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自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた 第80章 (1001レス)
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933
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石動
◆Ir0KQby7irVk
2014/07/31(木)19:11
ID:+PpSkQPq(5/8)
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933: 石動 ◆Ir0KQby7irVk [sage] 2014/07/31(木) 19:11:35.53 ID:+PpSkQPq その時、艦内へ通じるハッチから、よろよろと這い出てくる者がいた。青ざめた白い肌は不健康極まりない印象で、長い金色の髪はぺたりと顔に張り付いている。 今にも倒れそうな顔色のその人物は、彫像のような整った顔をこれ以上無いくらいにしかめ、大きく息を吐いた。 「艦長どの。わたしはいま大いなる精霊に一言申し上げたい気分で一杯だ。『なぜ、このような理不尽な苦難をわたしに与えたもうたのですか? わたしが何かしましたか? 今季の供物は充分だったはずですが?』と」 その人物──リユセ樹冠国『西の一統』百葉長、マウノ・エテラマッキは長く伸びた耳を力無くたれ下げた。浅い呼吸を繰り返している。 「艦内生活は、色々と難儀なようですな」 木梨が気の毒そうに言った。 「わたしは森と海に生きる妖精族ですよ。役目の重要性はわかっているのですが、この船はあまりにも……。あなた方は、ヒト族というよりは、あの面倒くさい髭モグラどもに近いと思います! 狭いし臭いし、風を感じることができない。何とも冒涜的な船を作ったものです」 エテラマッキは、早口でまくしたてた。よほど鬱憤が溜まっているらしかった。 「みなさん良くしてくれるのですが、だいたい食事もわたしには合いません。何で毎日毎日獣の肉をふんだんに使った料理ばかりなのですか! もっとこう、野草と豆を用いた質素な食事にすべきではありませんか? わたしのように美しく、長生きできますよ?」 「暴動が起きますな」木梨が斬って捨てる。 「うぬぬ」 エテラマッキは、悔しげに口をつぐんだ。大竹が、申しわけなさそうに尋ねた。 「ところで、仕事の話をしたいのですが、現海域からあとどれくらいでしょう?」 大竹の問いかけに、外の空気のお陰でようやく回復してきたエテラマッキは、静かにうなずくと目を閉じ、低い声で何かを詠唱し始めた。 艦橋に小さなつむじ風が起きる。ぼんやりとした光が彼の肩口で光った。 すっと、目を開く。 「今より北西に1日。それで陸が見えましょう」 大竹が、エテラマッキの言葉を受けて、ジャイロコンパスを確認する。示された針路は真方位320度を指していた。 エテラマッキが〈そうりゅう〉に乗艦した目的は、水先案内にある。彼は熟練した航海士兼外交官として、異界の船を目的地へ導くためにここにいるのだった。 「ようやく目的地か。そういえば『積荷』どのはどうしている? 副長」木梨が聞くと、大竹は肩をすくめた。 「ベッドでひっくり返っています。船酔いと閉鎖空間への怖れ。それにあれやこれやで。飯も喉を通らない様子です」 「……陸に着けば復活するさ。俺たちの任務はあれを無事に送り届けることだ」 「彼はよく耐えていますよ。初めて乗った潜水艦ですし」 「と言うか、『世界』からして違うからなぁ」木梨は短く刈り込んだ頭をかきながら言った。 「ソーナーから艦長、『パッシブ探知。方位023度』」 電話を被った伝令の言葉に木梨は意識を向けた。自らソーナー室と繋がる送受話器を握る。 「何かわかるか?」 『音の感じは……鯨に近いですな。海洋生物の可能性が高いです。ただし、いままで聴いたことがない音です。でもってこいつは、間違いなくデカいですよ。近づいてます』 普段は物静かな水測員長の声には抑えきれない興奮があった。 「どう思う? 副長」 「聴知方位は本艦の右63度。近づくとすれば脅威となりうるかも知れません」 「見張り、何か見えるか?」 「その方向、何も視認できません!」 双眼鏡を構えた見張り員が海風に負けないように声を張り上げた。木梨は腕を組み唸った。未知の何かが本艦に近づいている。 「ピンを打ちますか?」副長が真剣な口調で言った。「少なくとも、距離と的針的速が分かります。