[過去ログ] さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜 (1002レス)
前次1-
抽出解除 必死チェッカー(簡易版) レス栞 あぼーん

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
1
(28): ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/03/26(月)00:00 ID:3kJPE1Eho(1/7) AAS
特撮ドラマ『牙狼〈GARO〉』と『魔法少女まどか☆マギカ』のクロスオーバーSSです。
まどか☆マギカは基本的に第10話時点での設定で進めていますが、その後のストーリーも取り入れられる部分は取り入れていきます。
ですが、勝手な妄想、設定の改変等は入るかと思います。ご了承ください。

時系列としては、まどかは最初から。
牙狼は暗黒魔戒騎士篇(TV本編)→白夜の魔獣篇(OVA)→RED REQUIEM(劇場版)終了後から更に後、
使徒ホラーをすべて封印した直後くらいと考えています。

牙狼の映像作品はすべて目を通しましたが、設定資料集は未読。
小説は読んでいる途中です。
その為、設定と食い違う可能性があります。また、意図的に改変する場合もあります。
詳しい方はどんどん突っ込みを入れていただければと思います。
その際、軌道修正できるものは修正。できなければ独自設定ということで補完をお願い致します。

PS2ゲーム、パチンコはプレイしていません。これに関しては今のところ予定はありませんので、
経験者の方、使えそうなネタがあれば是非教えていただければ幸いです。

以上、長々と前書きを失礼致しました。

前スレ
まどか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇
外部リンク[cgi]:ex14.vip2ch.com

SSWiki : 外部リンク:ss.vip2ch.com(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
2: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/03/26(月)00:05 ID:3kJPE1Eho(2/7) AAS
 ガロは左手に握った轟天の手綱を引く。轟天は高らかに嘶き、前足を掲げる。
 使い魔の群れの中に在っても、その雄姿は埋もれることなく少女たちの眼に映った。
 闇に瞬く、唯一の希望として。
 地面に叩きつけた前足から生じた衝撃波が、使い魔をまとめて吹き飛ばし、道を作る。
マミの許まで一直線に駆け抜ける道を。

 それだけではない。踏み鳴らした蹄の音はガロの右手の牙狼剣にも変化を促す。
 金色の光に包まれた牙狼剣は、より長く、厚く、幅広の剣に巨大化した。
 牙狼斬馬剣。
 堅牢な皮膚を持つホラーをも容易く切り裂く、破壊力に特化した大剣である。

「ふっっ!」

 ガロは左から右へと斬馬剣を薙ぎ払う。
ただ一振りで、衝撃波にも耐えてしつこく纏わりついていた使い魔が、完全に一掃される。
 当然、こんな雑魚の為の斬馬剣ではない。斬馬剣は名の通り、馬ごと断ち斬ることを可能とする剣なのだ。
 これは予備動作。ガロの緑の瞳には、魔女とマミしか見えていない。

 魔女が捕らえたマミを振り被った。幾度も同じ場所に叩きつけられた壁面は今、彼女の血で真紅に染まっている。
その材質はコンクリートか未知の物質か。
いずれにせよ、度々の衝撃に耐えきれず破砕した壁は、尖端を剥き出しにしてマミを待ち受けていた。

 いよいよ最後の時が訪れようとしていた。これに耐えることは流石の魔法少女でも不可能だろう。
後は喰われるか、薔薇の養分になるだけ。最早、一刻の予断も許されなかった。
 しかし、あと少し、あと少しだけ距離が足りない。轟天の脚を以ってしても、マミが串刺しになる方が僅かに早い。
 そうガロは判断し、そして轟天の脚が止まった。
3: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/03/26(月)00:22 ID:3kJPE1Eho(3/7) AAS
 馬上のガロは右に薙ぎ払った剣を、更に右に流す。腰を落とし、限界まで身体を捻じる。
鋼牙の筋肉の震えを伝えて、黄金の鎧と剣がカタカタと鳴った。
 待っているのだ。最大の力で、最高のタイミングで解き放たれる瞬間を。
狼の面のせいで読めはしないが、見つめる先はただ一点。

