【安価コンマ】オリウマ娘と共に Part2 (387レス)
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(1): ◆b0/EDFEyC136 [saga] 2024/08/04(日) 23:03:59.58 ID:bbKbCQ7N0(1/3) AAS
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日本ウマ娘トレーニングセンター学園――通称トレセン学園。

トゥインクル・シリーズでのデビューを目指すウマ娘たちが集う、全寮制の学園。その輝かしい門を、また一人のウマ娘が――。



【貴方】はトレセン学園の新人トレーナーです。

トレーナーとしてウマ娘と向き合い、担当ウマ娘を活躍させてあげましょう。



過去スレ

1スレ目
vip2chスレ:news4ssnip

SSWiki : 外部リンク:ss.vip2ch.com
363: ◆b0/EDFEyC136 [saga] 2024/11/02(土) 15:35:56.21 ID:lcqyPAtO0(6/15) AAS
――――――――――――――――

――――――――

――――

――

『よし、じゃあ明かり消すぞ』

パピヨン「あ、うん!オッケー!」

温泉から上がり、浴衣に着替えた自分とパピヨン。ちょこんとお布団の上に座っているパピヨンがなんだか小動物みたいで、可愛らしい。

……まだ体がぽかぽかするな。流石温泉だ、そういう効能があるんだろう。

天井の明かりからぶら下がっている紐を引っ張って明かりを消す。別に気温が下がったわけじゃないのに、これだけでほんのりと冷えたような感覚がする。

部屋の縁側にある大きな窓から差し込んだ月明かりだけが、今この部屋をうっすらと照らしている。その月明かりで見えるパピヨンの顔が……なんだかとても、綺麗に見えた。

パピヨン「お、お休み……お兄さん」

『ああ、お休みパピヨン。ふぁぁ……よく眠れそうだな、今日は』

パピヨン「…………」
364: ◆b0/EDFEyC136 [saga] 2024/11/02(土) 15:38:17.82 ID:lcqyPAtO0(7/15) AAS
『…………』

……ぼんやりと意識が残っている。眠っているような起きているような……気持ちのいい夢をずっと見ている、そんな感覚。

……パピヨンはもう眠ってしまっているのだろうか。背を向けて眠ってしまったせいで、様子を見ることが出来ない。

まあ、早く眠ってしまおう……そう思った、瞬間。

『…………ん』

ゴソゴソと、布団の中に誰かが入り込んでくる。今この状況で、布団に入ってくるのなんて……一人しかいない。

『……ぱぴ、よん?』

パピヨン「ひぁ。お、おにい、さん……」

びくっ。と自分の背中にくっついてきたパピヨンから可愛い声が聞こえてくる。自分が起きているとは思っていなかった……もしかしたら、自分が眠っていると判断したからこうやって布団の中に入り込んできたのかもしれない。

パピヨン「…………ちょ、ちょっと。さ、寂しくなっちゃって……ごめん、起こしちゃって」

『……良いよ。そんな謝らなくて』

背中からパピヨンの温もりを感じる。一つの布団の中でこうやって密着するなんて良くないことだが……今日くらいは、目を瞑ろう。

……ボソッと、パピヨンが口を開く。

パピヨン「…………ごめん、お兄さん」

『え―――ー』

瞬間、自分の体がぐるんと回転して仰向けに、そして……それに覆いかぶさるように、パピヨンが自分の上に跨った。

見えていた天井の景色にパピヨンが映りこむ。少しだけ開けた浴衣と、ほんのりと汗ばんだパピヨンの顔が。
365: ◆b0/EDFEyC136 [saga] 2024/11/02(土) 15:40:16.49 ID:lcqyPAtO0(8/15) AAS
『…………パピヨン』

