[過去ログ] さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜 (1002レス)
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154(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) 2012/04/24(火)03:04 ID:fjr0E9yio(1) AAS
>>147
どっちかと言うと、GAROは蹂躙する側に回されそうな気がする。
最低系SSで蹂躙される側になるのは、リリなのとかネギまみたいな、戦う美少女が大勢出て来る作品が多いし…。
GAROは男所帯だからな。
ただ、牙狼の力だけパクった転生オリ主とかは大量発生しそう…。
155: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/04/24(火)09:13 ID:KBiNANoDO携(1) AAS
アニメ牙狼がみたいって人は「鴉ーKARASー」を見れば幸せになれると思うよ。
156: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/04/24(火)10:05 ID:zxb4cyWgo(1) AAS
伸びてるから投下きたかと思ったらお前らなぁ
157: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2012/04/24(火)19:29 ID:05uoFAIi0(1) AAS
>>145
スクールランブルの烏丸君だね。
158: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) 2012/04/24(火)21:29 ID:VdbOp6D40(1) AAS
>>136
それどこの草加雅人だよ
159: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/04/24(火)22:58 ID:UV6X8Zd/0(4/4) AAS
ゲノジカの中の人か。
160: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/04/25(水)04:30 ID:V5GfNWZz0(1) AAS
>>154
現状でもちらほらとあるからなぁ
オリ主で黄金騎士牙狼の称号持ちのクロスとか……
個人的にはオリ主で魔戒騎士になるのはいいが称号とかもオリジナルにしろよと思ってしまう……
ただ一番酷いのは名前冴島鋼牙のままで年齢とかイジるタイプだな
161: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) 2012/04/25(水)10:59 ID:wd/Pbq6W0(1) AAS
SS速報なのに…みんな陰我濃すぎ落ち着こうね
162: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/04/25(水)12:26 ID:K8Lhy0wIO携(1) AAS
臭い奴らが増えたな
おまえらの妄想なんかどうでもいいから、チラシの裏にでも書いてろよ
163: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) 2012/04/25(水)13:27 ID:ssLK9Baso(1) AAS
マミさん叩きがヤバかったので、何とか話題を逸らしてスレの空気を変えようとした結果が今の状態。
何とか沈静化したものの、雑談の空気は残ってしまったのね。
>>1の投下以外でこんなに消費するのもアレだし、そろそろ自重しようか。
俺も自重する。
164: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/04/25(水)18:33 ID:PV20FM4SO携(1) AAS
じゃ作品の感想というか、
MAKAISENKIを見てたらこれの第二話のタイトル「牙城」が終盤でサブタイになってて、
ちょっと、おぉっと思ったよ。時期からして偶然なんだろうけど、面白いシンクロだなと。
165: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/04/28(土)19:06 ID:/WXIZI1u0(1) AAS
今更感すごいけど>>151の感想
あのアニメ骨董市で「キバクロウ」買った後見たからオブナ像出てきて噴いたよ、懐かしいなぁ。
「キバクロウ」ってのは雨宮監督の出した(漫画とは呼べない)本で興味のある人はAmazonで中古のみ2,300円で売っておりますのでよかったら是非。