「ぉおおおおおおおっ!!」

 雄叫びを上げ、ガロが身を起こす。斬馬剣を固く握った両腕を振り、伸び切ると同時に――放した。
 深い溜めから、さながらハンマー投げのように斬馬剣を投げた。
放たれた剣は遠心力も手伝って、凄まじい速度で飛ぶ。

 その時になって魔女が気付くが、もう遅い。既にマミに止めを刺すべく触手を動かしているのだ。 
今さら回避行動には移れず、余った触手で防御を試みる。
 取れる対抗策はひとつしかなかったとはいえ、それこそが最大の誤算。

 牙狼斬馬剣の超重量と破壊力は、行く手を阻む触手を物ともせず、目標への道を切り開く。
 慎重に狙い澄まして放たれた一投は、軌道を変えず、勢いも落とさない。
そして"たまたま途中に在った"魔女の胴と顔面を斜め下から貫き、遂にはマミを捕らえる触手を根元から断ち切った。

 直後、金属を思い切り擦り合わせたような悲鳴に混じり、轟音と震動がドームを揺らす。
 悲鳴は魔女から発せられたもの。斬馬剣は魔女の胴体の約三分の一、顔面の半分を切り裂いて、壁に食い込んだ。

「ぁっ……」

 そんな状況で、一人の少女が漏らした呻きなど誰の耳にも届かないだろう。
 ようやく触手から解放されたマミだったが、自力での着地すら叶わないほど満身創痍だった。
 枝から落ちる花弁か木の葉の如く落下するマミ。
このまま墜ちても、どうせ結果は死。それを何となく予感しながらも、マミは抗えなかった。
4: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/03/26(月)00:37 ID:3kJPE1Eho(4/7) AAS
 後頭部を強打し、意識は曖昧。ただでさえ霞む視界は、流れた血で赤く染まっている。
五感のほとんどを奪われ、身じろぎひとつできず、為す術もない。
 奇しくも、昨夜のホラーに敗北した時と同じ状態。

 だが、閉じかけられた目蓋に、絶望に暮れかけた昏い瞳に飛び込んできたもの。
 黄金の光。
 これも昨夜と同じだった。
 
 光を映した瞳が、光を吸い込んでいくように徐々に輝きを帯びる。 
 目を見開くと、黄金の騎馬に跨った黄金の騎士が駆けてくるのが見えた。
蹄の音が次第にはっきりと聞こえ、空気の流れまで肌で感じ取れる。

 認識した瞬間、朦朧とした意識が鮮明になっていく。
 ガロが近付いているだけではない。マミの無意識が全身に魔力を送り、五感を働かせ、
痛みを遮断して、身体を動かそうとしていた。その姿を、もっと目に焼き付けようと。
 しかし、全身が砕ける寸前だった身体を、落下までの1,2秒で修復できるはずもなく。
辛うじて動くようになったのは両腕だけだった。 
 
 ガロは手綱を繰り、轟天は手綱から伝わる意思を受け、壁に向けて跳ぶ。
以心伝心――ザルバ同様、言葉を介さなくとも轟天は主の要求に正確に応えた。
 ドームの壁を四足で踏み締め、間を置かず跳躍。主をマミの許に送り届ける。

「掴まれ!」

 僅かに足りない距離を埋めるべく、右手を差し出そうとするガロ。
 マミも手を伸ばすが――そこで不意にガロの伸ばしかけた腕が止まった。
 マミが手を握り返したとして、どうなる? 

 ソウルメタルの鎧に包まれた手で彼女の手を取れば、彼女の皮膚が張り裂けてしまう。
そうなれば、今のマミの状態では命取りになる。完全に盲点だった。
5: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/03/26(月)01:17 ID:3kJPE1Eho(5/7) AAS
 或いは、人間とは異なる魔法少女なら結果は違うかもしれない。その頑強さ故に持ち堪えるかもしれない。
その身に纏う衣装は、激しい戦いに耐え得るよう魔法で生成された物。
覆われていない素肌にも、不可視の魔法の障壁があっても不思議ではない。

 だが、いずれも確証はなく、剥き出しの手以外を掴む余裕もなかった。
確実なことはひとつ。ここでマミを助けなければ、彼女は確実に死ぬ。
 指が触れるか触れないかの距離で互いに交差し、そして離れていく。
ガロが意を決して手を掴もうとした瞬間。