パピヨン「ねえ、アタシお兄さんのこと……大好きだよ。前にも言ったけど、今までも沢山伝えてきたけど……今も変わらず、大好きだよ」

ずしっ……と、パピヨンの体重が掛かる。

パピヨン「お兄さんさ、アタシをからかいすぎだよ。ずっとずっとアタシに優しくして、卒業後に気持ちを伝えるなんて言って……クリスマスに好きとか言っちゃって」

彼女の顔が近づいてくる、いつもは四つに纏めている青みがかった銀色の髪の毛が、宝石みたいにきらきらと輝いて。ふんわりと、彼女の匂いが鼻をくすぐる。

思わず――見惚れてしまう。

パピヨン「頭を撫でてくれて、手を握りしめてくれて、優しく抱きしめてくれて……そんなことされたらさ、お兄さん……こうなっちゃうんだよ?」

お兄さんが悪いんだよ?なんて言いたげな表情、だけど……こっちまで聞こえてくる、彼女の心臓の音が。

小さく震えている、彼女の手が。

『……落ち着いてくれ、パピヨン』

パピヨン「お、落ち着いてるよ。アタシはずっと……ずっと落ち着いてる」

キスがしたい、お兄さんと一緒になりたい、お兄さんに……アタシのことをもっともっと知ってほしい。ずっと前から思ってたアタシの気持ち、勢いでやってるわけじゃ……ないんだよ?

『……』

パピヨン「お兄さん……抵抗、しないんだね。跨って、お兄さんを押さえてるのに」

『……万が一、キミを傷つけるわけにはいかないからな』

パピヨン「……っ!」
366: ◆b0/EDFEyC136 [saga] 2024/11/02(土) 15:46:04.69 ID:lcqyPAtO0(9/15) AAS
パピヨン「お兄さん……っ!ほんと、そういうところが……っ!」

『……キミが大事だからな』

自分の本心を隠さず伝えると、どんどんとパピヨンがヒートアップしていく。彼女の中の何かを、刺激してしまっている……。

パピヨン「ふーっ……お兄さん。アタシの……お願い、訊いてくれる?」

『……ああ』

パピヨン「――――キス、してもいい?」

真剣な表情で、お願いをしてくる。彼女の心臓の音が嫌でも聞こえてくる。この状況だ、ムリやりにでも奪うことだって出来るはずなのに、わざわざこうやってお願いしてくるというのは……。

…………やっぱり優しいな、キミは。

『――――パピヨン』

コンマ判定:コンマ直下
1-3 ……今はこれで我慢してくれ。
4-6 ……寝ている間にされたことなら、自分は気が付かないだろうな
7-9 …………おいで、パピヨン。
0 ――――。
367: [sage] 2024/11/02(土) 16:21:31.42 ID:JULCxunCo(1) AAS
踏み切ってージャンプー!
368: ◆b0/EDFEyC136 [saga] 2024/11/02(土) 17:17:36.15 ID:lcqyPAtO0(10/15) AAS
『……悪いな』

俺はまた、キミにこんな思いをさせてしまって……でも、今はこれで我慢してくれ。

そう囁いて、俺はパピヨンの顔に唇をそっと近づけて――――。

パピヨン「ひぅ……!?」

――可愛らしいその頬っぺたに唇をくっ付けた。ちゅっ、と小さなリップ音が鳴って、突然のキスに……パピヨンは理解できていないようだった。

パピヨン「へっ……?あっ、ぇ、ふぇ…………?」

口をパクパクを開いて、俺の顔を見つめて……明らかに狼狽えている。きっと、パピヨンの方からキスをするつもりだったのに、俺からキスをされて……ぽかーんと、固まってしまっている。

パピヨン「…………い、いやいや。ダメ、違う、違うって。ア、アタ、アタシは……!」

『……今はこれだけだ。キミがしたいことも、して貰いたいことも…………全部全部、卒業したらな』

パピヨン「……〜〜〜っっっ!!!」

パピヨンは俺が言ったこの言葉に、何か言おうとして……そして、ぺたりと顔を胸に埋めた。

うううぅううう〜〜〜…………!と、うめく声が、聞こえてくる。

パピヨン「バカ、バカ、バカ!お兄さんズル、ズルだよぉ……!卑怯者ぉ……!」

『……反省してるよ』

パピヨン「そんな、そんなこと、言われたら…………我慢、するしか、ないじゃん…………!」

『キミは優しいから、俺のこんなお願いも訊いてくれると思ったんだ……だってキミは……無理やり奪わないだろ?』

パピヨン「…………そっちが勝手にキスしたくせにぃ……!」

『……嫌だったか?』

……何も答えず、パピヨンは自分の胸に顔を埋めながらぎゅうっと抱きしめてくる。
369: ◆b0/EDFEyC136 [saga] 2024/11/02(土) 17:29:48.55 ID:lcqyPAtO0(11/15) AAS
パピヨン「……じゃあ今日は一緒に寝て、一緒のお布団で」

