デジタルモンスター研究報告会 season2 エピローグ (412レス)
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292: ◆VLsOpQtFCs [saga] 2024/03/31(日) 22:46:12.09 ID:ZsDi2GLI0(1/4) AAS
我々がそう話していると…
スティングモンがよろめきながらやってきた。
『貴様達、さっきから勝手なことを好き勝手に言いやがって…』
グサグサ、無事だったのか。
『バブンガモンとその家族を何に利用するだのと…貴様たちが、今決めることではない。天使の味方につかなければいいだけの話だろう』
それはそうだけど…
『バブンガモン。家族とともに、私の農園に来い。私の仲間たちは信徒デジモンをとても嫌っているが…、しっかり働けば受け入れるだろう』
『ウケイレテ…クレルノカ?』
『…私やブンブンも、最初はオサオサにとって敵だった。だがオサオサは、やがて我々を受け入れた。和解し、協力しあえた』
ブンブン…モスモンか。
『信徒デジモン達が働かずに盗み食いでもしようものなら容赦なく叩き伏せる。それでよければ、こちらに来い』
『…イイノカ、グサグサ』
『無意味な質問だ』
『…ヤッパリ、オレハ…オマエニデアエテ、ヨカッタ』
『同感だ』
どうやら話はまとまったようだ。
パルタス氏が慌てた声で通話してくる。
『お、おい!スティングモン!勝手に話を終わらせるんじゃない!バブンガモン達には、私が対クラッカー用のデジモンとして従軍するように言ってる最中だぞ!』
もういいじゃないですか。
土台無理な話です。家族同士で殺しあえだなんて。
『く…。スティングモン!バブンガモン共がまたAAAに加担したら、貴様らの農園も容赦なく叩きつぶすからな!』
『私のことはグサグサと呼べと言っている。…信徒共がまた天使に加担したら、私が処刑するから安心しろ』
295: ◆VLsOpQtFCs [saga] 2024/03/31(日) 23:07:29.26 ID:ZsDi2GLI0(2/4) AAS
そうして戦いは終わった。
かつてのAAAとの戦いの最中にリーダーが島流しにしたシャーマモンやコエモンたちのいる孤島に、デジタルゲートを繋げてみた。
今どうなってるのかな…
孤島のシャーマモンやコエモン達は、まだ生き残っている個体もいたが、既に死んでいる個体や、危篤状態の個体もいた。
海に入って魚デジモンを捕えながら生き延びているようだが…
餌と飲料水が明らかに不足しているのは見て分かる。
海水を飲みすぎて体調を崩している個体が多いようだ。
なんだか、今にも共食いを始めそうな雰囲気だ。
…ケンタルモンの姿は見えないですね、リーダー。
「ケンタルモンは別の孤島に送った」
そうなんですね。
それじゃバブンガモン、この水と食料を持ってゲートを潜って。
スティングモンとディノヒューモンから預かった野菜だ。
『ワカッタ』
バブンガモンは、飲料水と食料を持って、孤島に出た。
『カゾクタチ!!天使ニウラギラレタ、カゾクタチ!タスケニキタゾ!!!』
『バ、バブンガモン!?ナンデ、ココニ!』
シャーマモンが驚いている。
『オマエタチハ、天使ニミステラレテ、オキザリニサレタ。コノママ見殺シニサレルトコロダッタ。ダガ、オサオサ農園ガ、オマエタチヲタスケタンダ』
『オサオサ農園…?』
『天使ガ「ブルースキン」ト呼ビ、オマエタチノ敵ダトフキコンダノガ、オサオサ農園ダ。オマエタチハダマサレテ戦ワサレテイタ!』
『ウ、ウソダ、ソンナ…!』
『嘘ナラナゼ天使ハ助ケニコナイ!』
『オ、オォ、ォオオォ…!』
『エラベ、オマエタチ!コノママ天使ノ言ッタコトヲ信ジツヅケルナラ、コノ島デ天使ヲ待チツヅケロ!ダガ!コレカラブルースキン達ト共ニ暮ラシテ働ク奴ハ、コレヲ食エ!』
だ、大丈夫かな…。
AAAの洗脳は大分強そうだけど。
『オ…』
シャーマモンたちの反応はいかに…!?
