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アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ2 (594レス)
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ2 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/
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119: 「ゼロのルイズ」(前編) ◆K1z/mB9tDA [sage] 2007/09/25(火) 06:18:01 ID:lj2yLf7+ 【D-5/ホテル3階(倒壊寸前)/1日目/夜】 【キャスカ@ベルセルク】 [状態]:左脚複雑骨折+裂傷(一応処置済み)、魔力(=体力?)消費甚大 :疲労大、全身各所に軽傷(擦り傷・打撲)、軽い混乱症状 [装備]:エクスカリバー@Fate/stay night [道具]:なし [思考・状況] 1:目に付く者は殺す 2:他の参加者(グリフィス以外)を殺して最後に自害する。 3:グリフィスと合流する。 4:セラス・ヴィクトリア、獅堂光と再戦を果たし、倒す。 [備考]:第三放送を聞き逃しました。 【ゲイン・ビジョウ@OVERMANキングゲイナー】 [状態]:疲労大、全身各所に軽傷(擦り傷・打撲)、腹部に重度の損傷(外傷は塞がった) [装備]:悟史のバット@ひぐらしのなく頃に [道具]:なし [思考・状況] 1:キャスカを止め、ホテルからエクソダス。 2:市街地で信頼できる仲間を捜す。 3:ゲイナーとの合流。 4:ここからのエクソダス(脱出) [備考]:第三放送を聞き逃しました。 【野原みさえ@クレヨンしんちゃん】 [状態]:中度の疲労、全身各所に擦り傷、左足に打撲 [装備]:スペツナズナイフ×1 [道具]:なし [思考・状況] 1:ガッツ本人と、戦闘中のゲインの援護になるような物を掘り起こし、キャスカを止める。 2:ホテルが完全に崩壊する前に逃げる。 3:セラスら捜索隊と合流。 4:契約によりガッツに出来る範囲で協力する。 5:しんのすけ、無事でいて! 6:しんのすけを見つけたら、沙都子の所に戻る。キャスカを監視。グリフィス(危険人物?)と会ったらとりあえず警戒する 基本行動方針:ギガゾンビを倒し、いろいろと償いをさせる。 [備考]:第三放送を聞き逃しました。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/119
120: 「ゼロのルイズ」(前編) ◆K1z/mB9tDA [sage] 2007/09/25(火) 06:18:21 ID:lj2yLf7+ 【翠星石@ローゼンメイデンシリーズ】 [状態]:全身に軽度の打ち身(左肩は若干強い打ち身)、頭が痛い、全身各所に擦り傷 :服の一部がジュンの血で汚れている、左肩の服の一部が破れている、人間不信 [装備]:FNブローニングM1910(弾:4/6+1)@ルパン三世 [道具]:無し [思考・状況] 1:あんなバカな人間共は放っておいて、さっさとここから逃げるです! 2:真紅や蒼星石と合流するです。 3:まずは魅音を殺してやるです。 4:水銀燈達が犯人っぽいから水銀燈の仲間は皆殺しです。 5:水銀燈とカレイドルビーを倒す協力者を探すです、協力できない人間は殺すです。 6:庭師の如雨露を探すです。 7:デブ人間は状況次第では、助けてやらないこともないです。 基本:チビ人間の敵討ちをするため、水銀燈を殺してやるです。 [備考]:第三放送は聞き逃しました。 ※ゲインのデイパック: 【支給品一式×2、工具箱 (糸ノコ、スパナ、ドライバーなど)】 みさえのデイパック: 【糸無し糸電話@ドラえもん、銃火器の予備弾セット(各40発ずつ)、ウィンチェスターM1897の予備弾(30発分)、石ころ帽子@ドラえもん、スモールライト@ドラえもん(電池切れ) 】 バトーのデイパック: 【支給品一式(食糧ゼロ)、チョコビ13箱、煙草一箱(毒)、 爆弾材料各種(洗剤等?詳細不明)、電池各種、下着(男性用女性用とも2セット)他衣類、茶葉とコーヒー豆各種(全て紙袋に入れている、茶葉を一袋消費)】 ロベルタのデイパック: 【支給品一式×6、マッチ一箱、ロウソク2本、9mmパラベラム弾(40)、ワルサーP38の弾(24発)、極細の鋼線 、医療キット(×1)、病院の食材、ドラムセット(SONOR S-4522S TLA、クラッシュシンバル一つを解体)、クラッシュシンバルスタンドを解体したもの】 翠星石のデイパック: 【支給品一式×4、オレンジジュース二缶、ロベルタの傘@BLACK LAGOON、破損したスタンガン@ひぐらしのなく頃に、ハルコンネン(爆裂鉄鋼焼夷弾:残弾5発、劣化ウラン弾:残弾6発)@HELLSING、ビール二缶、庭師の鋏@ローゼンメイデンシリーズ】 パチンコ、パチンコの弾用の小石数個、トンカチ、ウィンチェスターM1897(残弾数3/5)、支給品一式、空のデイパック、スペツナズナイフ×1、銃火器の予備弾セット(各120発ずつ)、首輪 がホテル内、もしくはホテル周囲の瓦礫の下に埋もれています。全て破損状況は不明。 ※ガッツの持っていたデイパックが崩落により損傷、中身が全て吐き出され、使い物にならなくなりました。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/120
121: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/25(火) 10:20:45 ID:Dh3mOZFV カルラなんて死んでいいよ http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/121
122: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/25(火) 12:56:53 ID:dx3Vo96h ローゼン勢頑張ってるな http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/122
123: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/25(火) 13:30:49 ID:wmkDHabD 他のひぐらし勢も頑張れ http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/123
124: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 2007/09/25(火) 13:45:35 ID:IIm9byVK マーダー化した梨花ちゃまとこなたの勝負希望上げ http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/124
125: ◆kILBiSHoqM [sage] 2007/09/25(火) 13:55:07 ID:VixlqIYP マタタビ投下します http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/125
126: マタタビの欲求!! ◆kILBiSHoqM [sage] 2007/09/25(火) 13:57:04 ID:VixlqIYP H−6の山の中、何かが飛んでいた。 それは銀色に輝く流線型のフォルム。 スズキ目 アジ科 ブリ属の魚、そうブリが空を飛んでいた。 無論ただのブリが空を飛ぶわけがない。 詳しい原理は不明だがラジコンで操作可能な機械でできた空を飛ぶメカブリだった。 ただし別に空を飛ぶ以外に別の機能はなく本来ならハズレ支給品であった。 だが人によってはハズレだった物が他の者にとっては当りになることがある。 空を飛ぶメカブリの上に一つの影があった。 もちろん人ではない。人ならメカブリに乗ったところで出力が足りず浮かぶことすら不可能。 乗っているのは猫。猫らしからぬ猫だった。 ボロボロのマントを纏い右目のところに海賊のようなアイパッチ、前足(もはや両手というべきか)で器用にラジコンを操作している。 その名はマタタビ、国宝級に器用な猫。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/126
127: マタタビの欲求!! ◆kILBiSHoqM [sage] 2007/09/25(火) 13:58:36 ID:VixlqIYP マタタビはこのバトルロワイアルに参加する気は欠片もなかった。 もともとかなりのものぐさであり生涯のライバル兼悪友であるクロ曰く「世界一快楽に溺れやすい猫」と言わしめたほどであったため『やりたいヤツがやってればいい』と思っており 殺し合いはキッド以外とはする気もなかった 余程のことがない限り、通りすがりの猫で済まそうと考えていた そんなことをメカブリに乗りながら考えていると暗闇の中に建物が見えた。 H−6の温泉施設だった。 この猫とりあえず一っ風呂浴びようとしている。なんて猫だ。 しかしそんな考えは温泉施設の全貌がわかってくるとどっかへ消えていた。 地図に温泉と記されているこの施設はパッと見廃墟と言ったほうが適切であるほど荒れ果てていた。 二階建ての木造建築であるがガラスは割れてるし廊下に穴は空いて埃は溜まりっぱなしだった。 唯一正常に稼動していると言っていいのは奥にある温泉ぐらいだった。 こんなボロボロの建物だがここを一通り見て回ったマタタビはぼそっとつぶやいた。 「あぁ…この温泉直したい」 そう、さっきからものぐさだの面倒臭がりだの言ってきたが、この猫大工仕事だけは非常に熱心であり、こわれた建物を見ると思わず直したくなってしまうほどだった。 「えぇと…ここをこうしてと…」 あぁ!もう設計図まで引いてる!完璧に直す気満々である。 「ようし!いっちょやるかぁ!」 こうして一匹の猫が己の欲求に従って行動を始めた…バトルロワイアルなど完全に無視して… http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/127
128: マタタビの欲求!! ◆kILBiSHoqM [sage] 2007/09/25(火) 14:02:34 ID:VixlqIYP 【H-6 温泉 1日目 深夜】 【マタタビ@サイボーグクロちゃん】 [状態]:良好 [装備]:大工道具一式@サイボーグクロちゃん、マタタビのマント@サイボーグクロちゃん [道具]:デイバッグと支給品一式、メカブリ@金色のガッシュベル!!(バッテリー残り95%) [思考]: 1、この建物を直す。 2、誰かが来たら作業を手伝わせる。 3、出来ればキッド(クロ)とミーとの合流。 4、戦いは面倒だからパス。 5、暇があれば武装を作る。 [備考] 大工道具は初期支給品の一つです。 中身はノコギリ、カンナ、金槌、ノミ、釘 建物の修理はおよそ24時間で完了します。 妨害行為などで時間が延びることがあります。 修理に手を貸す人がいれば修理完了までの時間は短くなります。 H-6の周囲に建物を修理する音が響いています。 【メカブリ@金色のガッシュベル!!】 ガッシュベル本編でガッシュを誘い出すために作られた。 劇中の描写ではガッシュが全力疾走しても追いつけないぐらい早く飛行高度は際限がなかった。 バトルロワイアルでは飛行可能高度に制限があるため高度は10〜15メートルが限度、スピードは時速5〜10キロ程度とする http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/128
129: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/25(火) 14:32:09 ID:PNeurLyW 乙 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/129
130: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/25(火) 14:48:58 ID:4NWZqz8Q >>105 レナ… http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/130
