[過去ログ] ファンタジー剣士バトルロワイアル 第三章 (1002レス)
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109: 英雄交差点 ◆WoLFzcfcE. 2010/08/13(金)20:30 ID:iu4Vkq0X(7/9) AAS
「まあ……どうするかは、こいつが起きてから考えるか」

二つのデイバッグを左肩に、右肩にはもう一つの荷物を担ぐ。
腰から引っぺがしたベルトで後ろ手に腕を縛り、無力化したロイド・アーヴィングを。

ロイドは激突の瞬間、自ら刀を手放すことは不可能と判断しある賭けに出た。
自分でできないのならば他人にやらせればいい。すなわち、セフィロスに刀を弾き飛ばさせることだ。
ほぼ同時に迫ってきた短刀の片方を全力で弾き、体勢が崩れた状態でもう片方の刃を迎え撃つ。
反射的にセフィロスは刀を絡め、跳ね上げていた。ロイドの狙いにまんまと乗ってしまったことになる。

刀を手放したときのロイドの表情は安堵そのものだった。
運が悪ければそのままセフィロスの刃に切り裂かれ絶命していたかもしれないのに、だ。

そうと気付いたとき、セフィロスは手首を返し干将・莫揶の柄頭でロイドの腹部を打った。
あのままロイドを殺すのは、何となく――負けのような気がしたからだ。

ロイドを生かしたまま連れ歩くのは面倒ではあるが、さほどデメリットはなかった。
最初に言ったとおりセフィロス自身積極的に殺し合いに乗る気はなく、情報は欲しい。
問答無用で襲い掛かってきた女や黒い剣士と比べれば御しやすい相手であり、会話も通じる。
刀を取り上げてまだその効果があるかはわからないが、どちらにせよ無手の相手を恐れる必要もない。
いざとなれば盾にもできるし、好戦的ではない者と遭遇したときセフィロスのスタンスを証明する道具にもなる。
何より、ロイドが刀の支配から逃れることができれば――まあ、共に闘うこともできるかもしれない。

刀に抗うロイドの姿には、少なくとも闘う意志があった。
敵と、ではなく自分とだ。
そして彼は何とかその闘いに勝利を得て、結果的にセフィロスの『殺る気』を削いだ。
敵と断定するには早計。セフィロスにそう思わせたロイドの粘り勝ちだったのだ。

最強のソルジャー、英雄セフィロスはたとえ自らに及ばずとも共に闘う意志のある者を切り捨てない。

英雄は、英雄の目に適った。
彼らが次に言葉を交わすとき、そこに刃があるのかどうか――それはまだ、誰にもわからない。
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