AAS
ここまで
2週も休んでしまいましたが、
調子も戻ってきたのでもっと早く、最低でも週一は保持したいと思います

流牙は子供っぽさ、未熟さがありますが、2話以降、好感が持てるようになりました
雰囲気は変わりましたが、クオリティは落ちていないようでモチベーションも上がります
238: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/22(月)03:08 ID:+AX7bNsSO携(1) AAS

239
(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/22(月)03:18 ID:+DQvI6+N0(1) AAS

今更だが>>1は体調を崩しやすいのか?
そういう報告が多いけど
240: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火)03:36 ID:DRegZ4PSO携(1) AAS

まあ気長に待っておく

流牙は確かに若くて荒削りなのが戦い方にも表れてる
流牙が見滝原に来たらどうなるかな
まだちょっと想像できないが
241: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火)10:25 ID:CUlUmhsAO携(1) AAS

まぁ無理しない程度に頑張ってくれい。
今回の魔戒騎士では個人的に猛竜がお気に入りだな。
明らかにホラーだと分かる女にホイホイ騙されるアホの子っぷりがナイス。
未だに鎧召喚させてくれない不遇さとか。
242: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火)14:37 ID:XAgt9sC50(1) AAS


新牙狼はどうにも朝特撮臭が漂うがちゃんとミッドナイトドラマできてるから今後に期待。
ただ流牙、いくら苦しいからといってFOG投げ捨てるのはどうかと・・・ww

旧牙狼のメンバーとは一人もキャラがかぶってないというのは面白い。
243: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火)23:38 ID:SfK88Fdq0(1) AAS
今回のは深夜向き、大人向けな特撮じゃないような気がする 見るけどさ
戦隊、ライダー風な別物として見ることにした
244
(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/24(水)15:50 ID:AFpwMQxAO携(1) AAS
乙です。

みんな優秀でいい子達なのにチームワークが絶望的なのが、まどマギ勢に通じるな。
ガロ勢はブライ法師が司令塔になってくれるんだろうが、まどマギではQBがチームワークを攪乱すらな…

ふとQBが大友康平さんの声で強力にリーダーシップをとってくれる所を妄想した。

QB「…人知れず魔女を狩り、人類を守る。それが魔法少女となった……お前の使命どぁっっ!!」
245: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/24(水)18:38 ID:K/in9fDi0(1) AAS
そんなあなたにまどかマギカポータブルの番外編を送ろう。
ほむほむが間違った方向にチームワーク抜群にしてくれるから
246
(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/25(木)01:54 ID:PmtyV5o10(1) AAS
>>244
良い子って……どのへんが?
まどか以外はみんな性格に問題があって良い子とはいえない様な子ばっかじゃないか
このssに限定してもまどかとさやか以外は基本皆やさぐれて歪んでる子ばっかでしょ
247: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/25(木)09:23 ID:/3nnyZAO0(1/3) AAS
たまに沸くよなこういう手合い
248
(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/25(木)15:56 ID:Bthtjb9AO携(1) AAS
否、物語を見つめ直す意味で貴重な発言だと思う。

どこが良い子かって?勿論、問題だらけで歪んでる所さ!
タケルもそうでしょう?ヤリチンであほの子で典型的DQN騎士。でも3話の彼は確実にイイ奴だった!普段ムカつくメガネを助けようとしたばっかりに、ホラーにさらわれるわ、ふんずけられるわ、メガネの作戦をわやにしてしまうわ(涙)……未だ見せ場無いけど、実に愛すべき男!

それを踏まえて、マミ達みんな愛すべき良い子です。(>>246は何故さやかを除外した?)

