[過去ログ] 【防衛】要塞を守りきれ!ファンタジーTRPGスレ4 [無断転載禁止]©2ch.net (343レス)
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213: ワイズマン ◆YXzbg2XOTI 2017/01/23(月)18:04 ID:wdZMwlkz(1/3) AAS
突如として起こった、地下研究棟を――否、ベスマ要塞そのものを揺るがす鳴動に、ワイズマンは僅かに眉間に皺を寄せた。
凄まじいばかりの魔気を感じる。……が、それは目の前にいるかつての友、ミアプラキドスから感じるものではない。
地下だ。地の底と言ってもいいこの地下研究棟のさらに下、さらなる深淵より。
膨大な魔力が間欠泉のように噴き出しているのを感じる。
その正体が何なのか、今さら考えるまでもない。

「リュシフェール!……ミアプラキドス、君の狙いはこれか……!」

こと、愛する『姫』イルマに関わる物事に対しては、冷静さを欠くのがワイズマン唯一の弱点である。
イルマを侵食しようとし、ワイズマンの怒りを買うことで、場を戦いの空気に持って行った。
そして自らの魔気で地下研究棟を満たし、それをもって魔王の本体を目覚めさせる――
それが、ミアプラキドスの真の目的であったのだろう。

「愚かな……、こんなことをして、一体どうなるか分かっているのか!?」
「魔王の本体が目覚め、真なる復活を果たせば、もはや誰ひとりとして魔王に勝てる者は存在しない!」
「勇者はむろんのこと、『君であろうと勝てる見込みはない』のだぞ!?」
「理解しているのか――ベルゼビュート!」

魔気を纏って薄笑いを浮かべるミアプラキドスに向かい、声を荒らげる。――が、その対象は目の前の無影将軍ではない。
無影将軍はただの人形に過ぎない。無影将軍を通じてこの場を視ているであろう、黒幕ベアル・ゼブルへ向けて言っている。

「……く……!」

ねっとりと身体に纏わりついてくる魔気を瘴気によって払いのけ、ワイズマンは大きく右手の杖を振り上げた。
ミアプラキドスとじゃれ合っている暇はない。一刻も早く研究棟に戻り、魔王の復活を食い止めなければならないのだ。
掲げた杖の先端から禍々しい紫色の光が放たれ、回廊の床に巨大な魔法陣が出現する。
そして、その中から出現したのは――

夥しい量の死体をメチャクチャに繋ぎ合わせた、巨大な肉の塊『レギオン』。

攻撃魔法の類はすべてミアプラキドスのタリスマンに無効化されてしまうが、召喚術は別である。
回廊をほとんど埋め尽くすほどの巨大さのレギオンが、ワイズマンとミアプラキドスとを隔てる。
レギオンは巨大な質量を誇る肉の壁である。それ自体に大した攻撃力はないが、圧倒的な質量とはそれ自体が脅威であろう。
ミアプラキドスがこの回廊でまだ何かをしようと試みるなら、まずレギオンを排除しなければならない。
つまりは時間稼ぎだが、それこそが今の賢者にとっては最も重要なことである。

《天の聖櫃よ、至高の座よ!いにしえに聖別されし神鍵を用い、我ここに新たなる封を施さん――第十七封印術!》

研究棟に戻り、すぐさま術式を開始する。巨大な魔法陣の中央に立ち、大きく両腕を広げると、魔法陣が眩い光を放つ。
両腕に開いた十の口唇が、すべて一糸乱れぬ聖言を紡ぎ出す。
本来ならば司教クラスの高位聖職者が複数人で施す大封印、それを単身で行なおうとしている。
鳴動が大きくなる。魔王の本体が目覚めようとしている証だ。
しかし、それを指を銜えて見ているわけにはいかない。

《聖霊よ、降りよ!我祭壇に聖酒、聖塩、聖燭、聖土を捧ぐ、深淵より這い出んとする者に、今ひとたびの眠りを与えるべし!》

複雑に織り込まれた魔術紋様が、ワイズマンの詠唱に反応して激しく輝く。
鳴動が一層激しくなる。……しかし、それは魔王が目覚めかけているからではない。
ワイズマンの封印術式と魔王の魔気がせめぎあい、拮抗している証拠だった。
しかし、それも長くは持つまい。
この場で魔王の復活を食い止める方法は、ただひとつ。

魔王本体に魔気を供給している、無影将軍ミアプラキドスを食い止めること。
無影将軍の裏で暗躍している魔将ベアル・ゼブルを打倒すること。
ベアル・ゼブルが斃れる、もしくはミアプラキドスへの支配を途絶させれば、ミアプラキドスを弱体化させることが出来る。
そうなれば、魔王本体の復活を食い止めることもできるだろう。……一時的に、だが。そして、それが可能なのは――

――何をしている!?勇者!

魔法陣の中心で歯を食い縛りながら、ワイズマンは祈るように顔を上げた。
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