[過去ログ] アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ3 (397レス)
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291: Vanishing One ◆RwRVJyFBpg 2007/10/02(火)02:05 ID:mVzuG3Gn(1/8) AAS
空の色が変わっていく。深い黒から藍、そしてやがて青へ。
太陽は地平線に手をかけ、その体を起こし始める。全てのものを、等しく照らし出すために。
あれほど深かった闇は、昇りつつある昼の王によって、少しずつその体を削られていく。
あと数刻もすれば、夜の支配は完全にこの世から姿を消すだろう。
だが、世の中には消えない闇もある。
A-1地区。海沿いに行儀よく立ち並ぶ倉庫のうちの一つ。その中にそれはあった。
省37
294: Vanishing One ◆RwRVJyFBpg 2007/10/02(火)02:06 ID:mVzuG3Gn(2/8) AAS
――必要なのは新しい武器だ。
無数に立ち並ぶ倉庫の間を歩きながら、ヴィシャスは考えていた。
これから自分は、80人以上の人間と生死を賭けた戦争をすることになる。
しかも、相手はただの人間ばかりではない。
あの広間で尋常でない力を見せ付けた螺旋王や、不思議な技を使う傷の男……そしてスパイク。
他にも一筋縄ではいかない連中がわんさかいるだろう。
省40
296: Vanishing One ◆RwRVJyFBpg 2007/10/02(火)02:08 ID:mVzuG3Gn(3/8) AAS
木津千里はイラついていた。
倉庫街の西の端にして造成地の東の端、コンクリートと土の分かれ目。
きっちりと分かれたそこに、彼女はきっちりと背を伸ばし、シャンと立っていた。
四角四面に整備された土地は彼女の嗜好に沿うものであったが、それでも彼女はイラついていた。
その怒りは貧乏ゆすりに転化され、毎分きっちり60回のペースで大地に刻まれている。
何故、A-1からA-8まできっちり踏破するはずだった彼女が、こんなところでイラついているのか?
それにはもちろん理由があった。
省43
299: Vanishing One ◆RwRVJyFBpg 2007/10/02(火)02:11 ID:mVzuG3Gn(4/8) AAS
ヴィシャスは窓のある壁を背にしながら、俄かにほくそ笑んでいた。

(まさか、こうまで都合のいい人間が現れてくれるとは思わなかったぞ)

窓の隙間から少しだけ顔を出し、外の少女を改めて見やる。
注目すべきはその腰にさされた二振りの日本刀だ。

(フッ、俺は運がいい。得意のエモノ。それが2本とはな)

彼は偶然、千里の姿を目にして以降、彼女から見えない位置に身を潜ませ、観察を続けていた。
省31
301: Vanishing One ◆RwRVJyFBpg 2007/10/02(火)02:13 ID:mVzuG3Gn(5/8) AAS
ヴィシャスが襲撃の算段を立てている頃、千里もまた、考えていた。
地図の区画が確実なものではないことを確認したにもかかわらず、彼女は立ち去ろうとしない。
こんなところに突っ立っていても、一切の得はないというのに。
何故か。
彼女はまだ、禁止区域の線をはっきりさせることを諦めていなかった。
確かに、螺旋王は境界線を引いてはくれなかった。
省35
303: Vanishing One ◆RwRVJyFBpg 2007/10/02(火)02:15 ID:mVzuG3Gn(6/8) AAS
気がつくと、彼女は歩いていた。
行き先はもちろん地図の外、禁止区域だ。
思い切ってしまえば意外と足取りも軽い。
土を蹴る軽快な音だけが響く。
そのテンポはまるで走っているかのように速い。
はじめに立っていた位置からは、もう随分進んだ気がする。
省2
304: Vanishing One ◆RwRVJyFBpg 2007/10/02(火)02:16 ID:mVzuG3Gn(7/8) AAS
「……バカな」

呟かずにはいられない。
ヴィシャスはうろたえ、そして、呆気にとられていた。
それも無理はない。

何故なら、さっきまで目の前にいたはずの女が忽然と掻き消えてしまったのだから。

呆けていたのも束の間、彼は鉄パイプを油断なく構え、周囲を警戒する。
省26
308: Vanishing One ◆RwRVJyFBpg 2007/10/02(火)02:19 ID:mVzuG3Gn(8/8) AAS
「へ?」

一瞬の明転のあと、千里の目に飛び込んできたのは……一面の緑だった。
朝の柔らかな光が、薄布のように木々の隙間から差し込み、ぼんやりと辺りを照らしていた。
思わず一歩を踏み出すと、パキパキという音。
見ると、地面は落ち葉や小枝、柔らかそうな腐葉土で包まれていた。
右、左、右。周りを見渡してもあるのはただただ木、草、木。
省17
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