 黄色いリボンがマミの手から伸び、ガロの手に巻き付く。
 ガロの迷いを察したのかはわからない。
ただ、驚き混じりに見た彼女の瞳に困惑は既になく、戦意に満ちた輝きが宿っていた。
 安堵したのも束の間。血に塗れたマミの唇が動いた。
血が喉に絡んで上手く話せないらしかったが、掠れた声でたどたどしく伝えた言葉は。

「逃げて……! 魔女が……!!」

 目を遣ると、まだ息のあった魔女が再び触手を振り上げていた。明らかな重傷でありながら、その執念は凄まじい。
 復讐に燃える魔女の怒りの鉄槌。下る寸前、ガロがマミに視線を戻すと、彼女もまたガロを見ていた。
 一瞬の視線の交錯。そして、マミが力強く頷いた。

「応っ!」

 ガロが吼えると同時に、マミはリボンを可能な限り手繰り寄せる。少しでも互いの距離を縮める為に。
 振り下ろされる触手。ガロは両足を踏ん張る代わりに轟天の腹を締め、両手でリボンを握る。
それを頭上でマミごと振り回し、斬馬剣と同じく勢い良く投げた。
 
 直後、激しい衝撃がガロを襲う。宙に在った轟天とガロが一瞬で地に叩き伏せられる。
 土埃が舞い、地面を覆い隠しただけでなく、煙の如く立ち込めたそれは、魔女の視界をも奪った。
 見えていたのは、ただ一人。
 魔女よりも高みにいたマミだけだった。
8: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/03/26(月)02:19 ID:3kJPE1Eho(6/7) AAS
 ガロは決して適当にマミを投げてはいなかった。
 魔女を確実に仕留める方法、マミ自身の安全も確保できる場所はひとつ。
 マミは慣性に身を任せつつも姿勢を整え、頭を進行方向に向ける。見る見るドームの壁面が、突き刺さった牙狼斬馬剣が迫る。

 手に握ったリボン、ガロが放したリボンを斬馬剣に伸ばして結んだマミは、勢いを殺しながら身体を引き寄せた。
 深々と食い込んだ斬馬剣は、マミが乗ったくらいではビクともしない。つまりは安定した足場となる。
 眼下では、魔女が自身で巻き上げた土煙に苛立ち、闇雲に触手を振り下ろしている。それが更に土煙を立てるというのに。

 ガロを探すのに夢中で、上から悲しげに見下ろすマミには、まったく気付いていないようだった。

「あなたが元は魔法少女だとしても、私はあなたを倒さなくちゃいけない……」

――それは何故?
 魔法少女としての使命?
 鹿目さんと美樹さんを救う為?
 冴島さんへの対抗心?
 それとも……――

 心の声が問いかける。
 迷いが再び顔を出しそうになる。
 マミは首を振って、疑念を払う。
 今は考えない。言い訳もしない。

「……ごめんなさい」

 魔女に気取られる訳にはいかないので、そっと小声で呟く。
 それでも言わずにおれなかったのだ。

 リボンが螺旋に広がり、銃身を形作る。
 背中を壁に押し付け、巨大な銃を抱え、両足に力を込める。
 身体を射撃体勢で固定したマミは、ゆっくり下方に狙いを付けて引き金を絞る。

「ティロ……フィナーレ……!!」

 必殺の光弾は完全に無防備な魔女の頭上から発射され、直撃した。
 今度こそ、魔女は跡形もなく爆散しただろう。
 閃光に照らされたマミの頬を、一筋の涙が伝った。
10: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/03/26(月)02:27 ID:3kJPE1Eho(7/7) AAS
ここまで。遅れを取り戻したいので、短めでしょうが近日中にもう一度くらい。
スレタイを変えようかと思ったのですが、あまり気の利いたスレタイが浮かびませんでした。
ともあれ、このスレでもお付き合い頂ければ幸いです。

>>6-7>>9
おお!早速ありがとうございます!助かります。
しかし一部は目にしていたのですが、技名はカッコいいけど
イマイチ牙狼の世界観にそぐわないような気がしないでもないですね。
叫ばせる訳にもいかず。ともあれ、こういったことができるというのは大いに参考になります。
重ねてありがとうございました。
前次1-
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル

ぬこの手 ぬこTOP 0.235s*