[過去ログ] アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ10 (447レス)
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240: 君らしく 愛らしく 笑ってよ ◆tu4bghlMIw 2007/12/20(木)17:27 ID:LnFzQa/n(5/21) AAS
ティアナの頭の中にもう一度、この殺し合いに参加させられてからの悲惨な出来事が蘇った。
視線が勝手に高遠から外れ、カップの中身へと向かう。
ずっと見つめていたら身体ごと吸い込まれてしまいそうな深い色合い。
燃える炎の音と暖かな空気が逆に身体に毒だった。
言葉が途切れる。高遠は紅茶を飲むティアナをじっと眺めていた。
そして数秒後、ただ眼を伏せてカップの中身を啜るティアナを見て小さくため息を付いた。
「とはいえ、あなたはまだまだ本調子ではないようだ」
「……どういうこと?」
「本来なら、私があなたを最初にお呼びした時に気付くべきことだったんですよ、ティアナ・ランスター?」
「…………あ」
ようやく、ティアナは高遠の言葉を、奇妙な態度を理解した。
そうだ。自分はこの男に自己紹介などしていない。持ち物の中にも自分の身分を証明するものなど一切無い筈だ。
それでは――何故、彼は自分の名前を知っているのだ?
そして同時に痛感した。
こんな簡単なことに言われるまで気付かないなんて、どれだけ自分が今腑抜けているのかと言うことに。
「あなたが船の外で見聞きしたことを教えて頂きたい。
辛いこともあるでしょうが、こんな私でもきっと何かの助けになることが出来ると思います。
こう見えてもそれなりに人生経験は豊富でして、ね」
■
「なるほど。そして、ティアナ君はあの高さから身を投げた、と」
「……ええ」
高遠は目の前の毛布にくるまり暗澹とした表情を覗かせる少女の姿をもう一度じっくりと眺めた。
ティアナは彼の視線を避けようともせずに、握り締めたカップの取っ手の感触を確かめる。
言うべきことを言い終えて、ティアナは貝になった。
周りをシャットアウトする。意識を思考の海へと落とす。
静寂。
乾いた沈黙を埋めるものは暖炉の炎の音だけ。
状況は何も変わっていない。
ティアナと高遠は豪華客船内の船長室で、こうして情報の交換を行っている。
高遠が自分の名前を知っていたのは首輪に掘り込まれた氏名を確認したためらしい。
まるで牧場の家畜のような扱いだな、とティアナは思った。
テーブルの上に置かれたティーカップも、ティアナの格好も依然先程のまま。
「下着ぐらいすぐに準備するべき」そう思わなくもないのだが、不思議と自らの境遇を告白しているうちに羞恥心が薄れて来たような気がする。
感覚が鈍って来たのだろうか、それは分からないけれど。
頭がぼんやりする。もう一度横になりたい。
暖かくて気持ちよくて、そして何故か落ち着く。
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