マルチジャンルバトルロワイアルpart20 (683レス)
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614: ◆SqzC8ZECfY 2014/08/04(月)23:07 ID:ggPLFTLR(7/22) AAS
では味方はどうかというと――、

「ぎぃっ……!」
「脱臼か!? バカモノめ! だから無茶だと――」

撃った瞬間の強烈な反動で、美琴の手首の間接が外れていた。
魔人の武具たるクリムゾンネイルを、身体的には一般人の枠をでない美琴が撃てば、こうなるのは自明の理。
だがイスカンダルが驚愕するのはここからだった。
外れた関節が見る間に元どおりになっていく。

「まさか貴様も不死身とやらなのか……」
「いやぁ私もよく分かんないけどね……今、この状況なら丁度いいじゃない。ほら――」

美琴が顎で敵の方を指し示した。
見れば砂塵は晴れ、その向こうに敵の姿がある。
美琴の撃ち放った必殺の鉄杭は、怪物の肩部分を大きく抉り取っていた。
だがその傷もまるでフィルムを逆再生するように塞がってしまう。
常識を超えた再生能力をあちらも持っているということだ。

「どいつもこいつも……!」
「……ま、だから丁度いいってわけよ。これ、借りてくわね」

プケファラスから飛び降り、そして地に落ちていたクリムゾンネイルのスーツケースを担ぐように持ち上げ、敵へと一歩踏み出す美琴。
怪我をしても治らない人間は前衛で戦わなくてもいい。
自分ならばいくら傷ついても何とかなるだろう。
そう考えて、美琴はイスカンダルの前に出る。
だがもちろん、それを黙って良しとする征服王ではない。

「待てぃ!! 貴様が考えていることぐらい察しがつくが、余がそんなつまらん考えに乗ると思うか!!」
「……別にどうだっていいでしょ。あたしが勝手にやるのよ。だからアンタもそんなに戦いたければ好きに……」
「無論、そのつもりだ。だが暫し待て。余はどうしてもあやつに聞かねばならんことがある」

王の威厳を漂わせた重い声だった。
自分のみならず、誰かの命運を背負って放つ言葉だ。イスカンダル個人ではなく、アレクサンダー大王としての言葉。
その声を無視できずに立ち止まる美琴の横にブケファラスの轡を並べ、そして征服王は再生をほとんど終えた敵をまっすぐに睨む。

「我が名はマケドニアの征服王イスカンダルなり――!!」

相手はその名乗りに応えない。
ただ聖剣とスプーンを構え、そして再び風を生む。
その風に砂塵が舞う。
ブケファラスのたてがみが風に踊り、イスカンダルのマントがはためく。
その姿がまるで歴史映画のようだ、と美琴は思った。

「我が盟友、獣の耳をもつわらべを、アルルゥを殺したのは貴様に相違ないか!!」
「――ッ!!」

怪物がその言葉を聞いて、大きく揺れ動いたのを美琴は見た。
イスカンダルは巌のような迫力を保ったまま動じず、さらに問う。

「相違ないのか? 余はその答えをどうあっても聞かねばならん。どうなのだ!!」
『………………そのとおりだ』

先刻と同じ、聴覚を無視してテレパシーで頭に届く声。
怪物はやや俯き加減で、初めてイスカンダルの問いに応える。
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