[過去ログ] さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜 (1002レス)
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3: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/03/26(月)00:22:27.90 ID:3kJPE1Eho(3/7) AAS
馬上のガロは右に薙ぎ払った剣を、更に右に流す。腰を落とし、限界まで身体を捻じる。
鋼牙の筋肉の震えを伝えて、黄金の鎧と剣がカタカタと鳴った。
待っているのだ。最大の力で、最高のタイミングで解き放たれる瞬間を。
狼の面のせいで読めはしないが、見つめる先はただ一点。
「ぉおおおおおおおっ!!」
雄叫びを上げ、ガロが身を起こす。斬馬剣を固く握った両腕を振り、伸び切ると同時に――放した。
深い溜めから、さながらハンマー投げのように斬馬剣を投げた。
放たれた剣は遠心力も手伝って、凄まじい速度で飛ぶ。
その時になって魔女が気付くが、もう遅い。既にマミに止めを刺すべく触手を動かしているのだ。
今さら回避行動には移れず、余った触手で防御を試みる。
取れる対抗策はひとつしかなかったとはいえ、それこそが最大の誤算。
牙狼斬馬剣の超重量と破壊力は、行く手を阻む触手を物ともせず、目標への道を切り開く。
慎重に狙い澄まして放たれた一投は、軌道を変えず、勢いも落とさない。
そして"たまたま途中に在った"魔女の胴と顔面を斜め下から貫き、遂にはマミを捕らえる触手を根元から断ち切った。
直後、金属を思い切り擦り合わせたような悲鳴に混じり、轟音と震動がドームを揺らす。
悲鳴は魔女から発せられたもの。斬馬剣は魔女の胴体の約三分の一、顔面の半分を切り裂いて、壁に食い込んだ。
「ぁっ……」
そんな状況で、一人の少女が漏らした呻きなど誰の耳にも届かないだろう。
ようやく触手から解放されたマミだったが、自力での着地すら叶わないほど満身創痍だった。
枝から落ちる花弁か木の葉の如く落下するマミ。
このまま墜ちても、どうせ結果は死。それを何となく予感しながらも、マミは抗えなかった。
94: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) 2012/04/16(月)01:34:22.90 ID:ib9IsoDI0(1) AAS
マミさんカオルと出会う前の鋼牙と同じって言っても、戦う理由や覚悟自体は持っていたからな鋼牙は
ある日突然理不尽に魔法少女にならざるを得なかったマミさんとは環境が違うから仕方ないけど
129: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) 2012/04/23(月)01:56:43.90 ID:ep9doNSk0(1/2) AAS
乙です
3話でのマミさんがほむらに言った
「自分より強い相手は邪魔者ってわけ?」っていう台詞がそのままマミさんに当て嵌まってる件
188: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/05/11(金)02:37:17.90 ID:Lb8eNkgno(4/9) AAS
命は軽く苦笑して続けた。
「ほんとはね、最初にあなたに助けられたと知った時、警戒したの。
だってそうでしょう? 女の子が、あんな恐ろしい怪物と戦う力を持ってるなんて信じられなかった。
理解してからも、きっと普通の人間と根本から違う、もっと何か超然とした存在だと思った」
マミは答えられなかった。
昨夜までなら、面と向かって答えられただろう。
自分はあなたと同じ人間だと。
だが、魔法少女の生命の在り方に疑問を持ってしまった今となっては不可能だった。
「でも違った。話してみて、よくわかった。
あなたは普通の中学生……って言ったら失礼かもしれないけど、心は普通の女の子。
ちょっと寂しがり屋な、普通の――」
戸惑うマミの頭に、そっと手のひらが乗せられ、温かい手は金髪を優しく掻き撫でる。
マミがしてくれた行為と厚意を、そのまま返すかのように。
「なのに私を助けてくれた。怖くて辛いのに、それでもなお人の為に戦えるあなたは魅力的だわ。
鋼のように揺れない心の正義の味方よりも、よほどね」
初めてだった。こんなふうに自分の弱さを魅力的だと言われたことは一度もなかった。
それ以前に、魔法少女の事情を誰にも明かしたことがなかったから。
「だからあの娘たちも、昨日今日出会ったばかりでも、あなたを慕ってるのね。
