[過去ログ] 足柄「提督、夜戦しない?」 (49レス)
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3: ◆7SHIicilOU [saga] 2015/05/21(木) 21:50:08.73 ID:AJCaVKIwo(2/5) AAS
深夜。窓を開ければ少々肌寒い風が頬を撫でる五月中頃。
大規模任務を終え、それと同時に堆く重なる書類に一人向かっていると
控えめなノックと共に足柄が顔を覗かせた。
「どうした?」
繰り返すが深夜。丑三つ時も程近い時間帯。
秘書艦も明日の任務に支障が出るからと帰らせ、
起きているのは精々夜間哨戒任務中の艦か川内位だと思っていた俺は少々驚きながらも彼女を迎え入れる。
4: [sage] 2015/05/21(木) 21:53:10.92 ID:S3qQqiwdO携(1) AAS
貴重な足柄スレ期待
5: ◆7SHIicilOU [saga] 2015/05/21(木) 21:57:58.35 ID:AJCaVKIwo(3/5) AAS
「提督、夜戦しない?」
今のご時世小さな言葉の使い方ですかさず文句を垂れる奴もいるが。
他に表現が見つからぬ為使わせてもらうと、らしからぬ。
そう、それは足柄らしからぬ控えめで遠慮がちな言い方だった。
「夜戦……?」
そして、その発言内容もまた然り。
夜戦は川内の専売特許、という訳ではないし
軍歌を子守唄に、戦場を故郷に。
鉄火場こそが居場所と言って憚らぬ足柄の事、
夜戦も戦闘であればこそ嫌いではないだろうとは思うが。
しかしどちらかというと彼女は夜戦に入る前に速攻で片をつけ、
勝利を両手に意気揚々と帰って来ることをよしとするタイプだったように思う。
無論、昼戦からもつれるだけが夜戦ではなく。
急襲・奇襲、端から夜に仕掛ける戦闘もあるが、
やはり足柄はそういった小細工をするより正面からなぎ払うのを好む傾向にあると思ったのだが。
「なによ、その顔は」
疑問が顔にでたのか、あるいは内心を読んだのか。
足柄は少し膨れた顔でそう言って俺をねめつける。
6: ◆7SHIicilOU [saga] 2015/05/21(木) 22:25:24.06 ID:AJCaVKIwo(4/5) AAS
「別に、珍しい事もあったものだと思っただけだ」
誤魔化す理由もなく。正面からそう伝えると、
足柄は小さな笑みを浮かべながら肩を竦める。
「そうかしら、私だって。ほら、ね? そういう気分の時だってあるわよ」
「成る程な」
気分。といわれてしまうと返す言葉が無い。
「で、どうかしら?」
一歩、二歩。ゆったりとした足取りで足柄はこちらに近づいてくる。
「あぁ、構わないが。……夜戦となると下準備も居る。
照明弾も残高が少ないし、航空戦力も使えないしな、だから数日は待って貰わないと――」
「……あのねぇ」
はぁ。とあからさまなため息が一つ。
俺が台詞を言い終える前に、遮る様に飛んできた。
呆れたような、というよりもそのものずばり呆れきった顔。
「貴方って時折とても馬鹿よね」
7: [sage] 2015/05/21(木) 22:30:34.95 ID:S0Qw5Uz7o(1) AAS
激しく期待
8: [] 2015/05/21(木) 22:40:39.23 ID:VOR4Q6MH0(1) AAS
期待
9: ◆7SHIicilOU [saga] 2015/05/21(木) 22:42:23.12 ID:AJCaVKIwo(5/5) AAS
真正面から罵られてしまった。
「どういう事だ?」
ツカツカと踵を鳴らして三歩。
先ほどまでと打って変わって力強く近づいて。
「夜戦って聞いたらそれしか浮かばないの? ホントに戦争頭なんだから」
「お前に言われるとはな」
むしろ、夜戦と聞いてそれ意外をいの一番に浮かべる奴は
即刻軍を抜け夜の街にでも繰り出すべきだ。
そいつの天職は間違いなく港にはない、歌舞伎町辺りに転がっている。
「しかし、つまり夜戦ってのはそういう事か?」
10: ◆7SHIicilOU [saga] 2015/05/22(金) 00:31:33.19 ID:Nik2e00Jo(1/2) AAS
そういう事。まさか物知らぬ幼子ではあるまいし、
流石に事ここに至ればいかに『戦争脳』であっても察するという物だ。
……戦争脳ねぇ。そんなトリガーハッピーヘッドになったつもりは毛頭ないのだが。
「ダメ、かしら?」
書類の溜まった机を迂回して、
普段なら決してやってこないこちら側に歩みを進める。
ぎぃと椅子の軋む音が耳朶を叩く。俺が仰け反った理由は、さてなんだったのか。
「自分で処理、……できるならここに足を運ばないか」
この場合俺はどうするべきなのだろうか。
