[過去ログ] アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ12 (761レス)
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278: ナイトメア・チルドレン ◆tu4bghlMIw 2008/02/22(金)01:45 ID:v907MW6E(9/33) AAS
「オジサン」という言葉に反応したのか、スパイクが苦虫を噛み潰したような表情のまま唸り声を上げる。
そしてすかさずソレを咎めるカレン。スパイクは反論する気も失せたのか、気だるそうに頭を掻いた。
ちなみに彼の年齢は二十八歳。男としても最も油の乗っている時期である。
「ハハハ、女の子は怖いね。――彼女、ルルーシュの恋人?」
「違う。ただの……同じ学校の友人だ」
「へぇ、ソイツは珍しい。一つだけ忠告、同郷の仲間は大切にしておいた方がいいよ」
「……お前も誰か――」
「……さぁね。それにドロボウの過去は少しぐらいミステリアスな方が面白いと思わないかい?」
乾いた笑い。
サーカスのピエロか狂言回しのような言動を見せていた今までのジンからは、到底考えられないような真面目な表情。
一瞬だけ彼の顔が泣いているように見えたのは気のせいだったのだろうか。
「そうだな。ダークヒーローに隠された過去は欠かせない。
それが重厚な鎖に縛られたものであればあるほど、彼らの行動は崇高な存在へと昇華される」
「イエス、ロマンは大事さ。永遠の灰色より一瞬でも輝く七色の方が美しい――ってね」
ルルーシュは己の中の《ゼロ》を見つめながら、小さく笑った。
そう、仮面を被るのは自らを象徴化させるためだけではない。
本来の素顔を隠し、偽りの自分を構築することが最大の目的と言える。
「それにしても、ルルーシュ。そんな英雄に知り合いでも? 良かったら紹介して欲しいね。武勇譚を拝聴しに参上したい所だよ」
「残念ながら、ご期待には沿えそうにも無いな。"何の力も無い"から、俺にはこうやって彼らの偉業を褒め称えることしか出来ない」
「『鳴かない猫は鼠捕る』とも言うね。そもそも、俺には君が爪も牙もなくした老猫にはとても見えないな」
「……どうだろうね」
少なくとも、先程スパイクと会話していた時と比べて大分マシな展開だった。
歳の近い二人の少年のやり取りは予想外なほど上等に進行した。
数分間に渡る対話で、最低限の情報の交換が行われた。
つまり、ジンに複数の仲間がいて彼らがこの先の山荘で"一人の参加者"を治療していること。
ルルーシュ達が褐色の肌をした大男に襲われたこと、などだ。
「あ、そうだ」
「どうしたジン?」
「今、俺の仲間が猫の看病をしてるんだよね。今はそれなりに回復した筈だけど。眼帯を付けた喋る猫……名前はマタタビだったかな」
「なッ――!」
「それって……あの時の猫かしら?」
「……あの妙に渋い猫か」
カレンとスパイクが小さく頷いた。
二人もクレア・スタンフィールド、八神はやて、マタタビの三名には接触している。
が、ただ一人。ルルーシュが覚えた感想は残りの二人とは明らかに違ったものだった。
(一人だけ生き残ったあの猫か……。いや、しかし妙だ。奴には確実にギアスを掛けたはず。ならば……)
「ジン、お前の仲間はここから"北"の山荘にいるんだったな。彼から何か聞いたか?」
「ん? いや、別に? 山荘があるのはD-8の古墳の近くかな。三人と出会ったのは隣のエリアだけど。
でも彼のおかげで俺はルルーシュ達に会えたんだから、実は幸運をもたらす招き猫だったりして」
「そう……か」
ルルーシュは半ば確信した。
鼓動が凄まじい勢いで身体をノックする。
全身の疲れが一辺で吹っ飛び、背筋に冷たいものが走った。
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