[過去ログ] アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ3 (397レス)
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355: 紙の子どもたちはみな踊る 3/5  ◆AZWNjKqIBQ 2007/10/03(水)07:03 ID:KJ2p7o8B(3/5) AAS
想像を超えた力に目を見張るアニタが最初に感じたのは、右手に走った激痛だった。
反応して視線を移したそこに見たものを、彼女は信じられ――いや、信じたくないと思ってしまった。
手を守るはずのガードの下より排出された高圧の空気によって、右手は手首より先が失われていた。
そこから溢れ出た大量の血が、暴風にのってアニタの身体を強く叩き真赤に染めている。

次の瞬間に上げられたアニタの絶叫は、さらに勢いを増した暴風によって掻き消された。

 ◆ ◆ ◆

彼女には剣を解放する力しかなかった。それが彼女の不幸だ。
宝具から溢れ出る力を御する魔術知識もなければ、自らを襲う力に対する魔法耐性もなかった。
さらに不幸だったのは、彼女が唯一持つ特殊能力が紙使いだったということだ。

 ◆ ◆ ◆

乖離剣・エアより噴出した空気と真空刃により、アニタの身体は部屋の反対側へと叩きつけられていた。
吹き飛ばされる直前、本能的に発動した紙の防壁により彼女は辛うじて即死を免れたが、
本棚に叩きつけられ半ばまで紙に埋まった彼女の身体は見るも無残な有様に成り果てており、
それは見る者に死ぬよりも辛いと思わせるに十分なものだった。

また、剣の力を解放された場となった部屋の惨状も燦々たるものだ。
暴風と真空刃が吹き荒れた室内は万遍なく切り刻まれており、一切無事なものが存在しない。
そして、剣先を向けていた窓は窓枠どころか、その壁ごと削り取られて朝日を部屋の中へと取り込んでいた。
東より射す強い陽光が、部屋であった空間に舞い散る無数の紙切れに反射し、そこを黄金に照らしている。

真赤に染まった床に降り注ぐ白い紙吹雪。それを見つめるアニタの目はさっきよりも一つ少ない。
その子どもらしいあどけなさを残していた顔は無数の斬撃により切り刻まれ、片目は割れて機能を失っていた。
顔だけではなく裂傷は全身に及んでいる。真空刃は易々と紙の防御を突破し、彼女を切り刻んでいた。
最初に失った右手は手首より骨が露出し、残ったもう片手の方も指がいくつか足りていなかった。
防御の及ばなかった両足は膝から先が両足ともになく、とめどなく血液を床に零している。
脇に走った大きな残撃は覆っていた肋骨を断って肺にまで達しており、傷口からブクブクと血泡を垂らしていた。

(……なんで?)

床に広げられた旗の中央に描かれた大きな目玉へと視線を落としたアニタはそう思う。
運命と言うものの何もかもが一方的にやって来る。人生そのものが暴風の中に放り込まれたものの様。

不幸な少女は何も知らない。だからどうしてなのかも解らない。
なんで紙が使えるのか。どうして記憶がないのか。どうしてこんな目にあっているのか。
どうして? どうして? どうして? どうして? どうして? 一体、自分は何者なのか?
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