131: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/25(火) 18:42:12 ID:V891c6QL ここまで感想 >>46 まで >明智健吾の耽美なるバトルロワイアル――開幕 大変面白く読ませていただきましたが ちょっと・・・が多いような気がします。 >>53 まで >少女の幸運と少女の不幸 アルルゥの「おとーさん・・・」 に萌え >>77 まで 「友達だ」 カルラが一瞬でやられてしまいました・・・ちょっと残念です >>85 まで ◆Yf4GQL3Gk6 >[装備]:背中にガッシュ、頭にポルヴォーラ、右手にブリ、左手にランタン 可愛すぎますww >>106 まで >Lie!Lie!Lie! 状況表は残して置いてください >>120 >「ゼロのルイズ」(前編) 翠星石ww 後編が楽しみです >>128 まで マタタビの欲求!! 短く簡潔で面白いです。どうなるか期待してます http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/131
132: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/25(火) 18:48:38 ID:IZfrm5bC >>52 >>77 >>106 >>120 …? http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/132
133: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/25(火) 19:04:13 ID:5WQVgOh3 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/133
134: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/25(火) 20:00:23 ID:FP6gfCs0 一応忠告。 ここはスレタイどおり【アニメキャラ・バトルロワイアル2nd】の作品投下スレです。 ただしロワ企画を目の敵にしている荒らしによって【アニメキャラ・バトルロワイアル(1st)】の作品がコピペされています。 1st企画に興味をお持ちの方は http://www23.atwiki.jp/animerowa 2nd企画に興味をお持ちの方は>>1からのテンプレをご覧ください。 なお荒らしは反応すると増長しますので、 私はこれ以降はこのスレに書き込みません。 質問等は>>1からのテンプレを読んでしかるべきところでお願いします。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/134
135: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/25(火) 20:18:05 ID:d39ScRvS 違うだろ? http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/135
136: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/25(火) 20:32:14 ID:ApyKYApd >>21からずっとだが http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/136
137: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/25(火) 20:36:32 ID:d39ScRvS :... : : :/ : : :| : : : : : : : :トヽ:..ィ⌒l : ヽ\: : :.:\::ll! l!::._:: -=ァ:::.:::___::::: :.:.:..:./:|: ! : :| : : : : :.:.:.:.:ト_:V∠:.|:.:.:.:.l:.:.:\:.::.::.:l! l!‐ _..=-‐ 二ィ /:::: /:.:.:.!l:.|:.|:.:.:.:lヽ:ヽ:.:.:.:.:.:.ヽ. lハ:.l:.:.l:.l:.:、ヽ:.::.l! ‐ ´_..-  ̄/イ└ォ::: :.:.:.!:|l:∧|、:.:.ヽヽ:\:.ト、ヽ\ j/|イ:.|:.::.__ノ7´ ,ィ L = 二イ:{_.イ /::: :.:.:.|:|:l| ∧\:ヽ:ト\:.ド\ヽー イ\ }r^'´_ィ l! ー' r=‐ 二イ=、j∠ィ::: ヽ:.:!:トV{ 仆.、ヽト\ヽ〃 ソ仆} }ハ V イ ,.-┐ イ⌒!/ /:7_,7::: 、:.\ヽト {:{{:l{:外zイ八ドイ{:l{:刈 /イヘ r:7' /r=l!`l!:.l! 〃 /__:.{(:::::: :.\ト┬トヽニ斗彳  ̄ =`ミ゙く/_ イ{:.:.`l! ハ! l! |:l! l!=‐  ̄_..ィ::::::: /:.lレ:ベヽ ´ , ィ、__'__ ヘ、 ` /、小:ヽV! l!:.≧= ´ _ ァi::7´ }::.:::.:::::: |:.:|!ー- ':\ 〈 Vーーl/}! /:::::` ー-l! l‐´ _,.-::.´l! |/ / , ‐┐ |:.トヽ :::::::::::/ヽ.. Vヽ-- 'Vイ ヽ:::::::::::::::::l! _ ..イ }::__::.l! l! !_.::/ /: ト:.! ::/ ヽ  ̄ ̄ / }:: ,・ トl! /::.::ノ ´ /_..! ´_.ィ::/ / - { トヽ ト、 ! |::‘・;-イ l!/ _ l´/ _..=‐´ァ::./ // .l |:::\ | ー 、 , -‐ ´j: ,;.;j_イ_ イ:;| |::.7__ ..ィく_:/ // /: |!::. . ,ト、 ヽ丶 / /´ イ ; :, ;’|;/;,:::;:| |:::.:::.:::Ljァ' {__/::./ /:::: ヽハ::. ,'ヽ.` ー ---‐ ´ / ,ォ,;:.:|;:;,;::.:::.::∨;;::.:::.:::.:::7⌒i::.〈__/:::::: http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/137
138: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/25(火) 22:16:49 ID:t3Fu9oe1 一応忠告。 ここはスレタイどおり【アニメキャラ・バトルロワイアル】の作品投下スレです。 ただし一般人を目の敵にしている荒らしによって【ロリショタバトルロワイアル】の作品がコピペされています。 ロリショタに興味をお持ちの方は http://jbbs.livedoor.jp/otaku/8274/ ノーマルに興味をお持ちの方は板のテンプレからご覧ください。 なおロリショタは反応すると増長しますので、 私はこれ以降はこのスレに書き込みません。 質問等は>>1からのテンプレを読んでしかるべきこのスレでお願いします。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/138
139: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 2007/09/25(火) 22:53:52 ID:4WSR3MWc ここはカオスなスレですね http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/139
140: 私がみんなを知っている ◆5VEHREaaO2 [sage] 2007/09/25(火) 23:25:30 ID:J01UDqyO 「あのタコハゲ! ぶっ飛ばしてやる!」 E-1にある水族館、大きく開いた入り口のある正面玄関を裏に周り、小さな裏口を潜ったところにある事務所内。 菫川ねねねは、そこで螺旋王ロージェノムと名乗る男に対して怒りを顕にしていた。 ねねねは異能を何も持たず、紙を操る力もなければ、銃を扱った経験もなく、みせしめとして殺害されたテッカマンランスに対応する 力すら持たない一般人である。だが、かつては作家界の『剛田武』と呼ばれていた女はこの程度のことでは怯まない。 自分はポール・シェルダンではないのだ、好きなようにやらせてもらう。 もっとも、菫川ねねねという作家は13歳の頃にデビューしてから24になる今日まで おしかけファンや変態ストーカーにアンチファンなど多数の人物に襲われ、読仙社などの大規模な組織に連れ攫われるなど、 命の危機や誘拐という単なる一般人が遭遇する危機に陥る確立が非常に高いため、このような事態に慣れてしまい、平常心を保てているのかもしれないが。 ともかく、ねねねはロージェノムの所業に怒りを感じ反旗を翻そうと決めた。 (でも、これからどうする?) ロージェノムとやらに反旗を翻すのはいいとして、ねねねの頭には何も具体策など浮かばない。 精々爆弾を誰かに外してもらって、ロージェノムを誰かに倒してもらうという他人任せな案しか、ただの作家でしかないねねねには思いつかなかった。 とはいえ、このまま黙って事態が解決するのを持つつもりもなければ、誰かが助けてくれることを待つつもりもない。 下手をすれば、ロージェノムの言うとおりに最後まで殺しあうはめになるのかもしれないのだから。 (そういえば、このデイバッグの中には何が入ってる?) ねねねは自分に渡されたデイバッグに意識を移す。 たしか、殺し合いをするための道具が入っているとハゲが言っていたはずだ。 異能など使えないねねねにとっては、あるもので現状を乗り切るしかない。 とはいえ、密かにどのような道具が入っているかと、作家としての好奇心が刺激されてもいたが。 ねねねは順にデイバッグの中から取り出したものを、側にあるテーブルの上に並べる。 鞄の中に入っていたものは「地図」「コンパス」「筆記用具」「水」「食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ぬいぐるみ」「冊子」「アクセサリー」であった。 ずらっとならんだ物から、役立ちそうなものを探そうとねねねは物色し始める。 そんなときだった彼女の耳に、英語で話しかけてくる女の声が聞えたのは。 『すいません』 ねねねは物色をやめる。いったい誰だ? 自分に声を掛けてきた人物に探すために辺りを見回す。だがいくら部屋の中や入り口などに目を向けても、誰も見当たらない。 空耳だろうか? http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/140
141: 私がみんなを知っている ◆5VEHREaaO2 [sage] 2007/09/25(火) 23:27:17 ID:J01UDqyO 『前です、目の前です』 どうやら空耳ではないらしい。体の前方へと視線を向ける。 くりくりとしたつぶらな瞳と目が合った。 目の前にいるのは、オレンジ色の毛皮に緑色の帽子、赤い蝶ネクタイといった衣装。 犬なんだか何なんだか、よくわからない頭。ずんぐりとしたオバQ風の二頭身。 いちおう、愛くるしい感じなテディベアと思われる人形。 名はボン太君。はたして、これが喋ったのだろうか? 『違います、その人形ではありません。私はあなたの手元にいます』 そう言われたねねねは視線を下にずらす。そこには緑色の宝石がついているアクセサリーが転がっていた。 ねねねは頭上を仰ぎ見る。 拝啓。父さん、養母さん、今時のアクセサリーって喋るものなのでしょうか、教えてください。 特にコンピュータ開発をしている父さん、AIとかってこのサイズで実現可能なのですか? ねねねは少々予想外の展開に微妙に現実逃避をした。だがそんな場合でもないと思い直し、意識を現実へと戻す。 この程度、紙使い四人と壁すり抜け能力者二人に出会うことに比べれば、喋るアクセサリーに出会うことなど珍しいわけがない。 右手でアクセサリーを掴み上げ、話しかけてみる。 「……で、あんた何?」 『始めまして、私はマッハキャリバーと申します。あなたは?』 どうやら、話が通じない相手ではないらしい。会話を続けることにする。 「私は菫川ねねね、あんたもくだらないゲームに巻き込まれた被害者?」 『……それは、どういうことですか?』 マッハキャリバーは不思議そうに疑問を投げかけてくる。どうやらなにも知らないらしい。 ねねねは自分がここに連れてこられた経緯。そして、螺旋王ロージェノムのことをマッハキャリバーに伝えることにした。 ねねねが現状を伝え終わるとマッハキャリバーは、 『ねねねさん、申し訳ありませんが名簿とやらを開いてくれませんか?』 そう言った。疑問に思いながらもねねねは聞き返す。 「どうして?」 『集められた八十二人の中に、私の相棒も含まれているかもしれません』 たしかに、マッハキャリバーの言うとおりである。むしろ知り合いが巻き込まれているかもしれないと最初に心配するべきだった。 ねねねは名簿を開き、マッハキャリバーと共に覗き込む。どこに目があるかは分からなかったが。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/141
