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ファンタジー剣士バトルロワイアル 第三章 (1002レス)
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551: ◆k7QIZZkXNs [sage] 2010/11/21(日) 20:59:35 ID:u4av9ZCZ 「僕はクレス、クレス・アルベイン。聞きたいことがある」 「ぐ……あっ」 クレアはクレスを味方とは認識していない。彼が剣を寸止めするつもりであったとしても、そんなことはクレアにはわからない。 当然、刀が抜かれ始めた時点でクレアはクレスに対し警戒の度合いを引き上げ、制圧行動を取ろうとした。 だが、クレアは腕を繋げるために妖力を開放している最中だったのだ。 妖力解放はクレイモアの肉体を妖魔に近づける行為。強い力を得られる代わりに己を侵食されるかもしれない諸刃の剣だ。 当然、妖力のコントロールには多大な集中力を要する。少しの動揺で制御が乱れるほどに。 それでも普段のクレアならまだ対応することができた乱れだ。が、今のクレアは万全の状態ではなかった。 一刻も早く丈瑠の援護に向かわねばという焦り、新手の襲撃者への対応。そして首輪による妖力の抑圧。 この三つが彼女の精神を著しく圧迫し、結果クレアの妖力は彼女の制御を離れ――暴走した。 「ど、どうしたんだ?」 「に……げ、ろ!」 刀を突きつけている側のクレスが戸惑う。クレアの瞳の色は、一瞬で銀から金へと変化していた。 顔つきが変わっていく。人のそれから鋭利な牙を生やす獣のそれに。 刀が弾かれる。そのとき刀身を通じてクレスの腕に伝わってきたのは、ハンマーで殴られたかのような重い衝撃。 後退し、構える。クレスの刀を弾いたのはクレアが繋げようとしていた腕――だったモノ、だ。 肘から先の筋肉が不自然なほど膨張していた。熊のように太く、指先には鋭く尖った爪が伸びている。 右腕を繋げるために集中していた妖力が、コントロールの乱れによって接合ではなく変質を引き起こしたためだ。 その腕はまさしく彼女らクレイモアが『覚醒者』と呼ぶ妖魔の腕そのもの。 クレアの意思に従わず右腕は猛り、獲物を求めるように地面に突き立つ。 「が、く……制御、できん、このまま、では……!」 右腕に引きずられ、クレアの身体に暴走した妖力が駆け巡る。 もっと力をよこせと、自由にしろと喚いている。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ クレアはその衝動に、抗う気持ちが薄れていることに気付き、驚愕した。 妖力解放には性的快楽に近い快感が伴う。が、女性型のクレイモアはその快楽を抑えることができるはずだった。 ならば何故クレアが衝動に抗えないかといえば――クレアが先ほどまで『右腕に』握っていた刀は、絶刀『鉋』。 四季崎記紀の作った完成形変体刀、持つと人を斬りたくなる毒が込められた刀、その一つだったからだ。 絶刀に込められた毒はかの毒刀『鍍』ほど強くはなく、意識を乗っ取られるということはない。 だが、たとえ影響が小さくとも零ではない。判断決断の一つ一つ、その裏にちらりと顔を覗かせるような微々たるもの。 クレアの強靭な精神によって押し込められていたその毒は、抑圧から解放され嬉々として宿主を侵食する。 その小波のような毒は今、人と妖魔の狭間にいるクレアを後押しするには十分すぎた。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1281446123/551
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