[過去ログ] 自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた 第50章 (939レス)
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127: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/18(水)00:31 ID:??? AAS
西暦2020年7月31日 23:13 ゴルソン大陸 日本国西方管理地域 森の中
「港町ですね」
「やはり連中の拠点か、貴様の言ったとおりだったな」
夜間双眼鏡の中では、大量の篝火が焚かれた城塞都市が広がっている。
海に面してはいるものの、あまりにも支配地域から離れすぎているために放置されていたこの街は、そこかしこにグレザール帝国の旗が翻っていた。
「はい、三尉殿は現在偵察中でして。
間違いありません、ここは現在、グレザール帝国の占領下にあります。
省11
128: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/18(水)00:32 ID:??? AAS
「嫌ですね」
先頭を歩いていた陸曹が小声で言った。
足早に城塞都市を離れる彼らは、驚くほどに静かだった。
枝を踏まず、草にぶつからず、装具を鳴らさず、どんな特殊部隊でも満足できる静寂を保ったまま、行動を続けていた。
もちろん、力を入れすぎたり転んだりして痕跡を残すような間抜けはいるわけがない。
だが、気がつけば彼らは、無数の敵意に晒されていた。
「10、20か。嫌だな」
省7
129: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/18(水)00:33 ID:??? AAS
「三尉!!」
小銃を構えつつ陸曹が叫ぶ。
だが、彼が異変に気づいた頃には、後頭部を殴打されていた。
無論、静かにその場に倒れこむ。
「三曹殿!」「狙って撃て!」「狙うって何処に!!うわぁ!」
慌てふためく陸士長に、若い一等陸士が答えようとした途端、彼も大空の住人になっていた。
「畜生!」
省7
130: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/18(水)00:33 ID:??? AAS
西暦2020年8月1日 10:47 ゴルソン大陸 日本国西方管理地域 ゴルシアの街 陸上自衛隊ゴルソン方面隊ゴルシア駐屯地
「定時報告に応答がない?」
ようやくの事先月分の書類を始末し終えた佐藤は、浴場の中でその最悪な報告を聞いた。
「おいおい待ってくれよ。三尉たちはアレでもレンジャーを多く入れた実戦経験豊富な連中だぞ・・・
それが全滅したっていうのか!」
慌てて立ち上がった彼だったが、二曹に容赦のない蹴りを受けてそのまま浴槽の中へと倒れこむ。
省5
131: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/18(水)00:34 ID:??? AAS
「偵察行動中の友軍と通信が途絶えました。
こちらからの呼び出しにも応じません」
挨拶もそこそこに、佐藤は素直に現状を報告した。
<それは厄介な話だな、どうする?>
「我々は直ちに救援部隊を出します。
第三基地に航空偵察と救難ヘリの手配をお願いします」
省4
132: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/18(水)00:35 ID:??? AAS
西暦2020年8月1日 10:50 ゴルソン大陸 日本国西方管理地域 森の中
「三尉、起きてらっしゃいますか?」
足首を押さえて眠るという器用な姿勢の三尉に、陸曹が恐る恐る声をかけた。
「なん、とかな。全員無事か?」
「そのようです。数名が打撲を負っています。自分もです」
「奇襲をかけて一人も殺さないとは、随分と甘い連中だな」
小声で二人は会話を続ける。
省6
133: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/18(水)00:36 ID:??? AAS
「武器は?」
「奪われました、通信機もです」
「畜生め」
忌々しそうに三尉が呟いたところで、檻の方が賑やかになった。
「なんだ?」
「その、三尉殿」
「?」
省4
135: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/18(水)00:38 ID:??? AAS
「陸上自衛隊ゴルソン方面隊ゴルシア駐屯部隊第3普通科小隊指揮官の原田政義三等陸尉。以上」
「他に言う事があるだろう!!」
三尉の絶句から約二時間が経過している。
今のところ、その間に交わされたやりとりは以上である。
「貴様ぁ!我々を舐めているなぁ!」
「別に」
省7
136: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/18(水)00:42 ID:??? AAS
「チッ」
だが、相手はそれ以上挑発には乗らず、舌打ちをして椅子に座る。
ちなみに、三尉は周囲から剣を突きつけられて立っている。
そのような状況下でも、三尉は冷静に事態の把握に努めていた。
相手は目の前の女を入れて五人。
全員が武装しており、適度な間隔を保っている。
大暴れしたところで、誰かにブスリとやられておしまいだろう。
省10
138: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/18(水)00:43 ID:??? AAS
「陸上ナントカというご大層な名前はいい!
