[過去ログ] 【ファンタジー】ドラゴンズリング2【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net (368レス)
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248: ◆ejIZLl01yY 2017/01/29(日)04:48 ID:VysKKKrJ(8/8) AAS
【ミライユさんお疲れ様でした。
 確かにリアクションが難しいなと思うシーンもありましたが
 だからこそ頭を捻ってどう動くか考えるのは結構楽しかったです。

 NPCを出したり、色々キャラの伏線を張るなら、もしかしたら味方として参加した方が良かったかもしれませんね。
 ……と言うより、参加して欲しかったなと言うのが、終わってからの私の気持ちになります。
 仲間としてミライユさんとお喋りするのは、きっと楽しかったのではないかと、思ってしまいます。

 それではまたいつか、どこかのスレで、お会いいたしましょう】
249
(1): ノーキン&ケイジィ ◆xMlzBZPYec 2017/01/30(月)05:18 ID:oIKoGK93(1) AAS
トリップテスト
250: 2017/01/30(月)08:42 ID:ljciiA5V(1/3) AAS
>>249
無理そうやな
参加するかしないか、早いうちに宣言した方がいい

あとジャンはもう書き込んでもええで
251: ジャン ◆9FLiL83HWU 2017/01/30(月)21:34 ID:SrnXSExw(1/3) AAS
>「でも……ごめんなさい。もう少しだけ、このまま……」

「……戦うのは慣れてても、ヒト相手は初めてだったか。
 そりゃ最後まで止めようとするよな……」

静かに頬を寄せるラテの姿は、ネズミの毛に覆われているとはいえ華奢だ。
魔物を狩るのには慣れていただろうが、初めての殺人は肩に重くのしかかるだろう。
ジャンも旅を始めた頃、身を守るためとはいえ初めて野盗を殺してしまったときも
手にこびりついた血が取れない錯覚にとらわれたのだから。
省13
252: ジャン ◆9FLiL83HWU 2017/01/30(月)21:35 ID:SrnXSExw(2/3) AAS
(獣人の毛って大抵俺の鼻によくねえんだよな……気を抜くと、くしゃみが出そうになっちまう)

幸いラテのネズミの毛はジャンの鼻にはひっかからなかったようだが、
もし、あの姉妹がジャンの鼻にひっかかる毛であれば……
一緒に戦利品を回収している間、くしゃみが止まらず、力加減ができないジャンがどれだけ貴重な装飾品を
うっかり壊してしまうか考えるだけで恐ろしいだろう。

「……お!これはなかなかいい壺じゃねえか。表面の銀と金細工がいい味出してるなコレ」

あの姉妹がこちらに来ないかビクビクしている内に、家の居間で両手で抱えるほど大きい壺を見つけた。
省19
253: ジャン ◆9FLiL83HWU 2017/01/30(月)21:35 ID:SrnXSExw(3/3) AAS
>「其れは虚無、其れは常闇、其れは絶望――
遥か古より名を変え姿を変え歴史の影で暗躍してきた全ての生命の敵――」

「最近起きてる物騒な話やら戦争もそいつのせいにできそうな勢いだな」

ジャンが皮肉めいてそう言うと、大狼フェンリルがすぐに返してきた。

「実際に歴史を動かしてきたのだ、そろそろ民衆の噂になる時期だろう」

どうやら皮肉や冗談といったものをこの狼は好んでいるのか、反応が早い。
省23
254
(1): ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/01/30(月)22:00 ID:9XP+5UAl(1/2) AAS
失礼、トリッポはこちらでした
255: 2017/01/30(月)22:46 ID:ljciiA5V(2/3) AAS
>>254
おぉ!それだよ
で、参加するかしないのか
早めに決めてくれや
具体的なタイミングもな
256
(1): ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/01/30(月)23:12 ID:9XP+5UAl(2/2) AAS
参加する
いつでも参戦可能
257
(1): 2017/01/30(月)23:29 ID:ljciiA5V(3/3) AAS
>>256
すぐ乱入して導入部分を書いて
みんな待ってるから
258: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/01/31(火)03:40 ID:wqs1AmbY(1) AAS
>>257
ティターニア氏の旗振りで進行するものと認識している
259: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/01/31(火)06:56 ID:d9lffD0G(1) AAS
【ノーキン殿お疲れ様だ。心配せずとも参加の意思があるのは分かっておるぞ!
出来るだけ早く登場してもらえるよう努力するのでもう少々だけお待ちを。
我々が進行について話し合う時はコテ付きで行うゆえ名無しでの司会には返答しないで貰って大丈夫だ】
260: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/01(水)20:33 ID:LHDFEK+F(1/4) AAS
一行を行かせまいとするフェンリルを、優しく制止するテッラ。
灼熱都市にて勝負が決して尚立ち上がろうとしていたベヒモスと、それをもういいと制したイグニスの姿が重なる。

>「……行け。指環の、勇者達よ」

「そういう……ことか」

今までの旅の詳しい経緯は知らぬラテも、フェンリルとテッラの様子から何かを察しているようだった。
きっと指環を勇者に託した竜は、死ぬことで全ての力を指環に委譲し、そうしてはじめて指環が完成することとなるのだ。
竜に止めを刺すその役目を担ったのは、炎の指環の時も水の指環の時もジュリアンであった。
省21
261: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/01(水)20:45 ID:LHDFEK+F(2/4) AAS
第三話『惨劇の楽園《アガルタ》』(1スレ目278〜2スレ目260)

テッラの元に急げとのアクアの言葉に従い、目的地をハイランド連邦共和国領のテッラ洞窟に定めたジャンとティターニアは
洞窟の近くにあり探索の拠点となる都市、魔術学園都市アスガルドにやってきた。
街中を歩いていると、突如として通常より強いオオネズミの一団が現れ、人々を襲い始めた。
近頃テッラ洞窟から魔力の影響を受けた強いモンスターが出てくるようになっていたのだった。
掃討に入ろうとする二人だったが、そうするまでもなく、オオネズミ達は二人の女性によって一掃される。
ハイランドの主府ソルタレクの冒険者ギルドのマネージャー、ミライユと
省37
262: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/01(水)23:54 ID:LHDFEK+F(3/4) AAS
*☆*゚・*:.。. .。.:*・*☆*゚・*:.。. 第3.5話(or第4話)開始.。.:*・*☆*゚・*:.。. .。.:*・*☆*