166: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/04/30(月)01:51 ID:riuFgEhho(1/6) AAS
「クスッ……賑やかな娘ね」
周囲の椅子を蹴散らしながら去っていくさやか。
台風が過ぎた後のように静まり返ると、命が口を開いた。
まどかはというと、自分のことのように身を縮こまらせている。
マミは、自然と笑みを浮かべていた。
さやかよりも、さやかのことで恥じらうまどかが可笑しくて、可愛くて、
もう少し見ていたい気分に駆られる。
とは言え、このままでも可哀想なので、話を逸らしがてら尋ねてみる。
「面会時間とか病院って言ってたけど、誰かのお見舞い?」
「あ、はい。クラスメイトで、さやかちゃんの幼馴染の男の子なんですけど、
先月から交通事故で入院してて……」
「何? ひょっとして彼氏とか?」
命が嬉々として口を挿むも、まどかは力なく首を振った。
「そういうのじゃないんです。でも、さやかちゃんは気に掛けてて、
よくお見舞いに行ってるんです」
命もマミも、暫く何も言わなかった。いや、言えなかった。
まどかが表情を曇らせていたからだ。軽い調子で語れる話でないことは明らかだった。
167: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/04/30(月)01:53 ID:riuFgEhho(2/6) AAS
「……ごめんなさい、からかったりして。ひょっとして重い怪我なの……?」
「幸い、そんなに重くはないそうですけど、手が……。
将来を期待されてたヴァイオリンも、また弾けるようになるかわからないって……」
「そう……」
とだけマミが言うと、それきり沈黙が訪れる。全員が続く言葉を失っていた。
話を逸らすつもりが、思いがけず重い話を聞いてしまったと、マミは後悔した。
まず、さやかへの申し訳なさ。本人が不在なのに深い事情を知ってしまった。
そして辛いだろうに、それを語らせてしまったまどかにも。
次第に騒がしくなりつつある周囲のざわめきから、隔絶されたかのような静寂。
マミは命が上手く空気を変えてくれることを期待したが、
彼女はテーブルに肘をつき、組み合わせた手で目を隠しており、その表情は窺えない。
命でさえ気の利いた慰めが思いつかないのだ。
きっと、今は何を言っても空虚にしか聞こえない。
言葉は口から出た瞬間に力を持つ。相手を、時には自身を傷つけもする。
故に、役に立たない言葉は封印して黙るしかなかった。
「ごめんなさい、湿っぽくしちゃって……私、そろそろ帰らなきゃいけないんで失礼します」
まどかが立ち上がってお辞儀をする。気を遣わせてしまったのは明白だが、止めはしなかった。
この場には居辛いだろうし、帰らなければならないというのも嘘ではないだろう。
「うぅん……こちらこそ、ごめんなさい。今日は色々迷惑かけちゃったし、ここは払わせてちょうだい、ね?」
「ありがとうございます……それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらいますね」
168: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/04/30(月)01:59 ID:riuFgEhho(3/6) AAS
命の提案にまどかは迷う素振りを見せたが、やがて躊躇いがちに頷く。
そして鞄を持って帰ろうとするところを、マミが呼び止めた。
「ねぇ、鹿目さん。最後にひとつだけ聞いていいかしら?」
「はい?」
マミは振り向いた彼女の顔、その眼をじっと見つめる。
くりっと大きく、まだ純粋で穢れを知らない円らな瞳を。
見ていると、形容し難い複雑な感情――敢えて言葉にするなら保護欲と嫉妬が混ざったような――を覚えたが、
それらは胸の奥に沈めて質問はひとつ。
「あなた、願い事はある? もしも魔法少女になるとして、キュゥべえに頼みたい願いが」
真摯なマミの眼に射竦められたまどかは硬直し、目線だけを忙しなく彷徨わせる。
それから三十秒ほどして、ようやく想いを口にした。
「え……っと……。正直、まだ……わかりません……」
自信なさ気に絞り出した声は、三十秒も待たせた答えがこれで申し訳ないと、
秘めた謝罪の念を感じさせた。
が、マミは責めない。元より予想できていた。
むしろ、突然質問されてすぐに答えられる方がおかしい。そっちの方が真剣さを疑う。
迷うのは、事の重大性を正しく受け止めている証拠だ。
「そう……よく考えてみてね。
魔法少女になれば、今日の私みたいになるかもしれないことも念頭に置いて」
迷える後輩に的確なアドバイスを送る為に。
彼女たちが頼れる先輩だと、誇れる自分で在る為にも。