貴様らはグレザール帝国軍に決まっている!目的は何だ!また我々の仲間に手を出すつもりか!!」
「隊長!こいつらの首を刎ねて、さらし者にしてやりましょう!」
「シンディもルーシアも、こいつらに連れて行かれたんですよ!!」
周囲の女エルフどもが五月蝿いな。
しかし、連中と俺たちでは外見があまりにも違うだろうに、全くエルフの連中は愚かで困るな。
視界の端に、集められた装具がある。
省11
139(3): 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/18(水)00:48 ID:??? AAS
本日はここまで
>>1乙
前スレ>>1000
懐かしいネタをありがとう
>>107殿
一つ目の願いは叶えた
残り二つの願い事を言ってくれ
145(1): 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/18(水)00:59 ID:??? AAS
>>144殿
貴公の願いを叶えよう
同務>>141殿>>143殿
ご注文ありがとうございます。
これより調理を始めますので、数日お待ち下さい。
では本日はこれにて
271: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/20(金)01:02 ID:??? AAS
西暦2020年8月1日 21:00 グレザール帝国領 城塞都市ダルコニア
「ふざけるなこの野郎ぉ!!!」
ガラスの割れる音と、店主の怒鳴り声が響き渡る。
まぁ、怒鳴るのもわかるな。
「てめぇら揃いも揃って水を下さいだぁ!
何処の田舎モンかしらねぇが、随分なマネをしてくれるじゃねぇか!!」
省11
272: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/20(金)01:05 ID:??? AAS
「まあまあ店主、こいつら見たところ流れ者で新参だ。勘弁してやろうぜ」
「アドルフ、お前さんがそう言うのならば聞くが、しかし、こいつらどうせ面倒を起こすぞ」
声をかけた俺を見た店主は、半分抜いていた腰のダガーを戻した。
俺の名前はアドルフ・ヒトラー。
この街では名の知られた冒険者だ。
いくつもの魔物を倒し、そして多くの冒険者を救ってきた英雄で通っている。
「だろうな。まぁこの街の流儀っていうのを教えてやるさ」
省8
273: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/20(金)01:09 ID:??? AAS
「あの、それで自分たちは何処に連れて行かれるのでしょうか?」
「俺の家だ」
「はぁ」
俺たちは連れ立って街を歩いている。
ここ、城塞都市ダルコニアは、連合王国が存在していた頃からグレザール帝国の庇護下にあった。
三つの大陸、二つの列島に領土を持ち、人族史上最大最強である帝国は、統治の上手さに強さの秘密があった。
省11
274: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/20(金)01:11 ID:??? AAS
「あれが白銀騎士団だ。
グレザール帝国五大軍団の一つ、騎兵を使った機動戦を得意とする連中だ」
騎兵の集団が足早に通過する。
白銀の鎧、その肩には、盾に交差した稲妻というマークが見える。
一度でも引越しをした事のある人間ならば理解できるだろうが、大軍団の移動という軍事行動には、信じられないほどの手間がかかる。
物資も消費するし、それまで築いた陣地や人脈も、放棄しなくてはいけなくなる。
これでは陰謀をめぐらせ、力を蓄える余裕がない。
省14
275: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/20(金)01:14 ID:??? AAS
西暦2020年8月2日 07:21 ゴルソン大陸 日本国西方管理地域 森の中 エルフ第二氏族の村
「ふざけないでよっ!」「ゆるしてください!!」
第二氏族の朝は、こうして始まる。
もちろん、最先任軍曹な褌エルフと三尉のやりとりではない。
その声は、この村でも一番貧相な小屋からしている。
「ナーカ、貴方、いつの間に私より偉くなったのでしょうね?」
「ゆ、許して下さいサトゥーニア様」
省10
276: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/20(金)01:19 ID:??? AAS
「さっさと起きて、朝食の支度をなさい!このグズっ!カスっ!動きなさい!!!」
思う存分罵声を浴びせ、暴力を振るった彼女は、肩をいからせながら自宅へと去っていった。
あとには、涙目になりつつ治癒の魔法を使っているナーカが残された。