地底都市での激戦から数日後―― 一行はティターニアの紹介による賓客としてユグドラシアに滞在していた。
激戦での消耗はほぼ癒え、上層部にこれまでの経緯を報告したり、シュマリとホロカを精霊術の導師に頼んだり
ラテに一連のことを話して聞かせたりを終え、多少手持無沙汰となっていた。
さっさとウェントスのところに向かえよ、とフェンリルあたりから怒られそうだが、これには理由がある。
地名を頼りに次の目的地として目星を付けた場所は、ウェントゥス大平原――暗黒大陸に存在する”らしい”平原である。
何故存在する”らしい”かというと、周囲全てを切り立った崖のような大変高い山脈に囲まれており、誰も足を踏み入れる事が出来ないのだ。
省16
263: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/01(水)23:56 ID:LHDFEK+F(4/4) AAS
そんな理由で徒然なる日々を送っていたところ、「ティタ先生、新しい冊子を作ったので見てください」と、
顧問をしているサークルの学生が自主制作の冊子を持ってきた。

「ジャン殿ラテ殿も見てみるか? なかなか面白いぞ」

今回の目玉は、魔法が使えないエルフの宮廷武官がバッタバッタと敵を打ち倒していく痛快活劇であり、
主人公は随分な美形……いわゆるイケメンに描かれていた。
それは別に不自然なことではなくエルフなのだから普通に考えるとそうなのだが。
ティターニアはすぐに元ネタとなったであろう人物に思い至り、
省25
264: ティターニアin時空の狭間 ◆KxUvKv40Yc 2017/02/02(木)00:19 ID:DPQixAXK(1/2) AAS
とりあえずバトルが出来るように状況設定してみた。
雑魚の集団はその辺でドンパチやってます的な背景設定程度の扱いでいいと思う!
3.5章or4章にしているのはシンプルなバトル章(3.5章)になってもいいし
思わぬ方向に発展して4章になってもいいしということで

>ノーキン&ケイジィ殿
お待たせした! 導入をよろしく頼む!
勝手に色々設定してしまったが要は襲撃に来てくれれば何でも良いゆえ変換受け遠慮無用だ!
省3
265: パトリエーゼ ◆.ioWGZt2uA 2017/02/02(木)23:17 ID:zo2xLeN/(1/3) AAS
【新キャラとして参加】

ヴィルトリア帝国、ダーマ魔法王国等、数多くの国々が発祥するはるか昔、
この世界は「エーテリアル世界」と呼ばれていたという――

そこは国境がなく、全ての世界はエーテルの力によって統一され、
争いもなく全ての生きる者たちが、思うがままに生活をしていたと言われている。
それを“理想世界”と彼らは呼んだ。

――「エーテル教団」――
省19
266: パトリエーゼ ◆.ioWGZt2uA 2017/02/02(木)23:29 ID:zo2xLeN/(2/3) AAS
名前:パトリエーゼ・シュレディンガー
年齢:19
性別:女
身長:186
体重:78
スリーサイズ:長身だが体格はしっかりしている
種族:人間
省12
267: パトリエーゼ ◆.ioWGZt2uA 2017/02/02(木)23:40 ID:zo2xLeN/(3/3) AAS
「ゆぐどらしあ…?」

ここはどこだろう? それにしてもどうやってここまで辿りついたのか。
少しだけあった食料も尽き、あたしはもう腹ぺこだ。

冒険者ギルドからは騙されて変な女に殺されかけるわで、命からがら逃げてきたというのに。

運もよく、どうやらここは話が分かりそうな人たちが揃っているらしい。
どこかの学校? 教団とは違う、研究施設のようだ。

「ねえ、ちょっとそこの方、このあたりに食料の配給は…」
省20
268: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/02(木)23:52 ID:DPQixAXK(2/2) AAS
【ようこそ、歓迎するぞ!
では折角なので前章の順番を元にラテ殿→ジャン殿→我→パトリエーゼ殿という感じで開始しよう!
ノーキン殿は遭遇した時点で上のローテーションのどこかに入る感じで!】
269: ◆ejIZLl01yY 2017/02/03(金)23:47 ID:idk0E4bQ(1/7) AAS
「十二、十三、十四……」

あの古代都市への短い冒険が終わって数日。
私はこないだ放火騒ぎを起こし……放火騒ぎが起きてた宿屋の屋上にいた。
いや違います。放火魔が現場に戻ってきた訳じゃないです。
トレーニングをしにきたんですぅー。

今はティターニアさんの計らいでユグドラシアに泊めてもらっているけど、
走り込みとかはあそこじゃちょっとやりにくいんだよね。
省33
270: ◆ejIZLl01yY 2017/02/03(金)23:49 ID:idk0E4bQ(2/7) AAS
え?余計な事に首を突っ込むな?はい、ごもっともです……。
けどもう手遅れ……ではないんだけど。
正直、今からでもジャンさん達に人間やめるの怖いし降ります、って言う事は出来る。
出来るんだけど……あれ、出来ちゃうじゃん。

……私がジャンさん達に近づいたのは、元はと言えばミライユさんが原因だ。
放っておけば、二人がミライユさんに殺されちゃうのではと思って、私は声をかけた。
でもその脅威はもう去ったし……お二人は、私よりずっと強かった。
省35
271: ◆ejIZLl01yY 2017/02/03(金)23:50 ID:idk0E4bQ(3/7) AAS
 

……それから私は、暗くぼんやりした気分で、ユグドラシアに帰ってきた。
ティターニアさん達は……この時間なら、研究室かな。
研究室を訪れると、ティターニアさんは何やら薄めの冊子を読んでいた。

「あ……あの、ティターニアさん」

>「ジャン殿ラテ殿も見てみるか? なかなか面白いぞ」

「え?あ、あぁ……絵物語ですか?じゃあ、お言葉に甘えて……」
省32
272: ◆ejIZLl01yY 2017/02/03(金)23:50 ID:idk0E4bQ(4/7) AAS
私はティターニアさんへは向き直らず、そのまま助手さんの更に奥を見た。
研究室の扉の外。私がさっき、ぼんやりと通ってきた道のり。

アスガルドの発展を導いてきた導師様方。
これから先を作り上げていく大勢の学生達。
彼らとすれ違った廊下を。

そして……アスガルドそのものと言ってもいい、この都市に住まう人達。
高度な魔法技術と、それが見せてくれる夢を求めて集まった商人や冒険者達。
省30
273: ◆ejIZLl01yY 2017/02/03(金)23:51 ID:idk0E4bQ(5/7) AAS
>「あ、いやいや、怪しい者ではないんですぅ、その、食事を少々恵んでもらえれば