142: 私がみんなを知っている ◆5VEHREaaO2 [sage] 2007/09/25(火) 23:29:47 ID:J01UDqyO 『私の相棒だけではなく、他の仲間達もいるようです』 「そう、私の方も二人ほど巻き込まれちゃってるみたいね」 ねねねは見た。二人もいないであろう珍しすぎる名を持つ女と、自分の家に住む居候の少女の名前を。 『そうですか、ならば一刻も早く探さないと』 もちろん、ねねねもそのつもりだ。ミニブックに絡まないようにマッハキャリバーを首にかけ、 デイバッグの中に入っていたものを急いで中に入れ戻す。 そして、最後に分厚い冊子を片付けようとした。 (ん?) そして、気付く。その分厚い冊子の表紙に書かれた文字に。 『詳細名簿+』 その簡単な一文だけが冊子に書かれていた。完全詳細名簿とはいったいなんなのか? 名簿とは違うのか? これも個人に支給されるアイテムなのか? プラスがあるならマイナスもあるのか? 読んでいる時間もおしい急がなければいけない、とねねねは思うものの、 「マッハキャリバー、ちょっと待って。これ読んでから」 興味を多大に刺激され読んでみることにした。 ページを開くと陽気そうな典型的なアメリカ人の顔写真とその人物のプロフィールと思われる文章が載っていた。 ねねねはアイザック・ディアンという人物のプロフィールを読み進める。 そしてかの人物が泥棒であり、不死の酒を飲んだ不死者であることを知った。 ねねねは書かれていたことに驚きつつも、好奇心から次のページを開く。 詳細名簿には読子やアニタ達に比べても、遜色劣らぬ異能や経歴を持つ多数の人物や自分と同じような一般人たちのプロフィールが載っていた。 思わず、これらの人物を主人公にした話を複数頭の中に練り上げてしまうが我慢する。 自分のプロフィールやマッハキャリバーの知る六課メンバーの詳細が合っていたことから、ここに載ってある情報は事実であると検討できる。 詳細名簿からはマッハキャリバーは名前を知らなかったため始め気付けなかったが、クアットロというサイボーグが危険な人物だと写真から確認できたこと、 そして技術者と思しき面子がいたのがラッキーだった。爆弾首輪を外すということにも期待できそうだ。 そういえば、元エージェントであるあいつはどうだろうか? 彼女ならば爆弾を解体できそうなものなのだが。 ※ ※ ※ 「爆弾を〜解体しましょ♪ 爆弾を〜解体しましょ♪ とっとと〜解体しましょ♪ でも、マニュアル読んでから解体し〜ましょ〜♪」 ぺら ぺら ぺら カチッコチッカチッコチッカチッコチッカチッコチッカチッコチッカチッコチッカチッコチッ どっごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!! ※ ※ ※ http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/142
143: 戦う運命 ◆CDDi1fgMw2 [sage] 2007/09/25(火) 23:31:04 ID:G43dZ+an 『周囲に人影なし』 「そうか……寂しいもんだな」 カバンを担ぐ少年が、一人呟いていた。 浅黒く鞣革のような皮に巌のような鍛え抜かれた肉体を持っているが、その顔は幼く、年の頃は十七といったところだった。 第三者がこの光景を見ていれば、不審に思っただろう。 少年、衛宮士郎は一人しかいなかった。なのに、「会話」をしている。 彼はカバンを担ぎ直し、川沿いに土手を駆ける。 街灯は点いているものの、人影は一切なく、精神の弱いものなら異常をきたすような、不気味な光景だった。 もっとも彼、衛宮士郎にとって、この程度の不気味さなど意にも介しなかった。 彼は十三という若さで、一人で山へ篭り夜叉猿という化け物と戦いへ向かったのだ。 不気味と思う感情など、そのときにどこかへと置いてきた。 「本当に殺し合いなんて行われているのか? タイガーは戦いを見るのは好きだけど、殺し合いを楽しむような人とは……」 『だが、あの女は少女を殺した!』 「……そうだよな。あの娘、死んじゃったんだよな。タイガーさんのせいで」 士郎は光成に対して、少なからず感謝していた。 自分は死闘を何度も経験する必要があると感じ、死闘の機会が多いタイガーコロシアムへの参加をタイガーへ願い、叶えてもらった。 今の自分があるのは、タイガーのおかげだといって良い。 そのタイガーが、殺し合いを始めた。それが自分や範馬独歩や拳王と名乗った男だけの戦いなら分かる。 「世界で一番強い」という男なら一度は憧れ、捨てる夢を今だ求め続ける馬鹿だからだ。 そういった男は、死闘の果てに命を落としも恨み言はない。 光成もそういう男たちの戦いが見たくて、地下闘技場トーナメントを開催したはずである。 なのに…… 「殺しちまったんだな。タイガー」 ひたすら冷たく、腹の底から響く声で確かめるように、もう一度告げる。 女が死ぬのは、母親が殺されたときから、士郎の望むことではない。 『応。我々がすることは、民間人の保護! そのためには覚悟と再会する必要がある!』 「分かっている、零。何度も聞かされたって」 カバンから声が上がり、それが自然であるかのように士郎は返事をする。 彼は一時間ほど前に、零と名乗るカバンと出会った事を思い出していた。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/143
144: 私がみんなを知っている ◆5VEHREaaO2 [sage] 2007/09/25(火) 23:32:18 ID:J01UDqyO 駄目だ、普通に当てにできない。 まあ、普通に技術者をあたっていった方がいいだろう。どこにいるのかも、どうしているのかも分からないが。 他にも詳細名簿のメリットはある。 探さなくてはいけない人物達の容姿の写真が貼ってあることだ。これで幾ばくかは探しやすくなったはずだ。 だが同時にデメリットがある。行動に対する思いが書かれていないことだ。 それは一番重要なことだとねねねは思う。 例えば『君が僕を知っている』でデビューした13歳の菫川ねねねがなぜ本を書き始めたのかで、 金儲けをしたいから書いたと解釈するのと、読ませたい誰かのために本を書いたと解釈するのでは、大きく違うのだ。 故に、真に危険人物と断定できる人間と、実は危険人物ではない人間との差が分かりづらい。 もっとも、目下のところは危険と思われる面子に近づかなければいいだけなのだが。 ねねねがこの詳細名簿の欠点に気付けたのは、作家という心理描写や読み手を騙すトリックを熟知する職業についているからであり、 実は自分の知り合いの善良な人間が、とてつもないことを犯していたということを知っていたからでもある。 ねねねは名簿をマッハキャリバーに見えない位置にずらし、読子・リードマンの欄を開ける。 そこにはいかに彼女が本好きか、いかに彼女が紙を操れるのか、アニタや自分といかなる関係かが書かれてあった。 そんな読子・リードマンのプロフィールの中にこんな一文が書かれてある。 『読子・リードマンは先代である十五代ザ・ペーパーことドニー・ナカジマを殺害、一年後に十六代ザ・ペーパーに就任。 なお、ドニー・ナカジマと読子・リードマンは非公認ながら恋愛関係にあった』 ねねねはその一文を読んでも驚きを表情にだすことはなかった。なぜなら、書かれているであろうことを予想していたからだ。 ねねねは思い出す、あの時の夜を。読子・リードマンをザ・ペーパーという紙使いだと知った事件のことを。 自分に語ってくれた真実を。泣きながらも、自分を助け出してくれた女の言葉を。 だから信じられる、彼女のことを。 だが、他の参加者は読子のことなど知らないのだ。もし、そんな状態でこの詳細名簿のことを見せればどうなるのか? そして、読子・リードマンのプロフィールを知られてしまったら? あまりいい結果になるとはとても思えない。 (……たく、しょうがない) ねねねは思考の海から這い出し、読子・リードマンとアニタ・キングのページを破り取る。二人の秘密やアキレス腱は誰にも見せたくない。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/144
145: 戦う運命 ◆CDDi1fgMw2 [sage] 2007/09/25(火) 23:32:34 ID:G43dZ+an 惨劇の後、士郎は気がつくと、川原で佇んでいた。 静かな音を立てて流れる川に向けていた視線を、星の瞬く夜空へ向ける。 星が、自愛に満ちた母親をかたどっているように錯覚した。 少し視線を下げると、繁華街が見える。だが人の気配はなく、寂れた感じを受けた。 ため息をつき、光成が言った殺し合いをしてもらうという言葉に呆れながらデイバックをあさった。 武器には興味は無い。適当な魔術用トレーニング機器が無いか探しているのだ。 もっとも、無くても構わなかった。上は繁華街、重りになるものなど、いくらでもあるだろう。 この殺し合いという異常な場でも、士郎は強くなる事を第一に考えていたのだ。 しかし、中から見つけたのは、食料や地図など以外には紙があっただけだ。 光成から自分に対するメッセージがあるのかと思い、強化外骨格「零」と書かれた紙を開いてみる。 ドズンと、重い音が静かな川原に響いた。 紙を開くと同時に現れたカバンに驚き、紙を上下を反対にしたり、上を見たり、下から覗いたりする。 それは不気味に思っての行動ではなく、単純に好奇心から紙を隅々見ているように見えた。 その彼に、カバンから声がかけられた。 『少年、現在の状況の報告をお願いする!』 一瞬、士郎はポカンとするが、気を取り直す。 「 そうか、あんたが強化外骨格「零」というのか。俺は士郎、よろしく」 『了解。士郎は我々の名を知っているのか。覚悟の行方を知らぬか? 最初の場所で悪鬼に宣戦布告を行った男だ』 「ああ、あの人か。強そうだったな。ごめん、今は知らない」 『そうか……』 気落ちしている零に苦笑を浮かべる。随分と人間臭いカバンだと士郎は思ったのだ。 「そう落ち込むなって。俺も、覚悟って奴に会いたいから、探すの協力するよ」 『まことか!!』 「ああ。その代わり、覚悟って奴との手合わせをお願いしてもらえないか?」 『何故だ? 回答を求む』 「親父を超える為さ……」 『父親?』 零に対して頷く。彼の胸中にあるのは、なぜかかの世界最強の男に挑む、自分の母親。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/145
146: 戦う運命 ◆CDDi1fgMw2 [sage] 2007/09/25(火) 23:34:15 ID:G43dZ+an 彼女の、最初で最期の母親としての言葉が、士郎の胸を焦がす。 復讐の念と、最強の渇望を混ぜて胸に無理矢理秘めさせる。 タイガーコロシアムを通じて、最強となるべく戦っているのか、タイガーに対して復讐する為強くなっているのか、多少分からなくなっていた。 それでも、母親の死は今の自分の原点といえる。ゆえに、彼は強くなり続ける事をやめない。 例え、それが途方も無い道のりだとしても。 「ああ、地上最強になる、それが今までの俺だし、これからの俺だ。 そのために戦い続ける必要がある」 『士郎。父親を超えるのは男子の本懐! なんら恥じることなど無い!!』 「ありがとう。そろそろ行こうか。覚悟に会うんだろ?」 言いながら、無造作にカバンを掴む。その士郎の様子に、零は慌てる。 『待て! 我々の重さは……』 「よっと」 士郎は難なく、カバンを担ぎ上げた。 その様子に、ほう……っと零は吐息をつく。 「これくらい重いほうが、ウェイトトレーニングとしては丁度良いさ。いや、軽いくらいかな?」 『ふむ。随分鍛えているようだ。これなら、覚悟ともいい勝負になるかもしれない』 「もちろん、そのつもりさ。そして、勝つのも俺だ」 『言うではないか。覚悟との再会、楽しみが増えた』 士郎は笑みを浮かべて、川原を駆けた。 一人と三千の英霊が宿ったカバンは、宵闇に包まれた道を何の恐れも無く進み続ける。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/146
147: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/25(火) 23:34:33 ID:qadczk3i http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/147
148: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/25(火) 23:34:37 ID:/622+3yn http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/148
