[過去ログ] ファンタジー剣士バトルロワイアル 第三章 (1002レス)
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581: 代理:刃の亀裂 ◇k7QIZZkXNs 2010/12/19(日)00:50 ID:6mwJWgVL(6/15) AAS
すげなく切って捨てたガッツに落胆するでもなく、銀閣はひらひらと手を振った。

「引き止めて悪かったな。話は終いだ」
「……じゃあな」

踵を返す。階段から離れ、そのまま数分歩き続ける。
銀閣は、追ってこない。

「……チッ。オレのことなんざ気にも留めてねえってことか」

おそらく銀閣はまた眠りに就いたのだろう。城の中は再び静寂に包まれている。
とはいえ、ガッツもまだ城を出る気はない。ここに来たのは休息のためでもある。
ガッツは目に付いた小部屋を片っ端から捜索し、役に立ちそうな物を探し始めた。

(守りたいもの……決まってる。キャスカだ。他にはねえ、何も……)

だが、そうしていながらもガッツの脳裏には銀閣の言葉が残響している。
そして――銀閣だけではなく、別の言葉も。

――おめえ……逃げてやしねえか。戦に……憎しみによ

ここに来る直前に立ち寄った、馴染みの鍛冶屋ゴドーの言葉を、銀閣の言葉を引き金にして思い出してしまう。
牧師でも何でもない鍛冶屋の言葉は、剣を鍛えることを生業とする故に、剣を振るうことを生業とするガッツの心中を正確に言い当ててもいた。

――おめえの心にゃでっけえ刃毀れが……恐怖って名の亀裂が走っていやがる

恐怖。
あのとき、ガッツからすべてを奪った『蝕』の恐怖は今もなおガッツの心身を蝕み続けている。
かけ替えのない仲間たちを襲った、無慈悲にして無残にして無常たる死の宴。

――そのかけ替えのないものをおっぽり出して、お前は一人で行ったんだ

悪夢を振り払うため、借りを返すため、落とし前をつけさせるため。
ガッツは一人、夜の世界へと飛び込んだ。
誰も頼らず、誰も信用せず、ただ己の剣にすべてを託して。
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