『……それは』

パピヨン「これくらいしてくれなきゃ、お兄さんのあることないこと言い触らすから」

『……それはまずいなぁ』

――ゆっくりとパピヨンは顔を上げ、自分の体から降りて……横に寝そべった。

パピヨン「ん」

『……ありがとうな』

自分の腕を枕にして、彼女は満足そうに鼻を鳴らす。

パピヨン「…………卒業したら覚悟しておいてよね、お兄さん」

『……ふふっ、それをキミが言うか?』

――――ああ、未来が怖い。何をされてしまうんだろうか。それを考えるだけで……思わず、笑ってしまいそうだった。

キミを愛する。告白させた責任も、今日こんなことになってしまった責任も全部取る。だから――だから。

今この瞬間、悪いお兄さんでいることを……許してくれ。パピヨン。

パピヨン「…………うん。いいよ、許してあげる」

だって――お兄さんは、こんな我儘なアタシを、ずっと許してくれてるんだもん――――えへへっ。
370: ◆b0/EDFEyC136 [saga] 2024/11/02(土) 17:30:46.39 ID:lcqyPAtO0(12/15) AAS
――――シルヴァーパピヨンとの間に、かけがえのない絆を感じたひとときだった……。
371: ◆b0/EDFEyC136 [saga] 2024/11/02(土) 17:34:36.56 ID:lcqyPAtO0(13/15) AAS
一旦休憩。続きは深夜くらいか明日に。

シルヴァーパピヨン最終イベントです。
372: [sage] 2024/11/02(土) 17:42:12.09 ID:UrdJ1j5bo(2/2) AAS
おつおつー
相変わらず鉄壁のお兄さん理性
でもちょっと、いやかなりデレてない?デレてるでしょ
373: ◆b0/EDFEyC136 [saga] 2024/11/02(土) 23:59:06.51 ID:lcqyPAtO0(14/15) AAS
――スタートダッシュでハナを握り、その小さな体を懸命に動かして、最後の直線までスタミナ全てを燃やし尽くして走りぬく。それが、シルヴァーパピヨンというウマ娘のレースだった。

作戦は要らない、ただただ駆ける。余計な雑念はすべて吹っ飛ばして、必死に前を往く――見る人が見ればその走りは愚かで、合っていない適性も走るスプリンターであると、笑い飛ばすだろう。

ダートの短距離しか走れないウマ娘で。

それより長い距離はスタミナを使い切ってしまう、後先の考えられないウマ娘だと。

しかし、だからこそ彼女の走りは記憶に残る。ある者はその走りに勇気をもらい、ある者は何があるか分からない未来を、信じて生きていこうと願うことが出来た。

――テレビでも中継されたその海の向こうの走りは、様々なウマ娘を焼き尽くして――。

――――美しい蝶の舞を見るように、魅了されて。
374: ◆b0/EDFEyC136 [saga] 2024/11/02(土) 23:59:38.35 ID:lcqyPAtO0(15/15) AAS
パピヨン「…………」

『…………』

手に馴染ませたオイルを全体に塗り広げていく、輝きにムラができないように全体に均一にオイルが浸透するように。櫛も使い毛も整えて……確認する。

あの日クリスマスに見たイルミネーションのように、彼女の尻尾は今……輝いていた。

『どうかなパピヨン』

パピヨン「ん〜……」

師匠は確認するように尻尾を軽く振る。ゆらゆらと横に揺らしたかと思えば、いきなり力強くブンブンと尻尾を振ってみたり。自分で尻尾を触ってみて触り心地も確認して……暫くすると。

パピヨン「……ん〜!90点上げちゃお!残りの10点も頑張って取れるように精進してね弟子〜?」

『あぁ〜……惜しいなぁ。……因みにどこがマイナス10点だったんだ?』

パピヨン「根っこのところがちょっと硬い気がする。もう少し力入れて櫛とか入れてもいいと思うよ?お兄さんの手つき、優しいけどちょっと弱いもん」

ぷぷぷ、とにやにや笑いながら尻尾でぺちぺちと叩いてくる彼女は、自分のウマ娘尻尾手入れの師匠だった。彼女を担当するようになってからの3年間で、最初は全然だった腕前も今では中々のものであると自負できるくらいには上手くなっていた。

自分がパピヨンの尻尾の手入れをするという情報は彼女の友達から漏れたりしているらしくて、たまに自分に尻尾の手入れをお願いするウマ娘が出てくることもあったが……大体はパピヨンが何処からともなく現れて、代わりにやってくれていた。

