[過去ログ] ファンタジー剣士バトルロワイアル 第三章 (1002レス)
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556: ◆k7QIZZkXNs 2010/11/21(日)21:08 ID:u4av9ZCZ(15/21) AAS
否――取ろうとしたが、叶わなかった。

それは剣というにはあまりにも大きすぎた。
大きく、ぶ厚く、重く、そして大雑把すぎた。
それはまさに鉄塊だった。

天空より舞い降りた剣が、丈瑠の身長よりもなお長く大きな剣が、クレアの右腕を地面に縫い付けていた。
クレアと自分とを隔てる壁の正体が、一瞬丈瑠は理解できなかった。
それを剣だ、と理解できたのは――剣を追うように空から舞い降りてきた男が、落下の勢いを利用して剣を抜き取り、旋回させてクレアを襲ったからだ。
迷いなくクレアを両断するであろうその剣の軌跡に、丈瑠の身体は意識するよりも先に動き割り込んだ。
引き抜いた絶刀を片手で握り、峰の部分をもう片方の腕で支え大剣を受け止める。
両腕の骨まで砕かれそうな衝撃。
本当に砕かれなかったのは、絶刀の頑強さと直前で丈瑠に気付いた剣の主――金髪の、ツンツン頭の男が力を緩めたからだ。

大剣をひとまず引いて、男はゆっくりと着地する。重力が作用しているのか怪しくなるほどにその速度は緩慢だ。
マントを翻した男は、だが丈瑠の予想に反してそれ以上の攻撃をしてこなかった。

「……どういうことだ?」

金髪の男はそう問いかけてくる。
聞きたいのはこっちだ、と丈瑠が吐き捨てる前に、

「そいつはお前を殺そうとしていたんだぞ。なのに何故庇う?」

そういうことかと得心した。
どうやら男は上空から丈瑠へと爪を生やした腕を伸ばすクレアを確認し、『丈瑠を救うべく』クレアを攻撃したらしい。
確かに今のクレアは一見すれば人よりは魔獣や外道に近い。
傍から見れば――刀を取り落とした丈瑠に止めを刺そうとしていた、と見えても不思議ではない。
理解はできても納得など到底無理な話だったが。

「違う! こいつは……クレアは、俺の仲間だ!」
「だが、そいつの腕は」
「クレアは人間だ。外道なんかじゃない!」

いくら危険に晒されたとは言え、自分の意思で攻撃を止めたクレアはやはり、丈瑠にとっては討滅すべき存在などではなかった。
丈瑠は蹲るクレアを背後に絶刀を構え、男と対峙する。
疲労の極みにあり、もう戦える状態ではないのはわかっていたが、断固として手出しはさせないという意思を視線に乗せて叩きつける。
男はどうしたものかとたじろいでいたが、

「丈瑠……いいんだ」

その丈瑠を静止したのは、庇われているクレア本人からだった。
振り向いた丈瑠を迎えたのは――砲弾のような、クレアの腕。
腹を殴られ突き飛ばされると、金髪の男に受け止められた。

「クレア!?」
「そいつは……間違っていない。私はもう……一線を、踏み越えて……しまったんだ」

顔を上げたクレアの――ぞっとするほど美しい、金色の瞳。
半ばまで斬り裂かれていた右腕が、煙を上げて治癒していく。凄まじい速度。もはや再生と言ってもいい。
クレアは血色を失くした顔に大粒の汗を浮かべている。消耗した身ではもう妖力を制御することができない。

「そいつが止めてくれなければ……私は、お前を殺していた、かも……しれない。だから……これで、いいんだ」
「クレア……だが、まだ何とかなるだろう? さっきみたいに力を抑えられれば!」
「……無理だ。もう、意識が……保てそうに、ない。だから丈瑠、頼みが……ある。聞いてほしい」
「な、何だ? 俺は何をすればいいんだ」
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