それに『何』なのかも分かるかも……」 アクティブソーナーで目標を探知できれば、音の変化や音質の違いからその物の動きや材質を探ることができる。木梨もその利点については理解している。 いっちょ、試してみるか? 木梨がそう考えたとき、エテラマッキが不意に声をかけてきた。 「艦長どの? ピン、とはもしかして以前この船が出していた『鳴き声』のことだろうか?」 「そうです。音の跳ね返りを測って、相手の位置や動きを探ります」木梨が説明した。 http://maguro.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1402473421/933
その時艦内へ通じるハッチからよろよろと這い出てくる者がいた青ざめた白い肌は不健康極まりない印象で長い金色の髪はぺたりと顔に張り付いている 今にも倒れそうな顔色のその人物は彫像のような整った顔をこれ以上無いくらいにしかめ大きく息を吐いた 艦長どのわたしはいま大いなる精霊に一言申し上げたい気分で一杯だなぜこのような理不尽な苦難をわたしに与えたもうたのですか? わたしが何かしましたか? 今季の供物は充分だったはずですが?と その人物リユセ樹冠国西の一統百葉長マウノエテラマッキは長く伸びた耳を力無くたれ下げた浅い呼吸を繰り返している 艦内生活は色と難儀なようですな 木梨が気の毒そうに言った わたしは森と海に生きる妖精族ですよ役目の重要性はわかっているのですがこの船はあまりにもあなた方はヒト族というよりはあの面倒くさい髭モグラどもに近いと思います! 狭いし臭いし風を感じることができない何とも冒涜的な船を作ったものです エテラマッキは早口でまくしたてたよほど憤が溜まっているらしかった みなさん良くしてくれるのですがだいたい食事もわたしには合いません何で毎日毎日獣の肉をふんだんに使った料理ばかりなのですか! もっとこう野草と豆を用いた質素な食事にすべきではありませんか? わたしのように美しく長生きできますよ? 暴動が起きますな木梨が斬って捨てる うぬぬ エテラマッキは悔しげに口をつぐんだ大竹が申しわけなさそうに尋ねた ところで仕事の話をしたいのですが現海域からあとどれくらいでしょう? 大竹の問いかけに外の空気のお陰でようやく回復してきたエテラマッキは静かにうなずくと目を閉じ低い声で何かを詠唱し始めた 艦橋に小さなつむじ風が起きるぼんやりとした光が彼の肩口で光った すっと目を開く 今より北西に1日それで陸が見えましょう 大竹がエテラマッキの言葉を受けてジャイロコンパスを確認する示された針路は真方位320度を指していた エテラマッキがそうりゅうに乗艦した目的は水先案内にある彼は熟練した航海士兼外交官として異界の船を目的地へ導くためにここにいるのだった ようやく目的地かそういえば積荷どのはどうしている? 副長木梨が聞くと大竹は肩をすくめた ベッドでひっくり返っています船酔いと閉鎖空間への怖れそれにあれやこれやで飯も喉を通らない様子です 陸に着けば復活するさ俺たちの任務はあれを無事に送り届けることだ 彼はよく耐えていますよ初めて乗った潜水艦ですし と言うか世界からして違うからなぁ木梨は短く刈り込んだ頭をかきながら言った ソーナーから艦長パッシブ探知方位023度 電話を被った伝令の言葉に木梨は意識を向けた自らソーナー室と繋がる送受話器を握る 何かわかるか? 音の感じは鯨に近いですな海洋生物の可能性が高いですただしいままで聴いたことがない音ですでもってこいつは間違いなくデカいですよ近づいてます 普段は物静かな水測員長の声には抑えきれない興奮があった どう思う? 副長 聴知方位は本艦の右63度近づくとすれば脅威となりうるかも知れません 見張り何か見えるか? その方向何も視認できません! 双眼鏡を構えた見張り員が海風に負けないように声を張り上げた木梨は腕を組みった未知の何かが本艦に近づいている ピンを打ちますか?副長が真剣な口調で言った少なくとも距離と的針的速が分かりますそれに何なのかも分かるかも アクティブソーナーで目標を探知できれば音の変化や音質の違いからその物の動きや材質を探ることができる木梨もその利点については理解している いっちょ試してみるか? 木梨がそう考えたときエテラマッキが不意に声をかけてきた 艦長どの? ピンとはもしかして以前この船が出していた鳴き声のことだろうか? そうです音の跳ね返りを測って相手の位置や動きを探ります木梨が説明した
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