むしろ問題も歪みも無いのに人間をやめてしまい、ほむらにも理解できない世界へ行ってしまったまどかを>>1が今後どう描いていくのか、執筆は相当先の事だろうけど期待がやみません。
249
(2): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/25(木)16:31 ID:/3nnyZAO0(2/3) AAS
地味にネタバレすんな。それ多分三話の内容だろ。

ずっと一人で闘ってきてまどかがいっしょに闘ってくれると言って泣いて喜んだマミさんや
さやかのために命を捨てた杏子や
ただ一人の友達のために何度も気の遠くなる繰り返しをしたほむら

こういう熱い要素を度外視して揚げ足を取るような穿った事言ったのと
さんざん言われてるのに誰がどう見ても角の立つ言い方をしたのにカチンと来たんだよ。
冷めた目でストーリーを見るのがかっこいいとでも思ってるのか
250: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/25(木)17:55 ID:N4PUFmQP0(1) AAS
>>248
さやかはこのssで特にこれといって何かしたわけでもないしな
ほむらやモロクの件に関しては怒って当然だし

>>249の様に都合のいい側面だけを取り上げて「良い子」呼ばわりされても違和感を拭えん
内心はどうあれ建前を取り繕って、ずっと続けてきたマミはともかく
ほむらや杏子はどう考えても「良い子」ではないだろ
ATM破壊や空き巣の犯罪行為、周囲の被害を顧みずにGSを掻き集めてる杏子
まどか以外は殆ど駒としてしか考えていないほむら
これらの事を無視して「良い子」は盲目的にもほどがありすぎる
外伝込みでマギカシリーズの魔法少は全員が間違っていて、正しくもある「灰色」だろ、と
251
(2): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage sage] 2013/04/25(木)19:08 ID:tRDZDHqp0(1) AAS
>>249
このssのマミさんだとまどかが一緒に闘うと言っても
喜ぶだろうけどアニメの様に泣いたりするかなあ。何か複雑な感情を抱きそう
252: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/25(木)19:17 ID:/3nnyZAO0(3/3) AAS
盲目的、ですか・・・めがよくみえるひとはすごいですね。

あんまり引っ張ると「投稿来てると思ったら・・・」が来るぞ
253: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/25(木)21:08 ID:JSrISCT5o(1) AAS
乗っといて何言ってんのこいつ
254
(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/25(木)23:23 ID:85Yj3WXSO携(1) AAS
>>251
このSSったって、マミはずっと不安定だし、これからも二転三転するだろうし
魔法少女の秘密も知ってるしな
このマミがたまに話題に上るけど、やっぱりぶれっぱなしだから、こういう性格だと表すのは難しい気がする
255: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/26(金)00:03 ID:hWz7XsjW0(1) AAS
「ほどがある」「こいつ」。
作品を細かく考察できるのか知りませんけど口の聞き方を知らない人間と話すのはもう嫌です。さようなら。
256
(2): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/26(金)00:18 ID:mXolkvU20(1) AAS
>>254
ずっと不安定って…。
何だよ、それじゃまるで鬱病か何かのメンヘラみたいじゃないか……。
257: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/26(金)00:36 ID:7LuPwZiG0(1) AAS
>>256
まるでも何もそうだろ
人混みで発狂しかけて赤信号なのに交差点に突っ込んでいったり、会ってまもない殆ど知らない女性に依存するんだから
しかし、初登場時からそこまで酷い精神状態なのに、よくSGの濁りが早くならないな
精神が安定しなければ穢れを溜め込みやすいはずなんだが
258: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/26(金)00:39 ID:JSw/mUUSO携(1) AAS
>>256
そういう意味じゃなくてだな
SS内はあまり時間が経ってないでしょ
3日かそこらの間にショッキングなことが重なって揺れていると
悪く言えばメンヘラというのも、あながち間違いではないのかもしれんが
それだけダメージが大きいという意味では
259
(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/28(日)08:12 ID:bBqttU7YO携(1) AAS
追いついたけど、すげー面白いな
260
(2): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/28(日)08:56 ID:hR+AGxPyO携(1) AAS
雨宮監督の作品はZOとハカイダー、それとミカヅキしか見たことなかったけど、今度の連休が牙狼で潰れてしまう予感しかしないほどこの>>1のセンスが素晴らしい作品だ
つまり何が言いたいのかというと、今から牙狼全巻借りて視聴します。
本当に面白かったです。
261: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/28(日)09:38 ID:AV5T6FMfo(1) AAS
ミカヅキ見たいのに見つからない
262: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/28(日)12:33 ID:vimIOf3AO携(1) AAS
>>260
牙狼を見終わったらぜひ『ゼイラム』を探して見てくれ♪
263: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/04/29(月)03:19 ID:IOHaG7RAo(1/5) AAS
 *

