[過去ログ] さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜 (1002レス)
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167: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/04/30(月)01:53 ID:riuFgEhho(2/6) AAS
「……ごめんなさい、からかったりして。ひょっとして重い怪我なの……?」

「幸い、そんなに重くはないそうですけど、手が……。
将来を期待されてたヴァイオリンも、また弾けるようになるかわからないって……」

「そう……」

 とだけマミが言うと、それきり沈黙が訪れる。全員が続く言葉を失っていた。
 話を逸らすつもりが、思いがけず重い話を聞いてしまったと、マミは後悔した。
 まず、さやかへの申し訳なさ。本人が不在なのに深い事情を知ってしまった。
そして辛いだろうに、それを語らせてしまったまどかにも。

 次第に騒がしくなりつつある周囲のざわめきから、隔絶されたかのような静寂。
 マミは命が上手く空気を変えてくれることを期待したが、
彼女はテーブルに肘をつき、組み合わせた手で目を隠しており、その表情は窺えない。

 命でさえ気の利いた慰めが思いつかないのだ。
きっと、今は何を言っても空虚にしか聞こえない。
 言葉は口から出た瞬間に力を持つ。相手を、時には自身を傷つけもする。
 故に、役に立たない言葉は封印して黙るしかなかった。

「ごめんなさい、湿っぽくしちゃって……私、そろそろ帰らなきゃいけないんで失礼します」

 まどかが立ち上がってお辞儀をする。気を遣わせてしまったのは明白だが、止めはしなかった。
この場には居辛いだろうし、帰らなければならないというのも嘘ではないだろう。

「うぅん……こちらこそ、ごめんなさい。今日は色々迷惑かけちゃったし、ここは払わせてちょうだい、ね?」

「ありがとうございます……それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらいますね」
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