[過去ログ] 【防衛】要塞を守りきれ!ファンタジーTRPGスレ4 [無断転載禁止]©2ch.net (343レス)
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273: ワイズマン ◆YXzbg2XOTI 2017/02/14(火)19:01 ID:6zWaVgT8(2/2) AAS
「リュシフェール、そして我が旧き友ミアプラキドス。わたしは、長いこと君たちを欺いていた」

大神の聖紋が描かれた法陣、聖法陣とでも言うべきか――の中で、ワイズマンが告げる。

「と言っても、わたし自身今の今まで忘れていたことだがね……。わたしはわたし自身の記憶を封じていたのだ」
「そして、リュシフェールの復活と共にそれを思い出すよう細工をしていた。自らが何者であるのか」

コツリ、と床を杖で叩く。
いつしか、ワイズマンの身体から噴き出る気が瘴気でなくなっている。
研究棟を埋め尽くす強烈な晧白色の光は、瘴気とはまったく属性を異にするもの。生命の、いやもっと神聖な――。

「大神の行いは、決して褒められたものではない。例えそれが自分の力の維持、存在の堅守に関わることであったとしても」
「よって、大神は自らを戒めた。自身もまたリュシフェールと同じく地上に降り、世界の成り行きを観察することにしたのだ」
「大神本来の記憶と力とを封じ、自らも地上に生きる――いや、“生きていた”者という体裁をとって、ね」

ワイズマンの纏うボロボロのローブが、急速に朽ちてゆく。光に変わってゆく。
常にすっぽりと被り、片時も外すことのなかった頭の頭陀袋が、端から崩れ落ちてゆく。

「……もう、理解できたかな?リュシフェール……わたしが誰であるのか。なぜ、わたしが君の宮廷魔導師になれないのか」

ローブや頭陀袋だけではない。ワイズマンの肉体そのものが、急速に光に変化する。
そして、その姿が溢れんばかりの光に呑み込まれ、消滅したとき。
研究錬の中は、すべての魔気を退ける正常な力に満ち溢れた。

ふわり、とリュシフェール――ルークの頬を、柔らかな風が撫でる。
その目の前に、光の粒子が形作ったワイズマンが立っている。
ワイズマンの傍らには、寄り添うように佇んで微笑むイルマの姿も。

《記憶を取り戻した以上、わたしは天へ還らなければならない。大神が地上の存在に直接手を下すことはできない》
《だが、ひとつだけ置き土産をしよう。勇者よ、これが最後だ。立ち上がれ、魔王の支配から逃れるのだ》
《わたしは君にそれができる性能を与えた。そして成し遂げるんだ……今こそウィクス=インベルを取り、魔王を倒すとき》
《地上を生きる者たち。そのすべての力を結集し、魔王に打ち克て。ルーク・ヴェルハーレン――君の望んだとおりに!》

ワイズマンが、否――大神がルークを叱咤する。
その言葉を最後にワイズマンであった者は消滅し、眩い輝きが急速に収まってゆく。

要塞の怪人、死霊術師にして究極のアンデッド、リッチであった『賢者』は消えた。
そこにはただ、ずっとイルマが座っていたからっぽの安楽椅子があるだけ――。
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