[過去ログ] 自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた 46 (884レス)
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(1): 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/07/08(土)20:13 ID:??? AAS
 少女の10歩を数えるだろう真円が、AHOと名乗る男の『殺界』だった。幅広の両刃剣を持った男が突進し、
難なく首の太い血脈を刎ねられ、辺りに血潮を撒き散らす。それを回避した斑模様の服を着た男は、後ろも
見ずに片手の小刀の刃を投げ上げ、逆手に持ち替えて後ろに振り下げる。狙ったが如くそれは見事に、
背後から襲い掛かってきた小剣遣いの心臓を胸骨を避け、下から貫いていた。

 「残りは一人だ。どうする? 坊ちゃん? お付きのお姉ちゃんにいいトコ見せたいなら譲るぜ? 」

 崩折れた小剣遣いを支え、小刀を持った手首を捻りながら、AHOと名乗る男は振り向いた。3人もの男の
命を瞬時に奪ったと言うのに、男の唇の端には親しげで魅力的な笑みが消えて居なかった。

 「…! サイア、退いてくれ。弧は男(おのこ)として…」
 「君子危うきに近寄らずです、公子! そこの亜父(あほ)とやら、臣が痴れ者どもを討つ! 」
 「君の様な美女候補には是非、小川 憲人と呼んで欲しいモンだね? 坊ちゃん、俺は残念…」
 
 サイアと呼ばれた少女の髪留めを少年は外す。操作すると鋭利そうな刃が飛び出す。少年はそれをただ
一人残った暴漢の眉間へと投擲した。狙いは寸分違わず、人体で最も堅い部所であろう一つに突き立つ。

 「へえ、手裏剣術、ね。ここまで逃げて来れたワケだ。お兄さん感心感心、と」
 「公子に先程からの無礼千万許しがたし! そちは何者ぞ! 」
 「…おお怖い…おっと、冗談冗談! ったく…目覚めてくれないと話が進まねえんだよな…」

 男はサイアの真剣に怒る表情を見て、相好を崩す。旧知の人間に逢ったかのように親しげに小剣を保持した
片手を振り、いなす。そして急に真顔に戻る。何故かサイアの胸が急に一度、高鳴った。ドクン。頬が、熱くなる。

 「今は何年だ? 」

 サイアのその反応を見透かした様に、AHOと名乗った男の顔はとても優しく、笑っていた。 
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