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【剣も魔法も】ヘヴィファンタジーTRPGスレ【重厚】 [転載禁止]©2ch.net (273レス)
【剣も魔法も】ヘヴィファンタジーTRPGスレ【重厚】 [転載禁止]©2ch.net http://tamae.5ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1447151379/
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206: リタリン ◆77DMiRtfME [sage] 2016/01/13(水) 15:48:38.92 0 濃霧の中、対峙する魔女狩りの動向に鋭鋒は研ぎ澄ました神経を傾けていた。 彼を乙種上位たる実力の礎は、その間合い自在なる槍術の他にもうひとつある。 荒野の民に秘伝として継承される、力の伝導を操る『流し』と呼ばれる武術だ。 もとは敵の攻撃を受け流す技術だったものが何代にもわたって磨き抜かれ洗練を重ねた結果、 炎の熱が鉄鍋に広がるように、波紋が水面を伝わるように、様々な力を伝導させる術へと昇華を果たした。 この技術を極めた鋭鋒にとって、地面や壁は単なる足場や遮蔽物ではない。 鍋底に触れればその向こうの熱源がわかるように、水面の航跡を見れば船の場所がわかるように。 その床にかかる重量、その壁に触れる風、あらゆる触覚を鋭鋒へと流し『伝える』感覚器だ。 全方位に張り巡らされた鋭利過敏な感覚の刃、眼には見えない第二の穂先――故に『鋭鋒』。 極度の集中を完成させた今の彼ならば、半径10メートル以内に落ちる木の葉の形さえ正確にわかるだろう。 (いかに霧が濃かろうが、そいつは『眼』に対する誤魔化しだ。肌で感じられる俺には意味がねえ) そして彼の間合いに立ち入る者があれば、脊髄反射の速度域で槍が貫きに奔るだろう。 無論、デコイの対策も万全だ。あの化物も含め、敵意をもった生き物の接近に関する感度を上げてある。 視界を塞いだと安心して近づけばそれが魔女狩りの最期だ。 「いつでも来い……!」 挑発ではなく本心で、鋭鋒はそう言った。 十秒、二十秒と張り詰めた弓のような緊迫に満ちた時間が過ぎる―― ふっ、と音もなく背後に着地する気配。 刹那、弾かれるように鋭鋒は槍を手繰り、振り向きざまの一閃! 背後の人影が風巻く音とともに貫かれる。切り裂かれた大気が巻き戻り風を起こし、霧が晴れた。 「……?」 霧の向こうで槍の先にいたのは、魔女狩りではなかった。 踊り子風の露出の多いドレスに身を包んだ、すらりとした肢体の美女。 彼女は少しだけ驚いたように眉を上げて、それから愉快そうに零した。 「あらあら?」 「姐さん、なんでこんなところに」 背後に現れた気配の主は、魔女狩りを追っていたはずの同僚、甲種冒険者『地走』だった。 困惑しながら槍を戻すと、瑞鉄製の穂先がまるで花弁のように4つに分かたれ拉げていた。 おそらく破壊の源は、地走の指先で力なくぶら下がっているチャクラムだ。 言葉を失っている鋭鋒を感情なく睥睨して、地走はため息混じりに言った。 「やっと見つけたと思ったのに。逃げられちゃったみたい」 はっとして鋭鋒があたりを見回すと、濃霧は既に消え去っていた。 そして消えたのは霧だけではない。魔女狩りも、店主も、あの巻き込まれ姉妹すら、覚めた白昼夢のように消滅していた。 「あーっ!?霧自体がデコイかよ……!!」 濃霧に乗じて襲い来ると見せかけての撤退。初めからこうするつもりでなければこんなに早く逃げ切れはしまい。 おそらく撒いてきた地走が追いついてくることを見越して早期撤退を決めていたのだろう。 結果として地走も鋭鋒も魔女狩りと直接交戦したにもかかわらず彼を殺せず、どころか店主さえも拉致されてしまった。 なんのことはない、奇襲から撤収まで、徹頭徹尾魔女狩りのペースに載せられていたということだ。 「つか姐さん、霧の中で人着確認せずに攻撃したんすか?俺じゃなかったら死んでますぜ」 「んー、なぁに?」 「いや、何でもねえっす……」 ―――――― http://tamae.5ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1447151379/206
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