[過去ログ] アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ4 (388レス)
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308: 何が彼女を壊したか? ◆lbhhgwAtQE 2007/10/24(水)18:02 ID:F5CQ08Ey(8/10) AAS


「とりあえず……今はこれでいいでしょう」
何とかティアナを取り押さえることに成功した明智は、少女が完全に意識を失ったことを確認して、大きく息を吐いた。
「次に目を覚ました時は少しは冷静になってくれているといいのですが……」
『マスター……』
「今はそっとしておきましょう。それよりも……」
明智は立ち上がると、焼き爛れた上着の元まで歩き、それを拾い上げる。
「直撃なら今頃、私がこのスーツの穴のある場所に穴をあけていたわけですか……。事前に貴方に誘導弾の事を聞いておいて本当に良かった」
『マスターなら、あの状況で誘導弾を使わないはずがなかったですから……』
ティアナを説得しようとしていたあの時。
彼はクロスミラージュから、ティアナの砲撃魔法について簡単に説明を受けていた。
もし、彼女が本気ならば、そろそろ誘導弾が発射されてもおかしくない、と。
そのような忠告を受けていたからこそ、彼は観葉植物の木をスーツを組み合わせる事でダミー人形を作ることを思いついた。
角から見え隠れする位置にそのようなダミーがあれば、誘導弾の目標もそちらに定めるだろういう見込みだったのだが、どうやらそれは的中したようだった。
「せっかくの上着が台無しになったのは切ないですが、今回はまぁ仕方のなかったということで――」
明智は焼けた布切れと化した上着をその場に置くと、再びティアナの元に。
そして彼は、彼女を抱きかかえた。
『マスターをどうするつもりで?』
「このまま放置しておくのも男として恥ずべきことですしね、詰所で寝かせてあげようかと」

詰所には丁度いい具合に、人を寝かせられるサイズのソファがあった。
明智はそこに彼女を寝かせると、今度はどこからか荷造り用のナイロンロープを持ってくる。
『Mr.明智。まさかあなた、特殊な趣味が……』
「違います。あのような出来事がありましたから、一応の処置ですよ。起きてすぐに私の顔を見て暴れだされたら、それはそれで困りますし」
『ということはつまり、あなたはマスターが起きるまで、付き添うと?』
「そういうことになりますね。女性を放置しておけるほど私も腐ってはいません」
目の前で眠る少女は、ふとした衝撃で心にひびが入り、そのひびが大きくなることで暴走を始めたに過ぎたに違いない。
犯罪を芸術と見る高遠や、最初から仲間を守ると決意してゲームに乗ったロイとは違う。
だからこそ、まだ救えるかもしれない。まだ正気に戻ってくれるかもしれない。
警察とは、犯罪者を取り締まるだけの組織ではない。
犯罪を犯した者に更生させるための機会を与える組織なのだ。
そんな組織に属する明智だったからこそ、ティアナには立ち直ってほしいと思っていた。
だが、ここには明智と思いを同じにする――いや、明智以上にそれを願うものがいた。
『Mr.明智。ここは私に任せてもらえないでしょうか?』
クロスミラージュは、ティアナの両手を拘束しようとしていた明智を呼びとめ、そんな提案をしてきた。
当然、明智は驚いたようにクロスミラージュの方を振り返る。
「いえ、任せるとは言っても、あなたには手がないですからロープを縛るという行為が――」
『そうではありません。私に任せてもらいたいのは――マスターの説得です』
作業を続けようとしていた明智の手が止まる。
『あなたは非常に聡明だ。ここで時間を潰しているよりも、他の施設を回ったり、あなたと同じ意志を持つ仲間を探したほうが有益なはずです』
「しかし、私があなたを放置してこの場を離れてしまっては、もしもの時に……」
『私を信じてください。私がマスターを……絶対に説得してみせます』
語気を強くしてクロスミラージュは主張する。
今まで常に冷静であった彼がそこまで言うのであれば……と、明智は考える。
確かに、彼女が目を覚ました時、自分を気絶させた張本人が目の前にいては錯乱状態を再度陥るかもしれない。
説得をするなら、彼女が信じているパートナーの方が適しているはずだ。
ただし、もし説得に失敗した場合は、ティアナは得物を手に入れた状態で殺戮の舞台に舞い戻ることになる。

クロスミラージュに任せるか、それともやはり自分が残留するか。

明智が考えた末に出した結論は――――
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