うーん、残念ながらものすごく怪しいです。
ていうかこっそり逃げ出す準備をしている辺り、自覚があるんだろう。
ふらふらしてるのが演技とは思えないし食べ物をあげるのは構わないんだけど、変に疑られても面倒。
なので、

「お食事が欲しいなら、部屋から離れてどうするんです?」

はい、毎度おなじみの【スニーク】アンド【ファントム】で背後に回らせて頂きました。
省27
274: ◆ejIZLl01yY 2017/02/03(金)23:53 ID:idk0E4bQ(6/7) AAS
……と、閑話休題。

「つまり……もしかしたら、既に刺客はアスガルドに到着して、潜んでいるのかも。
 本隊が到着して都市を包囲したら、中で騒ぎを起こして、侵攻のきっかけを作る。
 私が作戦を練るなら、そうします」

アスガルドは、ユグドラシアで扱われる魔法技術や知識の危険性から、結構強固な外壁がある。
だけどそれも、外壁の上に立って攻撃を行う者がいなければただの飾りだ。
意識が完全に外敵に向いていれば……例えユグドラシアの導師であろうと、暗殺は不可能じゃない。
省37
275: ◆ejIZLl01yY 2017/02/03(金)23:54 ID:idk0E4bQ(7/7) AAS
【パティさんよろしくお願いします!
 私は「なんでもする?じゃあ戦力に追加な!」とかいうキャラじゃないので浅めに絡ませて頂きました。
 なんかいい感じに恩に感じて下さい】
276: オークの集団 ◆ceap50eg.2 2017/02/04(土)08:28 ID:UPvCiZV/(1) AAS
それと時を同じくして、ユグドラシアにオークの集団現る!!

既にユグドラシア魔法学院内は「敵の斥候」の一人によって仕掛けが作られていた。
転送陣(いわゆるH×Hのノヴさんのアレみたいなやつ)が各地に張られ、「敵」は
まず残虐で屈強な破壊者を送り込んできた。

ヒュン・・・・・ヒューイ!

妙な音とともに徐々に具現化されたのは、身の丈2m以上はあろうかというオークの集団だった。
肉体は鍛え上げられており、三人の戦士と一人の魔術師の計四名で構成されている。「敵」の斥候部隊だ。
省27
277: ジャン ◆9FLiL83HWU 2017/02/04(土)16:08 ID:5t5RArOu(1/3) AAS
地底都市での指環を巡る戦いから数日。
ジャンとラテはティターニアの紹介でユグドラシアに賓客として迎えられたが、
冒険者として長く過ごしてきたジャンにとっては、もてなされるという経験はどうにも慣れなかった。

せっかくなので、ジャンにもできるような頭を使わない仕事がないか探してみると
この学園にある大図書館の蔵書点検手伝いという仕事があった。
地底都市で拾った装飾品や宝石を売った金で新しく防具を買い揃え、少々財布が軽くなっていた
ジャンにとってこれはちょうどいい小銭稼ぎだ。
省14
278: ジャン ◆9FLiL83HWU 2017/02/04(土)16:08 ID:5t5RArOu(2/3) AAS
そう書かれた一文を見て、ふとティターニアを見る。
ジャンはハイランドで使われている文字はある程度読めるが、すらすらと読むことは難しい。
そのためややこしい言い回しや面倒な文法をところどころ見つけては、ティターニアに教えてもらっていた。

>「ジャン殿ラテ殿も見てみるか? なかなか面白いぞ」

視線が合った瞬間、ティターニアから冊子を渡された。
魔術が生まれつき使えないエルフが肉体を徹底的に鍛え、その筋肉であらゆる敵をなぎ倒すというストーリーだ。
中盤で主人公が故郷に帰り、森にある木を片っ端から粉砕して修業しているところを読んでいたところで、
省25
279: ジャン ◆9FLiL83HWU 2017/02/04(土)16:09 ID:5t5RArOu(3/3) AAS
それからしばらくラテの話を聞き、強烈な一撃を見舞って退かせた方がいいという結論になった。

>「……もし、ここの導師様方が難色を示したら。いえ、示さなくても……攻撃は私が……あるいは私も、やります。
 私には手製の爆弾と、この【不銘】がある。尻尾巻いて逃げ出すまで、爆撃してやりますよ」

「そう急ぐんじゃねえ。こういう時は大体勝つこと前提で動いてるもんだ、冒険者って奴はな。
 斥候やら暗殺者のことも気になるが、指揮官を捕まえて城壁にでも吊るしてやれば逃げるだろうよ」

地底都市での戦いから、ラテが戦闘の話になるとどうも様子がおかしい。
殺人を割り切ることができたと思っていたのだが、悩んだ末にまずい方向に動いてしまったのかもしれない。
省13
280: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/04(土)21:11 ID:XGgG/LDW(1/6) AAS
学園での滞在中、ラテは街に出てはトレーニングに勤しみ、ジャンは図書館の手伝いをしたり研究室で勉強をしたりしていた。
ジャンにいつものように本の文章を教えていたところ、彼の首で光る物に気付く。

「おや、そのアミュレットは授業の課題のものではないか。貰ったのか、お主なかなか隅に置けぬな」

と軽口を叩いていると、ラテがどことなく思いつめたような様子で帰ってきた。

>「あ……あの、ティターニアさん」

ラテは地底都市での戦い以来、どこか様子がおかしい。
やはりミライユを救えなかったのが彼女の心に影を落としているのだろう、とティターニアは推察する。
省26
281: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/04(土)21:15 ID:XGgG/LDW(2/6) AAS
>「はいはい、とりあえず壁に体預けて、座って。ふらふらじゃないですか」
>「ほれ、黒パンだ。さっき食堂からもらってきた」

素早いラテがいち早く動いた。
ジャンもパンを差出し、一緒に食堂に来るか、と聞くまでも無くあれよあれよという間に食事が用意された。

「そなたもソルタレクのギルドのごたごたに巻き込まれたのか? 全く仕方のないギルドだ。
安心せい、ここはあの冒険者ギルドとは無縁……むしろどうやら今のところ敵対している組織だ」