 そしてまどかの記憶は、昨日の夕方まで遡る。
 まどかはほむらと保健室に入ったが、生憎と外出中のようで誰もいなかった。
仕方がないので、ほむらに促され、勝手にベッドに寝かせてもらった。

 ずっと頭が重かったが、ベッドに横たわって枕に預けてしまうと楽になった。
火照った頬に、ひんやりした枕の感触が気持ちいい。
 ちらと傍らに立っているほむらを見やると、ちょうど目が合う。

「私は先生が帰るまで待ってるわ。気にしないで」

 素っ気なく言うと、ほむらはまた目を逸らした。会話をする気はないようだ。 
 白い天井に目を移す。1,2分ほど何とはなしに見つめていたが、すぐに眠気が襲ってくる。
 抗わずに、まどかは目を閉じた。

 よほど疲れていたのか、次第に曖昧になっていく意識。
 するとどこからか、
 
「今は何も考えなくていいから。全部忘れて、ゆっくり休んで……まどか」

 と、声が聞こえた気がした。
264: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/04/29(月)03:22 ID:IOHaG7RAo(2/5) AAS
 魔法少女のこと、マミのこと、仁美のこと、鋼牙のこと、さやかのこと――自分のこと。
 あれもこれも考えなければと悩み、それが余計に頭痛を激しくしていた。
今も頭の片隅に引っ掛かっていて、どこか気が抜けきれなかったのだが。
 
 しかし、この瞬間――まどろみの世界で届いた、優しく温かい声音は、
それらの重荷を取り払ってくれた。
 ふっと、まどかの全身から力が抜ける。意識が完全に闇に溶ける。

 声に背中を押されるように、まどかは安らかな眠りに落ちていく。
 果たして声の主が誰だったのか、思い至ることもできないままに。
 

 その後、頬の熱と目蓋越しに感じる光で、まどかは覚醒した。
 うっすら目を開いた途端、オレンジ色が眩しい。
窓に目を向けると、光はカーテンの隙間から射し込んでいた。

 どれくらい眠っていたのだろう。
 いつの間にか落ちかけている夕日に目を細め、
とろとろしながらも時間を掛けて意識を揺り起こす。

「目が覚めたみたいね。気分はどう?」

 と、横から声と共に体温計が差し出された。
 ほむらだった。
 長い黒髪が夕日に照らされてキラキラ艶めき、ある種の人形めいた美貌を見せている。
 そんな彼女は見惚れるくらい綺麗で、まどかは暫し言葉を忘れてしまった。
 
「もしかして、ほむらちゃんがずっと付いててくれたの?」

「ええ。先生に頼まれたし、特に予定もなかったから」
265: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/04/29(月)03:24 ID:IOHaG7RAo(3/5) AAS
 相変わらず口調や表情には、一切の愛想が感じられない。
 しかし理由はどうあれ、今まで付いていてくれたことは素直に嬉しかった。
 体温計を脇に挿みつつ、まどかは額に手を当ててみる。

「うん……だいぶ良くなったかな。ありがとうね、ほむらちゃん」

 数分後、体温計を確認したが、ほぼ平熱まで下がっていた。
 ふと、無表情でこちらを見ているほむらに気付く。
 何か他の言葉を待っているのだと思い、
 
「昨日はちょっと、いろいろと考え事してたら疲れちゃったみたい。えへへ……」

「それは、美樹さやかのこと?」

 照れ臭そうに説明したまどかに、ほむらはあくまで真顔。
 ほむらの指摘に、まどかは俯いた。
 昨日、生活サイクルを崩した直接の原因は鋼牙だが、さやかの件も無関係ではない。
 
「あなたは、どうして何も言わないの?
美樹さやかに、私が嫌がるあなたを無理やり連れて逃げたって言えばいいのに」

 まどかは答えあぐねた。
 何故?
 理由は自分でも判然としない。それに一言で表せるものでもない。
266: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/04/29(月)03:25 ID:IOHaG7RAo(4/5) AAS
「別に言ってもいいわよ。私が全部悪いんだって。そうすれば、彼女も余計な誤解を解くわ」

