[過去ログ] いろは「私、先輩のことが、好きです」八幡「……えっ?」 (393レス)
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69: ◆.6GznXWe75C2 [saga] 2015/05/09(土) 15:32:47.87 ID:fgaFjE7So(1/10) AAS
――

――――

何とかして家に帰ると、そのまま部屋のベッドに飛び込んだ。バスッと反動でわずかに身体が浮く。

そしてズシンとベッドに身体をあずけるとまた思索を再開する。

どうしてこんなに動揺しているんだろう。

わからない。

わからない、わからない。

わからない、わからない、わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからない。

自分の気持ちなのに、わからない。

こんなの初めてだ。今までどんなことがあったって、自分の感情の理屈は理解できたし、極力コントロールだってしてきた。

なのに、今は全くそれができない。
70: ◆.6GznXWe75C2 [saga] 2015/05/09(土) 15:33:45.21 ID:fgaFjE7So(2/10) AAS
二度と会えないなんて言っていない。ただ今までの会う約束がなくなっただけなのに、こんなにも落ち込んでいる。

いろは「私……もしかして……」

ハッと自分があまりにも突拍子のないことを考えていたことに気づき、それを振り払うように頭を振る。

脳が揺れたせいか、視界がわずかにゆがむ。それが気持ち悪い。

いろは「そんなこと……」

頭の中に浮かぶ先輩の顔。

いろは「いやいや……」

意識しないようにすればするほど、先輩のことが頭から離れなくなる。

いろは「嘘……そんなこと……」
71: ◆.6GznXWe75C2 [saga] 2015/05/09(土) 15:34:50.05 ID:fgaFjE7So(3/10) AAS
心のどこかにあった何かがみるみる脆くなる。

このままじゃ……認めて……しまう……。

いろは「いや……」

先輩とはあの関係だから一緒にいて心地よいのだ。ただの先輩と後輩。そんな恋愛感情の一切差し挟む余地のない関係。

なのに、私が認めてしまったら、あの関係はもう……。

いろは「あ……れ……?」

いろは「ちが……私は先輩と一緒にいたいわけじゃ……」
72: ◆.6GznXWe75C2 [saga] 2015/05/09(土) 15:35:28.37 ID:fgaFjE7So(4/10) AAS
『ならどうしてそんなに苦しんでいるの?』

「…………」

『答えはもう知ってるんでしょ? ならあとはもう認めるだけじゃない』

「違う……違う……」

『何が違うの?』

「そ、それは……」

『いい加減認めたら? 私が先輩のことを――』

――刹那、何かが崩れ落ちた。

「やめてよっ!!!」
73: ◆.6GznXWe75C2 [saga] 2015/05/09(土) 15:36:01.01 ID:fgaFjE7So(5/10) AAS
私しかいない室内に悲痛な声が響く。

いろは「はぁ……はぁ……」

いつの間にか息が切れている。

心臓の鼓動はもう不規則どころか、それまで経験したことのない程のスピードにまでなってしまっていた。

それはもう、認めているのと同然だった。

先輩、と心の中でつぶやく。頭の中に先輩の顔が思い浮かぶ。

ただそれだけなのにどうしてか恥ずかしくなって頭を振る。

私は、先輩のことが――。

いろは「……好き?」

言葉にした瞬間、ほおが熱くなる。きっと鏡で見たら赤くなってしまっているのだろう。

誰がなんと言おうと、私は今、恋する乙女になってしまっていた。
74: ◆.6GznXWe75C2 [saga] 2015/05/09(土) 15:37:00.92 ID:fgaFjE7So(6/10) AAS
いろは「どうしよう……」

知らなければよかった。気づかなければよかった。

そんな心の声が聞こえる。

しかしそんなifは無意味だろう。この気持ちの存在にはうすうす気づいていたのだ。ただ、認めようとしなかっただけで。

いろは「……先輩と会わなくなってむしろ良かったのかも」

明日以降の私が先輩と普通に話せるとは思えない。先輩ならそんな私の変化にきっと気づいてしまう。

いろは「……でも、やっぱり先輩と会えないのは寂しい……かな」
75: ◆.6GznXWe75C2 [saga] 2015/05/09(土) 15:38:14.32 ID:fgaFjE7So(7/10) AAS
数週間後

いろは「…………」ボー

大志「…………」サッサッ

いろは「…………」ボー

大志「会長さん、終わりました」

いろは「…………」ボー

大志「……会長さん?」

いろは「はっ! ご、ごめんね、川崎くん」

大志「いや、いいっすけど……、大丈夫すか?」

いろは「あー、うん。大丈夫だよー」
76: ◆.6GznXWe75C2 [saga] 2015/05/09(土) 15:38:51.48 ID:fgaFjE7So(8/10) AAS
大志「じゃあ会長さん、これ」

いろは「ありが――ってこんなにやってくれたの!?」

私の分までやってくれたらしい。川崎くんは地味な仕事でも一生懸命やってくれるいい子だ。

大志「副会長さんにも少し助けてもらいましたけど」

そう言って少し気恥ずかしそうに笑う。周りを見るが副会長の姿は見えない。

大志「あ、副会長さんなら書記さんと一緒に帰ったっすよ」

いろは「あー……そうなの」

確かにあの二人仲良いもんなぁ。

大志「書記さんが用事があるみたいなので先に帰っちゃいました。副会長さんは残るって言ってくれたっすけど、まぁ、あの二人なんで一緒に帰ってもらったっす」

いろは「川崎くん、グッジョブ!」
77: ◆.6GznXWe75C2 [saga] 2015/05/09(土) 15:39:47.41 ID:fgaFjE7So(9/10) AAS
いろは「はぁ……」

大志「……何かあったんすか?」

いろは「えっ?」

大志「ここ最近よくボーッとしてるっす」

いろは「あー、遅めの五月病かなーあははー」

大志「……なるほど。納得っす」

それが嘘だとすぐにわかった。深入りはしないでくれたのだ。それが私のことを思ってなのか、それとも私に興味にないからなのかはわからないけど。

――あれから。

あれから、私は先輩に一度も会っていない。
78: ◆.6GznXWe75C2 [saga] 2015/05/09(土) 15:43:51.68 ID:fgaFjE7So(10/10) AAS
ここまで。
ようやく家から連投できるようになった。
あと五話の「先輩に乗せられてあげます♪」が可愛すぎて死んだ。
いろはす〜。
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