[過去ログ]
さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜 (1002レス)
さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332687612/
上
下
前次
1-
新
通常表示
512バイト分割
レス栞
抽出解除
必死チェッカー(簡易版)
レス栞
あぼーん
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索
歴削→次スレ
栞削→次スレ
過去ログメニュー
797: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/11/26(月) 02:25:30.99 ID:DfgLvHbDo 飛び込んできた杏子に、零はまたも平然と片手を上げて、親しげな挨拶を送った。 ついさっき嘘をついて利用したこと。 ここが戦場であり、自分が今もって危機の最中にあることなど、気にも留めていないかのよう。 杏子の答えは、冷たく鋭い視線と、眼前に振り下ろした槍。 しかも、零が上体を逸らさなければ額に刺さっている位置である。 「なにヘラヘラしてんだテメーは……。あたしを引っ掛けて都合良く使いやがって。 まさか忘れたわけじゃねーだろうな……。 あと、あたしをあんこちゃんて呼ぶなって何回言やわかるんだ……!」 杏子は両者の間に立ち、左半身をモロクに、右半身を零に向けている。 警戒はしているが、武器と顔を零に向けている現状は、かなり危険だろう。 それでも、それだけ、零に言ってやりたい思いが勝っていた。 「ま、あんこちゃんも、そう怒らないでさ。 とりあえず積もる話は後にして、まずは"そっち"を一緒に片付けない?」 と、零は杏子を宥めつつ、彼女の左を指差す。 ぽつんと置いてきぼりにされていたホラーは、酷く間抜けだった。 だが、闖入者に呆然としていたのも数秒。杏子が魔法少女と知るモロクは、彼女も敵と見なして排除を開始する。 零に言われるまでもなくモロクの攻撃を察し、杏子は首だけを回した。 モロクの左肩から火炎弾が発射される。 杏子は迷わず仰け反って炎弾をかわした。 モロク、杏子、零の位置は直線で結ばれている。 零からすれば、杏子の身体で塞がれていた視界が開け、いきなり火球が出現したに等しい。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332687612/797
798: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/11/26(月) 02:29:15.98 ID:DfgLvHbDo 「っと――」 間一髪、零も首を傾けると、 耳を掠めて火炎弾は壁に当たり、焦げ跡を残して消滅した。 「ふぅ……」 と、溜めた息を吐き出す零。 杏子は防ごうと思えば防げたものを、わざと嫌がらせに避けた。 そして彼なら当たらないという見立ては、やはり間違っていなかった。 「ざけんな。何であんたと協力しなきゃなんないのさ」 吐き捨てるように言って、杏子はモロクに槍を構える。 一歩間違えれば死んでいたところを零は怒る様子もなく、 一本となった魔戒剣を手に、杏子の右に並んだ。 「あんこちゃんも戦う気があるから来たんだろ? だから俺も呼んだ」 確かに。 零との決着だけが目当てなら、待っていればよかった。 もし死ぬような力量なら、所詮それだけの奴だったと幻滅するだけ。 むしろ、そうでないと確信しているからこそ、杏子はここにいる。 零とホラー、同時に相手できるとは思っていない。 自分だけでホラーを倒す。それも現状では無理がある。 ムキになって反発すれば、逆に二人仲良く死にかねない。 ただ――。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332687612/798
799: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/11/26(月) 02:31:33.85 ID:DfgLvHbDo 「あんたと慣れ合う気はないね」 これだけ言っておかずにいられなかった。 下らなくても、絶対に譲れない意地。 「なら30秒でいい。こいつの相手よろしく」 「はぁ? あんたは?」 「俺は盗られたもんを取り返さなきゃな」 剣を握った左手を軽く上げ、零は言った。 その視線を追うとホラーの後方、剣を手の甲から突き出した左腕に行き着く。 本体が二人の敵と対峙しているのに、不自然に遠ざかっている。 ――ああ、なるほどね……。 一瞬で看破した。 敵は、双剣が零の手に戻るのを恐れているのだと。 そこに彼の秘密があるのだろうが、それが何かまでは知る由もない。 重要なのは、ひとつ。奴が片手で零と杏子を相手取ることよりも、双剣を警戒していること。 今だってホラーが眼前に立っているのに、 のん気に会話していられるのは、零が睨みを利かせているから。 十全でない零はまだしも、杏子の存在を軽く見ている。つまり舐められているのだ、自分は。 そう思うと、闘志が沸々と湧いてきた。 今すぐにでも目に物見せてやりたくなる。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332687612/799
800: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/11/26(月) 02:34:44.93 ID:DfgLvHbDo 「終わったら決闘でもご馳走でも付き合うからさ。な?」 そんな気持ちもあったからか。 迷っている暇がなかったからか。 「っ〜〜たく……30秒だけだ。ひとつ借しだからな!」 杏子はガシガシ髪を掻いた後、人差し指を立てた。 相変わらず、本気の戦いと食事の奢りを同列に語るあたり、 余裕っぷりが垣間見えて気に入らないが。 杏子の答えに満足したのか、零はまたも口元を僅かに歪め、鷹揚に言い放つ。 「そうこなくっちゃ」 その一言が引き金だった。 二人は弾かれたように飛び出した。 零は右へ。 杏子は前へ。 跳び上がった零の足が壁面を踏み締める。 零の目的を悟ったモロクの右腕はさせまいと動くが――。 「ほらほら! テメーの相手はこっちだ!」 振り下ろしながら鎖を伸ばした槍に薙ぎ払われる。 右手を叩き落とした杏子は槍を縮め、流れるように斜めに斬り上げた。 魔法の刃は魔獣の皮膚を走り、浅く裂いた。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332687612/800
