[過去ログ] アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ2 (594レス)
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185: ◆UTAZOboXAs 2007/09/26(水)19:14 ID:XEqFzbBX(6/8) AAS
ラッドが地面にナイフ投げやるやいなや、清麿はそれを拾い上げ――自らの右耳にその刃を当てたのだ。
そして一息もつかず、即座に耳に刃を入れる。新品のナイフの鋭利な刃は骨の無い柔らかな肉を易々と切り裂き、清麿の右耳は頭部から切断された。
予め決まっていた事を清麿はただなぞっただけ、そんな事を考えてしまう程に清麿の一連の挙動には全く迷いがなかった。
予想外の出来事に動きを止めるラッド、そんな彼に対して清麿は再び口を開く。
傷口からポタポタと垂れる鮮血を拭おうともせず、今まで通りにラッドを真正面から見据えながらだ。
「指は駄目なんだ。この指は、この手は……魔本を持つために……ガッシュと共に戦うために……絶対に失えない。
でも……! それ以外の場所ならこの耳のように、目でも足でも何だってくれてやるっ! 俺はここで終わりたくない!
ガッシュと共に螺旋王を倒し元の世界に戻る……そのためなら俺自身がどれほど傷つこうと構わない! それが俺の覚悟だっっ! 」
清麿の激しい啖呵、それが終わったときに訪れたのは静寂だ。
聞こえるものも動くものも周囲には何もない。僅かな風のみを感じながら、一メートルも離れていない至近距離で二人は睨みあう。
曇りのない真剣な眼差しに激情をこめて睨む清麿。痛みに僅かに顔を顰めてはいるが、たった今身体の一部を喪失したようにはとても見えない。
そんな真摯な眼差しをラッドは黙って受け止めている。清麿の耳から垂れる血だけが時間の経過を示すこの睨みあいは永遠に続くかのように思えた。
……しかしそれから数分後、夜の街にはラッドの高らかな哄笑が響いていた。
「ハハッハハハハハハハハハハハハハハハ……うぉぉっぉうぉぉっぉ、オマエ馬鹿? それとも天才? つ―かなんで耳切ってんの?
訳わかんなくね? どう考えたらそうなるの? ヒハッ……ハハハハ……やっべ、やっべぇ、緩い馬鹿かと思えばすげぇべ。
ハッ! サイコ―、マジ最高、超面白れぇぇぇ―――――テンション上がってきたぜ―! ハハ……ヒャハハハハハハハハハハ――――」
笑って笑って笑って笑って、狂ったようにラッドは笑い続けている。清麿に向けられていた殺意など影も形もない。
その心底楽しそうな笑い声はラッドの心境を如実に伝え、聞く者にもそう悪い気分は与えないのだが……激しく場違いだった。
「おい、そろそろ笑うのをやめて答えを聞かせてくれないか」
いい加減業を煮やした清麿が呼びかけ、やっとラッドの笑い声は止んだ。
そして清麿は殺意を収めたラッドを相手に詳しい情報交換や今後の方針について話をしようとする。
しかし次のラッドの言葉は、清麿の意気込みを消沈させた。
「……おぅ、無視してゴメンな! おかげでテンションが大分溜まった、ありがとう、本ッ当にありがとう!
これで気分よォく思う存分に人を殺して回れるぜ。ってことでじゃあな! ……傷は早めに手当てしておけよぉ――――」
あろうことか爽やかな笑顔で上の台詞を放つなり、スキップをしながら去っていこうとしたのだ。
最早どこから突っ込めばいいのか解らない。我慢に我慢を重ねてきた清麿でさえも慌てて呼び止めた事を後悔したほどである。
だが仲間になるという約束をした事を持ち出すと、びっくりするほどあっさりとラッドは清麿の仲間になることを了承した。
そして清麿が自己紹介と情報交換を行う旨を伝え、移動中にそれを行うことを決める。
移動の目的地は落ち着ける場所、意外にもラッドの方から清麿の傷を早めに手当した方がいいという提案が出たのだ。
少し釈然としない思いを抱えるものの清麿に異論があるはずもない。
そして二人は歩き出した、ひとまずは傷の手当てをする場所を探すために、やがては螺旋王を打倒するために――
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