169: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/04/30(月)02:01 ID:riuFgEhho(4/6) AAS
――私は、真実を知らなければならない。
マミは静かに決意する。
一応の念押しと、勇気と決断の切っ掛けを得たくての問いだった。
だから、もういい。
「ごめんなさい、呼び止めて。家まで送りましょうか?」
「いえ、大丈夫です。失礼します」
そう言って、今度こそまどかも帰っていく。
マミは、ふーっと細く長く息を吐いた。肺の空気と一緒に、心に溜まっていた淀みが流れていく気がした。
そのことに不思議な心地良さを感じ、自然と頬が緩む。
「いい顔になったわね」
「えっ?」
向かいに座った命が、マミを見て目を細めていた。
どうやら、ずっと見ていたらしい。気付くと、途端に恥ずかしくなる。
「そう……でしょうか……」
「うん。さっきまではこう……キッ! と張り詰めて頑張ってる感じがしたけど、
今はリラックスしてるんじゃない?」
命の言う通り、自分を苦しめていた重荷がひとつ下りて、今は少し心が軽い。
現状が何か変わった訳ではないが、覚悟を決めただけで、世界が違って見える気がした。
あくまで気がしただけだが、それで充分。
170: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/04/30(月)02:13 ID:riuFgEhho(5/6) AAS
マミの表情にも雰囲気にも、切れる寸前まで張った弦のような危うさは既になく、
険が取れて柔らかになっていた。
指摘されて初めて、それを自覚する。
「だとしたら……夕木さんのお陰かもしれません」
「私? 私は何もしてないわよ?」
「はい。私が勝手にそう思ってるだけですから」
命が訳がわからないと首を傾げる様が無性に可笑しくて、マミはクスッと小さく吹き出した。
それは、マミが久しく見せなかった素の笑顔。
後輩の前で見せる上品で優雅なそれとも異なる、歳相応の子供らしい顔。
クラスの友人の前でも滅多に見せたことがない。家族を亡くしてからというもの、
どこか他人に対して一線を引き、強く頑なな自分を作ろうとしていたから。
それが崩され、否定され、打ちひしがれていた時に、その価値を認めてくれたのが彼女だった。
人と人との仲は、必ずしも時間と共に深まるとは限らない。
少なくとも、一方的に好意を抱く分には、時間はさほど重要ではない。
例えば自分とまどか、鋼牙とさやかのように。
前者のように共通する物は何もないし、後者ほど劇的な出会いでもない。
ほんの些細な巡り合わせ。
それでもマミは、命に好意を抱き始めていた。
171: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/04/30(月)02:26 ID:riuFgEhho(6/6) AAS
短いですが、ここまで。結局、一週間も開いてしまいました
何日か書いていないと勘が鈍ってしまい、思うように手が進みませんでした
しばらく文体も二転三転すると思いますが、頑張って取り戻したいと思います
たくさんの感想ありがとうございます。参考にさせていただきます
議論雑談も、脱線し過ぎない程度なら好きにして下さって構いません
現状のマミのキャラ付けに不満を感じる方もいらっしゃるようで、申し訳ありません
ただ、クロスオーバーを書く際に、どちらか一方だけを贔屓はしたり貶めたりはしないよう心がけています
下げることがあっても、上げるための前振りだと思っていただければ
172: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) 2012/04/30(月)19:42 ID:vMBFihC0o(1) AAS
乙です。
鋼牙不在、謎キャラとマミさんが2人きり…と、まだ一波乱ありそうな予感だけど、
近くに黒コートの人が居てくれるみたいなので安心感が凄いw
173: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/04/30(月)20:28 ID:54TH8PvSO携(1) AAS
良かったね、マミさん!
と言いたいところだけど、嫌な予感しかしない……
174: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/05/01(火)02:19 ID:PsQvjANIO携(1) AAS
乙です
マミさんがあがるのを期待しております
175: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/05/01(火)11:00 ID:9ziFBdvi0(1) AAS
乙であります!
