[過去ログ] ファンタジー剣士バトルロワイアル 第三章 (1002レス)
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319: 絆を紡いで ◆WoLFzcfcE. 2010/08/25(水)21:03 ID:1yfnBapt(4/10) AAS
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頭が痛い。
赤髪の剣士ミズー・ビアンカは声に出さず息を吐く。
込めた想いはこの状況への憤りであり、現況と思われるロワへの怒りであり、または彼女の目の前で親しげに話す二人への呆れだった。

「ニケは勇者様なんだ。すごいな、私と同い年なのに」
「いやぁ、それほどでもないよ。実際はククリの――オレの仲間の魔法使いのおまけみたいなものだったし」

村へと侵入する直前、ミズーの同行者の獅堂光に新たな出逢いが訪れた。
金髪の小柄な少年はこちらが何か言う前にペラペラと自己紹介をし、述べ五分ほど喋り通した。
内容はまあほとんど聞き流したのだが、要するに自分に戦う気はないので
同行させてほしいと言うことだった。
その口の軽さにミズーはもちろん警戒したのだが、光があっさりと信用してしまったので剣を突きつけて尋問することもできずこうして一緒にいる始末。
少し日が差してきたとはいえまだ辺りは暗い。
奇襲のリスクを減らすためにもできれば余計なお喋りはしないでもらいたかったが、その会話の理由は恐らく状況への不安だろうと察してもいたので止めはしなかった。

村の中ほどまで達すると、そこはまるで戦争でも起きたかのような有様だった。
住宅地の中に不自然な空き地ができている。
瓦礫が散乱し、家屋は廃屋へと呼ぶが相応しい状態にまで破壊し尽くされ、ところどころに薄く残り火が見える。

ミズーが同じ状況を作れるかと問われれば、精霊を用いれば可能だと答えるだろう。
逆に言えばそんなものでも使わなければここまで徹底した破壊は不可能だと思われた。

「……殺し合いに乗り気な者は思ったよりも多そうね」

辺りを見回し、地面に残っていた血痕を見つけた。
血は固まりかけている。戦闘が起きてから多少時間が経っているようだ。
ミズー自身黒髪の少女に襲われたばかりなので、そういった輩がいることを既に受け入れている。
だから冷静でいられたのだが、光やニケにとっては幾分衝撃だったようだ。
生々しい鮮血の赤が、いやが上にも状況の理不尽さを雄弁に示している。

(どうやらこの子供はこの村の戦闘とは関係ない……と見ていいか)

ニケを信用していなかったミズーは内心で呟いた。
あるいは仲間がいてミズーたちをここへ誘き寄せたのかとも思ったが、青ざめた顔に嘘の色はないように思えた。
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