つまり、自分の腕前はパピヨンと同等か――いや、まあそこまで自惚れるわけではないが、嬉しいものだ。

パピヨン「お兄さんの腕前で他のウマ娘に手入れさせるなんで恥ずかしいからね、まだまだアタシの尻尾で練習させてあげないと〜……ね?」

……この調子じゃ自分がパピヨン以外のウマ娘に尻尾手入れをするのは当分先だな。
375: ◆b0/EDFEyC136 [saga] 2024/11/03(日) 00:00:31.43 ID:2/VoYCQc0(1/11) AAS
『キミの後輩?』

尻尾の手入れを終えて、今後のレース展開やトレーニング方針について話し合っていると急にパピヨンがそんな話をし始めた。

パピヨン「そうそう、前に話さなかったっけ。○○ちゃんって言うんだけど、トレセン学園無事に入学できたんだって」

ほら、この子この子。とパピヨンがスマホで写真を見せてくれると、ぎこちない笑顔でこっちにピースをしているウマ娘がいた……あ。そうだ、だいぶ前にパピヨンが話していた、ファン感謝祭の……。

『へえ、よかったじゃないか。もしかしてパピヨンが走りとか見てあげたのか?』

パピヨン「いや?アタシがやったのは尻尾手入れの道具相談とか、入学試験の勉強とかそういうの?レースの相談は……されてないなぁ」

『えっ……あ、そうなのか』

パピヨン「んま、アタシも問題ないと思ってたし?というか、そろそろ約束の時間だから行ってくるね?」

そう言うと彼女はどこかに行こうとする、今日は練習休みだというのにジャージに着替えていたのは……もしかして。

『……ふふっ。そうか、じゃあ自分も行こうかな。キミが言う後輩がどんな子なのかも気になるしな』

パピヨン「うーわ、お兄さんキモっ……新入生に会えるとわかってすぐにニヤニヤして……だからアタシ以外の担当ウマ娘居ないんじゃないの?」

……それをキミに言われるとなんだかモヤモヤするな。

パピヨン「……あーあ、○○ちゃんにアタシのお兄さんがキモいのバレちゃうじゃん。○○ちゃんはアタシのことをカッコいい先輩だ〜って思ってくれてるのに」

『キミなぁ……』
376: ◆b0/EDFEyC136 [saga] 2024/11/03(日) 00:01:30.70 ID:2/VoYCQc0(2/11) AAS
――――――――――――――――

――――――――

――――

――

後輩ウマ娘「――は、初めましてパピヨンさんのトレーナーさん!わ、私○○って言います!ま、前のファン感謝祭でパピヨンさんと連絡先を交換しまして、その……!あの!」

練習用コースに向かうとパピヨンが見せてくれた写真の彼女がいた。パピヨンと同じくらいの背丈で……いや、少しだけ○〇さんの方が大きいか?

『初めまして○○さん。パピヨンからキミのことは訊いているよ……だから一旦落ち着いて」

ガチガチに緊張している彼女に優しく声をかける。「は、はい!」と大きな返事をして、大きな深呼吸をする。

後輩ウマ娘「ぱ、パピヨンさんの走りをテレビで見てから、パピヨンさんの走りにずっと憧れていて……それで私、トレセン学園にまで来てしまって……!」

『……へえ、それは凄いな。トレセン学園に入学だなんて、それは凄い頑張ったんだろう?』

やはりまだどこか落ち着いていない彼女。その体をじーっと見る……なるほど、確かに入学したてのウマ娘としては中々に鍛えられていた、特にトモの筋肉は初めて会った時のパピヨンのそれを髣髴とさせるような……。

パピヨン「うわ、○○ちゃんを舐めまわすように見てる……○○ちゃん、こういう時はちゃんとキモいって言ってあげないとダメだよ?そうしないとお兄さん犯罪者になっちゃうから」

『いやいや、自分はだな……』

後輩ウマ娘「き、キモいです!パピヨンさんのトレーナーさん!!!」

『えっ』

――パピヨンがにやにやと笑ってみている。まさか何か吹き込んだのか……?