まさか命さんが・・・いや、まだわからない。
関係ないが昨日、マミさんが暴走した魔界竜(烈花が連れてる金魚が成体になったもの。デカイ。初代パチ版オリジナルホラー)をティロフィナーレで瞬[ピーーー]るという夢を見た・・・ww
マミさんぱねえと思ったよww
しかも全然関係ないストライクウィッチーズのキャラが苦戦してるときにお助けに入ってた・・。
176: ◆ySV3bQLdI. [sage saga] 2012/05/07(月)02:25 ID:5I3lt98Io(1) AAS
筋は決まってるのですが、上手く文章化できず……ちょっとスランプ気味です
もう2.3日お時間を頂きたいと思います
177(2): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/05/07(月)06:05 ID:4UcbPnXd0(1) AAS
このMAD見て頑張ってください。
出来たのが放送から時期が過ぎちゃったせいで観閲が少ないだけで普通にイチオシのMADです。
【終端の王と魔戒の騎士】
動画リンク[ニコニコ動画]
番組はもう終わっちゃったけど、このSSを応援しています。最後まで超頑張れ!!
178(2): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/05/08(火)10:03 ID:0dEEbbCH0(1/2) AAS
以前パチ版の必殺技を列挙したものですが、最新作魔戒閃騎での新必殺技と前回描き漏らした技を紹介させてください。
烈火激竜(れっかげきりゅう)
初代牙狼の牙狼最強技。竜の形をした烈火炎装をくり出す。
咆哮渦炎(ほうこうかえん)
魔戒閃騎での牙狼弱攻撃。渦を巻く烈火炎装。
光翼天翔(こうよくてんしょう)
地面から無数の牙狼剣を召還し、牙狼と共に突進する。剣の群れが鳳凰の形になる
英霊進軍(えいれいしんぐん)
牙狼の称号を受け継いだ英霊たちとともに突撃。牙狼最強攻撃。
魔導全戒(まどうぜんかい)
全ての魔戒騎士と魔戒法師が力をあわせて放つ究極合体技。光矢流星の雨が降りそそぐ。
四騎一閃(よんきいっせん)
牙狼、絶狼、打無、破狼の究極合体技。
邪烈剣撃(じゃれつけんげき)
邪美と烈花が牙狼剣に力を込め、強烈な一撃を放つ。
ここからはスピンオフ機・暗黒騎士呀鎧伝の風雲騎士・バドの技です。
闘破雷撃・雷撃憑依(とうはらいげき・らいげきひょうい)
原作にも出てきた雷を操る技。闘破〜は雷を纏い突撃する技、〜憑依は電撃を浴びせる技。虎のエフェクトが出現する。強攻撃。
闘破風刃・風刃憑依(とうはふうじん・ふうじんひょうい)
風を操る技。〜憑依では鳳凰のエフェクトが出現する。中攻撃。
闘破水厳・水厳憑依(とうはすいがん・すいがんひょうい)
水を操る技。〜憑依では竜のエフェクトが出現する。弱攻撃。
179: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/05/08(火)12:35 ID:PKMy1yYDO携(1) AAS
>>178
パチRRの牙皇降臨状態のキバ倒した技はなんだっけ?
180(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/05/08(火)13:12 ID:0dEEbbCH0(2/2) AAS
絶・烈火炎装。炎を身に纏って高速スピードで斬りつける技ですよ。
もっとも、RRはこの技自体より呀の攻撃を耐える時の回想がメインな感があるね。
クルスを竜陣牙狼になって倒す技もあるけどこれは技名はありません。
181: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) 2012/05/08(火)21:46 ID:8SdEI2Jf0(1) AAS
>>177
初めて聞いたわその曲。
騎士とかゲートとか駿馬とかの、GAROに通じる用語が出てきて面白いんだけど、
曲調がGAROの世界観に合ってない気が……。
ただ、大塚明夫のナレはカッコいい。
182: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/05/09(水)23:26 ID:VlkZDDw00(1) AAS
>>180
あれは完全にFF7ACの超究武神覇斬ver5だったよなww
そういやクラウドもモチーフ狼だっけか
183: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/05/10(木)01:54 ID:V780uZ4l0(1) AAS
