ゆるゆりクトゥルフ [無断転載禁止]©2ch.net (433レス)
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1: 2016/09/13(火)04:12 AAS
「……ここ、どこだ?」
気が付いたら見知らぬ場所にいた。
いつも通りの日常。
いつも通りの時間に目覚め、いつも通りに授業を受け、放課後はいつも通りに部室で京子たちと過ごした。
雨が降っていたので早めに解散し、帰宅後すぐにシャワーを浴びた。
買い物はしていなかったので夕食は買い置きのパスタを茹でて食べた。
ベッドの上でスマホをいじりながらだらだらしていたら眠くなって、それから……。
省4
2: 2016/09/13(火)04:14 AAS
「……まさか誘拐?」
誘拐だとしたら犯人の目的がわからない。
なぜわざわざ私を?
それに誰かに拘束されたような跡も……。
「って、あれ? なんで私、制服着てるんだ?」
ますます混乱してきた。
風呂上がりに着ていたのはごく普通のトレーナーだった。
省6
3: 2016/09/13(火)04:16 AAS
改めて周囲を見渡す。小さな部屋だ。
壁も床もコンクリート製、四方にはそれぞれ扉がある。
部屋の中央には古びた木製の長机と、それを挟むようにして木製の椅子が2脚。
天井からは大きめの豆電球がゆらゆらと部屋全体を照らしていた。
(落ち着け、落ち着け……何か情報を……)
私はテーブルの上に視線を向ける。
なにかが置いてあるようだ。
省4
4: 2016/09/13(火)04:18 AAS
そこには文字が書かれていた。
『狭間へようこそ。
夜明けと共に迎えに行くからね。
現(うつつ)への切符は毒入りスープ。
美味しい美味しい毒入りスープ。
冷めないうちに、召し上がれ』
「はっ……ははは……」
省7
5: 2016/09/13(火)04:22 AAS
ヒラリ。
力の抜けた私の手から紙切れが落ちる。
迎えに来る? 誰が? 私を?
突然訪れた非日常。
そんなもの、私は望んでいない。
「あーもう! なんなんだよ!!」
とにかく、このままじっとしているのは不味い。
省2
6: 2016/09/13(火)04:24 AAS
気を取り直して私はもう1枚の紙片に目を通す。
どうやらこの空間の見取り図のようだ。
■□■
□□□
■□■
地図によると部屋は5つ。まとめると
今私がいる中央の部屋が『スープの部屋』
省5
7: 2016/09/13(火)04:28 AAS
続いてテーブルの上に置かれた皿に目を向ける。
(これが毒入りスープなのか?)
皿の中の赤い液体はほかほかと湯気を立てている。
どろりと濁ったそれはまるで……。
(……これを飲んで終わり、って訳にはいかないだろうな)
いきなり飲むのは早計だろう。
手で扇いで臭いを嗅いでみるものの無臭。
省9
8: 2016/09/13(火)04:31 AAS
木製の扉の前に近付き、聞き耳を立てる。
……特に物音はしない。
そっと扉を開ける。
書物庫の中は微かに明るい。
光源は小さな机の上に置かれた蝋燭のようだ。金色の燭台がよく目立つ。
四隅には本が山のように積まれた棚。
私はそこから適当な本を1冊抜き取り、パラパラとページをめくる。
省7
9: 2016/09/13(火)04:34 AAS
(まずはオカルトとかそういうきな臭さそうな本を探してみようかな……背表紙だけ流し見る感じで)
結局地道な探索を続けることにした。
……ゲームなら一瞬で目当ての情報を見つけることが出来るんだろうな。
生憎不自然に光を放っている本などは見当たらない。
探索を始めてから10分程経っただろうか。
右手奥の棚から妙な本を見付けた。
どうも最近取り出された形跡がある。
省10
10: 2016/09/13(火)04:41 AAS