パピヨン「は〜、可愛いなぁ○○ちゃん。後で一緒に駅前のパフェ食べに行こうね、お兄さんのお金で」

あ、違うな。ただ初めてできた後輩が可愛くて仕方ないんだ。それで後輩を甘やかすもんだし、自分のことも色々と言っているだろうから……はぁ。

……まあ、○○さんなら問題ないだろう。良い子だろうし。

後輩ウマ娘「ご、ごめんなさい!と、トレーナーさんを犯罪者にはしたくなくて……!』
377: ◆b0/EDFEyC136 [saga] 2024/11/03(日) 00:02:30.59 ID:2/VoYCQc0(3/11) AAS
後輩ウマ娘「――――わ、私パピヨンさんに言われて楽しく走れるようになったんです。勝った時はもちろん、負けた時も……も、もちろん負けたら悔しいですけど!どうすればもっと早く走れるのかとか、色々と考えられるようになって……ウジウジすることが少なくなったと言いますか」

――負けが続いて、走ることが楽しくなくなった……けどそんなときにパピヨンの走りを見て、それが彼女の希望になった。

パピヨン「……えへへ、やっぱり恥ずかしいな正面から言われると」

後輩ウマ娘「パピヨンさんがいなかったら、きっとアタシは……今この場に居ませんでしたから」

きらきらと輝くその瞳で、真っ直ぐとパピヨンを見つめる――きっと昔のパピヨンならここで変に茶化したり、煽ったりするのだろうけど……今のパピヨンは違った。

その好意をきちんと受け止めて、返してあげられる。優しい後輩想いなウマ娘だった。

後輩ウマ娘「――で、その、お願いなんですけど……ぱ、パピヨンさん!わ、私と……走ってくれませんか!」

パピヨン「――――えっ」

後輩ウマ娘「トレセン学園に入学出来たら……さ、最初はパピヨンさんと走りたいなって!ずっと思っていまして……だ、ダメです、か?」

申し訳なさそうな表情の彼女を見て、自分はパピヨンをちらりと見る。驚いたような表情、そして――すぐにその表情はスプリンターとしてのものになって。

パピヨン「――いいよ、コースは?」

後輩ウマ娘「あ、ありがとうございます!コースは……ダートの1,200m左回りで、お願いします!」

パピヨン「!」

――――ダート1,200m左回り。それは、彼女があの世界で一着となったレースの……。

パピヨン「ぷっ……ぷはははは!え、○○ちゃんさぁ……言うじゃん。でもアタシ、○○ちゃんボコボコにしたくないしなぁ」

後輩ウマ娘「わ、私を。ただのウマ娘だと思うと……い、痛い目見ますよ!」

パピヨン「――――へぇ。成長したね」

そして、二人のダートスプリンターは……コースに向かって歩いていき……さて、自分は計測係をしなくてはな。
378: ◆b0/EDFEyC136 [saga] 2024/11/03(日) 00:02:57.49 ID:2/VoYCQc0(4/11) AAS
――――レースの結果は当然のようにパピヨンの圧勝だった。短距離レースの着差とは思えないほどの――圧勝。

パピヨンの走りは何も変わらない、ただただ全力で先頭を走る――それだけだった。それだけが作戦なのだ。

後輩ウマ娘「はっ……はっ、はぁ……!っ……!」

膝に手を置いて、必死に息を整えている彼女に対して。パピヨンは……。

パピヨン「――っ。はぁ、はぁ……!うぷっ……お、お兄さん!お兄さんドリンク!二人分ね!」

――地面に横になっていた。スタミナを全て使い切ったんだろう、もう立つのも暫くは難しいだろう。○○さんの分も含めて二つドリンクを持っていく。

『……お疲れ様パピヨン。○○さんも良い走りだったよ』

後輩ウマ娘「はぁ、はぁ……!あ、ありがとう、ございます……!」

パピヨン「ん、ありがとー……おぇ」

きっとこれもパピヨンなりのファンサービスだったのだろうか……いや、違う。

シルヴァーパピヨンは誰が相手でも自分の全力を出す、スタミナ全てを使い切って1,200m先のゴールまで駆ける――なぜならそれが一番、楽しいのだから。

パピヨン「ねえ、○○ちゃん――今日はアタシがボコボコにしちゃったけどさぁ……待ってるね」

後輩ウマ娘「へ……?」

パピヨン「○○ちゃんが正式なレースに出て、ダートのG1とかに出場出来たらその時は――アタシがそこでまた戦ってあげる。それってきっと……めっちゃくちゃに楽しいよね!」