>「落ち着いて、ゆっくり食べて下さいね」
省21
282: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/04(土)21:26 ID:XGgG/LDW(3/6) AAS
一説には共和国最強勢力とも噂されるユグドラシアだが
強さを敵を殲滅する殺傷力という尺度で測ると、もっと強い組織がたくさんある。
普通に考えれば、戦闘を本業とする組織に学者集団であるユグドラシアが敵うはずはないのだ。
むしろユグドラシアが得意とするのはその逆。
いかに相手を殺さずに、更には傷つけずに戦意喪失に持ち込むかとか
集団戦においてはいかに敵陣に大混乱を巻き起こして有耶無耶にして終わらせるか、等を日夜研究しているのだ。
ティターニアがいつぞやの宿屋の主人に使った黒板超音波の魔術などはその一例である。
省21
283
(1): ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/04(土)21:27 ID:RTchBiuy(1) AAS
【この土日のうちに導入書き入れます。遅くなってすみません!】
284: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/04(土)21:28 ID:XGgG/LDW(4/6) AAS
>「聞こえネェのカ?壁に手をついてケツこっち向ケロ、できればパンツも脱いどケ。あ、そこの男はこっち来ナ」

ティターニアはドン引きと呆れと物珍しさが合わさったような複雑な表情で杖を取る。

「お主ら……我のような者でもいいとはオークとしては随分ゲテモノ趣味なのではないか?」

オーク女性に相手にされなくてこうなったのか、それとも元々特殊性癖なのか、疑問は尽きない。
ジャンを見ていれば分かるように、当然この世界のオークが一般的にこんな感じではないわけで……
“何故か広まってしまった間違ったオークのイメージ”の理想的なフォルムを体現し過ぎていて、逆にこんなの実在したのか、と思ってしまう。

>「ヒャッハー! 女と財宝ヨコセ。命だけは助けてやル」
省9
285: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/04(土)21:30 ID:XGgG/LDW(5/6) AAS
一方、オークに襲われて地面に放置された研修生らしき少女に追いすがり泣いている眼鏡の男がいた。

「うええええええええん! メアリーちゃぁああああああん! スーちゃぁあああああああん!!」

そこに同僚らしきやはり眼鏡の男が歩み寄り、そっと肩に手を置く。

「彼女たちは犠牲になったのだ、生徒を守るための尊い犠牲に、な……」

魔術工学研究室――ただでさえ紙一重な者が集うユグドラシアの中でも更に一際異彩を放つ、眼鏡率が異常に高い集団である。
彼らは飛空艇以外にも様々な物を同時並行して開発しており
このメアリー&スーは彼らがあふれ出る煩悩を研究への熱意に変換して開発した美少女型ゴーレムのプロトタイプだった。
省11
286: ティターニアin時空の狭間 ◆KxUvKv40Yc 2017/02/04(土)21:52 ID:XGgG/LDW(6/6) AAS
>283
実は1週間ルールなので気にする事はないぞ、よろしく頼む!
早速バトルが始まっておるがもしギルドの組織絡みが難しかったら個人的に指環奪いに来る感じでも何でも大丈夫!
ギルドの側がその動きを感知して勝手にリーダーに仕立て上げている事にするとか割と色々できるので
とりあえず気楽に登場してみてくれ!
287: オークの集団 ◆ceap50eg.2 2017/02/05(日)01:39 ID:Ks3d7Hrx(1) AAS
ジャンがオークたちの方へと歩を進める。

「なんだァ? このオーク風、状況が分かってネェみてえだなア」「おう、こいつ殺すカ?」
「それよりこいつ雷が効かねェ! どうなってやがル!」

>「――黙ってろッ!」

「ブキャピ・・・」

そのミスリルハンマーの一撃を棍棒で受けるも、一気に食い込んで棍棒を破壊、
そのままオークの頭を勝ち割った。
省28
288: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/05(日)14:41 ID:NJZYvVHR(1/14) AAS
ハイランド連邦共和国首府・ソルタレク。
大陸における主要国家の一つ、その中心に相応しい繁華な目抜通りを、奇異の視線で見送られる一台の馬車が通る。
石畳を蹴立てるは四頭立ての普遍的な荷馬車。奇異の理由は積荷にあった。
客車に連結された荷台に縛り付けるように、巨大な竜の死体が載せられている。

大人が四人手を繋いでようやく比肩し得る広さの両翼、眼窩の上に位置する二本の禍々しく捻れた角。
殊更に特徴的なのは陽光を受けて星のように乱反射する無数の黄金の鱗。
ハイランド連邦の北部に在するアラキア台地、その峻険たる奥地に生息する金剛竜オリハロドンだ。
省35
289: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/05(日)14:42 ID:NJZYvVHR(2/14) AAS
「然り。それが何か?」

「何かってあんた……」

閉口してしまった解体屋の代わりに抗議の声は別の場所から上がった。

「然り。じゃ……ないでしょーっ!」

大男が胸を叩いたポーズのままガクっと膝から崩れ落ちた。
解体屋が目を合わせたままの視線を反射的に下げると、大男の足元で彼の膝に蹴りを入れた人影を発見した。
男の巨躯と存在感のせいで気付かなかったが、傍にもう一人いたのだ。
省29
290: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/05(日)14:42 ID:NJZYvVHR(3/14) AAS
やおら怪しくなってきた雲行きに解体屋が怪訝な顔をすると、応答はノーキンではなく工房の出入り口から聞こえた。

「手形ならここにあるぜ……!」

大通りから差し込む逆光に照らされるは3つの人影。
剣士風の男と、魔導師風の女、そしてリーダーと思しき盗賊風の男だった。
盗賊風は右手に首府ソルタレクの冒険者ギルドの印章を掲げ足早に工房の中へと歩みを進める。

「金剛竜を仕留めたデカい冒険者ってのはてめえだな?ようやく追いついたぜ。
 仲間集めてアラキア台地に出向いてみりゃ竜の巣穴は蛻の殻、巣の主はとっくに解体屋に持ち込まれたって話だしよ」
省34
291: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/05(日)14:43 ID:NJZYvVHR(4/14) AAS
「なんだ。あんたがどこのギルドにも属してない金持ちの道楽で冒険者やってるんなら話はもっと簡単になるぜ。
 まずその死体をこっちに引き渡せ。その上で然るべき『報酬』を正確に算盤弾いてあんたらに支払ってやるよ。
 あんたらには依頼を受けた俺たちが現地で雇った無頼の冒険者ってことになってもらう」