黒い本の題名は『スープの夢について』
ページのほとんどが白紙であり、最後の1ページにだけ以下の記述があった。
中央の部屋……美味しさの秘訣は隠し味。スープのレシピはメモの裏。
北の部屋……予備のスープが鍋にある。
東の部屋……良い子が待っている。良いものを持っている。
省6
11: 2016/09/13(火)04:50 AAS
期待
12: 2016/09/13(火)12:44 AAS
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり
13: 2016/09/13(火)14:36 AAS
中央の部屋へ戻り、テーブルの上に蝋燭を置いた。
必要になったら使えばいい。
黒い本によればメモの裏にはスープのレシピとやらが記されているらしい。
辟易しながらも私は先ほどメモを探す……が、見当たらない。
焦る。
慌てて周囲を見渡すとメモはすぐに見付かった。
なんて事はない。
省3
14: 2016/09/13(火)14:37 AAS
そこにはこう記されていた。
『あたたかい血のスープ。
人間の血のスープ。
冷めないうちに、召し上がれ』
……まぁ予想はしていた。
考えないようにしていたが。
これを飲めと言うのか。
省5
15: 2016/09/13(火)14:38 AAS
消去法で次は北の調理室に向かうことにする。
『スープの予備』も確認しておくべきだろう。
扉には取っ手は付いておらず押戸のような形になっていた。
一応室内に聞き耳を立てるが、物音はしない。
潔く突入することにする。
ゆっくりはしていられない。
調理室に入ってまず驚いたのは室内の明るさだった。
省12
16: 2016/09/13(火)14:41 AAS
コンッコンッ
軽く鍋の蓋を叩いてみる。
やはり何が入っているようなこもった音が返ってきた。
開けないわけにはいかないだろう。
覚悟を決めろ、しっかり気を持て。
「くそっ!」
私は半ばヤケになりながら蓋を開けた。
省12
17: 2016/09/13(火)14:43 AAS
「はぁ……はぁ……ゲホッ……くそっ……」
結局私は数分間吐き続けた。
スプラッター映画とはまるで違う本物の悪意。
それに拒絶反応を抑えることが出来なかった。
口に残った胃酸の味が不快だったがここの水で口をゆすぐ気にもなれない。
私は不満をぶち撒けるかのように乱暴に鍋の蓋を閉めた。
そもそもこれは予備のスープだという。
省3
18: 2016/09/13(火)14:44 AAS
棚の中には深めの大皿や小鉢、多種多様な食器が並べてある。
備え付けの引き出しを開けるとそこにはナイフやフォークがあった。
とりあえずナイフを1本、護身用に持っておくことにする。
……使わなければ、一番いいのだけれど。
一見なんの変哲もない食器棚。
しかしどうも不自然に思える点が一つだけ。
(そうだ、これって全部……)
省6
19: 2016/09/13(火)14:46 AAS
最後に室内をざっと見て終わることにした。
ほどなくして私は調理台の端に紙片を1枚見つける。
紙片落ちすぎだろ、ここ。
内容は以下の通り。
『大事な大事な隠し味。
残念、今は在庫切れ』
『隠し味』という単語をさっきからよく見かける。
省4
20: 2016/09/13(火)14:50 AAS
中央の部屋へと戻り、しばし考える。
とうとう残る扉はこの2つだけとなってしまった。
南の『礼拝堂』には『神』と『隠し味の資料』と『番人』
東の『下僕の部屋』には『良い子』と『いいもの』
……どちらを優先すべきだろうか。
今一番欲しいものは『隠し味』、つまり毒だ。
そういう意味では礼拝堂を先にした方が良さそうに思える。
省2
21: 2016/09/13(火)14:52 AAS
(あの小窓、覗けるかな?)
