[過去ログ] ガラスの仮面で(;´Д`)ハァハァ 5発目 (1001レス)
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63: 嫉妬 2009/04/17(金)20:27 ID:zUYkqBMC(3/9) AAS
そんな日々の中で、マヤにまた新しい舞台の依頼が来た。
話題性はあった。かつてマヤが少女時代を演じた「嵐が丘」キャサリンの、成長後の役だ。
ひたすら激しく我侭な愛をぶつける少女を演じたマヤが、女性として成熟した今、
愛する男がいながら別人と結婚した奔放な女性をどう演じるのか。
しかも相手役は、里美茂だ。
紅天女の共演者であった桜小路優は、「舞台上の恋多き女」と呼ばれたマヤに対して
「僕の知っているマヤちゃんは変わった・・・」
と漏らしたのを報道されてから株を下げていたが、里美茂は初恋の相手である。
しかも彼は、マヤとの別れの苦悩を契機に?本格俳優としての訓練を一からやり直し、
若さに似ず存在感のある演技派俳優として名を上げつつあった。
「ご主人が心配しませんか?」製作発表の席で、ぶしつけなマイクがマヤに向けられた。
マヤは相変わらず素でははにかんだ笑顔で答えた。
「今度も拍手してもらえる演技を目指します。舞台こそ夫の愛情への答えだと思っていますから」
同じように、大都芸能玄関前で尋ねられた真澄も答えた。
「舞台は妻の命ですからね。また美しく花開いてくれるのを楽しみにしています」
その噂の舞台が開幕した。
あいにく、真澄は支社のトラブルのため渡米中だったが、
初日には変わらぬ紫のバラを送ってくれたので、マヤは空の指定席のために精一杯演じきった。
マスコミは我侭でいながら情熱的で、見る者の魂を奪い去る女性像を絶賛した。
共演する里美茂との息の合い方も、舞台上の名カップル誕生を予感させた。
マヤといえば、役が続く間は相変わらず役柄に憑依されっぱなしで
マネージャーが気遣わなければ、舞台がはねた後の食事さえすっぽかしそうだった。
心にひっかかることがあるとすれば、指定席が埋まらないこと。
真澄の仕事のトラブルは長引いているらしく、帰国予定日が遅れると短いメールがあったきり、
連絡も途絶えてしまった。
やがて舞台は成功のうちに終わり、マヤは終演後のぼうっとした状態に戻った。
するとなおさら夫の不在が心にかかった。遠慮がちにメールを送ってみたが、やはり返事はない。
そのまま日数が過ぎていくと、大きな支柱を失ったような虚ろな恐怖がひしひしと迫ってきた。
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