ああ、超究武神覇斬ってFFの技だったんですか。
動画で見てその技名が出てきたときは
てっきり同じサンセイ台の武神烈伝のスペエンの技かと思ってたww
バドは絶狼の兄弟子ということは
絶狼も極めればこういう雷とかを操る技が使えるのかなーと思ってしまうね。
しかも姿を消す忍者みたいなこともしてたし。
184: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) 2012/05/10(木)23:50 ID:kcGgFQbYo(1) AAS
バドは倒されても幽霊になって現れるらしい
二度目に戦ってた場所墓地だったし
185: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/05/11(金)02:28 ID:Lb8eNkgno(1/9) AAS
それからマミは、趣味、学校、進路などを聞かれるがままに話し、またマミから命に尋ねたりもした。
短いけれど充実した時間。赤の他人だからだろうか、いつになく多弁になっていく。
学校とも親戚とも魔法少女とも接点のない、行きずりの関係。だからこそ気楽だった。
しかし反面、今日この場限りで終わってしまうのが寂しくもあるような――。
時間が過ぎ去るのが惜しい。
情けないことに、如何に覚悟を決めても、この後のことを考えると多少は気が重い。
キュゥべえはまだ家にいるだろうか。いや、いなくとも彼なら呼べば来るだろう。
つまり、すべてはマミの心ひとつ。
そして命が時計を確認した時、マミは次に続く言葉を恐れ、
「あら、もうこんな時間。あなたも、そろそろ帰った方がいいかもしれないわね」
不安は見事に的中した。
マミの表情が目に見えて陰る。
できるなら、もう少しだけ。
後ろ髪を引く思いが、自然と口をついて出る。
「いえ……私はまだ大丈夫ですけど……」
「でも、親御さんが心配するんじゃない?」
「っ……! どうせ……どうせ、家に帰っても誰もいませんから……」
顔を伏せ、口の端を歪め、自嘲気味に吐き捨てた。
ひゅっ、と息を呑む音が聞こえたが、命を見ることはできなかった。
ただ唇を噛み締め、膝に乗せた震える握り拳を見つめる。
186: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/05/11(金)02:33 ID:Lb8eNkgno(2/9) AAS
胸が苦しい。
いつもなら、こんな程度で動揺したりしない。
自分では立て直したつもりでも、未だ不安定な感情は意のままにならず、
親の件に触れられた途端、容易く暴走した。
そして訪れる再びの静寂。マミは、じっとそれに耐えた。
やがて、頭の上から声が届く。
「ごめんなさい……また私、無神経だったね」
ハッと顔を跳ね上げると、命もまた沈痛な面持ちで俯いていた。
どうして彼女が謝る。命は何ひとつ悪いことをしていないのに。本当に謝るべきなのは――。
マミは深い罪悪感に襲われ、
「あ、いえ……私の方こそ、ごめんなさい。ちょっと思い出しちゃっただけで、
夕木さんは悪くありません。むしろ楽しかったから、暗い家に帰るのが少し寂しくなって……」
適当に取り繕う。
思い出したのは嘘ではないが、それだけではなかった。
だが、本当の理由を口にできるはずもない。
やっと命が顔を上げたのを確認したマミは、目を閉じ深呼吸。
それから数秒して目を開け、おもむろに切り出した。
「あの、良ければ少しだけ私の話に付き合ってもらえませんか……?」
互いに毅然とした視線が交差し、命が黙って頷くと、マミは語り始める。
魔法少女の契約を交わした理由と、それからどうやって生きてきたのかを。
187: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/05/11(金)02:34 ID:Lb8eNkgno(3/9) AAS
両親を喪った交通事故。
キュゥべえとの契約で生きたいと願い、自分だけ生き長らえてしまったこと。
遠縁の親戚と折り合い悪く、見滝原で独り暮らしてきたこと。
魔法少女として魔女と命を懸けて戦ってきたこと。
五分ほど掛けてマミは語り終えた。
人に語るのは初めてだが、涙は出なかった。淡々と、詰まりもせずに話し続けられた。
すべては過去。何十回、何百回と枕を濡らした夜も、気付けば随分と昔のように思える。
「そう……だったの……」
命が、どうにかといった感じで一言だけ発した。
突然過ぎて何と言ったらいいのかわからないらしい。
どれだけ待っただろう、心の整理がついたのか、命は口を開いた。
「でも、どうして私なんかに、こんな大事な話を?」
