[過去ログ] アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ10 (447レス)
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50: 絶望の器 4/11 ◆AZWNjKqIBQ 2007/12/16(日)14:47 ID:mgHfAtT2(4/11) AAS
――丁度いいだろう?
黒い面に映った自分がそんなことを言った様に糸色望は感じた。
反ロージェノムを目論む黒の騎士団。その首領格である「ゼロ」という立場。復讐を為すと言うならそれは丁度よいだろうと。
鞄の中から見つけ出した仮面を、まるでそうするのが当たり前の様に被ったのもまた運命だったのだろうと。
「命を運ぶと書いて運命ですか。それじゃあまるで死神の仕事の様ですね」
糸色望は仮面の中で薄く笑うもう一人の自分に湯を浴びせ追い払う。
「……そんなの御免です。私向きじゃあないですよ」
自分の信条は絶望。自身の望みを断ち、人の望みを断つことだけ……。それが仇討ちなどとはとんでもない。
「というか、なんですかこのシリアスな雰囲気は……」
水面の下に潜らせた口から息を吐き、ブクブクと泡を立てて糸色望はいくらか気を紛らわす。
人が殺されたというのに笑っているのも不謹慎だが、だからと言ってすぐに復讐だなんていうのも空気に流されすぎだろう。
さりとて空気を読めなさすぎるというのも、それはそれで問題だが……。
「……本当に参りましたね。どう身を振っていけばよいのか」
頬を垂れる水滴を拭い糸色望は天を仰ぐ。
亡くなった生徒の命を背負って生きていくなんてのはあまりにも前向きすぎる……。
かといって、全てを打っ棄ってしまうというのも状況が、主にカレン嬢が許してはくれないだろう……。
「全てはコレのせいですよ。忌々しい……」
言いながら再び糸色望は仮面を睨み付ける。あの時、これを被りさえしなければ……と? 何かに気づく。
人一倍他人からの視線に敏感だからこそ気づけた、仮面の表面に映るある視線。その視線の持ち主とは――?
◆ ◆ ◆
――パチリ、と閉じられていたスパイクの目が見開かれた。
感じ取った「何か」に全身が総毛立ち、無意識の内に手が懐の銃へと伸びる。
目に映る光景に先程との差異はない。だが、温泉に浸かっていた男も何かを感じたのか逃げ出すように湯から上がってきた。
仮面を片手に脱衣場――つまりはこちら側へと向ってくる男の背後。深く茂った葉の陰に――!
隠れていた場所から飛び出したスパイクは、逃げ込んできた糸色望へカウンターで前蹴りを叩き込む。
裸の男がぐぇと潰したカエルのような声をあげ二人が離れた瞬間――そこへ真っ直ぐに伸びた大木が地響きを立てて倒れこんできた。
一瞬のうちに温泉の上へと架かった一本橋。その上を疾走し、一つの黒い影が二人に襲い来る。
サングラスの裏に凶眼を隠し、さらにその内に狂気を宿す傷面の男。人により、ただ「傷(スカー)」とだけ呼ばれる男がそこにいた。
大きく響く破裂音と共に、閃光と弾丸がスパイクのデザートイーグルより放たれる。凶弾は一瞬にしてスカーの元へと辿り着くが、
「――クソッ!」
男が迫る弾丸を身を捩っただけで避けたのを確認すると、スパイクは舌打ちしながら銃を収めた。
依然突進してくる男とスパイクが交差するまでは後一瞬。
その一瞬の内に、スパイクは拳を構えその場で3ステップ。迫るスカーも拳を強く固め巨木の上を3ステップ。そして――、
――二人は交差した。
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