Shibu3 project★11【ポチひとし出禁】 (330レス)
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39: [sage] 2023/12/15(金) 11:55:05.23 グスコーブドリは、イーハトーヴの大きな森のなかに生まれました。おとうさんは、グスコーナドリという名高い木こりで、どんな大きな木でも、まるで赤ん坊を寝かしつけるようにわけなく切ってしまう人でした。 ブドリにはネリという妹があって、二人は毎日森で遊びました。ごしっごしっとおとうさんの木を挽ひく音が、やっと聞こえるくらいな遠くへも行きました。二人はそこで木いちごの実をとってわき水につけたり、空を向いてかわるがわる山鳩やまばとの鳴くまねをしたりしました。するとあちらでもこちらでも、ぽう、ぽう、と鳥が眠そうに鳴き出すのでした。 おかあさんが、家の前の小さな畑に麦を播まいているときは、二人はみちにむしろをしいてすわって、ブリキかんで蘭らんの花を煮たりしました。するとこんどは、もういろいろの鳥が、二人のぱさぱさした頭の上を、まるで挨拶あいさつするように鳴きながらざあざあざあざあ通りすぎるのでした。 ブドリが学校へ行くようになりますと、森はひるの間たいへんさびしくなりました。そのかわりひるすぎには、ブドリはネリといっしょに、森じゅうの木の幹に、赤い粘土や消し炭で、木の名を書いてあるいたり、高く歌ったりしました。 ホップのつるが、両方からのびて、門のようになっている白樺しらかばの木には、 「カッコウドリ、トオルベカラズ」と書いたりもしました。 そして、ブドリは十になり、ネリは七つになりました。ところがどういうわけですか、その年は、お日さまが春から変に白くて、いつもなら雪がとけるとまもなく、まっしろな花をつけるこぶしの木もまるで咲かず、五月になってもたびたび霙みぞれがぐしゃぐしゃ降り、七月の末になってもいっこうに暑さが来ないために、去年播まいた麦も粒の入らない白い穂しかできず、たいていの果物くだものも、花が咲いただけで落ちてしまったのでした。 そしてとうとう秋になりましたが、やっぱり栗くりの木は青いからのいがばかりでしたし、みんなでふだんたべるいちばんたいせつなオリザという穀物も、一つぶもできませんでした。野原ではもうひどいさわぎになってしまいました。 ブドリのおとうさんもおかあさんも、たびたび薪たきぎを野原のほうへ持って行ったり、冬になってからは何べんも大きな木を町へそりで運んだりしたのでしたが、いつもがっかりしたようにして、わずかの麦の粉などもって帰ってくるのでした。それでもどうにかその冬は過ぎて次の春になり、畑にはたいせつにしまっておいた種も播かれましたが、その年もまたすっかり前の年のとおりでした。そして秋になると、とうとうほんとうの饑饉ききんになってしまいました。もうそのころは学校へ来るこどももまるでありませんでした。ブドリのおとうさんもおかあさんも、すっかり仕事をやめていました。そしてたびたび心配そうに相談しては、かわるがわる町へ出て行って、やっとすこしばかりの黍きびの粒など持って帰ることもあれば、なんにも持たずに顔いろを悪くして帰ってくることもありました。そしてみんなは、こならの実や、葛くずやわらびの根や、木の柔らかな皮やいろんなものをたべて、その冬をすごしました。 http://egg.5ch.net/test/read.cgi/indieidol/1702596974/39
グスコーブドリはイーハトーヴの大きな森のなかに生まれましたおとうさんはグスコーナドリという名高い木こりでどんな大きな木でもまるで赤ん坊を寝かしつけるようにわけなく切ってしまう人でした ブドリにはネリという妹があって二人は毎日森で遊びましたごしっごしっとおとうさんの木を挽ひく音がやっと聞こえるくらいな遠くへも行きました二人はそこで木いちごの実をとってわき水につけたり空を向いてかわるがわる山鳩やまばとの鳴くまねをしたりしましたするとあちらでもこちらでもぽうぽうと鳥が眠そうに鳴き出すのでした おかあさんが家の前の小さな畑に麦を播まいているときは二人はみちにむしろをしいてすわってブリキかんで蘭らんの花を煮たりしましたするとこんどはもういろいろの鳥が二人のぱさぱさした頭の上をまるで挨拶あいさつするように鳴きながらざあざあざあざあ通りすぎるのでした ブドリが学校へ行くようになりますと森はひるの間たいへんさびしくなりましたそのかわりひるすぎにはブドリはネリといっしょに森じゅうの木の幹に赤い粘土や消し炭で木の名を書いてあるいたり高く歌ったりしました ホップのつるが両方からのびて門のようになっている白樺しらかばの木には カッコウドリトオルベカラズと書いたりもしました そしてブドリは十になりネリは七つになりましたところがどういうわけですかその年はお日さまが春から変に白くていつもなら雪がとけるとまもなくまっしろな花をつけるこぶしの木もまるで咲かず五月になってもたびたびみぞれがぐしゃぐしゃ降り七月の末になってもいっこうに暑さが来ないために去年播まいた麦も粒の入らない白い穂しかできずたいていの果物くだものも花が咲いただけで落ちてしまったのでした そしてとうとう秋になりましたがやっぱり栗くりの木は青いからのいがばかりでしたしみんなでふだんたべるいちばんたいせつなオリザという穀物も一つぶもできませんでした野原ではもうひどいさわぎになってしまいました ブドリのおとうさんもおかあさんもたびたび薪たきぎを野原のほうへ持って行ったり冬になってからは何べんも大きな木を町へそりで運んだりしたのでしたがいつもがっかりしたようにしてわずかの麦の粉などもって帰ってくるのでしたそれでもどうにかその冬は過ぎて次の春になり畑にはたいせつにしまっておいた種も播かれましたがその年もまたすっかり前の年のとおりでしたそして秋になるととうとうほんとうのききんになってしまいましたもうそのころは学校へ来るこどももまるでありませんでしたブドリのおとうさんもおかあさんもすっかり仕事をやめていましたそしてたびたび心配そうに相談してはかわるがわる町へ出て行ってやっとすこしばかりの黍きびの粒など持って帰ることもあればなんにも持たずに顔いろを悪くして帰ってくることもありましたそしてみんなはこならの実や葛くずやわらびの根や木の柔らかな皮やいろんなものをたべてその冬をすごしました
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