【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】 (1002レス)
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43: ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga] 2019/03/26(火)21:46 ID:sOeATM5R0(1) AAS
【路地裏】

【昼夜問わずほの暗いその空間に微かに鳴ったのは、硝子製の何かが割れる音】
【ややあってそれを踏み砕く音が鳴れば】

…………ッ、ぐ……うぅ……がァ……

【若い女の呻き声。一つ響いて】

【白い少女、だった】
【月白色の肩まで伸びた髪に襟も装飾もないシンプルなデザインの白いワンピース。それ以外は何もない。足だって裸足で】
【金色の瞳。ひどく濁っていた。その下には隈が出来ていて】
省17
117
(1): ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga] 2019/04/30(火)23:29 ID:gy5jaS5X0(1) AAS
>>116

【天ノ原港・特務艦『橋立』】
【その甲板に降り立ったのは二十歳にもならぬ年頃の少女】

【祖父と居城を出た後に態々着替えて来たのだろうか?その肢体は緋色を基調とした着物に包まれていて】
【礼の言葉を述べられれば少女は少しばかりやつれ気味のその顔に可憐な笑みを乗せる】

いえ、此方こそこのような素敵な場所に御誘いいただいて光栄です
その上貴方自ら案内していただけるなんて!

【心からの言葉、なのだろう。その歩みはどこか浮き足立っているようで】
【きらびやかな内装の船内を物珍しげに見渡しながらも進む姿は腹に何かを抱えた悪女、というよりはごく普通の、その辺りに居てもおかしくない町娘といった様子】
省4
119
(1): ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga] 2019/05/01(水)00:38 ID:ln19Vs4k0(1/3) AAS
>>118

【道賢の言葉に感嘆の息を吐きながら辺りを見回す善弥】
【着物の事を誉められればその頬は薄桃色に染まって。何かしらの気のきいた返しでもしなければとは思えど言葉にならない声が幾つも発せられるばかり】
【社長秘書だなどと大人ぶってはいてもやはり本物の大人の余裕には勝てないのだろう】
【しまいにはごくごく小さな声で、ありがとうございます、とだけ返して】
【その後は豪華絢爛といった様子の内装を見る方に気をやる事にしたようで】
【時折「これ本当に戦艦なんですかね……」「豪華客船というやつでは……」などと感嘆の声をあげつつも広間へと通される】

【そうして着いた席。並べられた前菜とシャンパンに目を向ければその表情は一瞬輝いてしまうが、すぐにハッとなって真面目くさった表情に戻って】
【緊張の面持ち。そんな彼女の緊張を見透かしたような相手の優しげな一言に、緑青の瞳をぱちりと瞬かせ】
省7
121
(1): ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga] 2019/05/01(水)02:04 ID:ln19Vs4k0(2/3) AAS
AA省
123
(1): ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga] 2019/05/01(水)20:51 ID:ln19Vs4k0(3/3) AAS
>>122

ええ、そういう解釈で大丈夫でしょう
紙と墨と私の魔力さえ十分ならばある程度は量産出来ますし、本当の人間でもないのでその分のお金も節約出来ちゃいますし、大分重宝するんですよねー
まあ元が紙なんで火や水気に弱いっていうのと量産し過ぎちゃうと私の魔力が大変っていうデメリットはあるんですけど
【感嘆の声をあげる道賢に笑って返す善弥】
【労いの言葉をかけられればその笑顔に更に花が咲いて】

そう言っていただけるとありがたいです……!
……それに引きかえお祖父様ときたら孫が頑張ったっていうのに労いの言葉すらくれないし、休んでたのに引っ張り出されるし……ほんッと人使い荒いって言いますか……もー……
【そうしてぷすぷすと呟かれるのは社長である悠玄への愚痴。少しぼやいて我に返れば慌てて「すみません私とした事が!」などと謝って】
省9
128
(1): ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga] 2019/05/03(金)23:26 ID:gswCKmna0(1) AAS
>>126

【談話と共に続く晩餐。善弥の能力や活躍が悠玄には伝わっていないのだろうと道賢が言えば彼女はふと俯いて】

──元々……

……元々、私の才を見出だしてくれたのはお祖父様だったんです
うちは存外古風でしたし、馬酔木家の跡取りなら兄様だっていましたから娘である私なんて放って置かれっぱなしで
家業である祓魔のいろはだって教えては貰えなかった
そんな私の魔力や才能を見出だしてくれたのは前線に出ていた父様や叔父様ではなくて彼らのエゴで幽閉されていたお祖父様だった
お祖父様のお陰で今の私はあるし、私のお陰で今のお祖父様があるんです
……勿論、ヨシビ商会だってそう……なのに……
省10
174
(1): ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga] 2019/05/04(土)23:46 ID:gbipCJ3F0(1) AAS
>>129

だからこそ……ですか……

私は……お祖父様を見返してやりたい……
失敗だって取り戻せるんだって、私こそがお祖父様の後継者として相応しいんだって認めて貰いたい……
私は父様達とは違うんだって証明したい……
【その為だったら、と呟かれた声。固い意思の現れで】

【渡された指輪。ついととられた左手のその薬指、小さな指輪が嵌められれば少女は「ほんと、ですか?」と小さく尋ねる】
【本当に祖父に誉れとして貰えるのだろうか?そうなら良いのに】
【この世の果てまで愛してくれるだなんて、夢みたい、だけれども】
省8
202
(1): ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga] 2019/05/10(金)00:15 ID:EaKy239Z0(1) AAS
>>201

【ふ、と笑みを浮かべた道賢。善弥は安心したような表情を浮かべて微笑んで】

【時が止まるかの様に永く感じられた口付け】

【死が二人を分かつまで──】
【紡がれた甘い言葉】
【薄らと浮かべられた涙】
【その才を見出だされた"あの日"と同じくらいに、黴臭い蔵から祖父を解放し尚且つ分からず屋だった"あの人達"を殺してやった"あの日"と同じくらいに、もしかしたらそれ以上に、きっと嬉しくて】

【ならば、先を逝くのが『貴方』であるならばその黄泉路まで伴をするのだろう】
【そうして、先を逝くのが『自分』であるのならばきっと、地獄の業火がその身を焦がす刹那までその愛を信じ続けるに違いなくて】
省12
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