「はぁー?戦ってもないのに後から来てピンハネしてくの!?」

「こっちも支度に山ほど金突っ込んでんだ。平和的な解決だと思うぜ?たったの二人でギルド丸ごと敵に回すよかよっぽどな」

腕組みしながら盗賊風の提案を聞いていたノーキンは顎を手でさすって答える。

「それには及ばぬよ若輩。より簡便に始末をつける方法ならたった今我輩がピコンと閃いた!
省29
292: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/05(日)14:43 ID:NJZYvVHR(5/14) AAS
「理性はそう言っていても肉体はどうだ。我輩には聞こえるぞ!貴様らの筋肉の声が!
 一度己の筋肉に耳を傾けその叫びを聞いてみよ!力というものは使われて初めて意味を獲得する!」

「は……?」

「騙されたと思って耳を傾けるが良い!戦いたい、その抑圧された力を振るいたいと言う声が聞こえて来ぬか?」

「…………」

いよいよ意味不明な妄言に盗賊風と魔導師風は鼻白んだ。
混乱を誘う繰り言にしてもあまりに稚拙。戦闘において需要なウエイトを占める聴覚をわざわざ割く馬鹿はいない。
省31
293: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/05(日)14:44 ID:NJZYvVHR(6/14) AAS
いざ二撃目を放とうとしたノーキンは、己の身体が動かないことにようやく気付く。
彼の足元には金色の太い針が三本突き刺さり、地面と影とを縫い止めていた。
アサシンのスキルが一つ、『影縫い』。対象の影に魔力を込めた刃物を突き刺すことで動きを縛る術だ。
盗賊は恐るべき反射神経で、回避と同時に針の投擲まで済ませていた。

「あ、あれっ?」

同時、けたたましく剣戟音を立てていた不可視のケイジィが困惑の声を上げた。
見えない何かが空を切ったらしくポテっと床に落下する音が聞こえる。
省30
294
(1): ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/05(日)14:45 ID:NJZYvVHR(7/14) AAS
戦意の喪失を確認したノーキンは踵を返し、鉄扉の向こうに引っ込んでいた解体屋の元へ向かおうとして、

「ノーキン!まだそいつ諦めてないよ!」

ケイジィの警告に振り向いた彼の分厚い胸板に5本の金針が突き立った。
投じた盗賊風は項垂れたままこちらを見ていないが、その手指だけは真っ直ぐにノーキンを指していた。

「お望み通り本体の方に針打ってやったぜ」

盗賊風の男は剣を弾かれた時点で既に次善の策を打っていた。
諦めたように笑い、項垂れ、戦意を喪失した――ように見せかけた。
省27
295: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/05(日)14:45 ID:NJZYvVHR(8/14) AAS
「……妄言だな。歴史があんたを否定してる」

「ならばこれから証明して見せよう。砲弾よりも強き拳。その為に、吾輩は今日まで鍛えてきたのだ」

ノーキンは拳を引いた。
腰を深く落とし、肉体のバネを全て一振りの拳に注ぎ込む正拳突きの構え。

「そうかよ。なら良い夢見てくたばりな」

盗賊風は眩しそうに両眼を歪めて、攻城砲の引き金を引いた。
瞬間、音が消え、光が瞬く。炸裂術式が起動し、その爆圧が鉄塊を砲身から追い出した。
省30
296: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/05(日)14:46 ID:NJZYvVHR(9/14) AAS
盗賊風は巨大な何かに打ちのめされたようなショックで暫し放心し、歴戦の戦士としての才覚が気絶を押し留まった。
とりあえず自分の中に起きようとしているとてつもないセンセーションを押さえ込む為に、
「世界って広いな」という身も蓋もない結論で自我を保つことに成功した。

「ああああ!?なんてことしてくれてんだあんた!」

解体屋が少女のような悲鳴を上げた。
何事かと見てみれば、工房に備えてあった解体用の機材が押し花のように綺麗に潰れていた。
その上には、ノーキンの拳跡がくっきり残った砲弾の残骸が我が物顔で鎮座している。
省27
297: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/05(日)14:47 ID:NJZYvVHR(10/14) AAS
とても簡単なキャラ解説:
どこからか指環の情報を聞きつけ入手を狙う二人組の冒険者。
魔法を使えない中年筋肉エルフのノーキンと荒野もゴスロリで旅する謎の少女ケイジィ。
冒険者ギルドに所属しないいわゆるモグリの二人だが、独自の情報網で指環の在り処を追跡している。
豪快かつ後のことを全く考えない戦い方の為、彼らの通った後は台風一過のように滅茶苦茶。

名前:ノーキン・ソードマン
年齢:143  性別:男
省44
298: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/05(日)14:48 ID:NJZYvVHR(11/14) AAS
【魔術学園都市アスガルド近郊】

冒険者ギルドの命によりアスガルドに出立したユグドラシア襲撃部隊(本隊)は、馬車編成10車にもなる大規模な集団だった。
実働要員としては数にして実に100人。その殆どがギルドの最下層で燻っていたゴロツキ紛いの冒険者達だ。
練度はともかく職種には富んでおり、剣士に魔導師、レンジャーハンターシーフから遊び人まで、
どこのパーティにも及びがかからなかったお茶引き同然の連中に雇用を創出する為の公共事業とさえ揶揄されていた。
主に揶揄していたのはケイジィである。

ギルドマスターより特別に仕立てられた長距離仕様の馬車に溢れんばかりに詰め込まれた冒険者達が、
省33
299: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/05(日)14:49 ID:NJZYvVHR(12/14) AAS
盗掘者か、あるいは正当なる継承者か。
まだチャンスはある。ようは全て揃う前に持ってるところから買い取るなり……奪ってしまえば良い。
盗掘品の獲った盗られたなど冒険者の間ではよくある話だ。同様の手段に訴えることに呵責はなかった。
そして、テッラ洞窟の指環に関しては地理的にも近い学術機関のユグドラシアが保有している可能性は極めて高い。
仮に現物がなくとも、なんらかの手掛かりは掴めるはずだ。

「ソルタレクのマスターが指環持ってるっていうのがマジバナなら、ここで功を立てて恩を売っとこうよ」

「うーむ、うむむむ……」
省33
300: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/05(日)14:50 ID:NJZYvVHR(13/14) AAS
腰を落とし、重心を低く、握った拳を胸より後ろに引き絞る。
嵌められたメリケンサックに輝きが灯る。無論これも単なる鋼鉄の保護具ではない。
マスターから支給された支度金で買った、装用者の魔力で仮想の装甲を作り出す魔道具・エーテルメリケンサック。
無論常人が用いれば単に武闘家が防御範囲を広げる為の防具に過ぎないが、ノーキンの拳速と合わされば。