『…ォオオーーー!!天使ィーーー!クタバレェーーー!』
『オレタチヲミステタ天使ナンカ知ラネェーー!ブルースキント暮ラス!!』
『飯クレェェーーーー!!』
おお…。
意外なほどあっさりAAAを見限ったぞ。
「まあ、こうなるだろうな」
リーダー…
分かってたんですか?
「フーガモンや幹部たちは本気でAAAを信仰していたかもしれないが…こいつらは違う。周りがAAAを信仰していたからマネしていただけだ」
それじゃあ…
心から信仰してはいなかったと?
「結局、自分たちに飯を食わせてくれる者に従うだけだったんだ」
…そういうことだったんですね。
297: ◆VLsOpQtFCs [saga] 2024/03/31(日) 23:20:27.41 ID:ZsDi2GLI0(3/4) AAS
シャーマモンやコエモン達は、バブンガモンが差し出した野菜にかぶりついた。
『ウメエエエエエーーーー!!!』
『ヤッパリサイコーニウメエエ!!』
無中で野菜を食べるシャーマモン達を見るバブンガモン。
『コレカラハ、盗ミハダメダゾ。働イテ、一緒ニ野菜ヲツクルンダ』
『バブンガモンサマーーーー!!ブルースキン!!!バンザーーーイ!!!』
…このシャーマモン達も、かつてはバブンガモンを被差別階級として見下していたんだろうに…。
それを許して、家族として救いの手を差し伸べるバブンガモンは、器が大きいな…。
その後。
バブンガモンおよび孤島から救出された類人猿型デジモン達は、スティングモン及びバブンガモンに連れられてディノヒューモン農園にやってきた。
農園のデジモン達は、類人猿型デジモン達を睨みつけ、殴り掛かろうとしたが…
土下座して謝る類人猿型デジモン達を見て、ひとまず振り上げた拳を下したようだ。
類人猿型デジモン達は当初、農作業に従事するように指示を受けていたが…
いきなり異文化の中に溶け込むのは難しいようだ。
農園のブイモンやカメモンたちは、農作業を楽しみながらやっているが…
類人猿型デジモン達は、この反復作業に飽きて、嫌気がさしてきているようだ。
無理もない。
デジモン達の脳や、そこに根付く本能は、自分の生活に適した特性に特化した進化をする。
狩猟と略奪を生存戦略としてずっと続け、それに特化した脳を獲得した類人猿型デジモン達には、農作業は土台向いていないのだった。
中には、収穫済みの農作物を盗み食いしたシャーマモンもいたが…
その個体には、バブンガモンが鉄拳制裁を下した。
…共生は無理なのかと思われていたが…
しばらくすると、類人猿型デジモン達は、畑を狙ってやってくる害獣デジモン達を狩ったり、あるいは農園の外へ狩りに出るようになった。
草食性になった農園のデジモン達は、類人猿型デジモン達が狩猟によって仕留めたデジモンの肉を食べなかったが…
骨器や革製品などを生活に取り入れることで、今までになかった文化がもたらされたようだ。
そんなわけで…
当初の理想通りとはいかず、苦労しているようだが、それでも共生の道を模索し続けているようだ。
299: ◆VLsOpQtFCs [saga] 2024/03/31(日) 23:27:43.12 ID:ZsDi2GLI0(4/4) AAS
とりあえず、一件落着したようで何よりですねリーダー。
「ああ。シスタモンたちは取り逃がしたが…それでもAAAから蛮族という戦力は引きはがした。当分大規模な活動はできないだろう」
農園と類人猿型デジモン達の共生の様子は、メガが録画撮影を続けています。
ドキュメンタリー番組に使い、デジタルアソートのプロモーションに使うつもりなんだとか。
「俺も頼りになるチームの仲間を持ったものだな」
そういえば、何か忘れているような気がしますね。
「ん?なんだ?」
なんだっけ…
そう悩んでいると、パルタス氏から通話がかかってきた。
『貴様ら!我々にキウイモン島の蛮族掃討を任せておいて、その結果を聞こうともしないとは何事だ!』
ああ!それだ!
スターモンと…なんだっけ…なんかのデジモンを、キウイモン島の蛮族の掃討に出向いてもらってましたね。
どうなりましたか?
『ふむ。記録映像と共に伝えよう』
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