「じゃあ、ほむらちゃんは、どうしてさやかちゃんを助けてくれなかったの? どうして私だけ……」

「満足に歩くこともできない美樹さやかを担ぎ、同時にあなたの手を取って逃げるのは難しい。
もたもたしているとホラーに追い付かれる危険もあった」

 ならば、ほむらがさやかを担いで逃げ、自分が後を付いていく形ではダメだったのか。
 思わないでもなかったが、まどかは口に出さなかった。 
 まどかは未だ彼女の魔法のからくりを知らない。
 
 しかし、そうできたなら、そうしたはず。しなかったなら、相応の理由があったのだ。
 まどかはほむらを手放しに信用している訳ではないが、さやかのように敵視してもいなかった。

「冴島鋼牙が現れなければ、あなたたちは、いいえ、私も含め全員ホラーの餌食になっていてもおかしくなかった。
だから一人でも確実に助けられる方を選んだ。四人揃って死ぬよりはマシでしょう?」

 信じたのは、ほむらの冷静な判断力。ホラーという未知の怪物を相手にし、
マミの必殺の一撃も通じなかった危機的状況において、彼女は思考を止めなかった。
 少なくとも、まどかの目にはそう映り、自分には絶対できないと思い知らされた。
 
「私は判断を誤ったとは思っていないわ。あの時は、あれが最善だった。
罵りたければ構わない。軽蔑されてもいい。私は残酷な命の取捨選択をしたのだから。それでも――」

 私は間違っていない。
 滔々と捲し立てたほむらの眼は、言外に語っていた。
 まどかは彼女を責めなかった。責められるはずがなかった。
267: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/04/29(月)03:34 ID:IOHaG7RAo(5/5) AAS
ここまで。GW中にもう一度くらい投下できたら

いつもコメントありがとうございます
大変励みになります
上のような議論は拙作を見直す上でとても為になります
自分としては、それほどねじくれてるように書いてる自覚はなかったりするので

>>239
と言っても寝不足や肩こりくらいですが、なかなか万全でないと手が進まないので
でも言い訳臭かったですね。もう言わないようにします

>>259-260
ありがとうございます
長いのに新たに見てくださって、とても嬉しく思います
268
(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/29(月)03:46 ID:rtCkArZFo(1) AAS
映画はともかく3期はSSにもからまないんだからネタバレはやめてくれ
ID変わるから問題ないって思ってるんだろうけど文体同じだからすぐわかる
269: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/29(月)03:54 ID:pOcklKIvO携(1) AAS

牙狼を見始めましたが、やっぱり面白かったです。
>>1は雨宮監督作品で牙狼の他に何が好きですか?
270: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/29(月)04:20 ID:d9azo1WAO携(1) AAS
乙乙乙!
ほむらの登場いつぶりだろうか。マミを心配する読者の声はいつも高いが、俺はこのSSで最も心配なのはほむらなんだ…。

>>268
その通りだ。自粛するよ…。

ところで燕邦隊長のおっぱいがけしからない件
( ゚∀゚)o彡°
271
(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/29(月)04:30 ID:mGMcvjw30(1) AAS
更新きていたか乙
ほむらにスポットがあたるのは当分先になりそうだ

>>1も言ってるけど>>251のマミさんが泣かないって根拠は何?
捻くれた見方をしてるのはそっちな気がするが
272: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage sage] 2013/04/29(月)17:59 ID:WTCJ+47Q0(1) AAS


>>271
このマミさんが泣いてくれるのか不安に思ったのは
先輩としての対面やプライドに拘って本音や弱味を見せる事を極端に嫌っているからかなあ
さやかが心配しただけで惨めな気持ち苛まれる性格の人が
原作3話やTDSのマミさんみたいにまどかの前で涙ながらに悩みを打ち明けたりするかなあ?って
零の時みたいに同情なんてされたくもないし、後輩にそんな姿を見せる事を惨めと思いそう