「ノーキン・マスターキー☆スラッガァァァァァアアアアアッ!!!!」

――装甲部分があまりの拳圧に切り離され、魔力の塊として飛んでいく、すなわち砲弾である。
吹き付ける走行風の全てを巻き込み常軌を逸した速度で打ち出された魔力の塊が、白磁の壁に激突する。
省24
301: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/05(日)14:51 ID:NJZYvVHR(14/14) AAS
「おお懐かしき街の灯よ!彼方に見えるユグドラシアの威容よ!この神聖なる学び舎はこれより蹂躙されるのだ!
 こんなにも悲しく心躍ることがあるだろうか?多分たくさんある。吾輩は山ほど知っているぞ!羨ましいかね!!」

ノーキンは支離滅裂な謎の勝利宣言をしながら、ユグドラシアへ向けて両の拳を掲げるファイティングポーズをとった。

「何やってんのノーキン。見えない敵でもそこにいるの?」
「見えない敵はどちらかと言えば貴様のほうだろうケイジィ」
「そーでした。ステルスあるもんね」

「これは吾輩なりの儀礼だ。昨日までに死んだ者達、今日この戦いで死ぬ者達、明日死ぬかも知れない者達。
省32
302: ティターニアin時空の狭間 ◆KxUvKv40Yc 2017/02/06(月)23:30 ID:fUcyikt3(1) AAS
ノーキン殿大作導入大変乙であった! 指環がなんか途中で増えそうだな〜という予想通り当初の想定より増えて草
オークの集団殿も支援かたじけない。今章は特にあんな感じで単発ネタ振りもしやすそうなので歓迎するぞ
こちらは次はパトリエーゼ殿だがまだパーティーに正式加入もしてない状態でノーキン殿のレスを直接拾うところまでもっていきにくいようなら
とりあえず自キャラ周りの出来事で回してもらっても大丈夫だ。皆でもっていくので!
303: パトリエーゼ ◆.ioWGZt2uA 2017/02/07(火)15:32 ID:YVxtoF6L(1/3) AAS
>「はいはい、とりあえず壁に体預けて、座って。ふらふらじゃないですか」

あ、なんか人柄の良さそうな子があたしを椅子に座らせてくれた。

「う、うっそ……これ美味しい! おかわりは? おかわりはある?」

恥ずかしいことにものの数十秒で平らげてしまった。
これであたりが大食らいなのがバレる!

おまけに一番壊そうだったハーフオークのジャンさんも、黒パンを差し出してくれた。
スープがなくなってからも、あたしは図々しくも黒パンをおねだりして、沢山食べた。
省20
304: パトリエーゼ ◆.ioWGZt2uA 2017/02/07(火)15:33 ID:YVxtoF6L(2/3) AAS
――『無限に広がるエーテリアル世界』――

エーテル教団では国境の存在自体を忌み嫌い、「世界は一つ!」という信念を大事にする。
分かり易い教義は子供でも幼少期から洗脳しやすい。
姉さんたちの教えは理解はできた。でも、教団はそのために各地で暗殺を行ってきた。

あたしは姉さんによって沢山の薬を飲まされ、そして魔法の撃ち合いによって鍛えられた。
それを「エーテル力の強化」と姉さんは言ってた。姉さんは優しかったけど、周囲はあたしの信仰への葛藤を見逃さず、
陰口や暴力を振るった。それでもあたしは逆らわなかった。姉さんが傷つくから。
省21
305: パトリエーゼ ◆.ioWGZt2uA 2017/02/07(火)15:35 ID:YVxtoF6L(3/3) AAS
>「――黙ってろッ!」
>「パトリーヌ殿! 危ない!」

ジャンさんとティターニア師の叫び声で再び目を覚ますと、
さっき襲おうとしていたオークたちがあっという間に死体になって転がっていた。
そしてその頭が爆発。
あたしの衣服にも、その血しぶきや脳漿が降りかかって汚れる。

「あぁ……あ、ありがとう、皆さん」
省34
306: ◆ejIZLl01yY 2017/02/08(水)03:07 ID:onk2pPi/(1/6) AAS
……ジャンさんとティターニアさんは、私の心境の変化を察しているようだった。
確かに……自分でも少し、過激な方向に傾いている……そんな気はする。

でも……このアスガルドの平穏と、それを壊そうとする人達の命。
それらを天秤にかけるなら、どちらを重んじるべきかは明白だ。

命を天秤にかけるなんて、と思うと……胸が苦しくなる。
だけど、指環を巡る戦いに挑むのなら、それは避けられない。
究極的には、自分の命か、敵の命か……その二つを天秤にかける事になる。
省33
307: ◆ejIZLl01yY 2017/02/08(水)03:10 ID:onk2pPi/(2/6) AAS
ともあれこれで、襲撃者は全員無力化……

>「うええええええええん! メアリーちゃぁああああああん! スーちゃぁあああああああん!!」

不意に、扉の外から叫ぶような慟哭が聞こえた。
慌てて廊下に飛び出す……そして振り向いた私の視線の先に、二人の少女が横たわっていた。
その傍らには、二人に縋り付いて泣く、男の人……。

気が付けば私は『カムイ』を抜いて、オーク達を振り返っていた。
頭が爆ぜ、無残に転がったオーク達の死体を。
省34
308: ◆ejIZLl01yY 2017/02/08(水)03:12 ID:onk2pPi/(3/6) AAS
黒曜のメアリ……私も名前は聞いた事がある。
もしパトリーヌ……パトリエーゼさんの言っている事が本当なら、彼女は今まで異常な環境で生きてきた……のかもしれない。

……友達に、裏切り、か。
なんとなくだけど、私はこの人にミライユさんの面影を見出してしまった。
そして、だからこそ……

「……裏切られるのが怖いなら、誰とも関わっちゃ駄目ですよ。
 誰かの期待に、ずっと答え続けられる人間なんていないんですから。
省17
309: ◆ejIZLl01yY 2017/02/08(水)03:14 ID:onk2pPi/(4/6) AAS
 
 
 