「何となく、でしょうか。誰かに聞いてほしかった……いいえ、夕木さんが優しかったから、
つい甘えてしまったんだと思います。ごめんなさい。こんな重い話、聞かされても迷惑ですよね?」
不安げに反応を窺うマミに、命はゆっくりと首を横に振る。
柔らかな光を放つ眼も、唇の狭間から覗く形の良い歯も、今は隠して。
「ううん、とんでもない。嬉しかった。私を信用してくれて話してくれたことも、
私を助けてくれたヒーローが、とっても立派な人だったのも」
「立……派? 私が、ですか? それにヒーローって……」
きょとんと目を丸く、首を傾げて、次々に質問をするマミ。
188: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/05/11(金)02:37 ID:Lb8eNkgno(4/9) AAS
命は軽く苦笑して続けた。
「ほんとはね、最初にあなたに助けられたと知った時、警戒したの。
だってそうでしょう? 女の子が、あんな恐ろしい怪物と戦う力を持ってるなんて信じられなかった。
理解してからも、きっと普通の人間と根本から違う、もっと何か超然とした存在だと思った」
マミは答えられなかった。
昨夜までなら、面と向かって答えられただろう。
自分はあなたと同じ人間だと。
だが、魔法少女の生命の在り方に疑問を持ってしまった今となっては不可能だった。
「でも違った。話してみて、よくわかった。
あなたは普通の中学生……って言ったら失礼かもしれないけど、心は普通の女の子。
ちょっと寂しがり屋な、普通の――」
戸惑うマミの頭に、そっと手のひらが乗せられ、温かい手は金髪を優しく掻き撫でる。
マミがしてくれた行為と厚意を、そのまま返すかのように。
「なのに私を助けてくれた。怖くて辛いのに、それでもなお人の為に戦えるあなたは魅力的だわ。
鋼のように揺れない心の正義の味方よりも、よほどね」
初めてだった。こんなふうに自分の弱さを魅力的だと言われたことは一度もなかった。
それ以前に、魔法少女の事情を誰にも明かしたことがなかったから。
「だからあの娘たちも、昨日今日出会ったばかりでも、あなたを慕ってるのね。
あれは単に命を助けられたからってだけじゃないと思うわ」
「そうなんでしょうか……」
「ええ。あなただって彼女たちのこと、まるで妹みたいに気遣ってるように見えたけど?」
「妹みたいに……」
189: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/05/11(金)02:40 ID:Lb8eNkgno(5/9) AAS
自覚はまったくなかった。傍から見ると、そう映ったのだろうか。
ただ、同じ魔法少女の素質がある二人を放っておけなかった。
彼女たちが心から望む最良の選択をして欲しかった。
仲間になってほしいという願望が根底に潜んでいたことは否定できない。
けれども、無理強いは絶対にしたくなかった。
何故か。
――大切にしてほしいと思ったから……。
あの娘たちには、どんな願いでも叶えられるチャンスが一度だけある。たとえ終わらない戦いと引き換えだとしても。
だって私には、選択の余地すらなかった。
そして、あとひとつは大切にしたいと思ったから。
思い出すのは、とある一人の少女。
一緒に戦い、やがて袂を分かち、今もどこかで独り戦っているであろう少女。
彼女が自分自身の願いに傷付き、私の許から離れていった時。私は彼女を力尽くでも止めようと戦い、しかし止められなかった。
今でも時折、考える。他に術はなかったのかと。
もっと私に何かできていれば、彼女を救えたかもしれない。
あんな冷たい、それでいて切なく辛そうな眼をさせずに済んだかもしれないと。
今度こそ私は間違えたくない。私が、あの娘たちの道標になれるように。でも……――
その想いは、普通の後輩に比べれば、ずっとずっと深い感情だと思う。
しかし、それが果たして肉親に向ける情に近いのかどうか、マミ自身にも判然としなかった。
「そんな、妹だなんて。よくわかりません。私、一人っ子ですし」
「正直言って、少し意外だったのよね。あなたって随分と面倒見がいいから、てっきり……」
190: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/05/11(金)02:44 ID:Lb8eNkgno(6/9) AAS
実際、そのような目で見られることは多かった。
頼られるのは嫌いではない。だが、時に勝手なイメージを押し付けられて、辟易としていたのも事実。
「私、ずっと姉か妹が欲しかったんです。
昔は友達……の妹を見てて、いいなって思ったりしたんですけど、今は……」
