[過去ログ] 【剣も魔法も】ヘヴィファンタジーTRPGスレ【重厚】 [転載禁止]©2ch.net (273レス)
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151: ◆xAR6oa9/33KJ 2015/12/17(木)03:11 0 AAS
>「ほら、どうした手品はしまいか?
  もっと気合入れて逃げねえとただでさえ小せえタッパが半分になっちまうぞ!」

氷城を仕留め損ねたヴィクトルを仕留めんと、華翼が動く。
壁に刃を突き立て体を固定した状態で――もう一方の切っ先をヴィクトルへ。
爆炎が吠える。ヴィクトルは壁に背を預けた状態から体を両手で押し出しそれを回避。
華翼もまた壁を蹴り、跳躍――爆炎の連撃はしない。氷を過度に溶かしてしまう。
まともな足場を与えてしまう事は避けたかった。

爆炎を回避させ、動いた所を、有利な角度から斬り掛かる。
それだけで大抵の相手なら仕留める事が出来た。
必勝と呼んでもいい戦術だった。

だが今回は、勝手が違った。

ヴィクトル・シャルフリヒターは背が低い。
白兵戦において、背の低さは必ずしも不利な要素とは言えない。
低いという事は――即ち遠いという事だからだ。
自分の足元に転がる標的を渾身の力で斬り付ける事は、よほど技量の高い者であっても難しい。

つまり、ヴィクトルは「低さ」を利用した戦い方を知っている。

氷上に殆ど完全に背中を預けて、仰向けの体勢で彼は華翼と対峙。
擬似的に正面切っての戦いを成立させた。
更に氷の床を背にする事で、華翼は立ち回りに繊細さが求められるようになる。
刃が少しでも行き過ぎれば切っ先は床に食い込む。
斬撃の勢いが損なわれ、完全に停止せずとも盾による防御が可能になってしまうかもしれない。

故に飛翔は僅かにだが遅く、斬り込みは浅い。

首筋に迫る剣閃――長さを変えた細剣を床に突き刺し体勢を固定。
余剰の瑞鉄で二振り目の細剣を形成し、斬撃を放つ華翼の右腕を狙い切り払う。

だが華翼は爆翼を噴射――体を空中で急停止、細剣を空振らせる。
そのまま回転力を利用し、返す刃をヴィクトルの腹目掛けて薙ぐ。

受ければ致命傷――ヴィクトルは氷壁を蹴った。
細剣を床に突き刺した状態からそうする事で、体は細剣を支点に高速で反転。
華翼の斬撃は空を切り裂き――仕切り直しだ。

「……随分と芋臭え戦い方をするんだなぁ、エルフさんよ」

「剣をまともに当てられねえ奴ほど、言葉で俺を刺そうとする。生憎、その手の台詞は聞き飽きてるぜ」

ヴィクトルはそう言って鼻で笑う。
とは言えこの状況、一見すれば拮抗しているようにも見えるが、実際にはそうではない。
氷に接する面積を増やしているヴィクトルは、体温の失われていく速度が早い。
華翼はただヴィクトルの体力が消耗されていくのを待つだけでもいい筈だった。

だが彼がそれをしないのは――時間をかけるという戦術が、相棒にとっては上策ではないからだ。
氷城は機動力に欠け、魔力も薬品による補助があるとは言え万全でない。
彼はヴィクトルの協力者達にとって狙い目だった。
だから氷城が次の支援攻撃に晒される前にヴィクトルを仕留めたかった――が、遅かった。

不意に、前触れもなく処刑台を覆う氷がひび割れた。
氷に亀裂を走らせて、何かが飛び出そうとしている――樹木だ。
魔法によって急激に生育された樹木が氷の城塞を侵していた。
そして氷城が、その枝に絡め取られた。
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