149: 私がみんなを知っている ◆5VEHREaaO2 [sage] 2007/09/25(火) 23:34:38 ID:J01UDqyO 『いったい何を?』 「人間誰しも知られたくないことがあるってだけ。女には特にね」 ライターをポケットから取り出し、二枚の紙を火で炙る。 火はたちまち紙に燃え移り、ねねねは側にあった灰皿に燃える紙を捨てる。 詳細名簿が複数存在しないのならば、これで読子とアニタの情報は自分しか知らないことになる。 もっとも、テレパシーを使える能力者等もいるこの状況では、どれだけ秘密が漏れないかは不明であるが。 (さてと、随分時間が立っちゃったわね) ねねねが時計を見ると、二時を回っていた。名簿を読むのに時間が取られたらしい。 遅れた分は急がなければ。とりあえずの目的地は本が一番あるところ、つまり図書館。 本ある所に、紙使いあり。 「わるい、時間が掛かった」 『いえ、仕方ありません』 ねねねの謝罪に名簿はそう返し、 『ですが、相棒達は本当に見つけられるのでしょうか?』 続けてそう言った。 この舞台には、多数の実力者達がおりその大半は道具を用いず、もしくは代用しやすい者達がほとんどなのである。 スバルも戦闘機人モードになれば単独で戦えるが、はたして他の六課メンバーはデバイスなしでこの状況を乗り切れるのだろうか? ゆえに非難とも取れる言葉がでる。 ねねねにはデバイスの考えなど分からないし、表情をうかがい知ることもできない。 それでも、非難されているかもしれないと思っていても言葉を紡ぐ。マッハキャリバーを安堵させるために、自身を鼓舞するために。 右手の親指で自分の胸を指し、息を吸い込み、口を開く。 「安心すれ、俺がついてるんだ。ハッピーエンド間違いなし!」 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/149
150: 戦う運命 ◆CDDi1fgMw2 [sage] 2007/09/25(火) 23:35:51 ID:G43dZ+an 現在、その一人と三千の英霊は、コンクリートで舗装された道を下っていた。 零の探知能力を頼みに、覚悟を探しているのである。 しかし、零は探知能力が下がっているらしく、数百メートル単位でしか人を察知できないらしい。 『この謎、いずれ解き明かす必要がある。強化外骨格のときにも影響が出なければ良いが……』 「そうか。それにしても人が見つからないな」 士郎は、ランニングには丁度良いと言いながら、街を全速力で駆けていく。 無防備だが、その姿は例え襲われても返り討ちにするという考えゆえであった。 やがて、病院を前にし、零と士郎が会話するため止まる。 九十キロはあるカバンを担いで全力疾走したというのに、士郎は涼しげな顔をしていた。 『随分鍛えられているな。その肉体、どういった経路で手に入れた?』 「十三まで親父とお袋に鍛えられたのさ。その後は自己流」 『……覚悟も、十三までは兄と一緒に父親に鍛えられていた』 「へぇ……兄貴がいるところまで一緒か」 『だがその兄に、覚悟は父親を殺された。散は悪鬼となったのだ』 「嫌なところまで似ているな。」 苦笑をしながら、零の語る覚悟は本当に自分に似ていると思った。 それは、運命を感じるほどに。 一瞬、自らの体が異常な熱を発し、周囲の空間を歪ませた錯覚に陥った。 戦いの予感に、士郎は比喩でなく身体を熱くする。 (もう、戦いたくなった) そう、士郎は覚悟に、戦う運命を感じたのだ。 退屈を紛らわせる存在として鍛えられた士郎。無力な人を守るために鍛えられた覚悟。 鍛えられた目的は違うが、鋼の肉体を持つ二人。神が仕組んだのか、出会わないはずの二人に接点ができた。 二人の戦士が出会うとき、もたらすのは死闘か、共闘か。 それは、天に煌く星しか知らなかった。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/150
151: 私がみんなを知っている ◆5VEHREaaO2 [sage] 2007/09/25(火) 23:36:05 ID:J01UDqyO 【E-1 /水族館事務所内/1日目/黎明】 【菫川ねねね@R.O.D(シリーズ)】 [状態]:健康。 [装備]:マッハキャリバー(待機状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS、 [道具]:支給品一式、詳細名簿+@アニロワオリジナル、ボン太君のぬいぐるみ@らき☆すた [思考] 第一行動方針:誰か人を探す。 第二行動方針:図書館に行く、誰も見つけられなければ本がある場所へ。 第三行動方針:アニタ、読子、スバル、ティアナ、キャロ、エリオ、はやて、シャマルを探す。 第四行動方針:とりあえず、クアットロや詳細名簿に載っていた危険人物と思しき面子には気をつける。 最終行動方針:打倒タコハゲ、そしてハッピーエンド。 [備考]:詳細名簿+はアニタと読子のページだけ破り取られています。 ※詳細名簿+について 『詳細名簿+は、男女別男先あいうえお順に各参加者のプロフィールと顔写真が乗っています。 プロフィールの詳細はもう一つの詳細名簿と違い、各参加者との関係、これまで実行してきた行動、 技能や異能等を中心に事実関係を重視した情報が載っています。 ですが、なぜそういう関係となったのか。なぜその行動をしたのかなどの心理は書かれていません』 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/151
152: 戦う運命 ◆CDDi1fgMw2 [sage] 2007/09/25(火) 23:37:40 ID:G43dZ+an 【F-4、病院前/1日目・深夜】 【衛宮士郎@Fate/staynight】 [状態]:グラップラー [装備]:強化外骨格「零」(カバン状態)@覚悟のススメ。 [道具]:支給品一式。未確認支給品0〜2。 [思考] 1:特に何も考えていない。 2:誰かみつけ、勝負を挑む。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/152
153: ◆5VEHREaaO2 [sage] 2007/09/25(火) 23:37:59 ID:J01UDqyO 投下終了。 >>145>>146>>150は自分の作品ではないので飛ばしてください。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/153
154: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/25(火) 23:39:38 ID:cU4v9spy 了解です http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/154
155: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/25(火) 23:42:13 ID:/AHZQkou >>152 突っ込みどころ大杉wwwwwwwww http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/155
156: 嗚呼。それにしても酒が欲しい…… 1/6 ◆AZWNjKqIBQ [sage] 2007/09/26(水) 01:06:22 ID:6Qcp1qm4 振るう暴力を裁きの雷と言い放ち、自身を神と名乗る傲岸不遜な男――ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ。 狂王の実験場に落とされて間もなく一つの命を奪い、月の出る夜空に哄笑を響き渡らせる。 そのけたたましい笑い声にか、それとも彼の足下に転がる死体から広がる異臭のせいか、 そこに一人の男が近づいて来ていた。 簡素な着物に赤いスカーフを纏った長身の東洋人。 片方の手にバックを提げ、もう片方の手には水筒を吊ってゆっくりと道を歩いてくる。 様は静かであったが、その細い瞳に映るは剣呑な揺らめき。 その男の名は戴宗。国際警察機構、最強の九大天王が一人――神行太保・戴宗。 自分に酔っていたムスカも、影の中から月明かりの元へと踏み出されればその男に気付く。 「……なんだ東洋人か。私の世界には必要ないな。ここから帰り次第国ごと滅ぼしてやろう」 無礼で挑発的な発言。だが、戴宗はそんな相手の不遜な態度を無視して静かに問うた。 「こいつをやったのはお前さんかい?」 戴宗が指す「こいつ」とは、勿論彼の眼前に横たわる黒焦げた遺体のこと。 細い目が見つめる先には、まだ若かったであろうと思われる小柄な亡骸が薄煙を上げている。 「神に逆らった愚か者の末路だよ」 にへらと笑いながら答えるムスカの眼には、狂気と自信が満ち溢れ爛と輝いている。 一方、そんな彼へと向けられる戴宗の眼は至って静。 ――何時何時此の身が如何なろうと、何処で死のうと誰も悲しまない。だから、如何な任務にも耐えられる。 戴宗が仲間に繰り返し聞かせた言葉であり、また彼自身にとっての矜持でもあり覚悟。 彼は今までこの言葉の通りに生きて来たし、これからもそうであることは変わりはない。 命はすでに国際警察機構に預けた身。例え、死を賭せと命じられても迷いなく殉じる覚悟が彼にはある。 が、しかし! 眼前に横たわる少年はそうではなかったはずだ。いや、ここにいる誰もが! 訳も解らぬままに見知らぬ場所に落とし込み、素性も知らぬ同士を殺し合わせるあの男――螺旋王。 奴も勿論許す事ない大悪。いずれは落とし前ををつけさせなければならぬ! して、目の前の男。神と嘯き、自分勝手な都合で年少の者をいとも容易く殺めたこいつ。 混乱する機に乗じ、跳梁跋扈して己が勝手な願いを達成せんと無辜の者を襲うこいつ。 こんな奴を何と言う? 簡単明瞭! たった一言――外道と言う。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/156
157: 嗚呼。それにしても酒が欲しい…… 2/6 ◆AZWNjKqIBQ [sage] 2007/09/26(水) 01:07:29 ID:6Qcp1qm4 ◆ ◆ ◆ 戴宗は片手に提げたバックを落とす。 続いてもう片手に持った虎柄の水筒から一口取って喉を鳴らすと、それも地面に落とす。 そして、空いた両手を握り締め、ゴキリを音を鳴らすと一歩前へと足を踏み出した。 「このラピュタ神に素手で挑もうというのかね?」 対するムスカは、眼前に迫る相手の心の内に秘めたものが読めぬのか余裕綽々。 相対する者の返事を待たずして手を突き出し、稲妻を走らせた。 ドンッ、と響く音とともに身動ぎ一つ取らなかった戴宗の身体に薄煙が上がる――が、それだけだ。 神を名乗る男はこの時初めて目を見開き、意も介せぬように歩みを止めぬ相手にたじろいだ。 戴宗が一歩前に出れば、一歩下がる。もう一歩前に出れば、もう一歩下がる。 神の雷が通じない。何故か――と、ムスカは困惑する。だが真実はそうではない。 雷だからこそ通じないのだ。 国際警察九大天王。その末席に身を置く神行太保・戴宗。またの名を――『人間発電機』 ピタリと足を止め次いで突き出された戴宗の拳が、ブンという羽虫の様な音と共に薄い光を纏う。 その原理はムスカが背負うエレキテル――電磁誘導装置、それと同じ。 異なる点を上げるならば、 エレキテルの方はあくまで誘導装置であって蓄電はできても、それ自体では発電することができぬと言うこと。 そして逆に、戴宗の有する特異な能力はその名の通り自らの身体で以って電気を起こす事ができる。 その発電量。例えば目の前の総合病院。それが使用に必要とする量を賄うことも容易い。 戴宗の全身を駆け巡る電流は身体の中で螺旋を描き、強力な電磁力を発生させる。 そして、エレキテル同様に大気を操り戴宗は拳の先に電磁場によって作り上げた気の拳を纏う。 これが人間発電機と呼ばれる戴宗の力。名づけて――噴射拳。 彼は内に巡る膨大な電力を雷として発するのではなく、己が身体を武器とするために操る。 九大天王の中でも単純戦闘に特化した能力で、末席と言えど、こと単一同士の格闘戦となれば一、二位を争う。 仇敵であるBF団の十傑集においても、彼と格闘戦を演じられるのは衝撃のアルベルトのみと言われるぐらいだ。 その有形無形の圧力に、戴宗と対峙するムスカの頬に冷や汗が垂れる。 しかし、彼もまた伊達に神を名乗る男ではない。 一度効かぬなら二度目を。二度目も効かぬなら三度目をと、再び稲妻を空中に奔らせた――が! 彼の目の前で、戴宗が姿を消した。 放たれた稲妻は虚しく宙に霧散し残光だけを残す。 サングラスをかけているので、閃光に視力を奪われたなどということはない。しかし、見失った。 戴宗は何処に? 霞と消えたか。いや、彼はムスカの背後に立っていた――。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/157
158: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/26(水) 01:07:39 ID:Nm6iz/Oh http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/158