「畜生、いつか殺してやる」
いつの間にか解けてしまった胸のさらしを無視し、彼女は怨念を込めた声でそう言った。
省12
277: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/20(金)01:23 ID:??? AAS
「おはよう人間の諸君」
そんな一同のところへに、警備のエルフと何故か裸エプロンのような格好のエルフがやってきた。
「諸君らはこの第二氏族に捕まったグレザールの兵で間違えないな?」
「違うと言っているだろう」
「ふむ?」
昨日幾度となく答えた言葉を、うんざりしつつ言った三尉に、そのエルフは興味深そうな声で答えた。
「グレザールではない?それではどこの兵だ?
省10
278(1): 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/20(金)01:32 ID:??? AAS
「お前は第二氏族ではないな?」
「そうよ、私は知を司るエルフ第七氏族、その高位学者よ」
エルフは胸を張って言った。
どうやら、自意識が過剰気味な種族のようだな。
しかし、胸の形は一級品だ。
「行為学者?」
ダメになり始めた自分の思考回路に戦慄しつつ、彼は再び尋ねた。
省10
279(1): 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/20(金)01:33 ID:??? AAS
何故日本語が通じるのか?
何故文章に英語が使われているのか?
何故免疫のない病気にかからないのか?
何故地球と寸分違わぬ形状の惑星なのか?
何故何故何故何故・・・
この世界はわからない事だらけだった。
全てがご都合主義でなりたっている。
省6
280(1): 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/20(金)01:34 ID:??? AAS
本日はここまで
345(1): 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/21(土)23:40 ID:??? AAS
>>344先生
あっしの世界地図を書いていただけませんか?
355(2): 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/21(土)23:58 ID:??? AAS
>>344先生
了解っす、自作してみます。
>>353殿
ありがとうございます、早速探してみます
520: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/24(火)23:43 ID:??? AAS
西暦2020年8月2日 17:50 ゴルソン大陸 日本国西方管理地域 森の中 エルフ第二氏族の村
日が沈み始めた。
今日も三尉は一日中尋問を受け、そして救援部隊は来なかった。
褌や前掛けエルフにはしゃいでいた隊員たちも、さすがに捕虜生活二日目の日没に、そのテンションを大きく下げていた。
「捕まっているのは、グレザール帝国軍じゃないな」
その様子を離れたところから監視しつつ、アドルフは言った。
彼と先日出会ったばかりの新米冒険者たちは、街のギルドから依頼を受け、第二氏族の村へ偵察に来ていた。
省12
521: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/24(火)23:45 ID:??? AAS
「しかし、連中を助けないのは嫌だな」
冷静な表情のガーランドが言う。
彼は、その表情とは裏腹に、既に剣に手を当てていた。
「落ち着け落ち着け、連中を助けるにしろ見捨てるにしろ、準備が必要だ」
「ですな」
淡々と、今まで沈黙を守っていたバーレットが言う。
それに、最後まで沈黙を守り通しているエンフィールドが首だけで同意を示す。
省5
522: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/24(火)23:46 ID:??? AAS
西暦2020年8月2日 18:30 ゴルソン大陸 日本国西方管理地域 森の中 エルフ第二氏族の村
「夕食よ、さっさと食べなさい」
ナーカがぞんざいな態度で鍋を差し出す。
彼女の態度はともかくとして、待遇はまずまずだった。
「どうも」
ナーカの態度を無視し、三尉は鍋を受け取り、檻の中へと戻る。
中身をぶちまけ、ひるんだ隙に逃亡を試みても良いのだが、残念な事に周囲には監視のエルフが何人もいる。
省6
523: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/24(火)23:46 ID:??? AAS