チラリと上目遣いに命を窺うマミの頬は、照れで微かに朱に染まっていた。
彼女は、本当に人の心に入り込むのが上手い。
優しくて、大らかで、会話上手で。これが人生経験だとしたら大したものだと思う。マミはすっかり命に心を許してしまっていた。
そんなマミの気持ちを知ってか知らずか、ふと話が途切れた頃、
「ねぇ、図々しいかもしれないんだけど、もし迷惑でなければ、また会えないかしら」
と命が言った。
耳に届いた瞬間、マミは全ての動作を――呼吸さえ止めて固まった。
まさか、命の方からそんな頼みが聴けると思わなかった。
彼女が何気なく呟いた一言は、マミが切望して止まなかった言葉。
だが、もしも拒絶されたらと思うと、臆病故に切り出せなかった。
「私と……ですか?」
「もちろん。あの二人が一緒でもいいし、あなた一人でも。日頃の息抜きに遊んだり、お茶飲んだりしましょ?
私まだ、こんな程度であなたに恩返しできたなんて思ってないもの。
それとも、やっぱり迷惑? 私じゃストレス解消にもなれない?」
寂しげに眉をひそめる命に、マミは激しく首を振る。
あり得ない。今日この数十分だけでも、どれだけ心が華やぎ、安らいだか。
答えは訊かれる前から決まっていた。
191: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/05/11(金)02:47 ID:Lb8eNkgno(7/9) AAS
「私の方こそ……是非……お願いします」
恥ずかしくて返事は途切れ途切れ、目線も下がっていく。
すると、またしても頭に柔らかい感触。しかも、さっきよりも強く。
なのに不快感は欠片もなかった。
「もう! 可愛いわね、あなたってば! ほんと、食べちゃいたいくらい」
「ちょっ、夕木さん!?」
戸惑いの声にも構わず髪を掻き撫でる勢いは増し、マミが顔を上げると、覗き込む大きな瞳と目が合った。
「せっかく仲良くなれたんだから、命って呼んでほしいな。私もマミちゃんって呼んでいい?」
「は、はい……命……さん」
「ありがとう、マミちゃん」
たったそれだけのやり取りが、涙が出るくらいに嬉しくて。マミは泣きそうになるのを必死に堪えるだけで精一杯だった。
みっともないところを見せたくない。でも、もし泣いたとしても、きっと彼女は泣き止むまで抱き締めてくれる。
そしてまた涙が流れてしまうのだ。
胸に溢れる喜びと安堵を噛み締めながら、マミは思っていた。
――私を褒めてくれる。労ってくれる。包んでくれる。
私の帰る場所。私がずっと求め続けてきたもの。それは多分……――
もしかしたら、彼女がなってくれるかもしれない。
高望みだと知りながら、マミは更なる期待を抱かずにいられなかった。
192: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/05/11(金)02:48 ID:Lb8eNkgno(8/9) AAS
それから程なくして二人は別れた。早速、明日また二人を誘って会う約束をして。
帰路、夜空を見上げるマミの表情は晴れやかだった。再会を約束したから、笑顔で別れることができた。
帰ったらキュゥべえを問い詰めるつもりだ。
そこで得られる魔法少女の真実は、おそらく重く厳しいだろう。
キュゥべえとも、これまで通りの関係ではいられないかもしれない。
けれども迷いはなかった。
友達を失うとしても、過酷な現実を突きつけられたとしても、受け止めてくれる逃げ場所があるから。
――命さんに真実を話せなくてもいい。ただ、傍にいて笑ってくれさえすれば。
それだけで、私は独りじゃないって思える。どんなに辛くても耐えられる。
だから私……今はもう、何も怖くない――
193: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/05/11(金)02:54 ID:Lb8eNkgno(9/9) AAS
ここまで、次は来週中までにはなんとか
どうすればマミさんを籠絡できるのか、そんなことばかり考えていたら遅くなってしまいました
>>177
素敵なMADを紹介して下さってありがとうございます
Sound Horizonは馴染みがなかったのですが、上手く雰囲気が合っていました
>>178
ありがとうございます
こんなに多彩な技があると、参考になります
ここぞという場面ではどれか使ってみたい
194: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/05/11(金)13:23 ID:VMwuH307o(1) AAS
命さんにビンビンにフラグが立ってますなぁ……