あれは単に命を助けられたからってだけじゃないと思うわ」
「そうなんでしょうか……」
「ええ。あなただって彼女たちのこと、まるで妹みたいに気遣ってるように見えたけど?」
「妹みたいに……」
297: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/06/11(月)02:41:05.90 ID:tOv9yjbAo(8/9) AAS
ほっと息をつくさやか。
不安は、恭介が軽く笑い飛ばしてくれた。そういえば、そんな話は聞いた覚えがあるような。
やはり杞憂に過ぎなかったのだと気を取り直した。
「でも僕にも似たような経験はある。
頑張っても頑張っても弾けなかった曲が何かの拍子に突然弾けたり、とか。
大げさだけど、そんな時は奇跡が起こってる気さえした。だから真実は誰にもわからない。
ひょっとしたら、天使や悪魔を見た人だっているかもしれないね」
「へぇ……恭介にも、そんな経験あるんだ……」
「勿論あるさ。もっとも、僕はそこまで極限に迫ったことはないけれど。
もし仮に、そんなものが見えるとしたら、それは本当に凄絶な精神状態だろうね。
過去、数多の芸術家や音楽家が狂気に取り憑かれ、身を削り、滅ぼしながらも作品を遺した時みたいに」
たぶん恭介も同じ。彼は音楽しか見ていない。彼を想う自分の気持ちも見えていない。
だが、それでもいいと、さやかは思っていた。
自分のものにならなくても、他の誰かのものにならないなら。
誰より近くにいられるのなら。
それでもいいと、思おうとしていた。
音楽を語る時、往々にして彼は多弁になる。
芸を極めようとする人は、多かれ少なかれ他人と違うものが見えているのかもしれない。
素養も素質もさっぱりなさやかには些か理解し難い感覚ではあったが。
内容は理解できなくても、さやかは彼の話が好きだった。
彼の音楽が好きだった。
彼が好きだから。
理由は、それだけで充分だった。
592(2): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/09/06(木)23:45:58.90 ID:OlpuwbdV0(1) AAS
すごく局地的で申し訳ないけど
今夜チャンネルNECOで雨宮監督の「ゼイラム」が2時半からやる。
よく「レギュレイスがゼイラムに似てる」とかいう声を聞くし
ゴンザさん役の蛍雪次郎さんも出るからもし受信してる人あらば見てみるといいかも
・・・かく言う俺も見たことないんだけどねww
牙狼のルーツを探る意味でも、ね。
939: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/01/12(土)03:55:22.90 ID:4pqoiOsuo(1/9) AAS
*
もともと自殺しようとしていたのだから、細工は簡単で済んだ。
男は自殺として処理され、女は悲しみに暮れるただの恋人でしかなかった。
実際に心から悲しみに暮れてはいたのだから、誰に怪しまれることもなかった。
女に向けられたのは、非難ではなく同情。
真実は闇に葬られた。
一時は安堵したものの、すぐに過ちだったと気付く。
夜毎の悪夢にうなされ、猜疑心が精神を埋め尽くす。自責の念は、絶えず重く圧し掛かる。
存在を認められない罪は許されもしない。かと言って、今さら真実を告白し、罰を乞う勇気もなく。
犯した罪に苛まれ、女は緩やかに壊れていった。
否、あの日に壊れていたのだとすれば、深みへ堕ちていったと言うべきか。
ある夜、街を歩く女は、ふと懐かしい音色を聞いた気がして振り向く。
すれ違ったのは、ヴァイオリンケースを持った少年だった。
少年は新聞に載った経験もあるが、知名度があるかと言えば然程でもない。
周囲の人間を除けば、ヴァイオリンに興味のある人間しか目に留めないだろう。
少年にとって不幸だったのは、彼女がヴァイオリンに未練を残していたこと。
実際にコンクールなどで少年の姿を眼にし、印象に残っていたこと。
そして何よりも、彼女が正気を失い、狂気に支配されていたこと。
彼の技術と資質は、直接その目と耳で感じた。
まだ十代前半にして才気に溢れ、既に想い人と並ぶ――将来的には超えるだろうと予感した。
天才というのは確かにいるのだと、震えが走ったのをよく覚えている。
983: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/05(火)10:40:47.90 ID:goZ0wbqAO携(1) AAS
>>1乙
なるほどアスモデイの時のアレか。
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