三尉の言う細工とは、夕方の尋問の際に行われていた。
実に不毛なやり取りを行った彼は、帰り際に集められた装備の横を通過した。
「役たたずめ!」
小銃や無線機を睨みつけ、彼はそう呟くと無線機に軽い蹴りを入れた。
無線機のランプが灯る。
「止めないか!」
容赦なく先任軍曹エルフが蹴りを入れる。
省11
524: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/24(火)23:47 ID:??? AAS
「ああ、それでなにやら喚きながら連れてこられたんですね。
いつもはふてぶてしく歩いてくるのに、あんな姿を見せられたから」
「発狂したとでも思ったか?
安心しろ、俺はエルフを絶滅させるまでは狂いたくても狂えんさ」
三尉の脳には、部下たちの最後が今でも残っていた。
気のいい陸曹たち、そして勇敢な陸士たち。
難民を救い、笑顔だった彼ら。
省5
525: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/24(火)23:48 ID:??? AAS
西暦2020年8月2日 22:40 ゴルソン大陸 日本国西方管理地域 森の中 エルフ第二氏族の村
「これ以上は、まずいな」
かなりの長時間に渡って偵察活動を行っていたアドルフは、そう呟くと撤収を命じた。
新人冒険者であるグロックたちにとって、それは神の御言葉に等しく、一同は静かに森を去った。
「しかし、どうしてニホンの連中は見つかったんでしょうか?」
静かに、かつ足早に森を進みつつ、グロックが言う。
省12
526: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/24(火)23:49 ID:??? AAS
「それで、助けますか?」
後ろを振り返りつつ、バーレットが言う。
彼はどうにも気になることがあるようだ。
もちろん、それは彼だけではない。
「囲まれたな」
アドルフが言う。
「全員動くな」
省7
527(2): 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/10/24(火)23:50 ID:??? AAS
本日はここまで
作品の増加に感謝感激しつつ来月頭に大規模攻勢予定
ではでは
653: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/11/01(水)00:01 ID:??? AAS
西暦2020年8月2日 22:41 ゴルソン大陸 日本国西方管理地域 森の中 エルフ第二氏族の村
「エルフの皆さんの村に近づいてしまった事は謝罪します。
ですが、我々に皆さんを傷つけようという意思は全くありません。
このまま通していただくわけにはいきませんか?」
丁寧にアドルフが言う。
しかし、サトゥーニアは面白そうな表情を浮かべて答えた。
「ならば、こんな夜更けにここで何をしていた?
省10
654: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/11/01(水)00:02 ID:??? AAS
「どういったご用件でしょうかね?もしかして、私たちが探している薬草の場所を教えていただけるのでしょうか?」
「やくそう?」
彼の質問に、サトゥーニアは怪訝そうな表情を浮かべる。
「ああ、まだ言っていませんでしたね。
私たちはこの森でかつて見られたというニューク草を探しているんですよ。
雇い主が緊急で必要と言う話でして、出来るだけ早く持ち帰る必要があるのです」
ニューク草とは、神聖魔法との組み合わせでいかなる病魔も発見できるという薬草である。
省13
655: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/11/01(水)00:03 ID:??? AAS
彼の説明はこうだった。
まだまだ彼が駆け出しだった頃、一夜の宿を与えてくれた一家があった。
体力気力の限界にあった彼は、その一夜のおかげで生き延びる事ができ、そして今がある。
その一家の長が倒れた。
刻々と本人の体力と蓄えは失われており、試しにといくつもの薬草を購入するわけにはいかない。
そこで、一家は恥を忍んで彼に依頼をした。
治ったら、きっと代金を支払う。
省10
656: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/11/01(水)00:05 ID:??? AAS
サトゥーニアの指摘に、一同は足元を見た。
そこには、夜の闇の中、青い光を放つ、美しい花があった。
「いやいやいやいや、感謝いたしますよエルフのお嬢さん!