後輩ウマ娘「!」

パピヨン「――ぷはは、アタシはまだまだ現役だからね。衰えなんて、感じさせないから」

後輩ウマ娘「は――はい!私、私……!すぐにそこまでたどり着きますから!それで、私はパピヨンさんに教えてもらった……楽しい走りで!貴女と走るために!!!」
379: ◆b0/EDFEyC136 [saga] 2024/11/03(日) 00:03:39.61 ID:2/VoYCQc0(5/11) AAS
――――シルヴァーパピヨンの走りに焼かれたウマ娘は多い。華麗に舞う蝶の美しさに魅了されて近づいたウマ娘は、目に見えない灼熱の炎に燃やし尽くされてしまうのだ。

全身全霊、完全燃焼、全力投球。

あるいはそれを運命と呼ぶのかもしれない。パピヨンとともに走ったライバルたちもまた、そんな灼熱の炎に焼かれた者ばかりだった。

彼女は駆ける。"楽しい"気持ちを忘れずに、"魔王"か"砂上の銀の蝶"とか大層な肩書も身に着けて、どんな期待も約束もプレッシャーも抱えて――――ただただ、その一瞬に命を懸けて。

だから彼女は――どこまでも人々を魅了した。何もかもを燃やし尽くす、その銀色の炎で。

――人々の頭のフィルムに、その激動のレースを焼き付けて。
380: ◆b0/EDFEyC136 [saga] 2024/11/03(日) 00:04:23.47 ID:2/VoYCQc0(6/11) AAS
パピヨン「――――期待してるね、ずっとずっとアタシは――前で待ってるから!」
381: ◆b0/EDFEyC136 [saga] 2024/11/03(日) 00:06:45.19 ID:2/VoYCQc0(7/11) AAS
お疲れ様でした、これにてシルヴァーパピヨン育成完了となります。

とても長い間付き合ってくださった皆さん、本当の本当にありがとうございました。

しっかりと書くことが出来て、とても満足しています!
382: [sage] 2024/11/03(日) 00:14:23.21 ID:3cdqDGujo(1) AAS
ブラボー…!ブラボー!!
めっちゃ綺麗に書ききってて凄い!
次世代に繋がっていく描写好きだぁ
383: ◆b0/EDFEyC136 [saga] 2024/11/03(日) 00:53:44.51 ID:2/VoYCQc0(8/11) AAS
次育成キャラについてのお知らせです。一応もう一人はオリウマ娘を育成するつもりです。

明日の夜19:00くらいに次スレを建ててやる予定なので考えている人はその時間くらい来てくださると嬉しいです。

シルヴァーパピヨンがダートウマ娘だったので次の子は芝適性の子にするつもりです。距離適性は安価かコンマか、それで最後にキャラ募集をしてスタートです。

ではよろしくお願いいたします。本当に付き合ってくださりありがとうございます、おやすみなさい。

何か質問とかもあったら何でも大丈夫です。
384
(1): [sage] 2024/11/03(日) 01:59:28.00 ID:gRP06ZXqO携(1) AAS
おつかれー
楽しかったよー
次スレも参加するよ
パピヨンはいる時空で考えて良い?
385: ◆b0/EDFEyC136 [saga] 2024/11/03(日) 12:36:39.10 ID:2/VoYCQc0(9/11) AAS
>>384
パピヨンはいる感じで考えてます。なんでお兄さんもいます。

マンティはコンマであんま一緒に走れない感じになってしまったんですけど、シルフィーとはもっとやれたよなぁって反省してます。同室キャラにしなくても良かったかも……。
386: ◆b0/EDFEyC136 [saga] 2024/11/03(日) 19:03:25.12 ID:2/VoYCQc0(10/11) AAS
シルヴァーパピヨンの競争成績

メイクデビュー 1着
Pre-OP_プラタナス賞 1着
G1_全日本ジュニア優駿 2着
G3_ユニコーンステークス 5着
G3_エルムステークス 1着
G2_東京盃 2着
G3_カペラステークス 1着
G1_ドバイゴールデンシャヒーン 1着
G3_エルムステークス 1着
G1_チャンピオンズカップ 2着

通算成績:10戦6勝
387: ◆b0/EDFEyC136 [saga] 2024/11/03(日) 19:10:39.35 ID:2/VoYCQc0(11/11) AAS
お疲れ様です。次スレとなります。
vip2chスレ:news4ssnip

こっちのスレの残りはなんか書いたりできたらなぁと思っています。
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