南の扉の上部には小窓が付いている。
……鉄格子付きで。
いきなり突入するよりは安全だろう、私はそう判断した。
扉に近付き小窓から中の様子を伺うことにする。
聞き耳を立てるのも忘れない。
シュー……シュー……
省3
22: 2016/09/13(火)14:54 AAS
汗が吹き出す。
心臓の鼓動が早くなる。
私はとっさに屈んで扉の奥にさらに聞き耳を立てた。
シュー……シュー……
なにかの息遣いのような音。
ズル……ズル……
省9
23: 2016/09/13(火)14:57 AAS
怖い。
部屋の中に手掛かりがあるんだ。
怖い。怖い。
私はこの部屋の中に入らなくてはいけないんだ。しっかりしろ。
怖い。怖い。怖い。
中になにかがあるのは確実なんだ。覚悟を決めろ。
静かに立ち上がる。
省4
24: 2016/09/13(火)14:59 AAS
闇。
部屋の中に光源はないようで他には何も見えない。
シュー……シュー……
音は絶え間なく聞こえてくる。
目が暗闇に慣れて来ると、ぼんやりと何かが浮かび上がってくる。
省7
25: 2016/09/13(火)15:00 AAS
蛇に睨まれた蛙。
昔の人は上手いことを言ったもんだ。
圧倒的な強者と、弱者。
身体が、動かない。
声が、出ない。
省3
26: 2016/09/13(火)15:02 AAS
瞬間。
金縛りが解けたかのように身体の自由を取り戻す。
扉からゆっくりと後退り、部屋の中央まで戻る。
そのまま、倒れ込んだ。
無理だ。
あれが『神』なのか『番人』なのかはわからない。
わからないが、あんな化け物がいる部屋に入れるはずがない。
省6
27: 2016/09/13(火)15:04 AAS
これからどうしようか。
夜が明けたらあの蛇がやって来るのだろうか。
(そうなったら、終わりだろうな……)
なぜこんなことになったのだろう。
私がなにかしたか?
誰でもいい、答えてくれ。
(京子……あかり……ちなつちゃん……)
省9
28: 2016/09/13(火)15:06 AAS
残った部屋は1つだけ。『下僕の部屋』だ。
一番ヤバいやつはさっき見た。
今さら何が出て来ても驚かない。
東の扉は錆びた鉄の扉だ。
扉の前までやって来たとき、新たな事実に気づく。
「南京錠……」
扉は施錠されていた。
省9
29: 2016/09/13(火)15:09 AAS
南京錠を床に置き、ナイフはポケットにしまう。
自棄になり投げ棄てたものだが、こんなものでも無いよりはマシだ。
やはり持っておくことにしよう。
続いて聞き耳。……物音、なし。
私は扉を開けた。きしむ鉄音が耳障りだ。
中は真っ暗だった。
中央の部屋の光も届かない。
省6
30: 2016/09/13(火)15:12 AAS
素早く扉から離れ、向かいの書物庫の扉の前まで走る。
下僕の部屋とは真ん中にテーブルを挟んだ形になった。
ヒタ……ヒタ……
(近づいてくる……!?)
私はポケットからナイフを取り出し、身構えた。
戦えるか戦えないかではない。やらなければやられるんだ!
身体の震えを押し殺し、目の前のそれに意識を集中させる。
省3
31: 2016/09/13(火)15:14 AAS
アルビノ、というやつだろうか。
白い髪に白い肌。
年齢はまりちゃんと同じか、少し上くらい。
小さな女の子。
部屋の明るさに少女は赤い目を細めていた。
「…………」
「…………………」
省6
32: 2016/09/13(火)15:20 AAS
豆電球に照らされた狭い部屋。
そこには二人の女。
一人はナイフを、もう一人は拳銃を手に対峙。
この状況はなんなのだろう。
「…………」
「…………」
少女はじっとこちらを見つめている。
省14
33: 2016/09/13(火)15:24 AAS
黒い本によればあの部屋には『良い子』と『いいもの』があるらしい。
この少女が『良い子』なのだろうか。
「えーっと……あーっと……ごめん、聞きたいことが多すぎて何から聞いていいのかわかんないや……」
まだ頭が混乱してるのかもしれない。
誰かと話をすること自体が随分久しぶりのような気がする。
そんな私の様子を見て少女は少しだけ笑った。
二人の間の空気が和らいだ気がした。