これで私も昔の恩を返せるというものです」
「礼はいい、早々にこの森を立ち去るがいい」
「ありがとうございます、それではこれにて失礼致しますよ」
手早くニューク草を採取すると、アドルフたちは愛想笑いを浮かべつつその場を立ち去った。
省11
657(1): 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/11/01(水)00:05 ID:??? AAS
「いいかしらナーカ」
「は、はい」
「五人組の見るからにひよっこの奴らも含めて、彼らの装具を見た?」
「い、いえ」
「プレートアーマーなどは一切なし、それでいて食料は沢山もてるようになっていた」
「つまり?」
「せいぜいが物見、もしくは本当にニューク草狩り。
省11
658: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/11/01(水)00:07 ID:??? AAS
西暦2020年8月3日 01:00 ゴルソン大陸 グレザール帝国領 城塞都市ダルコニア
「はい、そうです。
恐らくは行方不明の自衛隊の偵察です。
はい、数は彼らの単位で一個班。
そうです、ええ、ええ、はい。
私たちの任務は終了で?
了解、物資を受け取り、行動を開始します」
省12
659: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/11/01(水)00:08 ID:??? AAS
そう、彼らは合衆国海兵隊の人間だった。
この世界の人間に酷似しており、英日両方の言語を操れ、戦闘能力にもサバイバル技術にも問題がない彼らは、諜報員としてうってつけだった。
旧連合王国捕虜と共に暮らし、この世界での生活習慣を叩き込まれた彼らは、少数で各地の都市へと潜伏していた。
グロック少尉たちもその一グループである。
彼らの目的は三つ。
この世界の『標準の生活』を探し出し、市民の目からその最善を見出す事。
この世界の他の国家の情報を収集し、今後の外交方針や戦争計画の材料とする事。
省10
660: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/11/01(水)00:10 ID:??? AAS
「アドルフさんはどうしますか?」
軍曹が不安そうに尋ねる。
親しくはしていたが、こちらの正体に疑問符を抱いているようならば殺さねばならない。
「私には親切な異世界人にしか見えんがな」
だが、少尉の回答は、アドルフの殺害を否定するものだった。
「少尉殿がそう仰るのであれば問題はありません。
それでは回収に出発しましょう」
省4
661: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/11/01(水)00:14 ID:??? AAS
本日分は以上
827: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/11/06(月)01:26 ID:??? AAS
西暦2020年8月3日 02:59 ゴルソン大陸 日本国西方管理地域 森の中 エルフ第二氏族の村近郊
「俺のターンだ!」
「静かにしてください」
浮かれた様子で叫んだ佐藤一尉を、二曹は素早く小銃で殴りつけて黙らせた。
現在、彼らはエルフ第二氏族の村周辺に展開している。
エルフ第一氏族およびダークエルフの協力により、現在のところ発見された様子はない。
今回の救出作戦は、救国防衛会議の要請により過大な戦力が集められていた。
省5
828: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/11/06(月)01:27 ID:??? AAS
星の光に混ざり、赤く輝く何かが点滅した物体が現れた。
一つではない。
<こちらキャリアリーダー、上空に到達、降下開始する>
前線航空統制官の無線機から声が流れ出し、バサリ、バサリと重い何かが開く音が聞こえる。
夜目の利く者ならば、そして現代戦を知るものならば、飛来した航空機の編隊がパラシュートのついた何かを投下したことがわかる。
パラシュートの開く音は一向に途絶えない。
省5