801: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/11/26(月) 02:40:27.48 ID:DfgLvHbDo モロクの注意を杏子が引き付けた隙に、零は壁を伝って横を走り抜ける。 左腕はあくまで剣を返すまいと離れていくが、零は逃げる以上の速さで追い縋る。 再びの跳躍。 壁を蹴って左腕を飛び越し、逃げ道を塞ぐつもりだろうが。 突然、左腕は目標を変え、空中の零を狙って動いた。 自身の手の甲から突き出た剣を、攻撃に利用するつもりなのだ。 零は杏子との戦いでも、何度か空中で攻撃をかわす荒業を見せた。 しかし鎖とは違い、相手は意思の通った身体の一部。 離れていようと命令の伝達速度は、武器として操る槍の比ではないはず。 そう易々と避けられるだろうか。 危機を伝えなければ。 何故か咄嗟に思い、大きく息を吸う。 「――っ!」 しかし、言葉にはならなかった。 ホラーが杏子を目掛けて蹴りを繰り出した。 鈍重なように見えて、意外に素早い。おまけに重い。 辛うじて槍の柄で防御したものの杏子は大きく後退し、 そちらに注意を取られて声を出せなかった。 ――ヤバい! そう感じたのは、どちらに対してだったのか。 とにかく、杏子は無意識に零を目で追い――その目を見張った。 剣を捨て、迫り来る刃を両掌で挟んで止めたのだ。それも空中で身を捻った不安定な体勢で。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332687612/801
802: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/11/26(月) 02:45:29.25 ID:DfgLvHbDo 腕一本でも人間一人を持ち上げるホラーの腕だが、 零の体重と落下の勢いを支えるには至らなかった。 零はモロクの左腕ごと落下。 途中で刃を回したのだろう。刃を床に突き刺し、腕を縫い止めた。 初めて目にした真剣白刃取り。これには杏子も舌を巻いた。 言葉にすれば簡単だが、同じことができる自信はなかった。 もっとも、同じやり方である必要はないのだが。 それぞれ持てる特性も技術も違うのだから、杏子は杏子なりのやり方で回避を試みただろう。 だが単純な身体能力と身のこなしでは、零が杏子より一枚上手なのは疑いようのない事実。 劣等感を抱いているつもりはない。ただ、負けたくないと強く思う。 その気持ちが杏子を衝き動かした。 鎖を巻きつけ足技を封じ、火炎弾を払い落す。 杏子の攻撃は苛烈になり、モロクは徐々に防ぐのがやっとになっていった。 そして遂には、その腹を深く槍で貫く。 ずぶりと肉に刃が入る奇妙な感触。魔女相手ではなかなか得られない経験だった。 モロクが悶えている間に引き抜こうとする杏子だったが、 「そうだ、あんこちゃん! ホラーの間近では戦うなよ!」 そこへ思い出したような零の声。 零は頑として剣を放そうとしない腕を靴で踏み、逆に柄を押し込みながら抉っていた。 「俺はあんこちゃんを斬りたくないからさ」 何故か、そんな言葉を続けて。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332687612/802
803: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/11/26(月) 02:49:37.21 ID:DfgLvHbDo それは果たして、どういう意味なのか。杏子は疑問に思い、一瞬そちらに気を奪われる。 が、真意を問う前に、モロクの咆哮が正面の杏子を直撃した。 おそらく、零が剣を強引に引き抜いたせい。 耳をつんざく苦痛の叫び。生臭い風に髪を煽られ、杏子は飛び退きながら槍を抜いた。 傷口からは黒い体液がパッと舞い散る。 返り血は杏子の手前の床に落ち、やがて吸われるようにして消えた。 距離を取った杏子は顔に玉の汗を浮かばせ、荒く息を吐いた。 危なかった。零がいきなり謎の発言をするものだから不意を突かれた。 その緊張は悲鳴に驚いた為であって、返り血を浴びる危険にではない。 零の忠告がなければ、杏子は返り血を物ともせずに追撃していただろう。 彼女はまだ、その意味を知らなかった。 また、その場では聞き直すこともできなかった。 ようやく双剣を取り戻した零が立ち上がったから。 まだ彼が駆け出してから15秒と経っていない。 二三度、右手を握っては開き、感覚を確かめる零。 これなら問題ない。痺れも痛みも完全に消えていた。 そして零は両手の魔戒剣を順手に持ち替えると――。 双剣を交差させた後、天に掲げた。 ――……? 何を…… 杏子が首を傾げたのも束の間。 零が手首を回転させると、それぞれの剣先が白く光の軌跡を描く。 生まれた双つの円は直上で重なってひとつとなり、紋章が浮かんだかと思うと、眩い光が溢れる。 そして、膨大な光のシャワーが零を包んだ。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332687612/803
804: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/11/26(月) 02:51:25.85 ID:DfgLvHbDo 一旦ここまで あと1レス投下したかったですが、半端にもしたくないとこなので明日 いろいろ不調で長く間が開いてすみませんでした http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332687612/804
上
下
前次
1-
新
書
関
写
板
覧
索
設
栞
歴
スレ情報
赤レス抽出
画像レス抽出
歴の未読スレ
AAサムネイル
Google検索
Wikipedia
ぬこの手
ぬこTOP
0.247s*