艦娘にだって性欲はある、それはこの浅からぬ付き合いで承知している。
機密保持の関係上鎮守府の外に出れず、娯楽の少ない生活をしていればそれは富に。
しかしこうも直接的に来られるのはさしもの俺も初経験だ。
多少たじろいでもいたし方あるまい。
11: [sage] 2015/05/22(金) 01:42:14.61 ID:dmNqIW8k0(1) AAS
期待
12: [sage] 2015/05/22(金) 15:52:57.37 ID:4qHxmpJsO携(1) AAS
いいゾー
13: ◆7SHIicilOU [saga] 2015/05/22(金) 22:38:21.39 ID:Nik2e00Jo(2/2) AAS
すっと、椅子に座ったままの俺に手が伸びる。
色は白く指は細く。世間の女性が羨み欲しがるであろう美しい手だ。
おおよそ、銃を持つに似つかわしく無いその腕に砲を握らせ戦わせているのだから
真我々の業は深いと言わざるを得まい。
「もぅ、私がここまでしてるのに考え事?」
その足柄の手が、指が、俺の輪郭に這う。
むくれた顔は幼くあどけなく、触れた指先はどこか冷たく涼やかで。
しかしこちらをまっすぐに見つめる瞳は表情をかき消すほどに妖艶に潤み、
指先の冷たさに反するかのように熱を帯びていた。
「……シャワーはいいのか?」
職業倫理だとかそんなものはもはやどうでもよかった、
禁止事項だと別段明記されても命令されてもいない。
躊躇いは単に個人的理由に過ぎなかったのだから。
「とっくに浴びたわよ、何時だと思ってるの?」
「それもまた、お前に言われたくはないな」
苦笑して、立ち上がり足柄のこれまた細い腰に腕を回し抱き寄せる。
「ひゃうっ」
「なんだ、可愛い声を出すじゃないか」
腕の中で小さく跳ねる彼女に意地悪く言うと
再び頬を膨らまし不貞腐れた顔をして俺を睨む。
「きゅ、急に来るとは思ってなかったもの……」
「お前が誘ったんだろう? ……ここではなんだ、部屋に来い」
書類を片付けるのは、明日にすることにしよう。
14: [sage] 2015/05/22(金) 23:07:02.33 ID:JEVkVFPMO携(1) AAS
まさか神スレ…?
15: [sage] 2015/05/22(金) 23:10:10.97 ID:AX9qFge4o(1) AAS
部屋まで駅弁キター!
16: [sage] 2015/05/22(金) 23:17:57.51 ID:UOYJaYvRo(1) AAS
ヒント:足柄
17: ◆7SHIicilOU [saga] 2015/05/23(土) 20:35:31.27 ID:7V0O5pBFo(1/6) AAS
―――
扉の軋む音、そして閉まる音。
しんと静まった鎮守府の廊下に響く小さなソレに、
私はどこか退路を失ったような、最後の分水嶺を見逃してしまったかのような。
そんな不思議な感覚を覚えた。馬鹿みたいね、自分から誘っておいて。
「どうした、そんなところに突っ立って」
初めて入る提督の部屋。
微かに鼻腔を掠める煙草の香り、男の人の、匂い。
「こっちに来たらどうだ?」
考えたのはこれからの事より先にこれまでの事。
提督は、あっさりと私の誘いに乗ってここに私を連れ込んだけれど、
過去にそういった事があったのかしら。
「え、えぇ」
見るからに豪奢な、一人で眠るには持て余す事請け合いのベッド。
そこに腰掛けて私を呼ぶ彼に、躊躇いがちに近づく。
その手馴れた対応に、また少し彼の過去に意識がいってしまう。
18: [sage] 2015/05/23(土) 20:38:23.87 ID:3BmHAwYIO携(1) AAS
ヴォエ
19: [sage] 2015/05/23(土) 21:07:30.13 ID:Cj5xoIZKo(1) AAS
KENZENってなんだっけ?
20: ◆7SHIicilOU [saga] 2015/05/23(土) 22:24:41.31 ID:7V0O5pBFo(2/6) AAS
手首をつかまれる。
幾度も想像の中で私の肌に触れた手は、
想像よりもずっと力強くて――。
「っ!」
そんな事を考えていたら、不意打ち気味に
そのまま手を引かれ提督の腕の中に私の身体はすっぽりと納まってしまう。
「さっきから、随分と初心な反応じゃないか。えぇ?」
にやにやと意地悪げに口の端を歪めて笑う。
その勝ち誇った、私を見下ろす目が気に入らなくて。
「んっ……!」
お返しに不意打ちで彼の歪に笑う唇に自分のそれを重ねる。
少しかさついた唇、微かにする煙草の味と匂い。
笑っていた所にいきなりしたからか、僅かに空いた唇の隙間に舌を忍び込ませる。
煙草の香りが、キツくなる。けれど嫌な感じはしないのは、嗅ぎ慣れてるからかしら?
それとも提督のだから?