省1
34: 2016/09/13(火)15:26 AAS
少女の側まで行き、目線を合わせるようにして屈む。
「私は結衣。あなたの名前は?」
「…………」
困ったようにこちらを見つめる少女。
「……もしかして、喋れないの?」
省12
35: 2016/09/13(火)15:30 AAS
時間を忘れ少女と戯れたくなる衝動をなんとか抑えた。
質問を続ける。
「あなたはどうしてここにいるの?」
困ったような顔。
「あの拳銃は使ったの?」
フルフル、否定。
省13
36: 2016/09/13(火)15:34 AAS
私は少女への質問を一旦切り上げることにする。
暗い室内を調べるには光源が必要だ。
蝋燭を持っていこう。
そう思いテーブルの上の蝋燭を見て、気付く。
短くなってる。
見つけた時は火を着けたばかりのそれに思えたが、今は半分よりも少し下くらいの長さだ。
時間は、確実に経過している。
省11
37: 2016/09/13(火)15:37 AAS
部屋の中は思ったよりも奥行きがある。
そこそこの広さだ。
コンクリート製の天井と壁。
中央の部屋と同じような造りだが、目に見える範囲に特に気になるものはない。
クイッ。
少女に制服の裾を引かれる。
「…………」
省11
38: 2016/09/13(火)15:40 AAS
(調べなきゃ、ダメだよな……)
蝋燭の火を頼りに死体へ目星を送る。
死体を見つけ驚きはしたものの、大きく取り乱すようなことはなかった。
この短時間で異常事態への耐性が付きつつある自分が恐ろしい。
男が着ていたのはごく普通のワイシャツとスラックス。
ワイシャツには男のものだと思われる血液が付着。
年齢は……ちょっと判別が付かない。
省7
39: 2016/09/13(火)15:42 AAS
「……あなたがやったの?」
一瞬の間。
フルフル、首を横に振る気配。
「……そっか。ごめんね、変なこと聞いて」
かなり踏み込んだ質問だが聞かずにはいられなかった。
沈黙を誤魔化すように私は目星に集中する。
しばらくして男の右手が握り拳になっていることに気がついた。
省7
40: 2016/09/13(火)15:45 AAS
蝋燭の側でくしゃくしゃになった紙片を開く。
そこには文字が書かれていた。
……この男が遺したものなのだろうか。
手書きだったが筆跡は乱れておらず、問題なく読み取れる。
内容は以下の通りだ。
『それは名前もない貴方の下僕です。
言われたことは嫌でも絶対に従います。
省9
41: 2016/09/13(火)15:49 AAS
中央の部屋へ戻ってきた。
少女をイスに座らせ、私も向かいのイスに座る。
チラリ。
床に落ちた拳銃に目をやる。
少女が最初に持っていたものだ。
あれが『いいもの』なのか?
正直、『いいもの』とは毒そのものの事だと思っていた。
省13
42: 2016/09/13(火)15:52 AAS
振り出しに戻った。
テーブルの上の蝋燭は更に短くなってる。
時間が、惜しい。
(今までの情報を思い出せ……なにか見落としはないか?)
最初に調べたのは書物庫。
そこで見つけた本にはそれぞれの部屋の説明が書いてあった。
(南の礼拝堂には毒の資料があって……神が眠ってて……それから番人が……)
省6
43: 2016/09/13(火)15:54 AAS
供物とはなんだろうか。
やめろ。
鍋に詰まったバラバラ死体?
やめろ。
東の部屋には男の死体があった。
やめろ。
そして、もう一人……。
省8
44: 2016/09/13(火)15:59 AAS
少女が怯えている。
目の前の人間が突然叫び出せば、そうなるだろう。
私はスッと立ち上がる。
少女は今にも泣き出しそうな顔だ。
私は少女と見つめ合う。
私を気遣うような、心配するような、視線。
私はポケットに手を入れる。
省4
45: 2016/09/13(火)16:00 AAS
ぐさり。
血。
ぐさり。
血が出ている。
ぐさり。
省8
46: 2016/09/13(火)16:39 AAS
見てる
47: 2016/09/13(火)17:01 AAS
すげえな
48: 2016/09/13(火)17:04 AAS
これクトゥルフなの?
