[過去ログ] アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ10 (447レス)
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293: 善と悪と神の使い ◆Wf0eUCE.vg 2007/12/24(月)02:08 ID:+Ov5L7oV(1/7) AAS
「ごはん、ごはん〜。肉なしチンジャオロースじゃないよ。作るのは神父ソン〜」
謎の歌詞を独自のテンポで刻みながら、少女、エドワードは陽気に先頭を歩いている。
その後方を行くのは大小二つの影。
エドのすぐ後を行くのは黒い神父服に身を包んだ大男、言峰綺礼である。
その更に後方、少し離れた位置にいるのはラピュタ王家の末裔、リュシータ・トエル・ウル・ラピュタであった。
「……あの、言峰神父」
自身の倍はあるのではないかという大男を見上げながら、意を決したように少女は口を開いた。
「なんだね、シータ。懺悔ならばいつでも聞くが?」
自身の腰程の身長しかない少女を見下ろしながら、言葉を受けた神父は答える。
「いえ、今後のコトです。
言峰神父が頼りになる方であるのはわかります。
あなたなら、襲ってきた方も撃退できるでしょう。
ですが、」
その先に続く言葉が予想できたのか、言峰は僅かに眉をひそめる。
「殺すな、と?」
「はい。無理を言っているのは承知しています。
ですが、どのような人であれ殺してしていいなんてことはありえません。
それに、殺人はやはり許される行為ではないと思います」
強い決意と意思を持って少女は告げる。
その言葉を受けた神父は、しばらく考え込んだ後、重々しく口を開いた。
「ふむ。この状況の厳しさをその身で知りながら、その言葉が言える君はやはり強い人間だ。
だがなシータ。残念だがそれは約束しかねる。
私とて聖職者だ、好き好んで殺し回ったりはしないが、殺すつもりでやらねば勝てぬ手合いは得てして存在する。
まして、ここでは私の力など微々たるものだ、手加減などしている余裕はない。そうでなくては殺されるのはこちらだ」
「……そう、ですか」
元より無茶をいっているのは承知していたのか、シータはそれ以上喰らいつくでもなく、ただ残念そうに引き下がった。
だが、次に神父が告げた言葉に、シータは目を見開く事になる。
「それにシータ。君は人殺しを絶対の悪のようにいうが、それは――――そんなに悪いことなのかね?」
「なっ!? 当たり前です!」
驚きながらも、シータは反射的にそう言い返した。
人は人を殺しては行けない。
そんな事は当たり前のことだ。
そんな事を、仮にも神の教えを説くべき男に問われるなどとは思っても見ないことだった。
だと言うのに、神父は反論が心外だと言わんばかりの顔でふむと頷く。
「当たり前ときたか。
では一つ問うが、人殺しが絶対の悪などというその当たり前は、いったいどこの誰が決めたのかね?
君か? 私か? それとも、まさか神などとはいうまいね?」
寒気のするような笑顔。
聖書を謡うような声で、神父はとても神の使いとは思えない言葉ばかりを並び立てる。
誰が決めたのか、なんて考えるまでも無い。
誰が決めたのか、それは、
それは…………誰が決めたのだろう?
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