[過去ログ] 自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた 第80章 (1001レス)
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930: 石動 ◆Ir0KQby7irVk 2014/07/31(木)19:06 ID:+PpSkQPq(2/8) AAS
第4章 エピローグ

南瞑同盟会議大商議堂
ブンガ・マス・リマ中央商館街

2013年 1月6日 22時37分

「彼の軍勢は議長閣下が?」日本政府特使の村井は穏やかに尋ねた。
 尋ねられた参事会議長マーイ・ソークーンは少し驚いた表情を見せた。
「〈ニホン〉の方々は、よい耳をもっておられる。彼の軍勢は同盟会議の援兵、ザハーラ諸王国バールクーク王国軍です。我らが西の友邦ですな」
「間に合ったのですね」
 村井の言葉に、ソークーンは苦い表情を浮かべた。
「かろうじて……いや、果たして間に合ったのか。我らは多くを喪いました」
 大商議堂内部は、帝國軍の攻撃によってもたらされた粉塵と、戦後の喧騒に包まれている。バールクーク王国軍の参着と、帝國軍の撤退が明らかになるにつれ、室内は雰囲気は明るいものになりつつあったが、参事会を取り仕切るソークーンの表情は暗かった。
 それも仕方あるまい。村井は心中を察した。

 南瞑同盟会議は、かろうじて本拠地を守りきった。しかし、支払った代償は大きい。野戦軍は壊滅し、都市の三割は灰燼に帰した。市民の死者は集計すらできておらず、その経済的損失は計り知れない。
 そして、未だブンガ・マス・リマ北方領域を敵の手に委ねたままであるという事実は、商業同盟として致命傷となりかねなかった。

──それに。

「村井さん、案の定です」背後にさり気なく近付いてきた幹部自衛官が囁いた。彼には、ブンガ・マス・リマ首脳陣や市中の様子を探るよう指示を出してあった。

「やはり、予想通りですか……?」村井が好好爺然とした顔つきで言った。ただし、目は笑っていない。自衛官は、苦々しい口調で答える。

「実際共に戦った連中は別ですが、その他の参事や市民のかなりの数の中で、帝國軍を退けたのは援軍に来たバールクーク王国軍であるとの認識が主流となりつつあります」
「初動の混乱が痛かったねぇ。我々が後手に回っている間に、被害が出過ぎてしまった。不信に思う者も多くいるだろう」
「報告によれば、バールクーク王国軍は三万を超える兵力を誇示しつつ、西市街に進軍。市民に対して庇護下に入るよう喧伝している模様です。あれは宣撫工作に近い」

 控えていた外務省の専門官が言葉を継いだ。
「バールクーク王国がどのような性格を持つかは目下情報収集に当たっていますが、戦闘の経緯とその勢力から、今後同盟会議の方針決定に多大な影響力を行使することは間違いありません」
「困ったねぇ。本省からは安全保障条約の締結に向けた交渉を進めるように指示が来ているが、横槍が1ダースは入りそうだよ……」
 おそらく異世界から現れた我々に対し、バールクーク王国軍がすんなりと協力するということにはなるまい。今後の交渉は難しいものになるだろう。
 幹部自衛官が、ややこしいことになるくらいなら、と話し始めた。
「統幕は今回の戦訓を受け、充分な兵力を投入すると言ってきています。いっそ現地勢力は、邪魔にならない程度の協力態勢でも──」
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