仮にこのマミさんが原作3話の様になったとして
一緒に闘って人の力になりたいとまどかが言っても喜びはするだろうけど
その一方で無垢なまどかに複雑な気持ちを抱き
泣いたりせずに、いつもの後輩に向ける顔で喜ぶけどどこか距離があり
本編の様に悩みをまどかに告白しないで一線を引いたような感じになりそうなのが・・・
人の善性に半信半疑な部分を持つ冷めた一面を持ってるし、このマミさん
273: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火)00:13 ID:yxBWPBxSO携(1) AAS
上でも言ったけど、マミの性格というか考え方は1、2、3話でそれぞれ変化してると思う
だから現状これがマミのキャラだと決めて話すことは困難であり、あまり意味がないと思う
274: ◆ySV3bQLdI. [sage saga] 2013/05/07(火)02:35 ID:KTdzHMbGo(1) AAS
ちょっとスランプ気味ですが、今週中には必ず
275: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/10(金)12:07 ID:jgo/ABB40(1) AAS
このSSも随分長いことやってるよな
276: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/10(金)20:13 ID:C+VeKq7R0(1) AAS
無粋の輩も増えたけどな
277: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/05/13(月)03:45 ID:WK12HDz4o(1/5) AAS
「……もういいよ」

「私のことを怒ってないの?」

「さやかちゃんを見捨てたのは……やっぱり納得できない。でも、ほむらちゃんを憎むことはできないよ。
だって、ほむらちゃんは私の命を助けようとしてくれたんだから。
ほむらちゃんのお陰で私が助かったのは間違いないから」

 そして自分は間違ってないと言った彼女の表情。
 彼女の冷静さは冷徹や冷酷とも取れる。しかし、この時は違った。
 そこに見えたのは、微かな苦渋の色。それだけでも、彼女が心底から利己的な人間ではないと思えた。

「ほむらちゃんのせいにはできないもん。
さやかちゃんが辛くて一番いてほしい時に、傍にいられなかったのは事実だし」

 命の恩人を悪く言いたくはないが、それとは別に、まどか自身にも負い目があった。
 怒りとも悲しみともつかない感情。きっと、さやかの胸の内に渦巻いているのは、そんな思い。
 度々こちらを不安そうに見る目には、ほむらと同じ迷いがあった。

 一昨日、あの暗闇で伸ばした手を払った、さやかの目を思い出す。
 激情から一転、子供のように怯えを露わにした瞳。
 わからないのかもしれない。どうしたいのか、どうすればいいのか。

「理屈じゃないんだよ。さやかちゃんは考えるより感じるって言うか、
思ったら突っ走っちゃう娘だし」

「でも、あなたはそれでいいの? 真実を話さなければ、彼女は納得しない。
あなたへの怒りだって治まらないと思うけど」

「これまで私は、さやかちゃんに返し切れないくらい、たくさんのものをもらってるから。
やり切れない気持ちの捌け口にでもなれるなら、受け止めるのが友達……だと思うから」
278: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/05/13(月)03:49 ID:WK12HDz4o(2/5) AAS
 まどかは困ったふうに、小さく笑った。
 当然、さやかとすれ違ったままでいいとは思わない。

 それでも、まどかはこうも思っていた。
 自分とさやかの仲は、これしきで揺らぎはしない。これっきりで終わる訳がないと。
 絆を、友情を信じる。しかし、それは信じたい、積み重ねた時間に縋りたいという願望。
 不安の裏返し。

 この二日、積極的にさやかとの関係を修復しようとしてこなかったのには、もうひとつ理由がある。
 敢えて語らなかったのは、ほむらにも触れられたくなかったから。
 黒い陰を儚い微笑の裏に隠して、自分に言い聞かせるようにまどかは言う。

