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さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜 (1002レス)
さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332687612/
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240: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/05/21(月) 02:25:46.77 ID:OuKAohIbo * 閑静な住宅街。家々には明かりが灯り、美味しそうな夕食の匂いや団欒の声が流れてくる。 しかし、たまに車が通るだけで、道を歩く者はいない。 いや、一人――ツインテールを揺らしながら、小走りで駆ける少女がいた。 「弱ったなぁ。すっかり遅くなっちゃった……」 はぁ、と息を吐いて、歩を緩めたまどかが独りごちた。 今日は学校が終わってからマミの自宅へ。そこで鋼牙とマミから説明を受け、魔女退治に同行。 更に近くの喫茶店で知り合った命とお茶、と夕方から流されるままに過密なスケジュールをこなしていた。 だというのに。 魔女退治が終わった時点で日は暮れていたのに、ついマミが心配で長居してしまった。 命との会話が楽しく、居心地が良かったせいもある。 母とはどこか似ているようで違うが、かっこいい大人の女といった印象で、まどかも少なからず憧れを感じていた。 加えて魔女の潜んでいた廃ビルが、市内でもあまり馴染みのない場所だったのだ。 地理に明るくないまどかは散々苦労し、どうにか知った街並みまで帰ると、まだ余裕があると思っていた時間はとっくに過ぎていた。 家に連絡を入れようにも携帯の電池は切れていて、つくづく運がない。 多忙な母も普段なら帰っている時間。連日、連絡もなしに遅くまで帰らないとなれば、特大の雷が落ちるのは間違いない。 それだけならまだいいが、もし非行を疑われたり、或いは捜索願なんて大事になったら――。 嫌な想像を振り払うように、まどかは激しくかぶりを振った。 「う〜、やっぱり急がなきゃ! 早く帰らないと、パパとママが心配しちゃう!」 そうして再び走り出したまどかの目が、暫くして脇道に逸れる。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332687612/240
241: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/05/21(月) 02:28:27.71 ID:OuKAohIbo そこから続いているのは、細い小道。 十分は確実に縮まる絶好のショートカットコースだが、街灯もひとつかふたつしかない。 何となく気味が悪くて、昼間でも避けて通りがちだった。 まして昨日の今日である。街灯の下を歩くのでさえ一人では怖いのに、裏道なんて考えただけで足が竦む。 さやかほどでなくても、暗闇を身体が拒否しているよう。 闇に潜む魔女や魔獣が、口を開けて手招いている気すらした。 だが、まどかは立ち止り、向きを変える。そして闇をじっと睨み、ゴクリ、と唾を呑み下した。 夜も裏道も怖いが、叱られるのはもっと怖いし、心配を掛けるのは申し訳ないという思いが勝った。 「……よしっ」 拳を握り、ありったけの勇気を振り絞る。 大丈夫、何も出る訳がない。夜に通ったことも何度かある。怖いと思うから怖いんだ。 そう自分に言い聞かせて。 まどかは一歩を踏み出し――続けて二歩、三歩と交互に足を前に出す。 ピッチは徐々に速まり、数秒と経たず全力疾走に変わった。 息を切らせて、それでも足は止めず、前もろくに見ず、頭の中を空っぽにして駆け抜ける。 そうでもしないと、恐怖に呑まれて一歩も動けなくなりそうだった。 だが、走り出して数分後、周囲に神経を巡らすあまり鋭敏になった聴覚は、無意識に風以外の物音を拾った。 「ひっ!?」 まどかは短い悲鳴を上げて立ち止った。それは道端から。軽い金属音だったように思えたが、はっきりとはわからなかった。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332687612/241
242: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/05/21(月) 02:30:59.29 ID:OuKAohIbo 「何の音……誰かいるの……?」 答えは返らない。 それでも感じる確かな気配と息遣い、薄らと輪郭が見えるような見えないような。 何者かと対峙しているのは間違いなかった。 ――まさかホラーか魔女……!? 想像した途端、全身が戦慄く。まどか自身が、際限なく膨らむ魔物のイメージを闇の中に創り出す。 逃げようにも足が動いてくれない。前にも後ろにも進めず、声を出すことも忘れていた。 無力な女子中学生を金縛りにするのに、魔女も魔獣も必要ない。 ただ闇と少女自身の想像力があれば。 辛うじて、震える足がアスファルトを踏み鳴らした瞬間――。 ニャーッと、間延びした鳴き声。 まどかが目を凝らすと、 「なぁんだ……猫かぁ」 黒猫がまどかをじっと警戒していた。どうやら野良猫が空き缶を転がしただけらしい。 まどかは、ほっと安堵の息を自嘲も込めてついた。幽霊の正体見たり何とやら、である。 が、安心したのも束の間。 「――っっ……!?」 迫る足音を聞き取り、息が止まった。 今度は断じて犬や猫ではない。ふたつの足が地面を踏む音。 再び、まどかの全身を震えが襲った。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332687612/242