829: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/11/06(月)01:28 ID:??? AAS
「意味もなく夜中に空挺降下、税金の無駄遣いだよな」
落ち着いた様子でそれを眺めつつ、佐藤は言った。
「全くですね。夜中に狭い地域にこれだけの兵力を展開して、事故がなければ良いのですが」
「まあ、政治的配慮とかで少数で特攻させられるよりはましだがな」
「確かにそうですね」
今回の作戦は、本腰を入れての捕虜救出作戦ではない。
この先の城塞都市に篭るグレザール帝国軍に対し、自衛隊の兵器を見せ付ける事すらも第二目標に過ぎない。
省5
830: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/11/06(月)01:30 ID:??? AAS
「照明弾、今回の作戦範囲ならば二つもあれば十分だろうに」
「ウワサでは、この一斉投下のために相当な訓練を積んでいるそうですよ」
真昼のように明るくなった森の中で、佐藤と二曹は暢気に会話を楽しんでいた。
電子装備とエルフの協力者、さらにレンジャー上がりや実戦経験豊富な部下たちに囲まれているからこそ出来る贅沢である。
「それは俺も聞いたな。
おまけに、今回の作戦本部にはイベント会社が来ているそうだぞ」
「らしいですね。こんな調子じゃあ、そのうち高射特科が花火でも打ち上げるのでは?」
省7
831: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/11/06(月)01:31 ID:??? AAS
「全員に告げる、これより我々は、捕虜となっている友軍の奪還作戦を決行する!
彼らは既に長時間に渡る監禁で、心身ともに衰弱している可能性が非常に高い!
そして敵はエルフ第二氏族、森の住人である彼らは、非常に手ごわい敵だ!」
一同を見回し、拳を作る。
「しかし!私は友軍を見捨てるような訓練は受けていない!
眼前の敵を見逃すような訓練もだ!
諸君!勇敢にして有能なる陸上自衛官諸君!諸君らはどうだ!?」
省14
832: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/11/06(月)01:32 ID:??? AAS
西暦2020年8月3日 03:01 ゴルソン大陸 日本国西方管理地域 森の中 エルフ第二氏族の村
「三尉殿」
照明弾の雨が降り注ぐ中、表情を緩めて空を見上げていた三尉に、陸曹が声をかける。
「いい景色だな三曹」
「はっ」
「外出の用意をしろ。
ここは景色は綺麗だし空気も美味いが、いささか飽きた」
省12
833: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/11/06(月)01:33 ID:??? AAS
「開錠もサービスに含めておきましょう。さあ、離れてください」
空の彼方から、腹に響く爆音の連鎖が接近してくる。
一機や二機ではない。
「救出のヘリか?」
「ですね。安心してください。一人一機でも大丈夫なくらいに沢山来てますよ」
「それは愉快な事だ。お前らも下がれ」
部下たちに命じつつ、三尉も後ろに下がる。
省6
834: 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/11/06(月)01:34 ID:??? AAS
<我々は陸上自衛隊です。我々は仲間を絶対に見捨てません。希望を捨てず、生き延びてください>
<抵抗は無意味である、速やかに武装を解除し、投降しなさい>
<原田三尉およびその部隊員の皆さん、我々は最後の一人まで見捨てません>
拡声器から増幅された声が次々と流れる。
何を考えたか、それは女性自衛官の声だった。
「随分と賑やかにやってるな」
明るく照らし出された森の中から、それでもはっきりとわかるマズルフラッシュが連続して見える。
省7
835(1): 物語は唐突に ◆XRUSzWJDKM 2006/11/06(月)01:35 ID:??? AAS
本日は以上
可能ならばまた明日投下予定
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