「大丈夫。さやかちゃんとも時間が経てば、仲直りできると思う。
本当は、すごく優しい娘だから。できれば、ほむらちゃんとも――」

「そう……あなたがそう言うのなら、この件については、もう何も言わないわ」

 言わんとするところを察したのか、ほむらが遮った。
 事実上の拒絶を受けて、まどかは続く言葉を紡ぐ気になれなかった。

「でも、もうひとつ、これだけは覚えておいて。冴島鋼牙――彼は確かに人を守りし者。
絶対の信頼を寄せていい相手かもしれない。あなたが人である限りは」

 唐突に話が変わり、戸惑うまどか。訳もわからず相槌を打つが、最後の一言が引っ掛かった。
 その意味を問う間もなく、ほむらは続ける。

「でも、全能じゃない。事実、彼があの場に現れたのはまったくの偶然。
助けてくれたのも、単なる幸運。二度目、三度目があるとは限らない。
もし私があなたを連れて逃げなければ、彼が来なければ。少しでも歯車がズレていれば、あなたは確実に死んでいた。
巴マミは斃れ、あなたと美樹さやかは手を握り合ったまま切り裂かれ、他にも大勢の人間が喰われたでしょうね」
279: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/05/13(月)03:51 ID:WK12HDz4o(3/5) AAS
 その口調は淡々としていながらも厳しく、疑問を差し挟むことを許さない。
 
「うん……わかってるよ。ほむらちゃんには感謝してる……」

「感謝も謝罪も必要ない。そんな言葉、何の意味もない。私は二度と危険に近付かないでほしいだけ」

 有無を言わせぬ眼力に射抜かれる。
 彼女の纏う雰囲気に、まどかは気圧されていた。
 いや、何も言えなかったのは、それだけが理由ではない。
まったくの正論で、反論の余地がなかったからだ。ぐうの音も出ないほど。

「あなたがあの場に行かなければ、美樹さやかも行かなかった。
結果だけ見れば、あなたは彼女を危険に巻き込んだとも言える」

「うん……」

 と、まどかは力なく答えるしかなかった。
 最初に改装区画に立ち入ったのは結果論で済むかもしれない。
 だが、ほむらは知らない。

 さやかが走れなかったのは何故か。
 誰を庇って両足に傷を負ったのか。
 この一点だけは、言い逃れのしようがないほど、まどかに原因があるのだ。
ほむらにも責任転嫁できない。

 理解していたはずなのに、改めて言葉にされると突き刺さった。
280: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/05/13(月)03:52 ID:WK12HDz4o(4/5) AAS
――私のせいで、さやかちゃんが死ぬかもしれなかった。
命こそ助かったけど、心に消えない傷を負ったかもしれない。
だから……さやかちゃんに拒絶されても仕方ないんだ……。
それでも離れたくないと思う私は……ずるいのかなぁ――

 ギュッと拳を握り、下唇を噛む。
 そうでもしないと涙がこぼれそうだった。
 まどかの様子を察したのかどうか、やや穏やかな声で、ほむらが言った。

「あなたを責めるつもりはないわ。
あなたの意志の強さや優しさは認める。それでも――」

「私、そんなに優しくも強くもないよ。ううん、むしろずるくて、弱虫で、何の役にも立てない」

 慰められるのが耐えられなかった。
 まどかは自罰的な衝動に任せ、恐ろしい想像を口にする。

「もし、ほむらちゃんも冴島さんもいなかったら私だって……」

 もし、鋼牙が来なかったら。
 ほむらに手を引かれていなかったら。
 自分は死ぬまで一緒にいられただろうか。最後まで、さやかの手を離さずにいられただろうか。

 何度となく胸に問いかけても、答えは出なかった。

 一歩一歩、近付くホラー。
 迫る死の恐怖。
 繋いだ手を振り解いて駆け出すことで、助かる可能性が僅かでも上がるなら。

――さやかちゃんを見捨てて逃げたかもしれないのに。
281: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/05/13(月)03:55 ID:WK12HDz4o(5/5) AAS
ここまで
なんやかんやで2週も開いてしまいましたが、
明日からはまた本気を出して書こうと思います
282: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/13(月)07:34 ID:WrLF4rzAO携(1) AAS
乙!
心情描写が上手くて引き込まれる
続き楽しみにしてる
283: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/13(月)07:57 ID:hMZA0SfAO携(1) AAS
乙です
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あと 522 レスあります
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