49: 2016/09/13(火)17:45 AAS
「結衣せんぱーい! お茶のおかわり淹れました!飲んでください!」
「あぁ、ありがとう」
「ちなつちゃんちなつちゃん! 私の分は!?」
「最初に淹れてあげたじゃないですか……あとは自分でやってください」
「えぇー!? やだやだ! ちなつちゃんが淹れてくれたお茶じゃないとやーだー!」
省5
50: 2016/09/13(火)17:48 AAS
………
……
…
全てが夢ならよかったのに。
左ももの鋭い痛みで私の意識は覚醒した。
「…………!」
傍らには白い少女。
省17
51: 2016/09/13(火)17:53 AAS
「っ…………!」
痛みはあるが、なんとか立ち上がることが出来た。
自分でやったことだ。弱音は吐けない。
少女は気が気でないといった表情で私を見つめている。
私の身体にくっついて離れようとしない少女を離れさせるのには苦労した。
そのままよろよろとした足取りでイスへ向かい、座る。
少女は向かいのイスには座らず側にいてくれるようだ。
省8
52: 2016/09/13(火)17:55 AAS
頭の中でグルグルと思考を巡らせる。
今まで探索の結果を振り返る。
書物庫には黒い本と蝋燭。
調理室にはバラバラ死体と銀食器。
礼拝堂には蛇。
下僕の部屋には少女と首のない死体。ついでに拳銃。
省3
53: 2016/09/13(火)17:57 AAS
「ふぅ……」
小さく息を吐く。
傍らの少女は不安げな表情で私を見つめている。
(ほんとに小さな子なんだな……)
改めてそう思う。
年齢は私よりもずっと下。
やつれていることもあり、儚げに見える。
省11
54: 2016/09/13(火)18:01 AAS
思えば二人の姿はボロボロだ。
少女のローブは最初から血にまみれていたが、今はその上に私の血も付いてしまっている。
もはや赤いローブに白い模様がついている、と言った方が正しいのかもしれない。
私も私でブラウスは血で真っ赤。
血の海に倒れ込んだのだから当然だろう。
元々赤い色をしている制服部分も酷いことになっている。
足から血を流したのだからスカートは特に悲惨だ。
省11
55: 2016/09/13(火)18:05 AAS
私はイスから立ち上がった。
すかさず少女が腰にしがみ付いて来る。
彼女はキッとした視線を私に送る。
「…………!」
「座ってろ」という事なのだろうか?
だが、聞いてはいられない。時間がない。
私は少女の目を見て言う。
省6
56: 2016/09/13(火)18:08 AAS
目的地は書物庫。
だがここにきて本に書かれていた誓約に引っ掛かる。
『本を持ち出してはいけない』
ならばと私は少女に言う。
「あそこの部屋に行って、棚からお皿を1枚持ってきてくれるかな? 下の方の棚ならあなたでも届くと思うから」
省8
57: 2016/09/13(火)18:11 AAS
向かうは右手奥の棚。
蝋燭の明かりを頼りに進む。
「あった……」
棚から黒い本を取り出す。
本は相変わらず黒い液体で湿っていた。
(後は、これを……)
続いて少女が室内にやってきた。
省6
58: 2016/09/13(火)18:13 AAS
変化はすぐに起きた。
まばゆいばかりの輝きを放っていた皿が、黒く変色しだしたのだ。
それもただ変色しただけではない。
黒い液体の通った跡にだけ、変化が起きている。
……そういえばどこかで聞いたことがあるような気がする。
銀は古来より毒味に使われていた事を。
(なんで今さら思い出すのかなぁ……)
省5
59: 2016/09/13(火)18:16 AAS
少女とともに書物庫を出る。
液体入りの皿は少女に持ってもらった。
再び中央の部屋。
テーブルの上に銀の皿と蝋燭を置く。
一息付きたいところだが休んでいる暇はない。
少女の方を見やると
「次はなにをすればいいの?」といった表情。
省10
60: 2016/09/13(火)18:20 AAS
私は手に大皿とおたまを持ち、よろよろとガスコンロの方へ向かう。
(息は止めておく。そしてなるべく血以外の物が入らないように……)
頭の中でシュミレーションする。
この作業だけは少女にやらせる訳にはいかない。
私は意を決して鍋の蓋を開けた。
バラバラ死体! 無視!
血液掬う! 早く早く!
省4
61: 2016/09/13(火)18:22 AAS
中央の部屋へと戻ってきた。
手には大皿に注がれた血液。
私の姿を見つけた少女に抱きつかれそうになるが、目で制止を掛ける。
気持ちは嬉しいけど、今は不味い。
少女はなんとか踏み留まってくれた。
……シュンとしないで。お願いだから。
テーブルの上に大皿を置く。
省4
62: 2016/09/13(火)18:24 AAS
最初から部屋に置かれていた赤いスープ。
木製の皿に入っている。
ついさっき私が持ってきた赤いスープ。
こちらは銀製の大皿に入っている。
どちらも同じものだろう。
人間の血液だ。
私は二つのスープを一つの皿へとまとめることにする。
省7
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