「んくっ……ふっ」
じんと頭が痺れる。あぁ、私提督とキスしてるんだ、なんて、今更な感慨に耽る間もなく
逆に私の口に提督の舌が唾液と一緒に入り込んでくる。
口の内側を舌でなぞられると背筋が震えて、どうしようもなく切なくなってくる。
全身から力が抜けそうになって、嘘みたいに甘い声が口の端から漏れる。
21: ◆7SHIicilOU [saga] 2015/05/23(土) 22:39:50.57 ID:7V0O5pBFo(3/6) AAS
なんて、ずるい。
本当、こんなの卑怯じゃないの。
「んふっ……はぁ……」
ゆっくりと惜しむように離れる。
息が苦しい、頭がぼぅっとする。
良い様に手のひらで転がされてるみたい。
「良い顔をするじゃないか。そそるよ」
そういって提督は目を細める。
ホント……卑怯。このタイミングでそんなに優しい顔をするんだもの。
だから、少しだけ軽口を叩くの。
「貴方って」
小さな軽口を。
「私よりよっぽど飢えた狼ね」
そんな言葉を、嫌味の様に。
言えば、更に調子付くのはわかってるのに。
「くくっ……男ってのは大概そういう物だ、特に寝室ではな。それに、まだまだ序の口だぞ?」
ほらね? 目がまた少し怖くなる。
わかってるのに。……いいえ、わかってたから、かもしれないわね。
どちらにせよ、もう今夜は眠らない。
「さぁ、始めようか。望みどおりの夜戦を」
眠れや、しないもの。
22: [sage] 2015/05/23(土) 22:48:46.26 ID:MuL3t2w4o(1) AAS
いいねいいねえ こういうスレを待っていた
23: ◆7SHIicilOU [saga] 2015/05/23(土) 22:54:23.84 ID:7V0O5pBFo(4/6) AAS
―――
その日、私が早く目が覚めたのは偶然だったのか必然だったのかはわかりません。
ただ、一昨日の夜。提督から譲って頂いた新型のレンズにテンションが上がってしまい
随分と夜遅くまで猛り荒ぶってしまい、その反動で昨日の夜は1800には
布団に潜り込んでいたので本日0400に目が覚めてしまったのは
偶然でも必然でもなく当然と言うべきなのかも知れません。
「いやぁしっかし寒いですねぇ……トイレトイレ」
どうせなのでと早朝の鎮守府。
肌寒い空気を転がす静かな私達の庭とも言うべき場所を
散歩がてら新しいレンズ越しに眺めていた訳ですが。
突如催した尿意に近くのトイレに目的地を変更。
すったらこったら歩いております。
「やはり青葉はどちらかというとポートレートの方が好みですねぇ」
普段は騒がしくけたたましい場所の、
少し閑散とした朝の雰囲気は新鮮なれど寂しく
どうにもフィルムに切り取る気にはなれず。
ぶつくさと独り言ばかりが口をでます。
「……大丈夫だ。こい」
そんなタイミングでした。
これこそ偶然と言うべきか必然と言うべきか、と悩む場面で。
直近のトイレに向かう廊下、静かな空気に当てられて
できるだけ静かに歩こうとしたのが功を奏したのかどうか。
「んもう、意外と細かいところ気にするのね」
「あまり、人に見られたい場面ではないだろう?」
聞きなれた二つの声が、直ぐ傍で。
廊下の一つ角を曲がったところに居る青葉に気付く事無く
こそこそと。
24: ◆7SHIicilOU [saga] 2015/05/23(土) 23:02:14.25 ID:7V0O5pBFo(5/6) AAS
声の主が誰であるかなんて、すぐわかりました。
特にその一人。提督に関しては、考えるまでもなく。
「それじゃ、私はシャワーでも浴びてくるわね」
そして提督の話相手は足柄さんか。
「……そういえばここって」
二人に聞こえないようにぼそりと呟く。
そうだ、ここを左に曲がって三つ目の部屋。
そこには提督の私室がある。私は未だ足を踏み入れた事はないその部屋から。
二人揃ってこの時間に。
「んぅっ……ふふっ、じゃあまた、ね」
「あぁ」
「貴方もシャワー浴びたほうがいいわよ?」
「わかってるよ」
青葉とて、子供ではありません。
例えこの身体を得てまだ二年そこそこだと言っても、
知識量は大人と同程度にあると自負してます。
ゆえに、ゆえに。
別れ際と思しきタイミング、少しの沈黙とくぐもった声。
見ずとも二人が唇を交わしていた事位理解できます。
えぇ、できてしまうのです。
見ずとも、見ずとも。
足柄さんの足音が遠のいて、パタンと扉の閉まる音がして。
人の気配が消え去った廊下で、ただただ青葉はいつまでも息を殺していることしかできませんでした。
ただ、ただ。
25: ◆7SHIicilOU [saga] 2015/05/23(土) 23:02:43.18 ID:7V0O5pBFo(6/6) AAS
今日はここまで、また明日な
26: [sage] 2015/05/23(土) 23:07:19.85 ID:KFIV262NO携(1) AAS
おつです
さっそく天性のパパラッチにバレたw
27: [sage] 2015/05/23(土) 23:43:10.11 ID:s7RVonSAO携(1) AAS
ついでに青葉も巻き込もう(名案)
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