……あれから三日が経って、私はアスガルドを囲う外壁の上に立っていた。
今朝、とうとうソルタレク冒険者ギルドの軍団と思しき集団が見えたと、伝令が入った。
地平の奥に見える、十を超える馬車が、ゆっくりと近づいてくる。

……あれくらいの規模なら、門を破る事すら出来ずに退却させられるかもしれない。
省38
310: ◆ejIZLl01yY 2017/02/08(水)03:14 ID:onk2pPi/(5/6) AAS
前方に見える、積まれたままの木箱……商品の保管箱かな。
だとすれば、それなりに重いはず。つまり安定していて……踏み台にはうってつけ。
全身のバネを使って跳び上がり、次はお店の看板、次は窓枠……思いっきり腕を上に伸ばす。

建物の屋上の縁を掴み、よじ登る。
上を見上げれば……うん、沢山のアルゲノドンが見える。

息を整えつつ宝箱を開く。取り出すのは、ショートスピアと鉤縄。
それらを……合成。流れるマナを解きほぐし、より合わせ、一つの存在として作り直す。
省27
311: ◆ejIZLl01yY 2017/02/08(水)03:20 ID:onk2pPi/(6/6) AAS
「……慎重に、答えて下さい。ユグドラシアは魔道の怪物。あなた達は、今その口の中にいる」

これは半分嘘で、半分本当。
私はユグドラシアの戦力を代表して語るような立場じゃないから、そういう意味じゃ嘘。
だけど慎重に答えて欲しいってのは、私の本心。

誰かを守る為に、誰かを殺す。
何かを成し遂げる為に、何かを奪う。

そういう手段を取る覚悟。
省17
312: ジャン ◆9FLiL83HWU 2017/02/09(木)21:41 ID:c8qHjzco(1/2) AAS
斥候と思われるオークたちを無力化したところで、先程助けた長身の女性が突然喋りだした。

>「敵の集団がここを襲撃しているみたい! 「エーテル教団」の名前を知りませんか?
ティターニア師、恐らくは彼らはその構成員じゃないかと思います!
上からだけじゃなく、建物の方からも…数は、たぶん100人近く!」

エーテル教団。ジャンはその名を聞いたことがあった。
他の冒険者と一緒にある漁村に滞在していたとき、ちょうど同じ宿にいた信者に勧誘されたのだ。
ジャンとその冒険者は両方断ったが、信者は執拗に勧誘を繰り返し、やがて他信者を引き連れて漁村を襲撃した。
省24
313: ジャン ◆9FLiL83HWU 2017/02/09(木)21:42 ID:c8qHjzco(2/2) AAS
それから三日。ソルタレクの冒険者ギルドによる斥候と威力偵察がしばらく続く中
ジャンは、ユグドラシアの正門に学生謹製のゴーレム部隊やアスガルドの冒険者たちと共に待機していた。
単純な命令しか効かないが、土と石で作られた肉体は動く城壁そのものだ。

住民たちを既に避難させ、敵を一か所にまとめやすいように瓦礫で横道を塞ぎ、一本道だらけになった市街地は
このゴーレムにとって最適な戦場と言えるだろう。

意外なことに、アスガルドの冒険者ギルドは協力を約束してくれた。
前から噂になっていたソルタレクの暗殺者が実在したこと、冒険者ギルドに所属するジャンがそれに殺されかけたことなども影響しているが、
省29
314: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/11(土)07:35 ID:VFS1GnfL(1/5) AAS
>「あぁァ! 死にだくねエエエ!!!」

パトリエーゼを狙っていたオークが突然何故か外に走り出たかと思うと凄まじい爆音が響いた。
所詮は捨て駒だったということか。

「――プロテクション!」

とっさにすでに倒れている3体のオークに向かって魔力障壁の魔術を展開。
通常は防御のために使う魔術だが、今回は爆発の被害を防ぐためだ。
それでも色々飛び散ったが、怪我人が出るのは防ぐことができた。
省26
315: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/11(土)07:36 ID:VFS1GnfL(2/5) AAS
>「あたしの本名はパトリエーゼ・シュレディンガー。
教団の幹部で“黒曜のメアリ”と呼ばれたあのメアリ・シュレディンガーの妹です。
怖くって教団から逃げ出してきたの。お願い、何でもするから、あたしに居場所をください。
そして…みんな、“友達”になって! 裏切られてばかりで怖いの!」

唐突にこんなことを言い出したパトリエーゼに、ラテがここにいてもいいと語りかけ、
ジャンが危険をおしてまで本当に一緒に来たいのかと問いかける。
二人の話がひとしきり終わった後、ティターニアが自分のターンとばかりに唐突に講釈をし始めた。
省22
316: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/11(土)07:39 ID:VFS1GnfL(3/5) AAS
「興味深い、実に興味深い! それは凄いことだぞ……! エーテルとは見ての通り中心の属性。
他の属性を習得せずしてエーテル属性を使えるとは、もしやそなたには最強の素質が眠っておるのかもしれぬ……!」

(実際にはパトリエーゼのエーテル特化の魔術が神聖魔術に属するものであるとするなら
「エーテル属性だけ使えるなんて凄い」という、元素魔術の体型を前提としたティターニアの理論は全く成り立たず、思い込みで暴走しているだけになるのだが
ここで重要なのはパトリエーゼが変人導師に興味を持たれてしまったということである)

そして、悪戯っぽい笑みを浮かべて告げるのだ。

「さて、先刻友達になってと言ったな。残念ながら友達にはなれぬ。
省12
317: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/11(土)07:42 ID:VFS1GnfL(4/5) AAS
それから三日の時が流れ、いよいよソルタレク冒険者ギルド本隊が到着と相成った。
ティターニアは戦況に合わせて最適な場に投入されるべく、ユグドラシア内部の指令本部で待機していた。パトリエーゼも一緒だ。
まず、巨大な砲撃音のようなものが何度も響き渡り始める。
一人一つずつ貸与された伝言のオーブから、伝令担当のパックの声が聞こえてきた。

『マントでマッチョでフンドシ一丁の漢が壁を打つ! 打って打って打ちまくるゥ!』

その日、壁は壊された――――巨人ではなくマッチョなエルフによって。
続いて、オーブからラテとジャンの声が聞こえてきた。
省31
318: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/11(土)07:45 ID:VFS1GnfL(5/5) AAS
「あなた達も、こうはなりたくないでしょう?立ち去る事を強くオススメします」