159: 嗚呼。それにしても酒が欲しい…… 3/6 ◆AZWNjKqIBQ [sage] 2007/09/26(水) 01:08:36 ID:6Qcp1qm4 戴宗は常に人間発電機と呼ばれはしない。彼を呼ぶものは皆こう呼ぶ――神行太保、と。 神行法。それが今の一瞬の種明かし。 強力な電磁の力を脚へと転じればその脚力は常軌を逸し、駆ける速さは音の速さにも達する。 先に拳へと発した様に、気を足元に置けばその歩み神をも目を見張る。故に神行法。 この能力こそ、文字通り彼の右に立つ者は居ない。故に彼は呼ばれる――神行太保・戴宗、と。 彼がそれに気付くよりも疾く戴宗は拳を突き出し、ムスカに衝撃の一撃を見舞った。 神の鉄槌ならぬ、義憤の鉄拳。喰らったムスカはアスファルトの路上を何度も転がる。 次いで倒れた者を鞭打つように降り注ぐのは、爆散したエレキテルの残骸だ。 車に跳ねられた様な衝撃に、指一本動かせなかったムスカではあったが この期に及んでなお彼の傲慢な姿勢は変わらず、あくまで不敵。その態度は崩さなかった。 「……き、貴様。神に向かって拳を振るうとはこの身の程しらず、め。報いを、受けるぞ」 対する戴宗は一つ嘆息すると、その手をムスカの額へと伸ばす。 「お前さんには、ちぃと眠ってて貰うぜ」 瞬間、電流が戴宗よりムスカへと流れ出し、その衝撃が不敵なムスカの意識を奪った。 「……やーれやれ、だ」 そう一人ごちると、戴宗は気絶したムスカと小さな遺体を抱え上げ目の前の病院へと入り込んだ。 ◆ ◆ ◆ 冷たいコンクリートの床の上。狭くて暗い物置の中にムスカの身体を横たえると 戴宗は彼が持っていた荷物の検分を始めた。 すでに死んでいた少年――エドの遺体はここではなく霊安室へと預けてきている。 そして、外道であるムスカの命を奪わないのは、何も情けからという訳ではない。 いるかどうかは知れぬが、あの少年の身内や仲間がここにいるやも知れない。 ならば、仇は譲るべきだと……そう考えた結果であった。そして、いなければその時こそ自分が討てばよい、とも。 「なんだこりゃあ……」 まず鞄に手を差し込んで最初に出てきたのが、大量のチョコレートだった。 確かにチョコレートはエネルギー豊富で、この様な状況ならばありがたいものかも知れなかった。 だが、大酒呑みの戴宗はどちらかと言えば辛党で、甘いものは好みではない。 「酒でも出てくりゃあ、ありがたいんだがなぁ……」 とは言いながらも、一つ包みを剥がしては口に放り込む。 世界最強候補の一人である戴宗ではあったが、ここに来てより何やら調子が悪い。 腹が減っているわけでもないというのなら、やはり酒抜きのせいかと戴宗は考える。 よもや何らかの術のせいかも知れぬが、そうなると戴宗には手が出ない。戴宗は根っからの武闘派だ。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/159
160: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/26(水) 01:09:30 ID:Nm6iz/Oh http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/160
161: 嗚呼。それにしても酒が欲しい…… 4/6 ◆AZWNjKqIBQ [sage] 2007/09/26(水) 01:09:47 ID:6Qcp1qm4 「……言ってみるもんだな」 と、戴宗がバックから抜き出した手には一本の洋酒の瓶が握られていた。しかし――、 「空っぽかよぉ……」 残念ながら、もうすでに封は開けられており、中身も失われた後だった。 戴宗は他にもないかとバックを漁るがもう出てこず、空になった瓶を逆さに振るも一滴も酒は垂れてこない。 「……未練だぜ」 考えれば、あの男はこの酒を飲んでいたのか。しかし、あのような妄言が飛び出すとはどんな悪酔いか。 などと考え、戴宗は酒瓶への未練を払う。 一通り検め終わると戴宗は曲げていた膝を伸ばし立ち上がる。 その手にはチャラチャラと音を立てる細長い投げナイフが幾本も握られていおり、 「こいつは没収……」という訳で戴宗のバックの方へと収められた。 戴宗は物置部屋を出る際に、床に投げ出されたムスカの方を見やる。 ピクリともしない。死には至らないが相当の電流を流し込まれている。 戴宗の見立てでは、気を取り戻すのに半日。それから身体を動かせるまでにもう半日。そういう按配だ。 それでも、一応と扉に安物の鍵を掛けて戴宗はその場を離れた。 「衝撃の旦那に、十傑集がもう一人。それなのに、こちらときたら俺一人かぁ……」 その上、まだまだ未知の存在が多数いるという……。最初に出会った男が男だっただけに気は滅入る。 せめて一清でもいれば釣合いが取れるのに、と考えても詮無き事。 「……まずは、酒だな」 暗澹たる思いを胸に、戴宗は病院を出て月夜の下を一人歩いていった。 【D-6/総合病院近く/1日目-深夜】 【神行太保・戴宗@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-】 [状態]:若干の疲労 [装備]: [道具]:デイバッグ、支給品一式(食料-[握り飯、3日分][虎柄の水筒(烏龍茶)]) アサシンナイフ@さよなら絶望先生×12本 戴宗に支給された何か(1〜3つ)※戴宗は確認しています [思考]: 基本:螺旋王の打倒 1.どこかで酒を調達したい 2.死んでいた少年の身内や仲間を探す 3.半日ごとぐらいにムスカの様子を見に病院へと戻る 4.不義は見逃さず。悪は成敗する。 ※登場時期は、アニメの1話開始直前です http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/161
162: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/26(水) 01:10:02 ID:ZmWUlOMl http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/162
163: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/26(水) 01:10:14 ID:N2wmH79e http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/163
164: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/26(水) 01:10:36 ID:/x0tqocH http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/164
165: 嗚呼。それにしても酒が欲しい…… 5/6 ◆AZWNjKqIBQ [sage] 2007/09/26(水) 01:10:55 ID:6Qcp1qm4 ◆ ◆ ◆ パタン……と、薄い扉が閉まる音がしてからすぐのこと。 立ち上がらないはずの男が事も無げにすっくと立ち上がった。 とても戴宗の鉄拳や電撃を受けていたようには見えない様子だ。 「……くっくっくっ。馬鹿な男め。ラピュタは滅びぬよ。いつまでもな」 サングラスの位置を直すと、男――ムスカは静かに身体を震わして笑い始めた。 その笑いと共に失われていた自信と妄執がまたむくむくと湧き上がって来る。 「不死の酒か、なるほど。これで私も名実ともに神人の仲間入りと言う訳だな」 ――不死の酒。ただの人に不死をもたらすと言う、錬金術が生み出した究極の万能薬。 しかもムスカが飲んだものは、知恵の浅い錬金術師が模造した不完全品ではなく完全なる不死の酒。 ムスカは己の右手を見ながらほくそ笑む。 「まさかとは思っていたが、不死は真実だった」 完全な不死者とそうでない者。その差は極めて大きい。 完全な不死者は、不完全な不死者を一方的に『喰う』ことができるのだ。 しかもそれは、相手の命を奪うだけでなく記憶や技術、ありとあらゆるものを奪う事ができるのだ。 ムスカは考える。一人だけではないだろうと、他にもこの実験場には不死者は存在するだろうと。 でなければ意味はない。そして、螺旋王と名乗ったあの男もきっとそうであるに違いない。 ならば、それらを全て喰うことができれば……! 「私はラピュタ王国を復興する神だけに留まらず、――万能の神となるのだ!」 ムスカは想像する。螺旋王の目的を。 神の候補者を集めては、それらに喰らい合わさせて知識を濃縮し、最後の一人を彼が喰らう。 そうやって超常的な知識と力を手に入れてきたのだろうと。ならば――、 「螺旋王ロージェノムよ! 私は宣言しよう! 今回こそは私が貴様を喰らい、その玉座から貴様を引きずり落として見せるとな!」 ムスカは笑う。誰に憚ることなく高らかに声を上げ哄笑する。 まるで現世に生れ落ちてきたばかりの赤子の様に。 「私こそが! ラピュタの王こそが、新世界の神に相応しい!」 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/165
166: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/26(水) 01:11:23 ID:ZmWUlOMl http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/166
167: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/26(水) 01:11:32 ID:NFDdUXYE http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/167
168: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/26(水) 01:11:38 ID:I9g48E6/ http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/168
169: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/26(水) 01:11:59 ID:yDKbF8Cs http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/169
170: 嗚呼。それにしても酒が欲しい…… 6/6 ◆AZWNjKqIBQ [sage] 2007/09/26(水) 01:12:03 ID:6Qcp1qm4 【D-6/総合病院・物置部屋の中/1日目/黎明】 【ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ(ムスカ大佐)@天空の城ラピュタ】 [状態]:完全な不死者(※)、気分高揚 [装備]: [道具]:デイバック、支給品一式(食料-[大量のチョコレート][紅茶])、不死の酒の空き瓶 [思考]: 基本:螺旋王を喰って新世界の神となる 1.他の不死者を探して喰う(酒を探して、誰かに飲ませて喰う) 2.東洋人(戴宗)に復讐する 3.パズーらに復讐する ※耐久力においては、制限がかかっているため完全な不死ではありません ※エドワード・エルリック(@鋼の錬金術師)の遺体は病院の霊安室に移動されました http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/170
171: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/26(水) 01:15:50 ID:IRys0CaF >>149 >>152 >>170 GJ!! http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/171
172: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 2007/09/26(水) 05:34:28 ID:+5/GIrG0 糞スレ乱立させるな 殺人狂 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/172