195: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/05/11(金)13:32 ID:P3X6uFuSO携(1) AAS
もう何も怖くないはフラグだよなぁ
「食べちゃいたいくらい」が性的な意味ならいいが、食事的な意味なら……
今度こそ絶望のドン底まで叩き落とされるマミさんが見えるようだ
196: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) 2012/05/11(金)15:33 ID:J25tH/G/0(1/2) AAS
仮にみんなの予想通りになったとしてだ…
これマミさん無事でもまどポのマミ√の母親みたいに「生きてても苦しいだけ…もう私には何もない…」ってなって
キャンデロロちゃん、こんにちわな未来しか見えない…
197: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/05/11(金)17:04 ID:2lL0BlqSO携(1) AAS
何を言うか。そのための「守りし者」だろうに。「可能性があるかぎり、諦めるな」だよ。
198: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) 2012/05/11(金)17:35 ID:J25tH/G/0(2/2) AAS
でもなぁ。鋼牙や零、魔戒騎士が助けてもそれがマミさんのプライドや自尊心を粉々にして
それがますます絶望に拍車をかける所しか想像出来ないんだよな
今の現状で鋼牙や零の言葉がマミさんの心に届くとは到底思えないし…
199(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/05/11(金)22:20 ID:EOCipAls0(1) AAS
「俺が助けたのはお前の命だけではない。お前がこれから助ける多くの命も助けたんだ。一つの命は大勢の命につながっている!」
カオル、零、邪美、翼、烈花。人生に絶望したり、戦いに心をすり減らしていた朋友達の心も鋼牙は救ってきた。
希望が救うのは命だけではない。
そういうもんでしょ?ガロ(希望)とザルバ(友情)が勝つストーリーって。
200: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) 2012/05/11(金)22:39 ID:RTCHRJlw0(1) AAS
その台詞、マミさんに言っても逆効果だろ
余計、自分と比べてまた惨めな気持ちになると思う
言葉や姿勢ですんなり納得するような強いキャラばかりならまどマギ本編はああはならない
201(2): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga] 2012/05/12(土)00:13 ID:eqKapyKjo(1) AAS
マミさんは豆腐メンタルと言われるけど、強い面と弱い面が同居してるイメージかな
10話のアレにしたって衝動的な行為だったにもかかわらず、
三人の能力や性格を考えて実に的確に殺りにいってるよね
ああ言って仮にあれが上手くいってたとしても、その後に自決したとは限らないし、個人的にはしない(できない)と思う
それが強さであり弱さなのかなと
202: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) 2012/05/12(土)00:37 ID:SNguSzJa0(1) AAS
何か「もうマミさんは駄目だぁ…おしまいだぁ…」とかの、ベジータみたいな意見多いな…。
もっと希望持てよ。カカロットに力貸せよ。
そもそも、今みたいなドン底から希望への相転移こそがGAROであり、>>1の腕の見せ所だろうに。
>>1も言ってたじゃん。下げるのは、上げるための前振りだって。
俺ら読者の浅い予想なんざブッチ切って、ハッピーエンドを見せてくれるに決まってる。
否定ありきじゃなく、希望を持って見守ろうや。
203: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) 2012/05/12(土)00:39 ID:feMnwca20(1) AAS
だからこそ、説得にも応じない可能性が高いのさ
中途半端に強くて弱いからこそ半ば意地になって言葉を素直に受け止める事が出来ない
それが自分がコンプレックスを持ってる人間なら尚更だろう
ほむらもそれをわかってるからマミを避けてたんだと思う
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