更に、魔法の殿堂を襲撃なんかしてネズミーランドの住人になっても知らんぞと脅しをかけるラテ。
確かに魔力には溢れているが夢があるとは言えない光景である。

>「……やめとけや、ラテ。冒険者に良心を期待するもんじゃねえ。
 街を焼いて戦利品を頂くのは傭兵だけじゃないんだからな」
>「城壁をぶち抜いたのは誰かは知らねえが、こっから先は通せねえんだ。
 悪いが依頼の前金だけで勘弁してくれや」
省19
319: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/13(月)20:24 ID:J+5VRhUT(1/7) AAS
<アスガルド大通り>

ユグドラシア襲撃に乗り込んだ地上部隊と航空部隊の混成隊は待ち構えていたアスガルド防衛戦団と交戦に入っていた。
敵戦力は魔術学院の術士達とアスガルドの冒険者達。
純戦闘員としての数の利はこちらにあるが、敵には練度となにより地の利がある。
第三・第二隊の戦術目標は敵の漸減と陽動とは言え、拮抗を維持することさえ過酷な戦況だった。

「クソ、またゴーレムが出てきやがった!一旦退いて後衛の火力と合流しながら前線を押し上げろ!」
「爆撃支援はまだか!地上の武装じゃあの装甲は抜けねえぞ!」
省33
320: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/13(月)20:24 ID:J+5VRhUT(2/7) AAS
「馬鹿なァ!味方を巻き込んで撃ってきやがっただとォ――」

桃色光線に撃たれた者達が胸を押さえて倒れ込む。
光線に物理的な破壊力はなかったが、対象者を苦しめる謎の効果があるようだ。
幸運にも砲の範囲から逃れた者達が青ざめて路地へと退避する。

「おい!大丈夫か!?ありゃ何の光線なんだ、呪詛の類か!?」

倒れ込んだ味方へ声を掛ける冒険者達、撃たれた者達は膝をついて胸を掻きむしる。

「ぐ……が……胸が……苦しい……!!」
省24
321: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/13(月)20:25 ID:J+5VRhUT(3/7) AAS
うっちゃったゴーレムが爆煙混じりに四散するのを満足げに見ていたノーキンは、前方の空を横切る何かを気が付いた。

「む!あれは何だ!鳥か?飛翔器か!?」

「第二隊のアルゲノドンだよ!大通りに送ったはずなのになんでこんなところに?」

ギルドの紋章入りの鞍を付けた飛翔魔獣アルゲノドンが、交戦機動の速度で飛んでいる。
巨大な猛禽に竜の翼膜を合わせたような凶相が、苦悶の叫びを挙げている。
手綱を握る弓兵は必死にそれを抑制しようとしていたが、諦めたのかやがて空中で飛び降りて落下傘を展開。
重りのなくなったアルゲノドンはさらにスピードを上げた。
省31
322: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/13(月)20:26 ID:J+5VRhUT(4/7) AAS
「貴様の愚問に答えよう!何を得るかだと?吾輩は冒険者だ!得るものは金に決まっておるだろう!!
 知らぬのか?金は天下の回りものと言ってな、ヒトが社会で生きていく上で不可欠なる最重要物資であるぞ!」

「ええぇ……」

ケイジィが半目で手の平を手首ごと高速回転させるのを横にノーキンは両腕を広げた。

「良いか若輩、金は全てに優先する!人々の安寧は金より重い?誰が決めたのだそれは!吾輩ではないぞ!
 街一つ脅かして大金が得られるならば、それは立派な経済活動だ!」

二者が二様の反応を返す中、おそらく猟兵風の仲間であろう大男が路地を抜けて追いついてきた。
省25
323: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/13(月)20:27 ID:J+5VRhUT(5/7) AAS
「……ぬ。そういう貴様は相変わらず年甲斐のない乳臭い格好だなドリームフォレスト!久しいぞ!!」

「誰あのひと、知り合いなのノーキン」

「ティターニア・ドリームフォレスト。ユグドラシア、ひいてはエルフ魔法界における有名人だ。異端児という意味でのな。
 優秀な導師ではあるが如何せん頭のネジがイカれ方向に振り切れているユグドラシアの狂人代表のようなものだ」

「ううーん……とりあえずノーキンの類友ってことはよくわかったよ」

「まぁ聞け。ヒトに限らずエルフもまた積み重ねた年齢で相応の貫禄を宿すものだが……あの女はアレで吾輩より年上であるぞ」
省32
324: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/13(月)20:27 ID:J+5VRhUT(6/7) AAS
エーテルメリケンサックの形成した魔力の塊が、正拳の速度でティターニア目掛けて打ち出された。
着弾の結果を見届けることなく連れてきた冒険者達に指示を出す。

「第一隊、下がれ!路地を迂回しユグドラシアを目指すのだ!」

予め取り決めていた指示通り、冒険者達が煙幕を張って路地の中へ散り散りに消えていく。
手下30人はここで使い潰して良い兵力ではない。ユグドラシアを制圧するにあたって重要な人員だ。
幸いにも敵はティターニア含め三人、ノーキンとケイジィならば食い止められる。

猟兵風の先程の言動から、彼女の目的は大通りの戦力が陽動部隊を鎮圧するまでの時間稼ぎであるとノーキンは読んでいた。
省31
325: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/13(月)20:27 ID:J+5VRhUT(7/7) AAS
AA省
326: 2017/02/15(水)20:45 ID:3FqVxMz8(1) AAS
画像リンク[jpg]:68.media.tumblr.com
327: 2017/02/18(土)01:05 ID:Nr3JD94C(1) AAS
ティターニアと共に戦場に転移してきたと思われるパトリエーゼだが、
(むしろ差し出された手を掴もうか逡巡している間に手を引っ張られて強制的に連れてこられた可能性もあるぞ)
ノーキン達は特に彼女を意識する様子はない――
ナチュラルに地味で気付かれていないのか戦力外とみなされて放置されているだけなのかは分からないが
今のところアウトオブ眼中のようだ。
つまり今ターンは敵の攻撃を受けずにフリーに動けるということだ。
エーテル属性の魔術等を使って味方の防護に入ってもいいし、ノーキンかケイジィに不意打ちでの攻撃を仕掛けてもいいだろう。
省4
328: 2017/02/18(土)01:26 ID:zwuzE9OK(1) AAS
くっさ
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ぬこの手 ぬこTOP 0.143s*