173: ◆UTAZOboXAs [sage] 2007/09/26(水) 19:05:47 ID:XEqFzbBX (隔離された場所での殺し合い? いーね、いーねぇ、実にいい。最高じゃねぇか) 新しい玩具を与えられた少年のようにウキウキと街を闊歩する男、彼の名をラッド・ルッソという。 表の顔はルッソ・ファミリーきっての殺し屋、裏の顔は欲望の赴くままに生きる狂った享楽殺人者、それがラッド。 そんな彼にとって、バトルロワイヤルの舞台は素敵なテーマパークでしかなかった。 ラッドの瞼の裏に浮かぶのは自信満々のモロトフの笑み、無惨に散った彼は最期まで自分の優位を疑っていなかった。 この場所にはそんな奴らがごろごろしている、それを自由に殺してまわれる――まさにラッドにとっての天国だ。 そして、同時にモロトフは相当な実力者だった。 螺旋王に迫った時の瞬発力、飛び切りの威力の光線、ラッドが相対したところで一瞬で葬られてしまうだろう。 つまりこの場所では、ラッド自身もいつも以上に死に近い場所にいる。いつゴミのように殺されるか分からないということだ。 だがそれさえもラッドが喜ぶ要因にしかならない。殺すか殺されるかの緊張感、それはラッドが大好きなものなのだから。 結果、ラッドはゲームがはじまった直後から獲物を求めて夜の街を徘徊している。 デイパックをまさぐって一本のナイフを取り出すなり走り出したその姿は、まるで早く遊びたくてうずうずしている子供のようだった。 ラッドの目的は一つ、螺旋王を殺す、それだけだ。参加者を殺して殺して殺しまくる事はラッドにとって過程にすぎない。 他人を殺し合わせて自分は高みの見物、モロトフなど歯牙にもかけないという態度、螺旋王はラッドが蛇蝎のごとく忌み嫌う類の人間だ。 螺旋王を観測者の立場から引き摺り下ろし、殺す。それがラッドの頭の中では規定事項なのだ。 KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! 抑えきれない殺意を身に纏いラッドは獲物を探す。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/173
174: ◆UTAZOboXAs [sage] 2007/09/26(水) 19:07:10 ID:XEqFzbBX そしてゲーム開始から十数分後、ついにラッドに見初められてしまった哀れな犠牲者が現れる。 街灯に照らされる道路の脇を、銃を構え慎重に歩いている少年、犠牲者の名前は高嶺清麿。 何の自信が有るのか周囲の確認もせずに堂々と夜道を歩く。ここが殺し合いの舞台でなく、アメリカの一都市だったとしても実に危険極まりない行動だ。 暢気に生きてきた少年が不相応な武器を手に入れたことで自分が特別な者になったと思い込んでいる、清麿の後ろ姿からラッドはそう判断した。 背中から滲み出ている緩い雰囲気、死という冷たい現実を理解していなそうな子供、無意識に舌なめずりをするラッド。 そして清麿の注意が背後から逸れた瞬間を見計らって、ラッドは行動を起こした。 「よ――――――ぅ坊や、夜道は危ないぜぇ……何せ、俺みたいな危ない奴がごろごろしてるからなぁ」 後ろから忍び寄り、清麿が振り向くよりもはやく無防備な首筋にナイフを突きつける。 刃物を突きつけられた清麿の身体が僅かに震える、その感触に喜悦の笑みを浮かべながらラッドは言葉を続ける。 「子猫ちゃんみたいにビクビク震えちゃってさぉ、可愛いったらありゃしないぜ。 さっきまで勇ましく武器を構えてたのによぉ、これじゃあ折角の武器が可哀想だろ。なぁ、そう思わないのか? どうなんだよお―? というわけでこの素敵な銃は俺が貰いま―す、ありがとよ。ああ、心配はしなくていいぜ。今後は俺が存分に有効活用してやるからな。 ん、有効活用ってどれくらい使えば『有効』になるんだ? 百人? 五百人? まさか千人以上殺さなきゃいけね―のか? やっべ、そんなに殺したら銃の方がいかれちまうよ! 悪いな、今の無し、有効活用は無理! 仕方ないからこの銃は精々有効利用させてもらうぜ! さて――」 相手が返事をする暇を与えずに、矢継ぎ早に語るラッド。 獲物を前にハイになっているその姿は紛れもない快楽殺人者である。 そしてそんな狂人と相対する事になってしまった不幸な少年、高嶺清麿。 彼はラッドのスピーチを微動だにせずに静かに聴いていた。怯えも怒りもせず、ただ静かに聴いていた。 黙考する清麿、彼は果たしてその心中で何を考えているのか? だがそんな清麿の反応を全く気にせずにラッドは語り続ける。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/174
175: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/26(水) 19:08:55 ID:NFDdUXYE http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/175
176: ◆UTAZOboXAs [sage] 2007/09/26(水) 19:09:00 ID:XEqFzbBX 「お前はこう思ってただろ『こんなに凄ぇ武器を持っていれば誰にも負けるはずがない、俺は強い、俺は死なない、つまり俺は安全だ』ってなあ! それでなっ、俺にとっては超ハッピー、お前にとってはアンハッピーなことにそういう奴を殺すのが俺は大好きなんだ。 という事で俺は今からお前を殺しま――ス! でよぉ、その間お前はどうするんだ? 逃げる? 抵抗する? 諦めて死ぬ? 俺と殺し合う? 自殺してみる? 命乞いする? 謝る? 泣き叫ぶ? 怖い? 悔しい? 切ない? それとも怒ってる? なあ、どうなんだよ――?」 そうして存分に語り尽くしたラッドは気分も上々に話を終えた。 では、獲物との触れ合いに満足したら次はどうするのか――最後の仕事に、実際に清麿を殺すという作業に取り掛かるに決まっているではないか。 だが殺すのに必要な動作は腕に少し力を入れるだけだ、パーティの最初の殺しとしてはあまりに味気ない。 だからラッドはあえて清麿の正面に身を移した、清麿の最期の表情を脳裏に強く焼き付けるためにだ。 しかしラッドの清麿殺害ショーはここで一時停止する事になる。 なぜなら覗き込んだラッドが目の当たりにしたのは、恐怖に震える少年の顔ではなく、死を覚悟しつつもそれに必死で抗おうとする戦士の顔であったのだからだ。 清麿をただの少年だと思い込んでいたラッドからすれば正に青天の霹靂だ。軽い朝食をとろうと豚を料理していたら、それが突然理性を持った人間に化けてしまったのだから。 流石にこれにはラッドも動揺し、表情が僅かに崩れる。それを機とみたのか、おもむろに清麿は口を開いた。 「俺は……死にたくない。俺が死んでも、たぶんみんなは俺を覚えていてくれる、俺の死を悲しんでくれる。 それはガッシュに会う前の俺からすれば本当に夢のような事だから、嬉しい、凄く嬉しいんだ…………でも、それじゃ駄目なんだ。 みんなと過ごす喜びを思い出したから、みんながいい奴だって知ってるから、みんなには笑っていてほしいから悲しませたくないから――俺は死にたくない」 ハイテンションに言葉を次々と吐きだしていたラッドの喋り方とは裏腹に、清麿は一語一語がはっきりと相手に聞こえるに抑揚をつけてゆっくりと喋る。 ラッドの自分の考えがしっかりと伝わるように細心の注意を払って清麿は言葉を紡ぐ。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/176
177: ◆UTAZOboXAs [sage] 2007/09/26(水) 19:10:17 ID:XEqFzbBX 「それにガッシュと約束してるんだ。あいつが優しい王様になるのを俺は手伝う。だからまずは螺旋王って奴を倒して日本に帰らなくちゃいけない。 そして実のところ俺自身があのおっさんを看過できない。無理矢理人を集めて殺し合いを強制し、それを実験だゲームだと称する。 螺旋王は俺が今までに出会った相手の中で……一番の悪だ。そんな悪を俺とガッシュは絶対に許さない。仲間を集めて、必ず打倒する! そして、俺はまずあんたに仲間になってほしい。その力を人殺しに使うのではなく、俺たちのために貸してくれないか?」 行われたのは説得もとい勧誘だ。相手は殺人鬼、当然失敗した場合に清麿の命はない。 だがそれは清麿にとって些事でしかない、ガッシュと共に魔界の王を目指す事を決めた時点で死ぬ覚悟はできている。 だからリスク覚悟で想いを伝えた。真の悪人でさえなければ話は通じる。 例え相手が殺し合いにのっている人間だとしても、誠意をもって接すれば心は通い合うはず――それが清麿の導き出した答え。 (あれあれあれあれぇ? なんなのコイツ? なに一端の戦士みたいな顔しちゃってんの? おっかしいなぁ? どう見てもゆるゆるだよなぁ? 群れるだけ群れて安心してる羊の臭いがプンプンしてるよなぁ? 口を開いても出てくるのは夢想論だしよ、いつもの箱入りのお坊ちゃんと何も変わんねーはずだよなぁ? なのになんでそんな煮るなり焼くなり好きにしろって目をしてんだよっ! つまんね―じゃん! しらけてきたっつ―の!) だが清麿の願い空しくラッドに話は通じていなかった。 たしかにラッドは情もあれば愛もある人間、真の悪人と呼べるほど悪に染まってはいない。 しかし……ラッドは狂人だった。考え方からして常人とは一線を画する。 ラッドにとって重要なのは清麿が殺すに値する人間かどうかのみ、そしてそれを判断するのはラッドの直観。 清麿の命を賭けた身の上話も、ラッドにとっては無意味な単語の羅列でしかなかった。 よってラッドの返事は、当然清麿には好ましくないものになる。 「ハぁ? なんで? それってなんか俺に得あんの? お前が何かしてくれんの? いや口は開くな、答えなくていい。お前に何も期待してないから、だからお前は何もしなくていい。 ただ俺に殺されてくれればいいだけだから喋る必要なんてない、理解したか?」 交渉は決裂した。清麿の首に今も突きつけられているナイフ、その握りに力がかかる。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/177
178: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/26(水) 19:10:33 ID:NFDdUXYE http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/178
179: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/26(水) 19:10:57 ID:66+euwjl http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/179
180: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/26(水) 19:11:00 ID:4szXmP3d http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/180
181: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/26(水) 19:11:13 ID:OUlZ6arW http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/181
182: ◆UTAZOboXAs [sage] 2007/09/26(水) 19:11:25 ID:XEqFzbBX ――だがそれ以上の動きはない。 最悪の答えを突きつけられても清麿は動かない、ラッドを真正面から見据えるのみ。 そして対するラッドも動かない、いまだに清麿という人間をはかりかねている。 死を覚悟している者を殺すのは彼の趣味ではない、殺したくない。 死を身近に感じずにぬくぬくと生きている奴は絶好の獲物だ見逃せない、絶対に殺す。 しかしいくら考えたところで答えはでない……だからラッドは無理矢理答えを出すことに決めた。 「ハハ……ハハハ……ヒハハハ、畜生っ! 苛立つぜぇ! イライラするのは身体に悪いってのによォ! …………ったく、解った、良く解った。俺はお前を殺したい、でもお前は死にたくない。平行線だ、お前も困るだろ? だから取引だ。お前の覚悟を見せろ、このナイフで片手の指を全部掻っ切れ。それで俺が満足したら仲間にでもなんでもなってやるよ」 そう言い放ち、ナイフを道路に放り投げる。 表向きは有りがちな話だ。要求をするのならそれなりの誠意を見せろ、というやつだ。 しかし、勿論ラッドの目的は違う。これはラッドが気分良く清麿を殺すための儀式なのだ。 ――自らの手で五本の指を切断する。 一見、最初の指を切り落とす勇気さえあれば、後は同じ事を繰り返すだけなので何とか可能な事のように思える。 だが、事実は違う。一本目は踏ん切りさえつけば誰にでも切り落とせる――二本目以降が真の地獄なのだ。 一本目を切断した時の痛みが絶えずフラッシュバックし、恐怖と身体の拒否反応が精神を蝕む。 その状態で指の切断を続ける――不可能だ。あまりの恐怖と激痛に耐え切れずに恐慌状態に陥る、それが末路。 そんな恐慌状態に陥って、一点の迷いもない眼差しと覚悟を感じさせる表情を失い、ただの緩い人間になった清麿をラッドは殺す。 ラッド自身は手を下していないのに化けの皮が剥がれた、所詮はその程度であり清麿は最初から温い人間だった、という訳だ。 では、もし清麿が見事やり遂げた場合にラッドはどうするのか? 清麿の覚悟が本物だとするとあながちありえない話ではない。 しかし、ラッドはその場合の事は殆ど考えていない。自分にとって面白くない場合の事をわざわざ考えるなんて馬鹿馬鹿しいからだ。 だがおそらくは、緊張がきれて気絶し手から血を流しながら倒れている清麿、彼を放置していくことになるだろう。 殺意の対象でなくなった以上は興味がないし、仲間でも友達でも婚約者でもない奴を手当てしてやる理由もない―― だがこの要求に対して清麿がとった行動は、ラッドの予想の斜め上をいくものだった。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/182