243: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/05/21(月) 02:34:23.24 ID:OuKAohIbo ホラーだろうか。それとも魔女? 人間同様に二足歩行する魔女がいないと言い切れるほど、まどかは魔女を知らない。 或いはもっと現実的な恐怖、不良や変質者かもしれない。既に普通の通行人という可能性は、頭から消え去っていた。 隠れる場所もなく、頼れるのは後方にある街灯のか細い明りのみ。欠け始めた月も、今は雲に隠れて光は届かない。 思考を恐怖で塗り潰されながらも、まどかはどうにか覚束ない足取りで後退る。 その間も、足音から一瞬たりとも目を離さない。 まるで熊か何かから逃げてでもいるかのよう。 だが最悪の場合なら、向かってきているのは獣よりも遥かに恐ろしい怪物だ。 視線を外したり、しゃがみ込んでしまえば、待つのは絶対の死。生存への一縷の希望が冷静さを保たせていた。 もう少しで街灯という辺りで、足音が加速した。後退を悟られたのだ。 つまり、まどかの存在に気付いている。 背筋を悪寒が駆け上がった。 ならばこちらもと急いで離れようとしたが、足が縺れて転んでしまう。 「ひゃっ――」 ――もう駄目! 終わりかと絶望しかけるまどかに足音は更に近付き、その姿が明かりに照らされ出した。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332687612/243
244: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/05/21(月) 02:37:14.27 ID:OuKAohIbo 「ここで何をしている」 声の相手は白いロングコートの男。 魔女や魔獣とは対極に位置する存在。 夕方に別れたばかりの魔戒騎士、冴島鋼牙だった。 「ふぇっ…………はぁあ〜〜」 まどかは無様に尻餅をついたままにも拘らず、深々と息を吐き出した。 極度の緊張と、そこからの急激な解放で、完全に脱力してしまった。 胸を押さえて深呼吸を繰り返し、暫くして立ちあがろうとするが、 「あ、あれ?」 腰が抜けて立てない。 それどころか、腕までもガクガクで力が入らない。 まどかが戸惑っていると、目の前に手が差し出された。 「立てるか?」 「あ、すみません……」 広がっていたスカートの裾を押さえ、真赤に恥じらいながら手を取るまどか。 小柄な少女とはいえ、鋼牙はいとも容易く引き上げた。 立ちあがったまどかは制服の汚れを払うと、改めて頭を下げる。 「あの、ありがとうございました」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332687612/244
245: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/05/21(月) 02:41:15.85 ID:OuKAohIbo 「何を考えている。言ったはずだ、夜は危険だと。今の街はなおさらだ」 にこやかに笑うまどかだったが、返ってきたのは厳しい言葉だった。 険しい視線と表情で、静かだが重い声で叱責された。 魔の存在への恐怖からは解放されたが、その分、別に恐れていた大人からの説教が増えてしまった。 無論、命の危機とは比べ物にならないが。 「はい、ごめんなさい……」 しょんぼりと項垂れるまどか。 一言も言い返せるはずがない。数時間前にホラーや魔女は夜、人気のない場所に注意しろと言われたばかり。 それを無視したのだから自業自得だった。 しかも鋼牙の纏う厳格な雰囲気は、学校の怖い教師を思い起こさせて、萎縮してしまうのだ。 『そうでなくても、子供が夜に一人で歩くには不用心な道だな』 「その……早く帰らなきゃと思ってつい近道を……」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332687612/245
246: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/05/21(月) 02:42:48.48 ID:OuKAohIbo 鋼牙とザルバの言は至極もっともで、釈明の声も尻すぼみになる。 遂には沈黙する鋼牙の仏頂面に耐えかねて、 「本当にすみませんでした……。これからはちゃんと気を付けます」 告げるなり一礼して背を向ける。そして、とぼとぼと歩き出した。 「どこへ行く気だ」 「いえ、大通りに戻ろうかと……」 と言っても、道も半ば過ぎ。帰るのも行くのも大差ないのだが。 家に帰るのは更に遅くなりそうだが、鋼牙に叱られた手前、仕方がなかった。 すると鋼牙もまどかに背を向け、首だけ振り返り一言。 「急いでいるんだろう。送っていく、ついてこい」 最初は何を言っているのかわからなかった。 やがて理解が追い付くにつれ、まどかの顔はパァッと明るくなっていき――。 「え……あ、はい!」 歩を進める鋼牙の斜め後ろに駆け寄った。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332687612/246
247: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/05/21(月) 02:59:15.49 ID:OuKAohIbo このパートも今日最後まで行きたかったのですが、間に合いませんでした プレデターさえなければ……残念ながら明日か明後日に もう少しで二話も終わりの予定です いつも貴重なご意見ありがとうございます この作品でのマミのキャラに不満を感じる方には申し訳ありません こんなことを言うのもおこがましいですが、できるなら長い目でいただたければ色々な意味で助かります 今後も不快にさせることは多々あると思いますが、それでもよければ御覧ください >>237-239 流れを切ってしまい、すみません 他キャラのverも考えると、いくらでも出てきて面白いです http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332687612/247
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