183: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/26(水) 19:13:09 ID:OUlZ6arW http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/183
184: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/26(水) 19:13:18 ID:XiLOJJY9 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/184
185: ◆UTAZOboXAs [sage] 2007/09/26(水) 19:14:12 ID:XEqFzbBX ラッドが地面にナイフ投げやるやいなや、清麿はそれを拾い上げ――自らの右耳にその刃を当てたのだ。 そして一息もつかず、即座に耳に刃を入れる。新品のナイフの鋭利な刃は骨の無い柔らかな肉を易々と切り裂き、清麿の右耳は頭部から切断された。 予め決まっていた事を清麿はただなぞっただけ、そんな事を考えてしまう程に清麿の一連の挙動には全く迷いがなかった。 予想外の出来事に動きを止めるラッド、そんな彼に対して清麿は再び口を開く。 傷口からポタポタと垂れる鮮血を拭おうともせず、今まで通りにラッドを真正面から見据えながらだ。 「指は駄目なんだ。この指は、この手は……魔本を持つために……ガッシュと共に戦うために……絶対に失えない。 でも……! それ以外の場所ならこの耳のように、目でも足でも何だってくれてやるっ! 俺はここで終わりたくない! ガッシュと共に螺旋王を倒し元の世界に戻る……そのためなら俺自身がどれほど傷つこうと構わない! それが俺の覚悟だっっ! 」 清麿の激しい啖呵、それが終わったときに訪れたのは静寂だ。 聞こえるものも動くものも周囲には何もない。僅かな風のみを感じながら、一メートルも離れていない至近距離で二人は睨みあう。 曇りのない真剣な眼差しに激情をこめて睨む清麿。痛みに僅かに顔を顰めてはいるが、たった今身体の一部を喪失したようにはとても見えない。 そんな真摯な眼差しをラッドは黙って受け止めている。清麿の耳から垂れる血だけが時間の経過を示すこの睨みあいは永遠に続くかのように思えた。 ……しかしそれから数分後、夜の街にはラッドの高らかな哄笑が響いていた。 「ハハッハハハハハハハハハハハハハハハ……うぉぉっぉうぉぉっぉ、オマエ馬鹿? それとも天才? つ―かなんで耳切ってんの? 訳わかんなくね? どう考えたらそうなるの? ヒハッ……ハハハハ……やっべ、やっべぇ、緩い馬鹿かと思えばすげぇべ。 ハッ! サイコ―、マジ最高、超面白れぇぇぇ―――――テンション上がってきたぜ―! ハハ……ヒャハハハハハハハハハハ――――」 笑って笑って笑って笑って、狂ったようにラッドは笑い続けている。清麿に向けられていた殺意など影も形もない。 その心底楽しそうな笑い声はラッドの心境を如実に伝え、聞く者にもそう悪い気分は与えないのだが……激しく場違いだった。 「おい、そろそろ笑うのをやめて答えを聞かせてくれないか」 いい加減業を煮やした清麿が呼びかけ、やっとラッドの笑い声は止んだ。 そして清麿は殺意を収めたラッドを相手に詳しい情報交換や今後の方針について話をしようとする。 しかし次のラッドの言葉は、清麿の意気込みを消沈させた。 「……おぅ、無視してゴメンな! おかげでテンションが大分溜まった、ありがとう、本ッ当にありがとう! これで気分よォく思う存分に人を殺して回れるぜ。ってことでじゃあな! ……傷は早めに手当てしておけよぉ――――」 あろうことか爽やかな笑顔で上の台詞を放つなり、スキップをしながら去っていこうとしたのだ。 最早どこから突っ込めばいいのか解らない。我慢に我慢を重ねてきた清麿でさえも慌てて呼び止めた事を後悔したほどである。 だが仲間になるという約束をした事を持ち出すと、びっくりするほどあっさりとラッドは清麿の仲間になることを了承した。 そして清麿が自己紹介と情報交換を行う旨を伝え、移動中にそれを行うことを決める。 移動の目的地は落ち着ける場所、意外にもラッドの方から清麿の傷を早めに手当した方がいいという提案が出たのだ。 少し釈然としない思いを抱えるものの清麿に異論があるはずもない。 そして二人は歩き出した、ひとまずは傷の手当てをする場所を探すために、やがては螺旋王を打倒するために―― http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/185
186: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/26(水) 19:14:21 ID:NFDdUXYE http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/186
187: ◆UTAZOboXAs [sage] 2007/09/26(水) 19:15:20 ID:XEqFzbBX 「そういえばお前武器もってないな。武器は大事だぜ。人間は武器と共に進化してきた、武器あっての人間だ。 マシンガンが一丁あれば、そこら辺の悪ガキにだってジャック・ディンプシーをぶち殺せるんだぜ。ちょっと待ってろ、余ってる俺の武器をやるよ。」 「俺の支給品はあんたに奪われたんだけどな。……っと、有難う。ん、これってマシンガンじゃないか。なんで使わないんだ?」 「気がのらねえ。さっきはナイフで切り裂いてやりたい気分だったし、今は相手を殴り殺したい気分だ。 シュッッ……シュッッ……シュシュシュッっ……折角の舞台なんだ、色々やって目いっぱい楽しまないと損だと思わないか?」 「やっぱり俺にはあんたが理解できない……ともかく殺しだけは絶対にやめてくれよ……」 【高嶺清麿@金色のガッシュ】 【状態:螺旋王に対する激怒、右耳欠損、軽い貧血】 【装備:イングラムM10(9mmパラベラム弾32/32)】 【所持品:イングラムの予備マガジン(9mmパラベラム弾32/32)×5、支給品一式(ランダム支給品0〜2を含む)】 【所持品:清麿の右耳、支給品一式】 【思考・行動】 基本方針:螺旋王を打倒して、ゲームから脱出する 1:ラッドと情報交換をしたい 2:ひとまずは傷の手当をできる場所を探す 3:ガッシュ、フォレゴレとの合流 4:螺旋王に挑むための仲間を集める、その過程で出る犠牲者は極力減らしたい 【ラッド・ルッソ@BACCANO バッカーノ!】 【状態:健康】 【装備:無し】 【所持品:超電導ライフル@天元突破グレンラガン、ファイティングナイフ、支給品一式(ランダム支給品0〜1を含む)】 【思考・行動】 基本方針:自分は死なないと思っている人間を殺して殺して殺しまくる(螺旋王含む) 1:基本方針に当てはまらない人間も状況によって殺す 2:ひとまずは仲間である清麿に同行 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/187
188: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/26(水) 19:18:06 ID:T9DNiP6A http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/188
189: ◆UTAZOboXAs [sage] 2007/09/26(水) 19:31:00 ID:XEqFzbBX 状態表訂正 【8-A 路上 一日目 深夜】 【高嶺清麿@金色のガッシュ】 【状態:螺旋王に対する激怒、右耳欠損、軽い貧血】 【装備:イングラムM10(9mmパラベラム弾32/32)】 【所持品:イングラムの予備マガジン(9mmパラベラム弾32/32)×5、支給品一式(ランダム支給品0〜2を含む)】 【所持品:清麿の右耳、支給品一式】 【思考・行動】 基本方針:螺旋王を打倒して、ゲームから脱出する 1:ラッドと情報交換をしたい 2:ひとまずは傷の手当をできる場所を探す 3:ガッシュ、フォレゴレとの合流 4:螺旋王に挑むための仲間を集める、その過程で出る犠牲者は極力減らしたい ※石版編終了後のどこかから呼ばれています 【ラッド・ルッソ@BACCANO バッカーノ!】 【状態:健康】 【装備:無し】 【所持品:超電導ライフル@天元突破グレンラガン、ファイティングナイフ、支給品一式(ランダム支給品0〜1を含む)】 【思考・行動】 基本方針:自分は死なないと思っている人間を殺して殺して殺しまくる(螺旋王含む) 1:基本方針に当てはまらない人間も状況によって殺す 2:ひとまずは仲間である清麿に同行 ※フライング・プッシーフットに乗り込む少し前から呼ばれています http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/189
190: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/26(水) 20:19:59 ID:xg84aBz9 いいからしたらばに帰れ、な http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/190
191: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/26(水) 20:22:36 ID:XiLOJJY9 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/191
192: 嗚呼。それにしても酒が欲しい…… 1/5 ◆AZWNjKqIBQ [sage] 2007/09/26(水) 20:23:43 ID:6Qcp1qm4 振るう暴力を裁きの雷と言い放ち、自身を神と名乗る傲岸不遜な男――ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ。 狂王の実験場に落とされて間もなく一つの命を奪い、月の出る夜空に哄笑を響き渡らせる。 そのけたたましい笑い声にか、それとも彼の足下に転がる死体から広がる異臭のせいか、 そこに一人の男が近づいて来ていた。 簡素な着物に赤いスカーフを纏った長身の東洋人。 片方の手にバックを提げ、もう片方の手には水筒を吊ってゆっくりと道を歩いてくる。 様は静かであったが、その細い瞳に映るは剣呑な揺らめき。 その男の名は戴宗。国際警察機構、最強の九大天王が一人――神行太保・戴宗。 自分に酔っていたムスカも、影の中から月明かりの元へと踏み出されればその男に気付く。 「……なんだ東洋人か。私の世界には必要ないな。ここから帰り次第国ごと滅ぼしてやろう」 無礼で挑発的な発言。だが、戴宗はそんな相手の不遜な態度を無視して静かに問うた。 「こいつをやったのはお前さんかい?」 戴宗が指す「こいつ」とは、勿論彼の眼前に横たわる黒焦げた遺体のこと。 細い目が見つめる先には、まだ若かったであろうと思われる小柄な亡骸が薄煙を上げている。 「神に逆らった愚か者の末路だよ」 にへらと笑いながら答えるムスカの眼には、狂気と自信が満ち溢れ爛と輝いている。 一方、そんな彼へと向けられる戴宗の眼は至って静。 ――何時何時此の身が如何なろうと、何処で死のうと誰も悲しまない。だから、如何な任務にも耐えられる。 戴宗が仲間に繰り返し聞かせた言葉であり、また彼自身にとっての矜持でもあり覚悟。 彼は今までこの言葉の通りに生きて来たし、これからもそうであることは変わりはない。 命はすでに国際警察機構に預けた身。例え、死を賭せと命じられても迷いなく殉じる覚悟が彼にはある。 が、しかし! 眼前に横たわる少年はそうではなかったはずだ。いや、ここにいる誰もが! 訳も解らぬままに見知らぬ場所に落とし込み、素性も知らぬ同士を殺し合わせるあの男――螺旋王。 奴も勿論許す事ない大悪。いずれは落とし前ををつけさせなければならぬ! して、目の前の男。神と嘯き、自分勝手な都合で年少の者をいとも容易く殺めたこいつ。 混乱する機に乗じ、跳梁跋扈して己が勝手な願いを達成せんと無辜の者を襲うこいつ。 こんな奴を何と言う? 簡単明瞭! たった一言――外道と言う。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/192
193: 嗚呼。それにしても酒が欲しい…… 2/5 ◆AZWNjKqIBQ [sage] 2007/09/26(水) 20:24:50 ID:6Qcp1qm4 ◆ ◆ ◆ 戴宗は片手に提げたバックを落とす。 続いてもう片手に持った虎柄の水筒から一口取って喉を鳴らすと、それも地面に落とす。 そして、空いた両手を握り締め、ゴキリを音を鳴らすと一歩前へと足を踏み出した。 「このラピュタ神に素手で挑もうというのかね?」 対するムスカは、眼前に迫る相手の心の内に秘めたものが読めぬのか余裕綽々。 相対する者の返事を待たずして手を突き出し、稲妻を走らせた。 ドンッ、と響く音とともに身動ぎ一つ取らなかった戴宗の身体に薄煙が上がる――が、それだけだ。 神を名乗る男はこの時初めて目を見開き、意も介せぬように歩みを止めぬ相手にたじろいだ。 戴宗が一歩前に出れば、一歩下がる。もう一歩前に出れば、もう一歩下がる。 神の雷が通じない。何故か――と、ムスカは困惑する。だが真実はそうではない。 雷だからこそ通じないのだ。 国際警察九大天王。その末席に身を置く神行太保・戴宗。またの名を――『人間発電機』 ピタリと足を止め次いで突き出された戴宗の拳が、ブンという羽虫の様な音と共に薄い光を纏う。 その原理はムスカが背負うエレキテル――電磁誘導装置、それと同じ。 異なる点を上げるならば、 エレキテルの方はあくまで誘導装置であって蓄電はできても、それ自体では発電することができぬと言うこと。 そして逆に、戴宗の有する特異な能力はその名の通り自らの身体で以って電気を起こす事ができる。 その発電量。例えば目の前の総合病院。それが使用に必要とする量を賄うことも容易い。 戴宗の全身を駆け巡る電流は身体の中で螺旋を描き、強力な電磁力を発生させる。 そして、エレキテル同様に大気を操り戴宗は拳の先に電磁場によって作り上げた気の拳を纏う。 これが人間発電機と呼ばれる戴宗の力。名づけて――噴射拳。 彼は内に巡る膨大な電力を雷として発するのではなく、己が身体を武器とするために操る。 九大天王の中でも単純戦闘に特化した能力で、末席と言えど、こと単一同士の格闘戦となれば一、二位を争う。 仇敵であるBF団の十傑集においても、彼と格闘戦を演じられるのは衝撃のアルベルトのみと言われるぐらいだ。 その有形無形の圧力に、戴宗と対峙するムスカの頬に冷や汗が垂れる。 しかし、彼もまた伊達に神を名乗る男ではない。 一度効かぬなら二度目を。二度目も効かぬなら三度目をと、再び稲妻を空中に奔らせた――が! 彼の目の前で、戴宗が姿を消した。 放たれた稲妻は虚しく宙に霧散し残光だけを残す。 サングラスをかけているので、閃光に視力を奪われたなどということはない。しかし、見失った。 戴宗は何処に? 霞と消えたか。いや、彼はムスカの背後に立っていた――。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/193
194: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/26(水) 20:25:29 ID:8vz/NDqK http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/194
195: 嗚呼。それにしても酒が欲しい…… 3/5 ◆AZWNjKqIBQ [sage] 2007/09/26(水) 20:26:38 ID:6Qcp1qm4 戴宗は常に人間発電機と呼ばれはしない。彼を呼ぶものは皆こう呼ぶ――神行太保、と。 神行法。それが今の一瞬の種明かし。 強力な電磁の力を脚へと転じればその脚力は常軌を逸し、駆ける速さは音の速さにも達する。 先に拳へと発した様に、気を足元に置けばその歩み神をも目を見張る。故に神行法。 この能力こそ、文字通り彼の右に立つ者は居ない。故に彼は呼ばれる――神行太保・戴宗、と。 彼がそれに気付くよりも疾く戴宗は拳を突き出し、ムスカに衝撃の一撃を見舞った。 神の鉄槌ならぬ、義憤の鉄拳。喰らったムスカはアスファルトの路上を何度も転がる。 次いで倒れた者を鞭打つように降り注ぐのは、爆散したエレキテルの残骸だ。 車に跳ねられた様な衝撃に、指一本動かせなかったムスカではあったが この期に及んでなお彼の傲慢な姿勢は変わらず、あくまで不敵。その態度は崩さなかった。 「……き、貴様。神に向かって拳を振るうとはこの身の程しらず、め。報いを、受けるぞ」 対する戴宗は一つ嘆息すると、その手をムスカの額へと伸ばす。 「お前さんには、ちぃと眠ってて貰うぜ」 瞬間、電流が戴宗よりムスカへと流れ出し、その衝撃が不敵なムスカの意識を奪った。 「……やーれやれ、だ」 そう一人ごちると、戴宗は気絶したムスカと小さな遺体を抱え上げ目の前の病院へと入り込んだ。 ◆ ◆ ◆ 冷たいコンクリートの床の上。狭くて暗い物置の中にムスカの身体を横たえると 戴宗は彼が持っていた荷物の検分を始めた。 すでに死んでいた少年――エドの遺体はここではなく霊安室へと預けてきている。 そして、外道であるムスカの命を奪わないのは、何も情けからという訳ではない。 いるかどうかは知れぬが、あの少年の身内や仲間がここにいるやも知れない。 ならば、仇は譲るべきだと……そう考えた結果であった。そして、いなければその時こそ自分が討てばよい、とも。 「なんだこりゃあ……」 まず鞄に手を差し込んで最初に出てきたのが、大量のチョコレートだった。 確かにチョコレートはエネルギー豊富で、この様な状況ならばありがたいものかも知れなかった。 だが、大酒呑みの戴宗はどちらかと言えば辛党で、甘いものは好みではない。 「酒でも出てくりゃあ、ありがたいんだがなぁ……」 とは言いながらも、一つ包みを剥がしては口に放り込む。 世界最強候補の一人である戴宗ではあったが、ここに来てより何やら調子が悪い。 腹が減っているわけでもないというのなら、やはり酒抜きのせいかと戴宗は考える。 よもや何らかの術のせいかも知れぬが、そうなると戴宗には手が出ない。戴宗は根っからの武闘派だ。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/195
196: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/26(水) 20:26:46 ID:4szXmP3d http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/196
197: 嗚呼。それにしても酒が欲しい…… 4/5 ◆AZWNjKqIBQ [sage] 2007/09/26(水) 20:27:45 ID:6Qcp1qm4 「……言ってみるもんだな」 と、戴宗がバックから抜き出した手には一本の洋酒の瓶が握られていた。しかし――、 「空っぽかよぉ……」 残念ながら、もうすでに封は開けられており、中身も失われた後だった。 戴宗は他にもないかとバックを漁るがもう出てこず、空になった瓶を逆さに振るも一滴も酒は垂れてこない。 漏れてくるのは僅かに臭う山葡萄の香りのみ……。 「……未練だぜ」 考えれば、あの男はこの酒を飲んでいたのか。しかし、あのような妄言が飛び出すとはどんな悪酔いか。 どうせ碌なものではない――そう考えを切り替え、戴宗は酒瓶への未練を払う。 一通り検め終わると戴宗は曲げていた膝を伸ばし立ち上がる。 その手にはチャラチャラと音を立てる細長い投げナイフが幾本も握られていおり、 「こいつは没収……」という訳で戴宗のバックの方へと収められた。 戴宗は物置部屋を出る際に、床に投げ出されたムスカの方を見やる。 ピクリともしない。死には至らないが相当の電流を流し込まれている。 戴宗の見立てでは、気を取り戻すのに半日。それから身体を動かせるまでにもう半日。そういう按配だ。 それでも、一応と扉に安物の鍵を掛けて戴宗はその場を離れた。 「衝撃の旦那に、十傑集がもう一人。それなのに、こちらときたら俺一人かぁ……」 その上、まだまだ未知の存在が多数いるという……。最初に出会った男が男だっただけに気は滅入る。 せめて一清でもいれば釣合いが取れるのに、と考えても詮無き事。 「……まずは、酒だな」 暗澹たる思いを胸に、戴宗は病院を出て月夜の下を一人歩いていった。 【D-6/総合病院近く/1日目-深夜】 【神行太保・戴宗@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-】 [状態]:若干の疲労 [装備]: [道具]:デイバッグ、支給品一式(食料-[握り飯、3日分][虎柄の水筒(烏龍茶)]) アサシンナイフ@さよなら絶望先生×11本 戴宗に支給された何か(1〜3つ)※戴宗は確認しています [思考]: 基本:不義は見逃さず。悪は成敗する 1.どこかで酒を調達したい 2.死んでいた少年の身内や仲間を探す 3.半日ごとぐらいにムスカの様子を見に病院へと戻る 最終:螺旋王ロージェノムを打倒し、元の世界へと帰還する ※登場時期は、アニメの1話開始直前です http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/197
198: 嗚呼。それにしても酒が欲しい…… 5/5 ◆AZWNjKqIBQ [sage] 2007/09/26(水) 20:28:52 ID:6Qcp1qm4 ◆ ◆ ◆ パタン……と、薄い扉が閉まる音がしてからしばらくのこと。 戴宗に痛めつけられ、ピクリとも動けなかったはずの男が弱々しいながらも身体を起こした。 「よ、よくも……あいつめ。私は神なんだ、ぞ」 サングラスの位置を直すと、男――ムスカは彼を痛めつけた東洋人が去った扉を睨み付ける。 「……しかし、幸運の女神はまだ私を見放してはいないようだ」 何故、ムスカが戴宗の鉄拳や電撃を受けたにも関わらず、こうも早く回復できたのか? 鉄拳の一撃は元よりそれ程の威力は込められてなかった。戴宗の目的はあくまで武器を奪う事をだったからだ。 しかし、次の電撃はそうではない。殺しはしないまでもそう簡単には回復できないだけの量を戴宗は込めた。 ムスカは自信の両の手の平を見つめる。エレキテルの力ではあるが、何度かここから雷を放ったのだ。 その雷――何故、ダメージになるのか? 答えは簡単。電気抵抗がそこに熱を生み出すからだ。 電流が全身を駆け巡ることによって発生する熱。それによって、一人の少年は命を失った。 そしてその雷を放ったムスカは、エレキテルのもたらす二次作用として電流に対する抵抗が少ない体質へと 変質していたのだった。 それは、エレキテルを装備し全身に電気を纏う者に対する、エレキテル装置そのものの電磁ガード。 その不可視のフェイルセイフが、あの時エレキテルが破壊された直後も身体に少し残っていたのだ。 結果、ムスカの身体を駆け巡った電流は地に拡散し、戴宗の意図したものよりもはるかに少ないものとなった。 何度か手を握り身体が動く事を確認すると、ムスカはズボンの裾に手を伸ばして、 隠し持っていた1本の投げナイフを取り出した。 僅かながらに焦げが浮いてはいるが、使用に当たっては問題ない。 「待っていろよ。神への反逆は、神罰を持って迎えられる事を貴様に思い知らせてやる」 そう言うと、ムスカは自分の鞄を背負いなおし、ナイフを片手に扉へと立ち向かった。 【D-6/総合病院・物置部屋の中/1日目/黎明】 【ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ(ムスカ大佐)@天空の城ラピュタ】 [状態]:激しく疲労、背中に打撲 [装備]:アサシンナイフ@さよなら絶望先生 [道具]:デイバック、支給品一式(食料-[大量のチョコレート][紅茶])、葡萄酒の空き瓶 [思考]: 基本:すべての生きとし生ける者に、ラピュタ神の力を見せつける 1.まずは、この部屋より脱出する 2.東洋人(戴宗)に復讐する 3.パズーらに復讐する 最終:最後まで生き残り、ロージェノムに神の怒りを与える ※エドワード・エルリック(@鋼の錬金術師)の遺体は病院の霊安室に移動されました ※エドワード・エルリック(@鋼の錬金術師)の荷物は病院の前の道路上に放置されています http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/198
199: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/26(水) 20:32:17 ID:wEaZLpKJ http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/199
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